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{{出典の明記|date=2016年12月}} {{Expand English|date=2024年8月}} {{Thermodynamics sidebar}} '''熱効率'''(ねつこうりつ、{{lang-en|thermal efficiency}})とは、[[熱機関]]の性能を表現する[[物理量]]であり、[[熱]]として投入される[[エネルギー]]のうち、機械的な[[仕事 (物理学)|仕事]]([[動力]])や電気的なエネルギー([[電力]])などに変換される[[割合]]([[無次元量]])である。 ある熱機関に投入される熱が {{mvar|Q}} であるときに取り出される仕事を {{Indent|<math>W =\eta Q</math>}} と表した時の係数 <math>\eta</math> がこの熱機関の熱効率である。たとえば、1000[[ジュール]]の熱エネルギーが与えられた[[エンジン]]が300ジュール分の動力を出力した場合、このエンジンの熱効率は30%である。残りの700ジュールは[[発熱]]や[[摩擦抗力]]や[[震動]]など、目的ではない形の物理現象に消費されたエネルギーであり、[[損失]]と呼ばれる。 熱効率は[[熱力学第一法則]]により1(100%)を越えることはなく、[[熱力学第二法則]]により1になることも決してない。したがって[[実数]] <math>\eta</math> は、以下の[[不等式]]をつねに満たす。 {{Indent|<math>\eta < 1</math>}} [[フランス]]の[[物理学者]][[ニコラ・レオナール・サディ・カルノー]]は、[[思考実験]]で最も熱効率の良い仮想的な[[熱機関]]について研究し、「[[カルノーサイクル]]」と呼ばれる[[熱力学サイクル]]を考案した。カルノーサイクルの理論熱効率 {{math|''η''{{sub|th}}}} は、[[吸熱源]]の[[温度]]を {{math|''T''{{sub|1}}}}、[[排熱源]]の[[温度]]を {{math|''T''{{sub|2}}}} とすると、 {{Indent|<math>\eta_\text{th} =1-\frac{T_2}{T_1}</math>}} で与えられる。吸熱源の温度が高く、排熱源の温度が低いほど熱効率は大きいが、[[熱力学温度]]が必ず[[正の数と負の数|正]]であるため理論熱効率は必ず1より小さく、実際の熱効率はさらに小さくなる。 また、吸熱源の温度が排熱源の温度より低い場合は熱効率が[[正の数と負の数|負]]になるため仕事を取り出すことはできない。逆に言えば、外部から仕事としてエネルギーを投入すれば、低温源から熱を吸収して高温源に熱を移動させることができる。このような機関は'''[[ヒートポンプ]]'''と呼ばれる。ヒートポンプの性能は、熱効率に替えて'''[[成績係数]]'''という量で表現される。 == 様々な熱効率 == *[[熱機関]]の場合、熱効率は[[燃料]]の[[化学エネルギー]]が[[仕事 (熱力学)|有効な仕事]]に変換された割合を指す。 *[[発電所]]の場合、熱効率は燃料の保有[[発熱量]](kcal)が発生[[電力量]](kW)に変換された割合を指す。発電所の熱効率には、発電端熱効率と送電端熱効率がある<ref>[https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_1686.html ATOMICA.]</ref>。発電端熱効率は、[[タービン]]に繋がれた[[発電機]]が発電したそのままの電力量を用いて算出する。送電端熱効率は、発電端電力量から発電所内で使った電力量を差し引いた正味電力量(net power)を用いて算出する。 *調理[[加熱]]・[[給湯]]機器の場合、日本で販売される製品に関しては[[日本工業規格]]の試験方法に規定する方法により測定された数値を用いる。家庭用[[ガス燃料|ガス]]給湯機器、家庭用[[石油]]給湯機器は、[[エネルギーの使用の合理化等に関する法律]](省エネ法)に基づく特定機器となり、調理機器の効率の計算は省エネ法で定められた算出式による。 *空調[[暖房]]機器の場合、[http://www.jtccm.or.jp/hyojyun/jstm.htm 建材試験センター規格(JSTM)/建材試験センター]の定める試験方法で算出する。<!-- 他に算出方法があるかもしれません --> *[[カルノーの定理 (熱力学)|カルノー効率]]:最も効率のよいカルノーサイクルの熱効率に対する実際の熱効率の割合を表す。どこまで理想的な熱機関の動作に近いかを評価する指標となる。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == {{Columns-list|3| * [[効率]] * [[燃料消費率]] * [[燃費]] * [[エクセルギー]] * [[アネルギー]] * [[カルノー効率]] * [[発光効率]] * [[エネルギー効率]] * [[熱機関]] * [[熱力学サイクル]] * [[カルノーサイクル]] * [[逆カルノーサイクル]] * [[冷凍サイクル]] * [[ヒートポンプ]] * [[冷凍機]] * [[成績係数]] * [[熱力学]] * [[熱力学第一法則]] * [[熱力学第二法則]] * [[カルノーの定理 (熱力学)]] }} ==リンク== * [https://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/L_Support/SupportPDF/ThermalEfficiencyLT100.pdf 熱効率を100%にできない理由] - [[埼玉工業大学]] {{DEFAULTSORT:ねつこうりつ}} [[Category:熱力学サイクル]] [[Category:熱]] [[Category:発電]] [[Category:エネルギー]] [[Category:省エネルギー]] [[Category:無次元数]] [[Category:エネルギー変換]] [[Category:暖房換気空調]]
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