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{{出典の明記|date=2018-07-09}} '''積分回路'''(せきぶんかいろ)は、[[電気回路]]の一種で[[入力]][[電圧]]の[[波形]]の[[時間積分]]に等しい波形の電圧を[[出力]]する回路である。 [[コンデンサ]]両端の電圧は、流れ込んだ[[電流]]の[[積分]]([[電荷]]の総量)に[[比例]]するという事実を利用している。 == RC回路 == 電気回路中を流れる電流というのは、実は[[荷電粒子]]([[電子]]など)の移動によって現れる、 電荷の流れである。[[導体]]に電流iがt=0からt秒間に渡って流れたとき、 流れ込んで導体を通過した電荷の総量Qは : <math>q = \int_0^ti dt</math> で与えられる。導体の間に[[誘電体]]を挟んだ場合(つまり、コンデンサの場合)、 誘電体中には移動できる[[自由電子]]が無いため、 流れ込んだ電流は誘電体の境界面で[[帯電]]する。 : <math>q = \int_0^tidt + Q_0</math> <math>Q_0</math>はt=0で既に誘電体が帯びていた電荷である。 [[静電誘導]]によって反対側の境界面にも逆の[[極性]]の電荷が帯電するので、 誘電体を挟んで[[電位差]]vが生じる。複雑な形状をしていなければ、vはqに比例する。 [[比例定数]]をCとすると、 : <math>v = \frac{q}{C} = \frac{1}{C} \int_0^ti dt</math> である。 [[Image:series-RC.svg|thumb|right|250px|[[直列回路と並列回路#直列回路|直列]][[RC回路]]]] ここで、図のようなRC直列回路を考えて、 [[交流]]電圧Vを印加する。 [[初期状態]]におけるコンデンサCの電荷<math>Q_0 = 0</math>とすると、 t=0では、[[オームの法則]]に従って<math>I_0 = V_{in}/R</math>が流れる。 これが、 コンデンサへ流れ込んでコンデンサに電荷qが蓄えられると、 コンデンサが[[逆起電力]]を生じるので、Vの[[抵抗]]Rへの分圧が低下し、 回路を流れる電流は小さくなる。 しかし、''印加した交流電気の[[周波数]]fが十分に大きいならば''、 この交流に対してCは[[短絡]]とみなせるので、 回路を流れる電流Iは常に<math>I = V_{in}/R</math>で与えられる。 従って、このときに限り、 : <math>V_C = \frac{1}{C} \int_0^tI dt = \frac{1}{RC} \int_0^tV_{in} dt</math> である。つまり、RC回路の両端には入力Vの積分の波形をした電圧が現れる。 == アンプを利用した積分回路 == <!--[[Image:Opampintegrating.png|thumb|right|250px|積分回路]]--> === ミラー積分回路 === ミラー積分回路特性計算 :<math title="ミラー積分回路特性計算"> \begin{align} & \left\{ \begin{align} & Vi=\left(\frac{R + 1}{SC}\right) i + Vo \\ & -(Vi - R \cdot i) \mu = Vo \\ \end{align} \right. && \begin{align} &(1) \\ \\ &(2)\ \text{より} \end{align} \\ & \quad \ \mu Vi = \mu R \cdot i - Vo && \begin{align} (2) \end{align} \\ & \begin{align} \begin{align}\quad \ \therefore \Delta = \\ \\ \ \end{align} & \begin{align} \left\vert \begin{align} & \frac{R + 1}{SC}, & 1 \\ & \mu R, & -1 \end{align} \right\vert \\ \end{align} \\ = & -\left\{\left(\mu + 1\right)R + \frac{1}{SC}\right\} \end{align} && \begin{align} \\ \\ \\ (3) \end{align} \\ & \begin{align} \begin{align}\quad \ \Delta Vo = \\ \\ \ \end{align} & \begin{align} \left\vert \begin{align} & \frac{R + 1}{SC}, & 1 \\ & \mu R, & \mu \end{align} \right\vert \begin{align}Vi \\ \\ \ \end{align} \\ \end{align} \\ = & \mu \left(\frac{1}{SC}\right) \cdot Vi \end{align} && \begin{align} \\ \\ \\ (4) \end{align} \\ & \begin{align} \frac{Vo}{Vi} &= (4) / (3) / Vi \\ &= -1/\left\{\left(\mu + 1\right) / \mu \cdot SCR + 1 / \mu\right\} \\ &\fallingdotseq -\left(\frac{1}{CR}\right) \cdot \left(\frac{1}{S}\right) \end{align} && \begin{align} \\ \\ \\ (5)\ \text{積分} \end{align} \\ \end{align} </math> より精度の高い積分波形を得るために、[[オペアンプ]]など増幅器を用いた回路があり「[[ミラー積分回路]]」と呼ばれている。 図中で、アンプが[[入力インピーダンス]]無限大の理想的なものであれば、[[非反転入力端子]]に出入りする電流は0であるので、抵抗Rを流れる電流と等しい大きさの電流IがコンデンサCに入力端子の方向から流れ込んでくる。オペアンプの非反転入力端子は[[仮想接地]]されているので、Rに流れる電流の大きさは<math>I_0 = V/R</math>である。以上より、 : <math>I = \frac{V_{in}}{R} = -C\frac{dV_{out}}{dt}</math> が成り立っていることが分かる。初期状態において、Cに蓄えられている電荷は既に[[放電]]してあるとすると、 : <math>V_{out} = -\frac{1}{RC} \int_0^tV_{in}dt</math> であり、入力信号を積分した出力が得られることが分かる。 実際の理想的でないオペアンプでは、入力端子に[[バイアス (電子工学)|バイアス]]電流が流れ込み、また増幅度が有限であるためにまだ誤差を生じ、信号を入力しなくても出力電圧が生じる。元々は真空管で構成した回路で、直線性の良さからオシロスコープの時間軸信号発生回路や、[[アナログコンピュータ|アナログ計算機]]で、演算増幅器と組んで積分器を構成し主に「微分方程式解析表示器」として製品開発に使われた。 真空管の入力電流はほぼゼロで、コンデンサーの漏洩電流を問題にして選別していたのだが、半導体アンプでは素子が電流制御で、これを防ぐため、電圧制御素子であるFET入力オペアンプを用いたり、入力にバイアス抵抗<!--×コンデンサCに並列に大抵抗∵註:特性を大きく落とすのでなるべく回避-->を繋いで放電させたりしている。時間軸発生など常に初期化される繰り返し型では問題ない。 == 関連項目 == * [[コンデンサ]] * [[RC回路]] * [[オペアンプ]] * [[積分器]] * [[アナログコンピュータ|アナログ計算機]] * [[時間軸発生回路]] * [[微分回路]] * [[A-D変換]] {{Electronics-stub}} {{DEFAULTSORT:せきふんかいろ}} [[Category:電気回路]] [[Category:電子工学]] [[Category:アナログ回路]]
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