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{{出典の明記|date=2023年5月}} [[File:1D line.svg|class=skin-invert-image|300px|thumb|right|直線(無限の長さは物理的に表示不能の為、上記では一部分を表示している。また、太さを持たないが、可視化のために太さを持たせている)]] [[画像:Empty.png|class=skin-invert-image|300px|thumb|right|直線の正確な表示を模したもの(直線は太さを持たない[[図形]]である為、厳密に正しく表示した場合、視覚では確認不能となる。なお、この画像は直線は太さを持たないことを模したものであり、この画像には、線は含まれていない。)]] [[画像:ABC Line 1.svg|class=skin-invert-image|300px|thumb|right|線分]] '''直線'''(ちょくせん、line)は、太さを持たない[[幾何学]]的な対象である[[曲線]]の一種で、その上にある点について一様に横たわる面である。まっすぐ無限に伸びて端点を持たない。まっすぐな線には直線の他に、有限の長さと両端を持つ'''[[線分]]'''(せんぶん、line segment、segment)と、一つの端点を始点として[[無限]]にまっすぐ伸びた'''半直線'''(はんちょくせん、ray、half-line)がある。表記の場合は可視化のために太さを持たせている。 == 概要 == [[エウクレイデス|ユークリッド]]の[[ユークリッド幾何学|幾何学]]では、直線は本質的に[[無定義述語]]である。つまり、「直線とは何か」を直接定義せずに、ただある関係([[公理]]・[[公準]])を満たすものであるとして理論を展開していくのである。ユークリッド幾何学においては以下のようなことである: # 二つの異なる点を与えれば、それを通る直線は一つに決まる。 # 一つの直線とその上にない一つの点が与えられたとき、与えられた点を通り与えられた直線に平行な直線を、ただ一つ引くことができる。 また、このような公理から例えば以下のようなことが導かれる:二つの異なる直線は高々一つの点を共有する。二つの異なる[[平面]]は、高々一つの直線を共有する。 通常は、直線や線分は向きを持たず、半直線は向きを持つものとして扱われる。たとえば、2 点 ''A'' と ''B'' を結ぶ線分を ''AB'' と書くと、''AB'' = ''BA'' である。一方で、向き付けられた直線、線分や向きを持たない半直線というものも考えることがある。たとえば線分の始点と終点を区別し、線分に向きを考えたものを'''有向線分'''と呼んで、有向線分としては ''AB'' ≠ ''BA'' と考える。 [[ユークリッド空間]]内の有向線分を、その位置のみの違いを除くことにより類別して、幾何学的[[空間ベクトル|ベクトル]](いわゆる矢印ベクトル)の概念を考えることができる。逆にベクトルを用いてユークリッド空間やその中の線分・直線を定式化することもできるが、これについては後述する。 ユークリッド幾何学のように、無定義述語と公理によって構築される幾何学では、直線が「まっすぐ」であるなどのイメージは本質を持たない。曲がった空間の幾何学である[[非ユークリッド幾何学]]での直線([[測地線]])はユークリッド幾何学の中で見ると曲がって見えるのである。 == 1次元アフィン空間 == [[アフィン空間]](ベクトル)の理論を持ち出すと、次のようにして直線を定義することが出来る: [[ユークリッド空間]] ''E''<sup>''n''</sup> に対して、任意の一点 ''P'' と 0 でない一つの[[空間ベクトル|ベクトル]] '''a''' が与えられたとき、 :<math>L = \{P + \lambda \mathbf{a} \mid \lambda \in \mathbb{R}\}</math> で表されるような[[集合]] ''L'' を直線という(これは一般のベクトル空間にも拡張できる)。この定義においては直線は向きを持つものとみなされる。'''a''' は直線の方向を決めるベクトルであり、''P'' は直線上の点になる。同じ直線を与える点とベクトルの組 ''P'', '''a''' は一通りではない。また、この定義で λ の動く範囲を限定すると半直線 :<math>L_+=\{ P + \lambda \mathbf{a} \mid \lambda \in \mathbb{R} \ge 0 \}</math> や線分を記述することができる。また同じことだが、原点を固定して点とその位置ベクトルとを同一視すると、ユークリッド空間の異なる 2 点 ''A''('''a'''), ''B''('''b''') ∈ ''E''<sup>''n''</sup> が与えられた時に、 :<math>L = \{(1 - \lambda)\mathbf{a} + \lambda \mathbf{b} \mid \lambda\in\mathbb{R}\}</math> なる集合 ''L'' は、''A'', ''B'' を含む直線となる(向きを考慮するなら、方向ベクトルは '''b''' - '''a''' で、これは ''A'' から ''B'' へ向かって引かれる)。この定義で、λ を 0 と 1 の間に限定すると ''A'' から ''B'' までを結ぶ(有向)線分 :<math>\overrightarrow{AB} = \{(1 - \lambda)\mathbf{a} + \lambda\mathbf{b} \mid 0 \le \lambda \le 1\} </math> が得られる。 == 座標 == 直線上の点に[[実数]]を対応させることで[[数直線]]を考えることができる。具体的には、直線上に原点 ''O'' と単位点 ''E'' を指定し、任意の実数 ''x'' に対し、直線上にあり、一方の端点を原点とし、原点から単位点までを結ぶ有向線分との(向きまで込めた)線分[[比]]が ''x'' となるような線分の、原点ではない側の端点と ''x'' とを対応付けたもののことをいう。 しばしば、原点と単位点の距離の整数倍で数を目盛ったものを指す。数直線は向きを持った直線であり、原点から単位点の向きに矢印を記すことがある。また、数直線は、1 次元[[ユークリッド空間]] '''R''' に対する[[座標系]]と捉えることも出来る。 [[画像:Numberline.png|class=skin-invert-image|center|原点を 0、単位点を 1 として目盛りをつけた数直線]] また、数直線を用いることで[[数]]の和や差が図として視覚的に与えることができるため、しばしば[[教育]]に用いられる。例えば、上の数直線では足し算(和)は'''右'''に進むことであり、引き算(差)は'''左'''に進むことである。したがって、 * 1 + 2 は目盛りの 1 から 2 目盛り'''右'''に進むから 3 である。 * 2 - 3 は目盛りの 2 から 3 目盛り'''左'''に進むから -1 である。 互いに直交する向き付けられた数直線によって[[ルネ・デカルト]]は絶対的な静止座標系を定義した。これは[[直交座標系]]と呼ばれる。 原点を固定し、原点を始点とする半直線を用いて[[極座標]]系が定義できる。このときの半直線は'''始線'''と呼ばれる。 == グラフとしての直線 == 直交座標系を入れた 2 次元ユークリッド空間 ''E''<sup>2</sup> を考えている時には、直線は[[1次方程式]]の形で与えられる; :<math>L=\{(x,y)\mid ax+by=c\}</math> 一般次元においても、[[線型方程式系]]のグラフとして直線を記述することができる。これは本質的にはベクトルによる記述と同等である。 == 線分の形式的取り扱い == 幾何学的な線分は、ある 2 点の間を結んだ最短経路である。 形式的には、点[[集合]] ''V'' が与えられたとき、[[直積集合|直積]]集合 ''V'' × ''V'' の元を'''有向線分''' とし、さらに[[同値関係]] ~ を 任意の ''a'', ''b'' ∈ ''V'' に対し (''a'', ''b'') ~ (''b'', ''a'') と定めたときの集合 ''E'' = ''V'' × ''V'' / ~ の元(同値類) [(''a'', ''b'')] (''a'', ''b'' ∈ ''V'', ''a'' ≠ ''b'') のこと(これをしばしば {''a'', ''b''} と記す)を ''a'' と ''b'' を結んだ線分と呼ぶ。 このように形式的に線分を定義すれば、[[グラフ理論]]などにおける[[辺]]も線分として考えられる。 == 内分点と外分点 == 上の線分でBはこの線分の'''内分点'''という。もし、AとBの距離がm、BとCの距離がnならば、BはAとCをm:nに'''内分'''する点である。 線分の延長線上にDがあるとする。Dはこの線分の'''外分点'''という。もし、ADの距離がo、BDの距離がpならば、Qは線分ABをo:pに'''外分'''する点である。 == 関連項目 == {{wiktionary|直線}} * [[曲線]] **[[円 (数学)]] **[[円錐曲線]] ***[[放物線]] ***[[楕円]] ***[[双曲線]] * [[平面]] * [[超平面]] - —直線や平面は超平面に含まれる * [[線型方程式]] * [[一次関数]] * [[極座標]] == 外部リンク == * {{Kotobank}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ちよくせん}} [[Category:直線| ]] [[Category:数学に関する記事]]
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