硫酸銅(II)のソースを表示

{{Infobox_無機化合物
|画像=[[Image:CuSO4.png|150px]]<br /><div style="float:left">[[Image:Copper sulfate.jpg|130px|硫酸銅(II)五水和物の結晶]]<br />五水和物</div><div style="float:right">[[Image:Hydrating-copper(II)-sulfate.jpg|130px|無水物に水を滴下]]<br />無水物に水を滴下</div><br>[[Image:Copper sulfate anhydrous.jpg|180px|硫酸銅(II)無水和物粉末]]<br>無水和物<br/><div style="float:left">[[Image:Copper(II)-sulfate-pentahydrate-Cu2-coord-xtal-2007-CM-3D-balls.png|130px|硫酸銅(II)五水和物の銅原子周りの配位構造]]<br />五水和物の銅原子周辺の配位構造</div><div style="float:right">[[Image:Copper(II)-sulfate-pentahydrate-b-axis-xtal-2007-CM-3D-balls.png|140px|硫酸銅(II)五水和物の銅原子周りの配位構造(拡大)]]<br />五水和物の銅原子周辺の配位構造(縮小)</div><br />[[Image:Copper(II)-sulfate-pentahydrate-b-axis-xtal-2007-CM-3D-sf.png|180px|硫酸銅(II)五水和物結晶の空間充填モデル]]<br>五水和物結晶の空間充填モデル</div>
|IUPAC名=硫酸銅(II)
|別名=胆礬
|組成式=CuSO<sub>4</sub>
|式量=159.6
|形状=白色粉末（無水物）<br />青色結晶（五水和物）
|結晶構造=[[三斜晶系]]（五水和物）
|CAS登録番号=[7758-98-7]（無水物）<br />[10257-54-2]（一水和物）<br />[7758-99-8]（五水和物）
|密度=3.6
|相=固体（無水物）<br />2.3 g/cm<small><sup>3</sup></small>, 固体（五水和物）
|水への溶解度=14
|温度=0
|融点=
|融点注=
|沸点= >650
|沸点注=（分解）
|出典={{ICSC-small|0751}}（無水物）<br />{{ICSC-small|1416}}（五水和物）
}}

'''硫酸銅(II)'''（りゅうさんどう に、{{Lang-en-short|copper(II) sulfate,sulphate}}、化学式 CuSO<sub>4</sub>）は、[[銅]](II)イオンと[[硫酸]]イオンの[[イオン (化学)|イオン]]化合物である。

== 性質 ==
無水物は白色の粉末である。[[水和物]]として、有名な青色の三斜晶系[[結晶]]（五水和物）の他に、一水和物、三水和物、七水和物があり、水に易溶で[[水溶液]]は青色を示す。[[中学校]]および[[高等学校|高校]]の[[理科]]の実験に用いられることから馴染み深い化合物である。しかし、[[重金属]]である[[銅]]による[[毒性]]があるために取り扱いには注意を要し、[[毒物及び劇物取締法]]により[[医薬用外劇物]]に指定されている<ref>[[富山大学]]・基礎物性工学研究室 [http://piezo.eng.u-toyama.ac.jp/inside-lab/MSDS/J_07516.pdf 「MSDS 硫酸銅(II)五水和物」] </ref>。

五水和物で、特に[[鉱物]]として自然産出するものは、'''[[胆礬]]'''（たんばん）とも呼ばれている。これは[[銅山]]の古い[[坑道]]の内壁などで、[[地下水]]から析出して結晶となっているものを得ることができる。主に[[霜柱]]状、若しくは鍾乳石状の形で産出することが多い。銅の錆である[[緑青]]にも含まれる。三水和物は[[ボナッティ石]]
（Bonattite）<ref>[https://www.mindat.org/min-718.html Bonattite], ''mindat.org''</ref>、七水和物は{{仮リンク|ブース石|en|Boothite}}<ref>[https://www.mindat.org/min-720.html Boothite], ''mindat.org''</ref>として産出するが希少である。

== 無水物の製法 ==
硫酸銅(II)水和物の加熱脱水で得られる、白色粉末状の物質である無水物は、脱水時に加熱しすぎると更に反応が進み、黒色の[[酸化銅(II)]]と[[三酸化硫黄]]に分解する。無水物をつくる際は火加減に十分注意しなければならない。
* 脱水 : <chem>CuSO4 \cdot 5H2O -> CuSO4\ + 5H2O</chem>
* 分解 : <chem>CuSO4 -> CuO\ + SO3</chem>

硫酸銅(II)五水和物を加熱すると、すぐに結晶から結晶水由来の水分がにじみ出てくるが、質量を測定している場合は決してガラス棒などで触れてはいけない。なぜなら、ガラス棒などで触ると、にじみ出た水に溶けている硫酸銅(II)がガラス棒に付着し、その分だけの重さが減るためである。

== 用途 ==
水溶液は銅[[めっき]]や銅の[[電解精錬]]の[[電解液]]、[[エッチング]]、[[顔料]]、[[殺菌剤 (農薬その他)|殺菌剤]]（[[ボルドー液]]）の原料、[[媒染剤]]、[[防腐剤]]、糖検出薬である[[フェーリング液]]や[[ベネジクト液]]の原料、[[血液]]の比重検査などに用いられる。無水物は強力に水を吸着するので、[[アルコール]]類を厳密に乾燥させるときの脱水剤として用いられる。また、水溶液の[[溶解度]]が温度によって大きく変化するので、[[飽和]]水溶液の冷却による[[再結晶]]が容易であり、また五水和物の結晶が美しいことから、大結晶の成長実験が理科教育の実験教材としてしばしば取り上げられる。殺菌作用を持ち、熱帯魚や海水魚を飼育する際の[[白点病]]の治療薬として用いられることもある。[[ビウレット反応]]で使われることもある。

銅は微量[[必須元素]]であるが、ほとんどの食物に含まれており銅の欠乏症は起こらない。ただし、人工乳に100％依存する乳児では母乳代替食品に銅の添加が必須であり、他の銅塩より水溶性の高い硫酸銅が、指定された濃度以下での[[食品添加物]]として認められている<ref>[[厚生労働省]] [https://web.archive.org/web/20060222035438/http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/mhwinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/8aa11687a2aaf0c4492570650018d5ba?OpenDocument 「各添加物の使用基準及び保存基準」] </ref>。同様に、人工栄養補給に依存する患者に対する必須元素である銅の補給のために用いられる<ref>KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes
[http://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048818 「医療用医薬品: ミネラミック」] </ref>。

薬用としては、[[化膿]]性[[皮膚疾患]]（[[おでき]]）の[[膿]]を排出させる[[吸出膏]]である「[[たこの吸出し]]」<ref>[[東京都薬剤師会]]・北多摩支部 [http://www.tpa-kitatama.jp/museum/museum_51.html 「たこの吸い出し」] </ref>の主成分である<ref>[[沖縄県]] [http://www.pref.okinawa.jp/reiki/41490250088600000000/41490250088600000000/41490250088600000000.html 薬事法による特例販売業の許可の基準] </ref>。

殺虫剤などにも使用されるが、収穫後色落ちした[[オリーブ]]に鮮やかな緑色を着けるため、不法に硫酸銅をコーティングする事例も見られる<ref>[https://jp.reuters.com/article/idJPKCN0VD0DK　硫酸銅まぶしたオリーブや偽オリーブ油を押収、イタリア警察]ロイター、2016年2月4日</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Copper(II) sulfate}}
* [[胆礬]]
* [[硫酸銅(I)]]
* [[硫酸塩]]
* [[緑青]]

== 外部リンク ==
* [http://www.mmc.co.jp/japanese/news/2007/news20070213-2.pdf 製品安全データシート 硫酸銅]

{{銅の化合物}}
{{乾燥}}

{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:りゆうさんとう,2}}
[[Category:銅(II)の化合物]]
[[Category:硫酸塩]]
[[Category:乾燥剤]]