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{{Otheruses||音波における特性インピーダンス|音響インピーダンス#特性インピーダンス}} {{出典の明記|date=2023年10月}} '''特性インピーダンス'''(とくせいインピーダンス、{{lang-en-short|[[:en:Characteristic impedance|characteristic impedance]]}}、surge impedance)は、電磁気学・電気回路学の分野において一様な[[伝播媒体]]を用いて交流電気[[エネルギー]]を伝達するときに伝播媒体中に発生する[[電圧]]と[[電流]]、あるいは[[電場]]と[[磁場]]の比である。一般には交流を伝送する[[分布定数回路]]および電磁波の媒体([[自由空間|真空]]及び[[誘電体]])での概念である。 以下では、電気電子工学の慣例に従い、虚数単位として j を用いる。<math>\omega=2\pi f</math> を交流の角周波数とする。 ==分布定数線路の特性インピーダンス== 抵抗、インダクタ、キャパシタ等の一般の形状を持つ集中定数回路素子に対し、扱う交流の波長に対して無視できないサイズの回路を[[分布定数回路]]、特に交流電気エネルギーの伝送を意図した回路を[[分布定数線路]]という。分布定数線路、特に損失がなく無限に長い伝送路を仮定すると、交流電気エネルギーは伝送路上の電圧と電流が変化しながら相互に影響し合うことによっておおむね[[光速度]]で伝播する。このとき伝送路上に発生する電圧と電流の比は分布定数線路の種類や構造によって決まり、この比を特性インピーダンスと呼び、電気回路での[[インピーダンス]]とアナロジの概念である。電圧と電流の代わりに[[電場]](電界)と[[磁場]](磁界)の比を用いても同じである。特性インピーダンスの概念は物理学者の[[オリヴァー・ヘヴィサイド]]によって導入された。 均一な平行二線による伝送線路の特性インピーダンスZ<sub>0</sub>は次式で表され、周波数の関数である。 {{Indent|<math>Z_0=\sqrt{\frac{R+j \omega L}{G+j \omega C}}</math>}} ここで、R, L, G, C はそれぞれ伝送路の単位長あたりの直列[[電気抵抗|抵抗]] ([[オーム]]:Ω)、直列[[インダクタンス]] ([[ヘンリー (単位)|ヘンリー]]:H)、並列[[コンダクタンス]] ([[ジーメンス]]:S)、並列[[静電容量]] ([[ファラド]]:F)である。特性インピーダンスの物理的次元および単位はインピーダンスに一致し、単位は[[オーム]](Ω)である。特性インピーダンスの逆数を[[特性アドミタンス]](単位[[ジーメンス]]:S)ということがある。 さらに、伝送線路が無損失、すなわち R=0、G=0 の条件では、 {{Indent|<math>Z_0=\sqrt{\frac{L}{C}}</math>}} となり、周波数に無関係な定数となる。 電気回路において、ある集中回路素子から分布伝送線路へ、あるいは分布伝送線路から集中回路素子へ電気エネルギーを伝達する場合、集中回路素子の[[インピーダンス]]と分布伝送線路の特性インピーダンスが異なるとエネルギーの一部が反射し、[[定在波]]の発生により効率低下、異常動作、故障の原因となる。このため、電気エネルギーの伝送のためには接続部においてインピーダンスあるいは特性インピーダンスを一致させる必要があり、このような操作は[[インピーダンス整合]]と呼ばれる。[[交流]]、特に[[高周波回路]]においては回路に挿入されるあらゆる分布伝送線路、集中回路素子、[[配線]]や[[コネクタ]]に至るまで接続点での[[インピーダンス整合]]の工夫がなされている。 ==電磁波の特性インピーダンス== {{物理定数 | 名称 =真空中の特性インピーダンス | 英語 = | 記号 = {{math|''Z''{{sub|0}}}} | 値 = {{val|376.730313412|(59)|u=Ω}} <ref name="Z0">[[#Z0|CODATA Value]]</ref> | 不確かさ = {{val|1.6e-10}} }} [[電磁波]]の特性インピーダンス({{lang-en-short|[[:en:Wave impedance|Wave impedance]]}})は、真空を含む誘電体(通常は大気等)中の電磁波の伝播に関する量である。 電気回路における電圧と電流の比という電気インピーダンスの定義を電磁波に準用すれば、特性インピーダンスは[[電場]] {{mvar|E}} と[[磁場]] {{mvar|H}} の比となり、誘電体の[[誘電率]]と[[透磁率]]を {{mvar|ε}}、{{mvar|μ}} とすれば、特性インピーダンス {{math|''Z''}} は次式で示される(この式は[[マクスウェルの方程式]]から導出される)。前提条件により負号が付くことがある。 {{Indent|<math>Z=\frac{E}{H}=\sqrt{\frac{\mu}{\varepsilon}}</math>}} 物理的次元および単位はインピーダンスに一致し、単位は[[オーム]] (Ω) である。 真空中の特性インピーダンス {{math|''Z''{{sub|0}}}} は自由空間のインピーダンス ({{lang-en-short|[[:en:Impedance of free space|Impedance of free space]]}}) とも呼ばれる。その値は約376.73 Ωであり、大気でもほぼ同じである。強磁性体以外の物質の比透磁率はほぼ1である。誘電率は周波数(波長)の関数であり一定ではなく、特に[[マイクロ波]]以下([[可視光]]を含む)の波長領域では大気の誘電率が大きく変化するため真空での値を代用することはできない。 真空のインピーダンスを用いると、真空の構成方程式を以下のように書ける。<math>c_0</math>は[[光速度|真空中の光速度]]である。 :<math>\begin{bmatrix} \boldsymbol{E} \\ c_0\boldsymbol{B} \end{bmatrix}= Z_0 \begin{bmatrix} c_0\boldsymbol{D} \\ \boldsymbol{H} \end{bmatrix} </math> == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == * [[インピーダンス]] * [[分布定数回路]] == 外部リンク == * {{Cite web |url= http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?z0 |title= CODATA Value: characteristic impedance of vacuum |accessdate= 2024-05-20 |publisher= [[アメリカ国立標準技術研究所|NIST]] |ref= Z0 }} {{DEFAULTSORT:とくせいいんひいたんす}} [[Category:電気]] [[Category:電気工学]] [[Category:電子工学]] [[Category:無線工学]] [[Category:物理定数|しんくうのいんひいたんす]] [[de:Wellenimpedanz]] [[fr:Impédance caractéristique du vide]] [[pl:Impedancja falowa]]
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