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[[Image:Leakage mesure.gif|250px|thumb|right|短絡インダクタンスの実測(JIS)]] '''短絡インダクタンス'''(たんらくインダクタンス、{{Lang-en-short|Short-circuit inductance}})は、[[変圧器]](トランス)の一次巻線あるいは二次巻線の一方を短絡して他方から測った場合の[[インダクタンス]]である。一般に変圧器の[[漏れインダクタンス]]と呼ばれることが多い。しかし、漏れインダクタンスという用語は電気学会および書籍関係においては、一次巻線あるいは二次巻線の一方の巻線と[[鎖交磁束|鎖交]]し、他方の巻線と鎖交しない[[磁束]]([[漏れ磁束]])によって生じるインダクタンスであるとされており、短絡インダクタンスを慣用的に漏れインダクタンスと呼ぶことで混乱を生じている。 == JIS C6435測定法 == [[Image: JIS C6435-5-10.gif|250px| thumb| right| 漏れインダクタンス (JIS C6435)]] [[JIS]] C6435によれば、変圧器の一方の巻線を短絡してブリッジ回路により測定した値を短絡インダクタンスではなく漏れインダクタンスとしている。これは工業会提案に基づくものであり、漏れインダクタンスが既に慣用語となっているために、多くの同工業会系刊行物では既に標準的な用語として扱われている。また、漏れインダクタンスは特許明細書などでも慣用的に使用される一方で、短絡インダクタンスの用語の使用は少ない。漏れインダクタンスのシンボルは一般的にLeと記載されることが多く、短絡インダクタンスのシンボルは、台湾、中国、ドイツにおいてはLk({{De|Kurzschlussinduktivität}})<ref>{{Cite|author=Prof. Dr.-Ing. Dieter Gerling | author2= |title= Vorlesung Elektrische Maschinen und Antriebe| publisher=Universität München|journal=|volume= |issue=|isbn= | date=|pages=169|url=https://www.unibw.de/eit61/studium/vorlesungen-uebungen/ema/vorlesung-ema/view}}</ref><ref>[https://books.google.co.jp/books?id=vU-Tkgs5oiIC&pg=PA1585&lpg=PA1585&dq=L+k+Kurzschlu%C3%9F-Induktivit%C3%A4t&source=bl&ots=6yEmxiFZIm&sig=lKyu5nTJVEgzwnLPQ-rd9GUZFF4&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjPqu6su6DSAhUHHJQKHTfDAZwQ6AEIHTAA#v=onepage&q=L%20k%20Kurzschlu%C3%9F-Induktivit%C3%A4t&f=false Kurzschluß-Induktivität] Leistungselektronische Schaltungen: Funktion, Auslegung und Anwendung 著者: Dierk Schröder.</ref>と表記されることが多く、英文表記は {{Lang|en|Short-circuit inductance}} の略としてLsc<ref>{{Cite|author=Kaveh Niayesh | author2=Magne Runde |title= Power Switching Components: Theory, Applications and Future Trends| publisher=Springer International Publishing AG.|journal=|volume= |issue=|isbn=9783319514598 | date=2017 |pages=102|url=https://books.google.co.jp/books?id=G9BcDgAAQBAJ&pg=PA102&lpg=PA102&dq=%22Short-circuit+inductance%22+Lsc&source=bl&ots=ahpMrZ9690&sig=cbM3HmS2DDWJFo0JQrqj5Vkl9Ds&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiEtPvZ28fVAhVEerwKHYQ1DIcQ6AEIKjAA#v=onepage&q=%22Short-circuit%20inductance%22%20Lsc&f=false}}</ref>とされることが多い。 === 補足 === [[Image:Transformer eq2.gif|480px|thumb|right|L等価回路と短絡インダクタンスLsc]] 一次側、二次側の短絡インダクタンスL<sub>sc1</sub> 、L<sub>sc2</sub> は、[[結合係数]]をk として、一次巻線の自己インダクタンスをL<sub>1</sub> 、二次巻線の自己インダクタンスをL<sub>2</sub> とすると、短絡インダクタンス即ち工業会の漏れインダクタンスL<sub>sc</sub>は、 :<math>L_{\mathrm{sc1}} = (1-k^2)\cdot L_{\mathrm{1}}\,</math> :<math>L_{\mathrm{sc2}} = (1-k^2)\cdot L_{\mathrm{2}}\,</math> となる。 この短絡インダクタンスの値は[[変圧器#共振変圧器|共振変圧器]]や[[ワイヤレス給電]]において共振の[[Q値]]や[[磁界調相結合]]の共振周波数を決める重要なパラメータである。 == JIS C5602 用語の定義 == [[Image: JIS C5602.gif|250px| thumb|right| 短絡インダクタンス (JIS C5602)]] JIS C5602による用語の定義においては、短絡インダクタンスと漏れインダクタンスとは区別されている<ref>[http://kikakurui.com/c5/C5602-1986-01.html#34 JIS C 5602:1986 電子機器用受動部品用語] PP.34 4305</ref>。この場合の漏れインダクタンスは電気学会および書籍等の定義と一致している。つまり、JIS C6435とJIS C5602とでは用語の示す意味が異なっている。 == 電気学会による定義 == [[File:Transformer Flux.svg|250px| thumb|right|変圧器の磁束]] 電気学会における用語としては短絡インピーダンス、短絡リアクタンスという用語はあるが、短絡インダクタンスという用語は使われない。漏れインダクタンスという用語は電気学会等書籍においては変圧器や[[電動機]]の用語として存在する。変圧器の磁束は[[漏れ磁束#変圧器の磁束|主磁束]]<ref group="注釈">一次巻線と二次巻線の双方に鎖交する磁束。変圧器の変圧作用を構成する磁束。</ref>(Φ<sub>12</sub> またはΦ<sub>21</sub> )と、[[漏れ磁束]]<ref group="注釈">一次巻線または二次巻線のいずれか一方だけに鎖交する磁束。変圧作用に寄与しない磁束。漏れインダクタンスを構成する。</ref>とから構成される。一次巻線のみに鎖交する磁束を一次側漏れ磁束Φ<sub>σ1</sub> といい、二次巻線のみに鎖交する磁束を二次側漏れ磁束Φ<sub>σ2</sub> という。それぞれの漏れ磁束によって生じるインダクタンスを一次側漏れインダクタンスL<sub>e1</sub> 、二次側漏れインダクタンスL<sub>e2</sub> という。これは、JIS C5602に記載される漏れインダクタンスの値と一致する。一方、JIS C6435測定法により得られる漏れインダクタンスの値とは一致しない。 === 補足 === 電気学会等書籍等における漏れインダクタンスL<sub>e1</sub> 、L<sub>e2</sub> は[[結合係数]]をk として、一次巻線の自己インダクタンスをL<sub>1</sub> 、二次巻線の自己インダクタンスをL<sub>2</sub> とすると、 :<math>L_{\mathrm{e1}} = (1-k)\cdot L_{\mathrm{1}}\,</math> :<math>L_{\mathrm{e2}} = (1-k)\cdot L_{\mathrm{2}}\,</math> となる。 この定義の漏れインダクタンスと短絡インダクタンスL<sub>sc1</sub> 、L<sub>sc2</sub> との関係は、 :<math>L_{\mathrm{sc1}} = (1+k)\cdot L_{\mathrm{e1}}\,</math> :<math>L_{\mathrm{sc2}} = (1+k)\cdot L_{\mathrm{e2}}\,</math> となる。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist}} === 出典 === <references/> == 関連事項 == *[[変圧器]] *[[漏れインダクタンス]] *[[結合係数]] == 外部リンク == *[http://www.tlm.co.jp/web/gijyutu/leakage.html 「漏れインダクタンス」用語に関する注意点] [[Category:電気工学|たんらくいんたくたんす]] [[Category:電気理論|たんらくいんたくたんす]]
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