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{{出典の明記|date=2014年5月}} [[File:Series and parallel circuits2.svg|thumb|300px|2つの抵抗器による直列回路(左)と並列回路(右)。電流計と電圧計も接続されている。]] '''直列回路'''(ちょくれつかいろ、[[英語]]:series circuits)と'''並列回路'''(へいれつかいろ、英語:parallel circuits)とは、[[電子回路]]や[[電気回路]]の回路構成である。 [[電子部品]]の回路上の接続方法には'''直列'''(series)と'''並列'''(parallel)がある。2つの端子を持つ部品を数珠繋ぎに接続した回路を'''直列回路'''(series circuit)、2つの端子をそれぞれ互いに接続した回路を'''並列回路'''(parallel circuit)と呼ぶ。直列回路では、電流の経路が1つであり、同じ電流が各部品を順に流れる。並列回路では、電流の経路が分岐して各部品に同じ電圧がかかる。 例えば、2つの豆電球と[[電池]]を使った簡単な回路を考えてみる。電池から伸びた導線が1つの豆電球に接続され、そこから次の豆電球に接続され、最終的に電池に戻るという回路構成は直列回路である。電池から2本の導線が伸びて、それぞれ別の豆電球に繋がり、そこからまた別々に電池に戻る場合、回路構成は並列回路となる。 == 直列回路 == 直列回路は、カスケード結合(cascade-coupled)またはデイジーチェイン結合(daisychain-coupled)とも呼ばれる。[[キルヒホッフの法則 (電気回路)|キルヒホッフの法則]]より、直列回路に入った[[電流]]は回路内の全部品を流れることになる。つまり、直列回路上の各部品を流れる電流は同じである。また、全部品の[[電圧降下]]の合計は、個々の部品の電圧降下を加算したものとなる。 === 抵抗 === 直列回路上の全部品の[[電気抵抗]]の合計は、個々の部品の電気抵抗値を加算したものとなる。 [[File:resistors in series.svg|抵抗器の直列接続]] {{Indent|<math>R_\mathrm{total} = R_1 + R_2 + \cdots + R_n</math>}} ここで、<math>R_1</math>、<math>R_2</math> などは直列接続された[[抵抗器]]である。[[オームの法則]]によれば、電流 <math>I</math> は以下のようになる。 {{Indent|<math>I = \frac{V}{R_\mathrm{total}}</math>}} 個々の抵抗器 <math>R_i</math> にかかる[[電圧]]は、再度オームの法則を使って次のようになる。 {{Indent|<math>V_i = IR_i \,</math>}} ここで <math>I</math> は上で求められた電流である。各抵抗器には抵抗値に比例した電圧がかかる。従って抵抗器が2つの場合、次のような関係が成り立つ。 {{Indent|<math>\frac{V_1}{V_2} = \frac{R_1}{R_2}</math>}} === コイル === [[コイル]]も同様の法則に従い、コイルの直列回路での[[インダクタンス]]の合計は個々のコイルのインダクタンスを全て加算した値となる。 [[File:inductors in series.svg|コイルの直列接続]] {{Indent|<math>L_\mathrm{total} = L_1 + L_2 + \cdots + L_n</math>}} しかし、部品配置によっては隣接するコイルの磁場が互いに影響しあうことを防げない場合もある。この相互作用を相互インダクタンス M で表す。例えば、2つのコイルを直列接続した場合、全体のインダクタンスは以下のいずれかとなる。 {{Indent|<math>L_\mathrm{total} = (L_1 + M) + (L_2 + M)\,</math>}} または {{Indent|<math>L_\mathrm{total} = (L_1 - M) + (L_2 - M)\,</math>}} どちらになるかは互いの磁場がどう影響しあうかによる。 コイルが2つより多くなると、それぞれのコイル間の相互インダクタンスによって計算が複雑化する。コイルが3つの場合、相互インダクタンスは <math>M_{12}\quad</math> 、 <math>M_{13}\quad</math> 、 <math>M_{23}\quad</math> の3つになり、全体のインダクタンスを表す式は8種類になる。 === コンデンサ === [[コンデンサ]]は異なる法則に従う。コンデンサの直列回路の[[静電容量]]は、個々のコンデンサの静電容量の[[逆数]]の総和の逆数となる。 [[File:capacitors in series.svg|コンデンサの直列接続]] {{Indent|<math>\frac{1}{C_\mathrm{total}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} + \cdots + \frac{1}{C_n}</math>.}} == 並列回路 == 並列回路では、各部品にかかる[[電圧]]は同じ大きさで同じ方向になる。従って、全部品に同じ電圧変数を使う。全体を流れる電流は、キルヒホッフの法則より個々のループを流れる電流の総和である。[[オームの法則]]から、電圧を括りだすと次のような式になる。 <math display="block">V = V_1 = V_2 = \dots = V_n</math> <math display="block">I_\text{total} = I_1 + I_2 + \cdots + I_n = V\left(\frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} + \cdots + \frac{1}{R_n}\right).</math> 式を簡略化するため、並列性を表現するのに[[双柱|垂直な2本の平行線]] <math>\parallel</math> を使う。例えば、2つの抵抗器なら次のようになる。 {{Indent|<math>R_\mathrm{total} = R_1 \parallel R_2 = \frac{R_1R_2}{R_1 + R_2}</math>.}} 電子回路の参考書によっては、斜め線を2本用いた「[[平行記号|//]]」を並列回路の記号として用いることがある。 {{Indent|<math>R_1 // R_2 = \frac{R_1R_2}{R_1 + R_2}</math>}} === 抵抗 === 全部品の[[電気抵抗]]の総和は、個々の抵抗器の抵抗値 <math>R_i</math> の[[逆数]]の総和の逆数である。 [[File:resistors in parallel.svg|抵抗器の並列接続]] {{Indent|<math>\frac{1}{R_\mathrm{total}} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} + \cdots + \frac{1}{R_n}</math>}} ある抵抗 <math>R_i</math> に流れる[[電流]]は、オームの法則により次のようになる。 {{Indent|<math>I_i = \frac{V}{R_i}\,</math>}} 各抵抗器には抵抗値の逆数に比例した電流が流れるので、2つの抵抗器がある場合、次のような関係が成り立つ。 {{Indent|<math>\frac{I_1}{I_2} = \frac{R_2}{R_1}</math>}} === コイル === [[コイル]]も同様で、全体の[[インダクタンス]]は個々のコイルのインダクタンスの逆数の総和の逆数である。 [[File:inductors in parallel.svg|コイルの並列接続]] {{Indent|<math>\frac{1}{L_\mathrm{total}} = \frac{1}{L_1} + \frac{1}{L_2} + \cdots + \frac{1}{L_n}</math>.}} コイル同士の磁場の相互作用がある場合、相互インダクタンスがあるため、この式には従わない。2つのコイルの相互インダクタンスを M としたとき、全体のインダクタンスは次のようになる。 {{Indent|<math>\frac{1}{L_\mathrm{total}} = \frac{L_1+L_2-2M}{L_1L_2-M^2 } </math>}} <math>L_1=L_2</math> の場合、次のようになる。 {{Indent|<math> L_{total} = \frac{L+M}{2}</math>}} <math>M</math> の符号は互いの磁場の向きに依存する。2つの同じコイルを密結合した場合、全体のインダクタンスは1つのコイルのインダクタンスと等しくなる(M が L にほぼ等しくなる)。また、磁場の向きが互いを打ち消すようになっている場合、全体のインダクタンスはゼロになる。 2つより多くのコイルでは、それぞれのコイル間の相互インダクタンスが発生するため、全体のインダクタンスの計算は複雑になる。3つのコイルの場合、 <math>M_{12}\quad</math> 、 <math>M_{13}\quad</math> 、 <math>M_{23}\quad</math> という相互インダクタンスが発生する。これは <math>L</math> [[行列]]の[[逆行列]]の項の総和で計算される(この場合は 3 × 3 の行列)。 このときの関係方程式は次の形式となる。 {{Indent|<math>v_{i}=\sum_{j} L_{i,j}\frac{di_{j}}{dt} </math>}} === コンデンサ === [[コンデンサ]]は異なる法則に従う。並列回路での全体の[[静電容量]]は個々のコンデンサの静電容量の単純な総和である。 [[File:capacitors in parallel.svg|コンデンサの並列接続]] {{Indent|<math>C_\mathrm{total} = C_1 + C_2 + \cdots + C_n</math>}} 並列回路での定格電圧は、個々のコンデンサのうち定格電圧が最も小さいものによって制限される。 == 関連項目 == * [[ホイートストンブリッジ]] * [[Y-Δ変換]] * [[キルヒホッフの法則 (電気回路)]]、[[分流の法則]] * [[インピーダンス]]、[[アドミタンス]] * [[電気車の速度制御#直並列組合せ制御]] * [[等価回路]] == 外部リンク == * [http://www.diracdelta.co.uk/science/source/r/e/resistance/source.html diracdelta.co.uk] 抵抗器の並列接続と直列接続の抵抗値計算器 * [http://www.unitsconversion.com.ar/calculators/paralellcapacitanceequivalentcalculator.htm Tool to obtain the equivalent capacitance of N capacitances in a parallel arrangement] コンデンサの並列接続の静電容量計算器 {{DEFAULTSORT:ちよくれつかいろとへいれつかいろ}} [[Category:電気回路]] [[Category:電気理論]]
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