直交曲線座標のソースを表示

{{Redirect|直交座標|デカルト座標系|直交座標系}}
{{翻訳中途|1=[https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Orthogonal_coordinates&oldid=1076027643 英語版 "Orthogonal coordinates" 00:50, 8 March 2022 (UTC)]|date=2023年7月}}
[[数学]]において、'''直交曲線座標'''（ちょっこうきょくせんざひょう）、'''直交座標'''（ちょっこうざひょう、{{Lang-en-short|orthogonal coordinates}}）とは、座標超曲面同士が互いに直交するようなd個の[[座標]]'''q''' = (''q''<sup>1</sup>, ''q''<sup>2</sup>, ..., ''q''<sup>''d''</sup>)の組として定義される（注：上付き添え字は指数ではなく添え字 ([[アインシュタインの縮約記法|Einstein notation]]) を意味する）。ある座標''q''<sup>''k''</sup>に対する座標超曲面とは、''q''<sup>''k''</sup>が定数となる超曲面（場合によっては曲線、曲面）のことである。たとえば、3次元の[[デカルト座標系]] (x, y, z) では「x = 定数」、「y = 定数」、「z = 定数」は座標超曲面であるが、これらが互いに直角に交るので、直交座標系である。直交曲線座標は曲線座標の特殊な例である。

==動機==
[[Image:Conformal map.svg|right|thumb|矩形グリッドに施される[[等角写像]]。曲がったグリッドの[[直交|直交性]]は保持されている。]]
ベクトル同士の演算や物理法則の導出は、通常、[[デカルト座標系]] ({{Lang-en-short|Cartesian coordinates}}) で行うのが最も簡単であるが、[[量子力学]]における場の理論、[[流体力学]]、等角性を保持する[[投影法 (地図)|地図投影]]（[[正角図法]]）、[[電気力学]]、[[プラズマ物理学]]、[[化学種]]や[[熱]]の[[拡散]]等において生じるような[[境界値問題]]においては、デカルト座標ではない直交座標（非デカルト直交座標、即ち直交座標）がよく用いられる。

非デカルト直交座標の利点は、問題の[[対称性]]に合わせて座標を選ぶことができる点である。例えば、地面（あるいは他の障害物）から遠く離れた場所での爆発による[[圧力波]]は、デカルト座標では3次元空間に依存するが、[[球座標]]では問題はほぼ1次元となる（圧力波は時間と中心からの距離のみに依存するため）。デカルト座標では偏微分方程式を含む2次元の境界値問題を解かなければならないが、[[円筒座標]]では[[偏微分方程式]]を用いずとも、[[常微分方程式]]で表現可能1次元の問題に帰着される。

一般的な{{仮リンク|曲線座標|en|Curvilinear coordinates}} ({{Lang-en-short|curvilinear coordinates}}) ではなく、直交曲線座標を好まれる理由は、これを用いたほうが単純であるからである。直交しない座標では多くの複雑な問題が発生する。例えば、直交曲線座標では、多くの問題が変数分離によって解決されることがある。[[変数分離]]とは、複雑なd次元の問題を、「既知の関数で解くことができるd個の1次元の問題」に変換する数学的手法である。多くの方程式は、[[ラプラス方程式]]や[[ヘルムホルツ方程式]]に還元することができる。ラプラス方程式は、下表13番に示す座標系（トロイダル座標を除く下表14番に示す座標）で変数分離可能であり、ヘルムホルツ方程式は、下表11番の座標系で変数分離可能である<ref>{{mathworld|urlname=OrthogonalCoordinateSystem|title=Orthogonal Coordinate System}}</ref><ref>{{Harvnb|Morse and Feshbach|1953|loc=Volume 1, pp. 494-523, 655-666.}}</ref>。

直交曲線座標は、[[計量テンソル]]の非対角項を決して持たない。つまり、無限小の2乗距離、即ち  ''ds''<sup>2</sup> は、常に、「無限小の座標変位の2乗の[[総和]]」として書くことができる。

即ち、:<math>
ds^2 = \sum_{k=1}^d \left( h_k \, dq^{k} \right)^2
</math>

ここで、''d'' は次次元を表す。
また、スケーリング関数（スケールファクター、h-パラメータ）
:<math>
h_{k}(\mathbf{q})\ \stackrel{\mathrm{def}}{=}\ \sqrt{g_{kk}(\mathbf{q})} = |\mathbf e_k|
</math>
は、計量テンソルの対角成分の平方根（後述する局所基底ベクトル ({{Lang-en-short|local basis vectors}}) <math>\mathbf e_k</math>の長さ）に等しい。これらのスケーリング関数 ''h''<sub>''i''</sub> は新しい座標における微分演算子、例え [[勾配]]、[[ラプラシアン]]、[[発散 (ベクトル解析)|発散]]や[[回転 (ベクトル解析)|回転]]を計算する上でも使用される。

2次元の直交曲線座標の一例を生成する簡単な方法として、標準的なデカルト座標{{nowrap|(''x'', ''y'')}}が定める2次元格子の[[共形写像]]による方法がある。非ゼロの複素微分を持つ[[正則関数]] ''w'' = ''f''(''z'') は[[共形写像]]を生成する。得られた複素数を{{nowrap|1=''w'' = ''u'' + ''iv''}}と書くと、元の定数 ''x'' と ''y'' の直線と同じように定数 ''u'' と ''v'' の曲線は直交する。

3次元以上の直交曲線座標の一例を生成する方法の一つとして、直交する2次元座標系から、新しい次元に投影する（「[[円筒座標系|円筒座標]]」）か、2次元座標系をその対称軸の1つを中心に回転させる方法がある。 しかし、2次元座標系を射影したり回転させたりしても得られない3次元の直交曲線座標系もあり、例えば{{仮リンク|楕円体座標|en|Ellipsoidal coordinates}}はそのような例である。より一般的な直交曲線座標は、いくつかの必要な座標面から出発し、その[[直交軌道]]を考えることで得られることがある。

==基底ベクトル==
===共変基底（Covariant basis）===
デカルト座標では、[[基底ベクトル]]は固定（一定）である。より一般的な{{仮リンク|曲線座標|en|Curvilinear coordinates}}では、座標によって空間の点が指定され、そのような点ごとに基底ベクトルの集合が束ねられるが、それは一般に一定ではない。直交曲線座標の特徴は、基底ベクトルが変化しても、互いに対して常に[[直交]]していることである。言い換えれば

:<math>\mathbf e_i \cdot \mathbf e_j = 0 \quad \text{if} \quad i \neq j</math>

これらの基底ベクトル「ある座標を変化させ、他の座標を固定して得られる曲線の[[接ベクトル]]」として定義される。即ち、
:<math>\mathbf e_i = \frac{\partial \mathbf r}{\partial q^i}</math>

[[Image:OrthogonalCoordinates.png|thumb|upright=1.3| 2次元直交座標の可視化。1つの座標以外を一定にして得られる曲線が、基底ベクトルとともに示されている。基底ベクトルは長さが等しくないことに注意すること：等しい必要はなく、直交していればよい。]]

ここで '''r'' は何らかの点を表し、''q'' <sup>''i''</sup> は基底ベクトルを抽出した座標である。つまり、1つの座標以外を固定して曲線を得、固定しない座標を[[パラメトリック曲線]]のように変化させ、パラメータ（変化する座標）に対する曲線の微分を、その座標の基底ベクトルとする。

なお、ベクトルは必ずしも等しい長さとは限らない。座標のスケールファクターとして知られる便利な関数は、単に基底ベクトル <math>{\mathbf e}_i</math> の長さ <math>h_i</math> (下表参照) である。スケールファクターは[[Lamé coefficients]]と呼ばれることもあるが、[[弾性|弾性論]]における[[ラメ定数]]と混同しないように注意のこと。

単位ベクトル([[正規化]]基底ベクトル)をハット付きで表記し、これは、上記の <math>{\mathbf e}_i</math> を、その長さで割ることで得られる。
:<math>\hat{\mathbf e}_i = \frac{{\mathbf e}_i}{h_i} = \frac{{\mathbf e}_i}{\left|{\mathbf e}_i\right|}</math>

[[ベクトル場]]は「基底ベクトル」(<math>{\mathbf e}_i</math>) に対する成分で指定される場合と、「正規化された基底ベクトル」(<math>\hat{\mathbf e}_i</math>) に対する成分で指定される場合があり、どちらの場合を指しているのかを確認する必要がある。正規化基底の成分は、数量を明確にする目的では最も一般的に使われる。（例えば、接線速度にスケールファクターをかけたものではなく、接線速度を扱いたい場合がある）。しかし、微分する場合にはより複雑になるため正規化基底はあまり一般的に使わない。

===反変基底（Contravariant basis）===
前節に示した基底ベクトル(<math>\hat{\mathbf e}_i</math>)は[[共変]]基底ベクトルといわれるが、それはベクトルと「共変」するからである。直交曲線座標の場合、反変基底ベクトル (<math>\mathbf e^i</math>) は、共変ベクトルと同じ方向（但し[[逆長]]）になるので、簡単に求められる（このため、2組の基底ベクトルは互いに対して逆であると言われる）即ち、

:<math>\mathbf e^i = \frac{\hat{\mathbf e}_i}{h_i} = \frac{\mathbf e_i}{h_i^2}</math>

[[クロネッカーのデルタ]]を使うと、<math> \mathbf e_i = \delta^j_i</math> となることに注意のこと。

また、
:<math>\hat{\mathbf e}_i = \frac{\mathbf e_i}{h_i} = h_i \mathbf e^i = \hat{\mathbf e}^i</math>

我々は、直交曲線座標上の「ベクトル」を記述するためによく使われる3つの異なる基底セット、
即ち、共変基底'''e'''<sub>''i''</sub>、反変基底'''e'''<sup>''i''</sup>、正規化基底'''ê'''<sup>''i''</sup>の3つの基底を持つ。「ベクトル」は''objective quantity'',であり、その同一性はどの座標系にも依存しないが、「ベクトル」の成分はそのベクトルがどの基底で表現されるかに依存する。

:<math>\mathbf x = \sum_i x^i \mathbf e_i = \sum_i x_i \mathbf e^i</math>

添字の位置は成分の計算方法を表している（上付の添字を[[指数]]と混同してはいけない）。なお、すべての基底ベクトル（''i''=1, 2, ..., ''d''）に対する和を示す記号Σ（大文字の[[Σ|Sigma]]）と和の範囲は、しばしば省略（[[アインシュタインの縮約記法|アインシュタイン表記]]）されることがある。それぞれの基底における成分同士の関係は、以下のようになる。

:<math>h_i^2 x^i = x_i</math>

正規化基底に関するベクトルの成分を指定するために広く使われている表記法はない。本稿では、ベクトル成分には添え字を用い、成分が正規化基底で計算されていることに着目する。

==ベクトル代数==
ベクトルの加算とマイナスは、デカルト座標と同様に成分毎に行うことが出来、複雑な操作は不要である。他のベクトル演算については、特別な配慮が必要な場合がある。
ただし、これらの演算はすべて[[ベクトル場]]の2つのベクトルが同じ点に束縛されている（言い換えれば、ベクトルの尾が一致している）ことを前提としていることに注意のこと。基底ベクトルは一般に直交曲線座標で変化するため、空間上の異なる点で計算された成分を持つ2つのベクトルを足し合わせる場合、基底ベクトルの違いを考慮する必要がある。

===内積（Dot product）===
デカルト座標系における[[内積]]においては、（[[ユークリッド空間]]に直交基底を考えると）単純に成分の積の和になる。同様に、直交曲線座標でも、2つのベクトル '''x''' と '''y''' の内積は、ベクトルの成分を正規化基底で表示すると、このような馴染みのある形になる。

:<math>\mathbf x \cdot \mathbf y = \sum_i x_i \hat{\mathbf e}_i \cdot \sum_j y_j \hat{\mathbf e}_j = \sum_i x_i y_i</math>

これは、ある点での正規化基底がデカルト座標系を形成できるという事実の直接的な帰結である。この基底は[[正規直交基底]]である。

:<math>\mathbf x \cdot \mathbf y = \sum_i h_i^2 x^i y^i = \sum_i \frac{x_i y_i}{h_i^2} = \sum_i x^i y_i = \sum_i x_i y^i</math>

これは、ベクトルを成分形式で書き出し、基底ベクトルを正規化し、内積を取ることで容易に導き出すことができる。例えば、2Dの場合、
:<math>
\begin{align}
\mathbf x \cdot \mathbf y & =
\left(x^1 \mathbf e_1 + x^2 \mathbf e_2\right) \cdot \left(y_1 \mathbf e^1 + y_2 \mathbf e^2\right) \\[10pt]
& = \left(x^1 h_1 \hat{ \mathbf e}_1 + x^2 h_2 \hat{ \mathbf e}_2\right) \cdot \left(y_1 \frac{\hat{ \mathbf e}^1}{h_1} + y_2 \frac{\hat{ \mathbf e}^2}{h_2}\right) = x^1 y_1 + x ^2 y_2
\end{align}
</math>

ここでは、正規化された共変基底と反変基底が等しいことが利用されている。
===外積（Cross product）===
3次元デカルト座標における[[クロス積|外積]]は、以下の通りである。

:<math>\mathbf x \times \mathbf y =
(x_2 y_3 - x_3 y_2) \hat{ \mathbf e}_1 + (x_3 y_1 - x_1 y_3) \hat{ \mathbf e}_2 + (x_1 y_2 - x_2 y_1) \hat{ \mathbf e}_3</math>

そして、直交曲線座標系でも、成分を正規化した基準で計算すれば、上記の式は有効である。

直交曲線座標において、共変基底あるいは反変基底を考えた場合の外積を構成するには、やはり基底ベクトルを正規化する必要がある。例えば、

:<math>\mathbf x \times \mathbf y = \sum_i x^i \mathbf e_i \times \sum_j y^j \mathbf e_j =
\sum_i x^i h_i \hat{\mathbf e}_i \times \sum_j y^j h_j \hat{\mathbf e}_j</math>

さらに展開すれば、<math>({\mathbf e}_1,{\mathbf e}_2,{\mathbf e}_3)</math> が右手系であるという仮定の下で

:<math>\mathbf x \times \mathbf y =
\left(x^2 y^3 - x^3 y^2\right) \frac{h_2 h_3}{h_1} \mathbf e_1 + \left(x^3 y^1 - x^1 y^3\right) \frac{h_1 h_3}{h_2} \mathbf e_2 + \left(x^1 y^2 - x^2 y^1\right) \frac{h_1 h_2}{h_3} \mathbf e_3</math>

直交しない座標や高次元への一般化を単純化するために、外積の簡潔な表記が[[レヴィ＝チヴィタ記号|レビ・チビタテンソル]]で可能であるが、スケールファクターがすべて1に等しくない場合、0と1以外の成分を持つことになる。

==ベクトル解析==
===微分===
ある点からの無限小の変位を見てみると、明らかに以下が成り立つ。

:<math>d\mathbf r = \sum_i \frac{\partial \mathbf r}{\partial q^i} \, dq^i = \sum_i \mathbf e_i \, dq^i</math>

定義によれば、関数の勾配は以下を満たさなければならない（この定義は''ƒ''が任意の[[テンソル]]であっても真である）。

:<math>df = \nabla f \cdot d\mathbf r \quad \Rightarrow \quad df = \nabla f \cdot \sum_i \mathbf e_i \, dq^i</math>

従って、[[ナブラ演算子]]は必ず、以下を満たさねばならないことになる。
:<math>\nabla = \sum_i \mathbf e^i \frac{\partial}{\partial q^i}</math>

これは、これは直交曲線座標に限らない一般的な曲線座標の場合にも当てはまる。[[勾配]]や[[ラプラシアン]]のような演算子は、この演算子を適切に適用することで得られるものである。
===基底ベクトルの式(Basis vector formulae)===
d'''r'' と正規化基底ベクトル '''ê'''<sub>''i''</sub>から、次のように構成できる<ref>Mathematical Handbook of Formulas and Tables (3rd edition), S. Lipschutz, M.R. Spiegel, J. Liu, Schuam's Outline Series, 2009, {{ISBN2|978-0-07-154855-7}}.</ref><ref name="#1">Vector Analysis (2nd Edition), M.R. Spiegel, S. Lipschutz, D. Spellman, Schaum’s Outlines, McGraw Hill (USA), 2009, {{ISBN2|978-0-07-161545-7}}</ref>。

:{| class="wikitable"
|-
!scope=col width="10px"| Differential element
!scope=col width="200px"| Vectors
!scope=col width="200px"| Scalars
|-
|[[線要素]]
||Tangent vector to coordinate curve ''q<sup>i</sup>'':
<math>d\boldsymbol{\ell} = h_i dq^i \hat{\mathbf{e}}_i = \frac{\partial \mathbf{r}}{\partial q^i} dq^i </math>
|| [[Infinitesimal]] [[length]]
<math>d\ell = \sqrt{d\mathbf{r}\cdot d\mathbf{r}} = \sqrt{(h_1 \, dq^1)^2 + (h_2 \, dq^2)^2 + (h_3 \, dq^3)^2} </math>
|-
|[[面積要素]]
|| [[Normal (geometry)|Normal]] to coordinate surface ''q<sup>k</sup>'' = constant:
<math> \begin{align}
d\mathbf{S} & = (h_i dq^i \hat{\mathbf{e}}_i) \times (h_j dq^j \hat{\mathbf{e}}_j) \\
& = dq^i dq^j \left(\frac{\partial \mathbf{r}}{\partial q^i} \times \frac{\partial \mathbf{r}}{\partial q^j}\right)\\
& = h_i h_j dq^i dq^j \hat{\mathbf{e}}_k 
\end{align}</math>
|| Infinitesimal [[surface (mathematics)|surface]]
<math> dS_k = h_ih_j \, dq^i \, dq^j</math>
|-
|[[体積要素]]
||N/A
||Infinitesimal [[volume]]
<math>\begin{align}
dV & = |(h_1 \, dq^1 \hat{\mathbf{e}}_1) \cdot (h_2 \, dq^2 \hat{\mathbf{e}}_2) \times (h_3 \, dq^3 \hat{\mathbf{e}}_3)| \\
& = |\hat{\mathbf{e}}_1 \cdot \hat{\mathbf{e}}_2 \times \hat{\mathbf{e}}_3| h_1 h_2 h_3 \, dq^1 \, dq^2 \, dq^3\\
& = h_1 h_2 h_3 \, dq^1 \, dq^2 \, dq^3 \\
& = J \, dq^1 \, dq^2 \, dq^3
\end{align}</math>
|-
|}

ここで、

:<math>J = \frac{\partial\mathbf{r}}{\partial q^1} \cdot \left(\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial q^2} \times \frac{\partial\mathbf{r}}{\partial q^3} \right) = 
\frac{\partial(x, y, z)}{\partial(q^1, q^2, q^3)} = h_1 h_2 h_3>0</math>

は[[ヤコビ行列式]]で、これは「デカルト座標における無限小の立方体 d''x''d''y''d''z''」から、「無限小の曲った立方体」への体積の変形という幾何学的解釈を持つものである。ただしここで ヤコビ行列式は正と仮定してあることに注意する （一般にはヤコビ行列式は0でなければよいので負の値も許される）。以下ではヤコビ行列式が正の場合のみ考える。

===積分===
上に示した線素を用いると、ベクトル '''F''' の経路 <math>\scriptstyle\mathcal P</math> に沿った[[線積分]]は次のようになる。
:<math>\int_{\mathcal P} \mathbf F \cdot d\mathbf r =
\int_{\mathcal P} \sum_i F_i \mathbf e^i \cdot \sum_j \mathbf e_j \, dq^j = \sum_i \int_{\mathcal P} F_i \, dq^i
</math>

1つの座標''q<sub>k</sub>''を一定にして記述した面の面積の無限小要素は、以下のように変換され、
:<math>dA_k = \prod_{i \neq k} ds_i = \prod_{i \neq k} h_i \, dq^i</math>

同様に、体積要素も以下のように変換される。
:<math>dV = \prod_i ds_i = \prod_i h_i \, dq^i</math>

ここで、大きな記号Π（πの大文字）は、[[総乗]]を示す。即ち、すべてのスケールファクターの積はヤコビ行列式に等しいことを意味している。

例として、3次元の''q''<sup>1</sup> = ''定数''で定まる面<math>\scriptstyle\mathcal S</math>上のベクトル値関数''F''の[[面積分]]は次のようになる。

:<math>\int_{\mathcal S} \mathbf F \cdot d\mathbf A =
\int_{\mathcal S} \mathbf F \cdot \hat{\mathbf n} \ d A =
\int_{\mathcal S} \mathbf F \cdot \hat{\mathbf e}_1 \ d A =
\int_{\mathcal S} F^1 \frac{h_2 h_3}{h_1} \, dq^2 \, dq^3
</math>

ただし、'''F'''<sup>1</sup>/''h''<sub>1</sub>は、''F''の、この表面に垂直な成分である。

==Differential operators in three dimensions==
{{Main|del}}
これらの演算は応用上共通なので、本節ではすべてのベクトル成分を正規化基底を用いて以下のように示す。
<math>F_i = \mathbf{F} \cdot \hat{\mathbf{e}}_i</math>.

:{| class="wikitable"
|-
! Operator
! Expression
|-
| [[Gradient]] of a [[scalar field]]
| <math>
\nabla \phi =
\frac{\hat{ \mathbf e}_1}{h_1} \frac{\partial \phi}{\partial q^1} +
\frac{\hat{ \mathbf e}_2}{h_2} \frac{\partial \phi}{\partial q^2} +
\frac{\hat{ \mathbf e}_3}{h_3} \frac{\partial \phi}{\partial q^3}
</math>
|-
|[[Divergence]] of a [[vector field]]
|<math>
\nabla \cdot \mathbf F =
\frac{1}{h_1 h_2 h_3}
\left[
\frac{\partial}{\partial q^1} \left( F_1 h_2 h_3 \right) +
\frac{\partial}{\partial q^2} \left( F_2 h_3 h_1 \right) +
\frac{\partial}{\partial q^3} \left( F_3 h_1 h_2 \right)
\right]
</math>
|-
|[[Curl (mathematics)|Curl]] of a vector field
|<math>
\begin{align}
\nabla \times \mathbf F & =
\frac{\hat{ \mathbf e}_1}{h_2 h_3}
\left[
\frac{\partial}{\partial q^2} \left( h_3 F_3 \right) -
\frac{\partial}{\partial q^3} \left( h_2 F_2 \right)
\right] +
\frac{\hat{ \mathbf e}_2}{h_3 h_1}
\left[
\frac{\partial}{\partial q^3} \left( h_1 F_1 \right) -
\frac{\partial}{\partial q^1} \left( h_3 F_3 \right)
\right] \\[10pt]
& + \frac{\hat{ \mathbf e}_3}{h_1 h_2}
\left[
\frac{\partial}{\partial q^1} \left( h_2 F_2 \right) -
\frac{\partial}{\partial q^2} \left( h_1 F_1 \right)
\right] 
=\frac{1}{h_1 h_2 h_3}
\begin{vmatrix}
h_1\hat{\mathbf{e}}_1 & h_2\hat{\mathbf{e}}_2 & h_3\hat{\mathbf{e}}_3 \\
\dfrac{\partial}{\partial q^1} & \dfrac{\partial}{\partial q^2} & \dfrac{\partial}{\partial q^3} \\
h_1 F_1 & h_2 F_2 & h_3 F_3
\end{vmatrix}
\end{align}
</math>
|-
| [[Laplacian]] of a scalar field
| <math>
\nabla^2 \phi = \frac{1}{h_1 h_2 h_3}
\left[
\frac{\partial}{\partial q^1} \left( \frac{h_2 h_3}{h_1} \frac{\partial \phi}{\partial q^1} \right) +
\frac{\partial}{\partial q^2} \left( \frac{h_3 h_1}{h_2} \frac{\partial \phi}{\partial q^2} \right) +
\frac{\partial}{\partial q^3} \left( \frac{h_1 h_2}{h_3} \frac{\partial \phi}{\partial q^3} \right)
\right]
</math>
|}

上記の式は、[[レヴィ＝チヴィタ記号]]を用いてより簡潔に書くことができる。<math>\epsilon_{ijk}</math>とヤコビ行列式<math>J = h_1 h_2 h_3>0</math>で、繰り返し添字に対する和を考える。
:{| class="wikitable"
|-
! Operator
! Expression
|-
| [[Gradient]] of a [[scalar field]]
| <math>
\nabla \phi =
\frac{\hat{ \mathbf e}_k}{h_k} \frac{\partial \phi}{\partial q^k}
</math>
|-
|[[Divergence]] of a [[vector field]]
|<math>
\nabla \cdot \mathbf F =
\frac{1}{J}\frac{\partial}{\partial q^k} \left(\frac{J}{h_k} F_k\right)
</math>
|-
|[[Curl (mathematics)|Curl]] of a vector field (3D only)
|<math>
\nabla \times \mathbf F =
\frac{h_k \hat{ \mathbf e}_k}{J}
\epsilon_{ijk}\frac{\partial}{\partial q^i}\left(h_j F_j\right)
</math>
|-
| [[Laplacian]] of a scalar field
| <math>
\nabla^2 \phi = \frac{1}{J}
\frac{\partial}{\partial q^k}\left(\frac{J}{h_k^2}\frac{\partial \phi}{\partial q^k}\right)
</math>
|}

また、スカラー場の勾配は正準偏導関数を含むヤコビ行列式 '''J''' で表現できることに注意。
:<math>\mathbf{J} = \left[\frac{\partial \phi}{\partial q^1}, \frac{\partial \phi}{\partial q^2}, \frac{\partial \phi}{\partial q^3}\right]</math>
upon a [[change of basis]]:
:<math>\nabla \phi = \mathbf{S} \mathbf{R}^T \mathbf{J}^T</math>
where the rotation and scaling matrices are:
:<math>\mathbf{R} = [\mathbf{e}_1, \mathbf{e}_2, \mathbf{e}_3] </math>
:<math>\mathbf{S} = \mathrm{diag}([h_1^{-1}, h_2^{-1}, h_3^{-1}]). </math>

==直交曲線座標の表==
<!--Please do not delete - its a summary, thanks.-->
通常の直交曲線座標の他に、いくつかのやや珍しい直交曲線座標を以下に表に示す<ref name="#1"/>。 [[Interval notation]] is used for compactness in the coordinates column.

:{| class="wikitable"
|-
!scope=col width="20px"| Curvillinear coordinates (''q''<sub>1</sub>, ''q''<sub>2</sub>, ''q''<sub>3</sub>)
!scope=col width="200px"| Transformation from cartesian (''x'', ''y'', ''z'')
!scope=col width="200px"| Scale factors
|-
| [[Spherical polar coordinates]]
<math>(r, \theta, \phi)\in[0,\infty)\times[0,\pi]\times[0,2\pi)</math>
| <math>\begin{align}
x&=r\sin\theta\cos\phi \\
y&=r\sin\theta\sin\phi \\
z&=r\cos\theta
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=1 \\
h_2&=r \\
h_3&=r\sin\theta
\end{align}</math>
|-
| [[Cylindrical polar coordinates]]

<math>(r, \phi, z)\in[0,\infty)\times[0,2\pi)\times(-\infty,\infty)</math>
| <math>\begin{align}
x&=r\cos\phi \\
y&=r\sin\phi \\
z&=z
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_3=1 \\
h_2&=r
\end{align}</math>
|-
| [[Parabolic cylindrical coordinates]]
<math>(u, v, z)\in(-\infty,\infty)\times[0,\infty)\times(-\infty,\infty)</math>
| <math>\begin{align}
x&=\frac{1}{2}(u^2-v^2)\\
y&=uv\\
z&=z
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=\sqrt{u^2+v^2} \\
h_3&=1
\end{align}</math> 
|-
| [[Parabolic coordinates#Three-dimensional parabolic coordinates|Parabolic coordinates]]
<math>(u, v, \phi)\in[0,\infty)\times[0,\infty)\times[0,2\pi)</math>
| <math>\begin{align}
x&=uv\cos\phi\\
y&=uv\sin\phi\\
z&=\frac{1}{2}(u^2-v^2)
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=\sqrt{u^2+v^2} \\
h_3&=uv
\end{align}</math> 
|-
| [[Paraboloidal coordinates]]
<math>\begin{align}
& (\lambda, \mu, \nu)\in[0,b^2)\times(b^2,a^2)\times(a^2,\infty)\\
& b^2 < a^2 
\end{align}</math>
| <math>\frac{x^2}{q_i - a^2} + \frac{y^2}{q_i - b^2} = 2 z + q_i</math>
where 
<math>(q_1,q_2,q_3)=(\lambda,\mu,\nu)</math>
| <math>h_i=\frac{1}{2} \sqrt{\frac{(q_j-q_i)(q_k-q_i)}{(a^2-q_i)(b^2-q_i)}}</math> 
|-
| [[Ellipsoidal coordinates]]
<math>\begin{align}
& (\lambda, \mu, \nu)\in[0, c^2)\times(c^2, b^2)\times(b^2, a^2)\\
& \lambda < c^2 < b^2 < a^2,\\
& c^2 < \mu < b^2 < a^2,\\
& c^2 < b^2 < \nu < a^2,
\end{align}</math>
| <math>\frac{x^2}{a^2 - q_i} + \frac{y^2}{b^2 - q_i} + \frac{z^2}{c^2 - q_i} = 1</math>
where 
<math>(q_1,q_2,q_3)=(\lambda,\mu,\nu)</math>
| <math>h_i=\frac{1}{2} \sqrt{\frac{(q_j-q_i)(q_k-q_i)}{(a^2-q_i)(b^2-q_i)(c^2-q_i)}}</math> 
|-
| [[Elliptic cylindrical coordinates]]
<math>(u, v, z)\in[0,\infty)\times[0,2\pi)\times(-\infty,\infty)</math>
| <math>\begin{align}
x&=a\cosh u \cos v\\
y&=a\sinh u \sin v\\
z&=z
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=a\sqrt{\sinh^2u+\sin^2v} \\
h_3&=1
\end{align}</math> 
|-
| [[Prolate spheroidal coordinates]]
<math>(\xi, \eta, \phi)\in[0,\infty)\times[0,\pi]\times[0,2\pi)</math>
| <math>\begin{align}
x&=a\sinh\xi\sin\eta\cos\phi\\
y&=a\sinh\xi\sin\eta\sin\phi\\
z&=a\cosh\xi\cos\eta
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=a\sqrt{\sinh^2\xi+\sin^2\eta} \\
h_3&=a\sinh\xi\sin\eta
\end{align}</math> 
|-
| [[Oblate spheroidal coordinates]]
<math>(\xi, \eta, \phi)\in[0,\infty)\times\left[-\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{2}\right]\times[0,2\pi)</math>
| <math>\begin{align}
x&=a\cosh\xi\cos\eta\cos\phi\\
y&=a\cosh\xi\cos\eta\sin\phi\\
z&=a\sinh\xi\sin\eta
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=a\sqrt{\sinh^2\xi+\sin^2\eta} \\
h_3&=a\cosh\xi\cos\eta
\end{align}</math> 
|-
| [[Bipolar cylindrical coordinates]]
<math>(u,v,z)\in[0,2\pi)\times(-\infty,\infty)\times(-\infty,\infty)</math>
| <math>\begin{align}
x&=\frac{a\sinh v}{\cosh v - \cos u}\\
y&=\frac{a\sin u}{\cosh v - \cos u}\\
z&=z
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=\frac{a}{\cosh v - \cos u}\\
h_3&=1
\end{align}</math>
|-
| [[Toroidal coordinates]]
<math>(u,v,\phi)\in(-\pi,\pi]\times[0,\infty)\times[0,2\pi)</math>
| <math>\begin{align}
x &= \frac{a\sinh v \cos\phi}{\cosh v - \cos u}\\
y &= \frac{a\sinh v \sin\phi}{\cosh v - \cos u} \\
z &= \frac{a\sin u}{\cosh v - \cos u}
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=\frac{a}{\cosh v - \cos u}\\
h_3&=\frac{a\sinh v}{\cosh v - \cos u}
\end{align}</math>
|-
| [[Bispherical coordinates]]
<math>(u,v,\phi)\in(-\pi,\pi]\times[0,\infty)\times[0,2\pi)</math>
| <math>\begin{align}
x &= \frac{a\sin u \cos \phi}{\cosh v - \cos u}\\
y &= \frac{a\sin u \sin \phi}{\cosh v - \cos u} \\
z &= \frac{a\sinh v}{\cosh v - \cos u}
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=h_2=\frac{a}{\cosh v - \cos u}\\
h_3&=\frac{a\sin u}{\cosh v - \cos u}
\end{align}</math>
|-
| [[Conical coordinates]]
<math>\begin{align}
& (\lambda,\mu,\nu)\\
& \nu^2 < b^2 < \mu^2 < a^2 \\
& \lambda \in [0,\infty)
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
x &= \frac{\lambda\mu\nu}{ab}\\
y &= \frac{\lambda}{a}\sqrt{\frac{(\mu^2-a^2)(\nu^2-a^2)}{a^2-b^2}} \\
z &= \frac{\lambda}{b}\sqrt{\frac{(\mu^2-b^2)(\nu^2-b^2)}{b^2-a^2}}
\end{align}</math>
| <math>\begin{align}
h_1&=1\\
h_2^2&=\frac{\lambda^2(\mu^2-\nu^2)}{(\mu^2-a^2)(b^2-\mu^2)}\\
h_3^2&=\frac{\lambda^2(\mu^2-\nu^2)}{(\nu^2-a^2)(\nu^2-b^2)}
\end{align}</math>
|-
|}

==関連項目==
* {{仮リンク|曲線座標|en|Curvilinear coordinates}}
* [[Geodetic coordinates]]
* [[テンソル]]
* [[ベクトル場]]
* [[Skew coordinates]]

==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}

==参考文献==
* Korn GA and [[Theresa M. Korn|Korn TM]]. (1961) ''Mathematical Handbook for Scientists and Engineers'', McGraw-Hill, pp.&nbsp;164–182.
* {{Cite journal
 | last=Morse and Feshbach
 | title=Methods of Theoretical Physics, Volume 1
 | publisher=McGraw-Hill
 | year=1953
 }}
* Margenau H. and Murphy GM. (1956) ''The Mathematics of Physics and Chemistry'', 2nd. ed., Van Nostrand, pp.&nbsp;172–192.
* Leonid P. Lebedev and Michael J. Cloud (2003) ''Tensor Analysis'', pp.&nbsp;81 – 88.

{{DEFAULTSORT:ちよつこうきよくせんさひよう}}
[[Category:数学に関する記事]]
[[Category:ベクトル解析]]
[[Category:微分幾何学]]