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{{物理量 | 名称 = 磁化 | 英語 =magnetization | 画像 = | 記号 =''M'' | 次元 =[[長さ|L]]{{sup-|1}} [[電流|I]] | 階 =ベクトル | SI =[[アンペア毎メートル|A/m]] | CGS = | MTS = | FPS = | MKSG = | CGSG = | FPSG = | プランク = | 原子 = }} {{物理量 | 名称 = 磁気分極 | 英語 =magnetic polarization | 画像 = | 記号 =''P''<sub>m</sub> | 次元 = [[質量|M]] [[時間|T]]{{sup-|2}} [[電流|I]]{{sup-|1}} | 階 =ベクトル | SI =[[テスラ (単位)|T]] | CGS =[[ガウス (単位)|G]] | MTS = | FPS = | MKSG = | CGSG = | FPSG = | プランク = | 原子 = }} '''磁化'''(じか、{{lang-en|magnetization}})とは、[[磁性体]]に外部[[磁場]]をかけたときに、その磁性体が磁気的に分極して磁石となる現象のこと。また、磁性体の磁化の程度を表す[[物理量]]も磁化と呼ぶ。関連する物理量として'''磁気分極'''({{lang-en|magnetic polarization}})があり、文献によってはそちらを磁化と呼ぶこともある。 [[強磁性体]]は磁場をかけて磁化させた後に磁場を取り除いた後も分極が残り[[磁石|永久磁石]]となる'''残留磁化'''と呼ばれる現象があるが、これも磁化と呼ぶ場合がある。 == 磁化という現象 == [[鉄]]は普段はお互いに引き合わないが、磁石に引き寄せられる。磁石に引き寄せられた鉄はさらに別の鉄を引き寄せる。このとき、鉄は分極して磁石になっており、この現象が磁化である。 <!-- 残留磁化に関する記述 金属の針を一定の方向に磁石でこすると、その針は磁石の性質を持つようになる。この針を[[発泡スチロール]]の土台にのせて水に浮かべると、針は南北の方向を指し、[[方位磁針]]になっていることがわかる。このように物質が磁気的性質を持つことを'''磁化'''と呼ぶ。 --> == 物理量としての磁化 == === 定義 === '''磁化''' {{mvar|'''M'''}} と'''磁気分極''' {{math|'''''P'''''{{sub|m}}}} は、[[磁場|磁場の強度]] {{mvar|'''H'''}} と[[磁束密度]] {{mvar|'''B'''}} と[[真空の透磁率]] {{math|''μ''{{sub|0}}}}から、 {{Indent| <math>\boldsymbol{M} = \mu_0^{-1} \boldsymbol{B} - \boldsymbol{H}</math> }} {{Indent| <math>\boldsymbol{P}_\mathrm{m} = \boldsymbol{B} -\mu_0\boldsymbol{H} = \mu_0 \boldsymbol{M}</math> }} と定義される。磁化は[[E-B対応とE-H対応|E-B対応]]のとき、磁気分極は[[E-B対応とE-H対応|E-H対応]]のときに使われることが多い。これらは磁性体の存在による真空からのずれと見ることが出来る。 === 磁化と磁場の関係 === 強磁性体の場合や磁場が非常に強い場合を除くと、磁化 {{mvar|'''M'''}} は磁場の強度 {{mvar|'''H'''}} と比例する。 {{Indent| <math>\boldsymbol{M} = \chi \boldsymbol{H}</math> }} この比例定数 {{mvar|χ}} を'''[[磁化率]]'''あるいは'''磁気感受率'''という。 上の二式から磁化 {{mvar|'''M'''}} を消去すると {{Indent| <math>\boldsymbol{B} = \mu_0 \boldsymbol{H} + \mu_0 \chi \boldsymbol{H} = \mu_0 (1 + \chi) \boldsymbol{H} = \mu \boldsymbol{H}</math> }} となり、磁場の強度 {{mvar|'''H'''}} がそれほど強くない範囲で磁束密度 {{mvar|'''B'''}} も磁場の強度 {{mvar|'''H'''}} と比例する。 この比例定数 {{mvar|μ}} は'''[[透磁率]]'''という。 また透磁率 {{mvar|μ}} と真空の透磁率 {{math|''μ''<sub>0</sub>}} の比 {{math|(1+''χ'')}} は'''[[比透磁率]]'''という。 === 微視的な定義 === [[固体]]は[[原子]]や[[結晶格子]]などの単位が集まって構成されている。一つ一つの単位が持つ[[磁気モーメント]]を {{mvar|μ}} とし、その全体的な[[平均値]]を 〈{{mvar|μ}}〉 と書くことにする。磁化は次のように定義される。 {{Indent| <math>\boldsymbol{M} = \frac{N}{V} \langle \boldsymbol{\mu} \rangle</math> }} ただし、{{mvar|N}} は固体を構成する単位の数、{{mvar|V}} は固体の体積である。 === マクスウェル方程式中の磁化 === [[マクスウェル方程式]]の一つ {{Indent| <math>\nabla\times \boldsymbol{H} -\frac{\partial\boldsymbol{D}}{\partial t} =\boldsymbol{j}</math> }} は磁化と[[誘電分極]]を用いて、 {{Indent| <math>\nabla\times \boldsymbol{B} -\frac{1}{\mu_0\varepsilon_0}\frac{\partial\boldsymbol{E}}{\partial t} =\mu_0 \left( \boldsymbol{j} +\frac{\partial\boldsymbol{P}}{\partial t}+\nabla\times \boldsymbol{M} \right)</math> }} と変形できる。 右辺第三項は磁化による電流密度とみなせる量で、磁化電流密度と呼ばれる。 {{Indent| <math>\boldsymbol{j}_\mathrm{m} = \nabla\times \boldsymbol{M}</math> }} == 強磁性体の自発磁化 == 物質が磁化すると、その磁気モーメントがもとの磁場と作用して力が発生する。これが'''[[磁力]]'''である。物質が[[磁石]]にくっつくか、くっつかないかは物質の磁化のしやすさ、つまり磁化率の大きさによって決まる。 一般の物質は磁石に付く付かないに関わらず、[[原子]]レベルで見れば、周囲に磁場が無くても磁気モーメントを持っている。[[常磁性]]体では、それぞれの原子で磁気モーメントの向きがランダムであるので、物体全体としてはそれらが打ち消しあって磁化が0であるように見えている。 ここに磁場をかけると磁気モーメントの向きが磁場と同じ方向にそろい、磁化が生じる。 [[強磁性]]体では隣り合った原子の間に磁気モーメントの向きをそろえようとする[[相互作用]]が働いている。 そのため、各原子の磁気モーメントの向きが自発的にそろい、磁場をかけなくても磁化をもつ。これを'''自発磁化'''という。この磁気モーメントがそろっている領域は[[光学顕微鏡]]で確認できる程度の大きさであり'''磁区'''と呼ばれる。磁区と磁区の間は'''磁壁'''という徐々に自発磁化の向きが移り変わる領域で隔てられている。物質内のそれぞれの磁区の持つ磁化の向きはランダムに異なっているため、磁場をかける前の状態では、磁化は物質全体で見ると0となる。 磁場をかけると磁場に沿った磁化を持つ磁区が拡大し、それ以外の磁区が縮小するように磁壁が移動する。その結果磁場に沿った磁化が打ち消されなくなり、物質全体として見ても磁化が生じる。ある程度より強い磁場をかけると物質内がただ1つの磁区となるため、それ以上磁化が増えなくなる。この時の磁化を'''飽和磁化'''という。 また、強磁性体ではかけた磁場を切っても、最初の磁化が無い状態には戻らず磁化が残る。この磁化を'''残留磁化'''という。そして、この性質を'''[[ヒステリシス]]'''(磁気ヒステリシス)とよぶ。外部の磁場と物質の磁化をグラフの軸に取ると磁化の履歴を表す特徴的な曲線が描ける(ヒステリシス曲線)。物質の温度が上がると磁気モーメントをそろえる効果よりもランダムな熱振動のほうが大きくなり、自発磁化は消えてしまう。この温度を[[キュリー温度]]という。 <!--一旦磁場と同じ方向にそろった磁気モーメントは磁場をかけるのを止めても完全に元のランダムな状態には戻らない。つまり磁場を0にしても。これはある磁気モーメントにとって向きのそろった周囲の磁気モーメントがまるで外部磁場のように感じられるためである。この内部磁場のことを[[分子場]]とよんだりもする。--> 永久磁石は強磁性体に残留磁化を持たせたものである。 [[カセットテープ]]など、[[磁気テープ]]はこの残留磁化の向きで情報を記録している。 また、[[磁鉄鉱]]のような鉱物はマグマから冷却して生成するときに[[地磁気]]によって磁化される。 この残留磁化を調べることで古代の[[大陸移動説|大陸移動]]の様子を知ることができる。 <!-- == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist}}--> == 参考文献 == * {{Cite book|和書 |author=砂川重信|authorlink=砂川重信 |title=理論電磁気学 |publisher=[[紀伊國屋書店]] |year=1999 |isbn=4-314-00854-7 }} == 関連項目 == * [[磁性体]] * [[透磁率]] * [[磁化率]] * [[磁気モーメント]] {{電磁気学}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:しか}} [[Category:電磁気学]] [[Category:磁気]] [[Category:物理化学の現象]]
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