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{{出典の明記|date=2012年12月}} {{混同|病的科学}} [[画像:WeierstrassFunction.svg|300px|thumb|[[ワイエルシュトラス関数]]は至る所で[[連続 (数学)|連続]]であるが[[微分可能]]ではない。]] [[数学]]における'''病的な'''(びょうてきな、{{Lang-en|''pathological''}}; 病理学的な)事象とは、その性質が変則的に悪質であったり、直感に反すると見なされるようなもののことを言う。'''素性の悪い'''(ill-behaved)ともいう。対義語には{{仮リンク|行儀の良い|en|well-behaved}} (well-behaved) というものがある。 == 概説 == [[反例]]によってある[[定理]]の有用性が脅かされた時に、その有用性を主張する立場の者が、そのような例は病的である、と述べることがしばしばある。有名な反例に、[[アレクサンダーの角付き球面]]と呼ばれるものがある。それは、『空間 {{math|'''R'''{{sup|3}}}} への球面 {{math|''S''{{sup|2}}}} の位相的埋め込みは、「行儀の悪い」挙動が生じる可能性を防ぐための追加条件が課されない限り、空間を「きれいに」分割するとは限らない』、という例である({{仮リンク|ジョルダン-シェーンフリースの定理|en|Jordan-Schönflies theorem}}を参照されたい)。 病的な事象を探す研究者は、特に[[解析学]]や[[集合論]]の分野においては、広く応用可能な一般的な定理を見つけることよりも、既存の定理の不完全さを指摘することに興味を覚えるような{{仮リンク|実験主義者|en|experimentalist}}であると言うことができるかも知れない。それらのいずれの活動も、数学の発展上重要な役割を担っている。 == 病的な関数 == 「病的な関数」の古典的な例の一つに、至る所で[[連続 (数学)|連続]]であるが至る所[[微分可能|微分不可能]]な、[[ワイエルシュトラス関数]]と呼ばれるものがある。微分可能な関数とワイエルシュトラス関数の和は、再び至る所で連続であるが至る所で微分不可能な関数となるため、そのような病的な関数は少なくとも微分可能な関数と同じだけ存在することが分かる。実は、[[ベールのカテゴリー定理]]により、「[[ほとんど (数学)|ほとんど]]すべての」連続関数は至る所で微分不可能であるということが示される。 平たく言えば、これは考え得る関数が非常にたくさん存在することが原因である。大部分は至る所微分不可能であり、描いたり研究したりできる関数は比較的稀で、そのうち興味があったり有用であるものは「行儀が良い」関数でもあることが分かる。 == 病的な例 == 病的な例はしばしばいくらかの好ましくないかまたは珍奇な特性をもつ。その特性はある理論の中では有意義を成り立たせるように説明するのが難しい。そのような病的な振る舞いはしばしば新しい理論とより一般的な結果をもたらす新しい研究を促す。たとえば、これらのいくつかの重要な歴史的な例は次のようである: * 古代ギリシアにおける[[ピタゴラス学派]]による[[無理数]]の発見。例えば[[単位正方形]]の対角線の長さとしての [[2の平方根|<math>\sqrt{2}</math>]]。 * [[有理数]]の[[濃度 (数学)|濃度]]は[[整数]]の濃度と等しい。 * いくつかの[[代数体]]は[[一意分解環]]でないような[[整数環]]をもつ。例えば、体<math>\mathbb Q(\sqrt{-5})</math>。 * [[フラクタル]]その他の非整数次元図形([[ハウスドルフ次元]]を見よ)の発見。 * [[ワイエルシュトラス関数]]:至る所[[連続函数|連続]]だが至る所[[微分可能関数|微分不能]]な[[実関数]]の例。 * 実解析および超函数論での[[シュワルツ超関数|テスト関数]]:実数直線上で無限回微分可能であって、与えられた有限[[区間 (数学)|区間]]の外側はすべて {{math|0}} となる関数。この関数の一例はテスト関数、 *: <math>\varphi (t) = \begin{cases} e^{-1/(1-t^2)}, & -1<t<1, \\ 0, & \text{otherwise} \end{cases}</math> である。 * [[カントール集合]]({{math|⊂ {{closed-closed|0, 1}}}})は、[[零集合|測度 {{math|0}}]]だが[[非可算集合]] * [[ペアノ曲線]]:単位正方形を埋め尽くす連続曲線(より精確に、単位区間 {{closed-closed|0, 1}} から {{math|{{closed-closed|0, 1}} × {{closed-closed|0, 1}}}} への[[全射]]連続写像)という意味で[[空間充填曲線]]の一例。 * [[ディリクレ関数]](有理数の集合 {{mathbf|Q}} の[[指示関数]])は、[[有界函数|有界]]だが[[リーマン可積分]]でない。 * [[カントール関数]]は {{closed-closed|0, 1}} を {{closed-closed|0, 1}} の上へ写す[[単調関数|単調]]連続関数だが、[[ほとんど (数学)#ほとんど至るところで|ほとんど至るところ]]微分係数は0である。 * [[ペアノ算術]]の[[可算]]再帰的飽和[[モデル理論|モデル]]に対して「直観的に偽」な算術的言明を含む充足クラスを構成できる。 これらが発見された時点では、それらの各々は極めて病的と考えられた。今日では、各々は現代の数学の理論の中では消化済みである。 == 関連項目 == *{{仮リンク|例外的な対象|en|Exceptional object}} *{{仮リンク|行儀の良い|en|Well-behaved}} == 参考文献 == == 外部リンク == *[http://www.mountainman.com.au/fractal_00.htm Pathological Structures & Fractals] - [[フリーマン・ダイソン]]の論文 "Characterising Irregularity"(May 1978, Science)からの抜粋 * {{MathWorld|urlname=Pathological|title=Pathological}} * {{PlanetMath|urlname=Pathological|title=pathological}} {{病的な関数の一覧}} {{Math-stub}} {{DEFAULTSORT:ひようてきなすうかく}} [[Category:数学に関する記事]] [[Category:数学の慣用表現]] [[Category:病的な反例|*]]
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