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{{Pathnavbox| *{{Pathnav|[[数学]]|[[幾何学]]|[[多様体論]]|[[微分幾何学]]|[[リーマン多様体]]|[[部分リーマン多様体の接続と曲率]]}}}} [[微分幾何学]]における'''第二基本形式'''({{lang-en-short|second fundamental form}})または'''形テンソル'''(shape tensor)とは、3次元[[ユークリッド空間]]の滑らかな曲面(smooth surface)の[[接ベクトル空間|接平面]]上の[[二次形式|2次形式]]を言う。普通、 <math>\mathrm{I\!I}</math> と表記される(「2」と読む)。[[第一基本形式]]とともに、曲面の外在的不変量、例えば曲面の[[主曲率]]、を定義するのに役立つ。より一般的には、このような2次形式は、[[リーマン多様体|リーマン多様]][[部分多様体|体]]に滑らかに埋め込まれた部分多様体に対して定義される。 == <math>\R^3</math>の曲面 == [[ファイル:Second_fundamental_form.svg|右|サムネイル|300x300ピクセル|第二基本形式の定義]] === 動機 === {{Math|'''R'''<sup>3</sup>}}の媒介変数表示された曲面 {{Math|''S''}} の第二基本形式は、[[カール・フリードリヒ・ガウス|ガウス]]によって導入され、研究された。まず、曲面が表面が2回[[微分可能関数|連続的微分可能]](continuously differentiable)な関数 {{Math|''z'' {{=}} ''f''(''x'',''y'')}} のグラフであり、平面 {{Math|''z'' {{=}} 0}} が原点で曲面に[[接線|接し]]ていると仮定する。そして、 {{Math|''f''}} とそれの {{Math|''x''}} および {{Math|''y''}} に関する[[偏微分|偏導関数]]は、(0,0)でゼロになるとする。それ故、(0,0)での ''f'' の[[テイラー展開]]は次のように2次の項で始まることになる。 : <math> z=L\frac{x^2}{2} + Mxy + N\frac{y^2}{2} + \text{higher order terms}\,,</math> 座標 {{Math|(''x'',''y'')}} で表される原点における第二基本形式は[[二次形式|2次形式]]となる。 : <math> L \, dx^2 + 2M \, dx \, dy + N \, dy^2 \,. </math> {{Math|''S''}} 上の滑らかな点 {{Math|''P''}} に対し、平面 {{Math|''z'' {{=}} 0}} が {{Math|''P''}} で {{Math|''S''}} に接するように座標系を選択し、同様の方法で第二基本形式を定義できる。 === 古典的な記法 === 一般的な媒介変数表示された曲面の第二基本形式は、次のように定義される。 {{Math|1='''r''' = '''r'''(''u'',''v'')}} を {{Math|'''R'''<sup>3</sup>}} の曲面の正則(regular)な媒介変数表示とする。ここで、 {{Math|'''r'''}} は2変数の滑らかな[[ベクトル値函数|ベクトル値関数]]である。{{Math|''u''}} と {{Math|''v''}} に関する {{Math|'''r'''}} の偏導関数は {{Math|'''r'''<sub>''u''</sub>}} と {{Math|'''r'''<sub>''v''</sub>}} で表示するのが普通である。媒介変数表示の正則性(regularity)は、{{Math|'''r'''}} の定義域において 任意の{{Math|(''u'',''v'')}} に対して {{Math|'''r'''<sub>''u''</sub>}} と {{Math|'''r'''<sub>''v''</sub>}} が線型独立であることを意味する。すなわち、{{Math|'''r'''<sub>''u''</sub>}} と {{Math|'''r'''<sub>''v''</sub>}} は、各点で {{Math|''S''}} の接平面を張る(span)ことになる。同様に、[[クロス積|外積]] {{Math|'''r'''<sub>''u''</sub> × '''r'''<sub>''v''</sub>}} は曲面に垂直な非ゼロのベクトルとなる。媒介変数表示は、したがって、単位法線ベクトル {{Math|'''n'''}} の場を次のように定義する。 : <math>\mathbf{n} = \frac{\mathbf{r}_u\times\mathbf{r}_v}{|\mathbf{r}_u\times\mathbf{r}_v|} \,.</math> 第二基本形式はたいてい次のように書かれる。 : <math>\mathrm{I\!I} = L\, du^2 + 2M\, du\, dv + N\, dv^2 \,,</math> 接平面の基底 {{Math|{'''r'''<sub>''u''</sub>, '''r'''<sub>''v''</sub><nowiki>}</nowiki>}} の行列は次のようになる。 : <math> \begin{bmatrix} L&M\\ M&N \end{bmatrix} \,. </math> 媒介変数表示による {{Math|''uv''}} 平面における与えられた点での係数 {{Math|''L'', ''M'', ''N''}} は、その点での {{Math|'''r'''}} の2次偏導関数を、{{Math|''S''}} の法線上に射影することによって与えられ、[[ドット積|内積]]を使用して次のように計算できる。 : <math>L = \mathbf{r}_{uu} \cdot \mathbf{n}\,, \quad M = \mathbf{r}_{uv} \cdot \mathbf{n}\,, \quad N = \mathbf{r}_{vv} \cdot \mathbf{n}\,. </math> [[ヘッセ行列]] {{Math|'''H'''}} の符号付き距離場(signed distance field)に対して、第二基本形式の係数は次のように計算される。 : <math>L = -\mathbf{r}_u \cdot \mathbf{H} \cdot \mathbf{r}_u\,, \quad M = -\mathbf{r}_u \cdot \mathbf{H} \cdot \mathbf{r}_v\,, \quad N = -\mathbf{r}_v \cdot \mathbf{H} \cdot \mathbf{r}_v\,. </math> === 物理学における記法 === 一般的な媒介変数表示された曲面 {{Math|''S''}} の第二基本形式は、次のように定義される。 {{Math|'''r''' {{=}} '''r'''(''u''<sup>1</sup>,''u''<sup>2</sup>)}} を {{Math|'''R'''<sup>3</sup>}} の曲面の正則な媒介変数表示とする。ここで、{{Math|'''r'''}} は2変数の滑らかな[[ベクトル値函数|ベクトル値関数]]である。{{Math|'''r'''}} の {{Math|''u''<sup>''α''</sup>}} に関する偏導関数を {{Math|'''r'''<sub>''α''</sub>}} ({{Math|α {{=}} 1, 2}})と表示するのが普通である。媒介変数表示の正則性(regularity)は、{{Math|'''r'''<sub>1</sub>}} と {{Math|'''r'''<sub>2</sub>}} が {{Math|'''r'''}} の定義域内の任意の {{Math|(''u''<sup>1</sup>,''u''<sup>2</sup>)}} に対して線形独立であることを意味する。したがって、{{Math|'''r'''<sub>1</sub>}} と {{Math|'''r'''<sub>2</sub>}} が各点で {{Math|''S''}} の接平面を張る(span)ことを意味する。同様に、[[クロス積|外積]] {{Math|'''r'''<sub>1</sub> × '''r'''<sub>2</sub>}} は曲面に垂直な非ゼロのベクトルとなる。媒介変数表示は、したがって、単位法線ベクトル {{Math|'''n'''}} の場を次のように定義する。 : <math>\mathbf{n} = \frac{\mathbf{r}_1\times\mathbf{r}_2}{|\mathbf{r}_1\times\mathbf{r}_2|}\,.</math> 第二基本形式は大抵次のように書かれる。 : <math>\mathrm{I\!I} = b_{\alpha \beta} \, du^{\alpha} \, du^{\beta} \,.</math> 上記の式は、[[アインシュタインの縮約記法]]を用いている。 媒介変数表示された {{Math|''u''<sup>1</sup>''u''<sup>2</sup>}} 平面における与えられた点における第二基本形式の係数 {{Math|''b''<sub>''αβ''</sub>}} は、その点での {{Math|'''r'''}} の2次偏導関数を、{{Math|''S''}} の法線に射影することで与えられる。そして、法線ベクトル {{Math|'''n'''}} を用いて次のように計算できる。 : <math>b_{\alpha \beta} = r_{\,\alpha \beta}^{\ \ \,\gamma} n_{\gamma}\,. </math> == リーマン多様体の超曲面 == {{Main|部分リーマン多様体の接続と曲率}} [[ユークリッド空間]]において、第二基本形式は次のように与えられる。 : <math>\mathrm{I\!I}(v,w) = -\langle d\nu(v),w\rangle\nu</math> ここで、 {{Math|''ν''}} は[[ガウス写像]]であり、 {{Math|''dν''}} はベクトル値の微分形式と見なされる {{Math|''ν''}} の[[写像の微分|微分]]であり、括弧はユークリッド空間の[[計量テンソル]]を表示している。 より一般的には、リーマン多様体では、第二基本形式は、超曲面の {{Math|''S''}}で示される形作用素(shape operator)を記述するための同等の方法である。 : <math>\mathrm I\!\mathrm I(v,w)=\langle S(v),w\rangle n = -\langle \nabla_v n,w\rangle n=\langle n,\nabla_v w\rangle n\,,</math> ここで、{{Math|∇<sub>''v''</sub>''w''}} は全体多様体(ambient manifold)の[[レヴィ・チヴィタ接続|共変微分]]、{{Math|''n''}} は超曲面上の法線ベクトル場を表示している。([[アフィン接続]]に[[捩率テンソル|捩じれがない]]場合、第二基本形式は対称となる。 ) 第二基本形式の符号は、 {{Math|''n''}} の方向の選択に依存する(これは超曲面の共方向(co-orientation)と呼ばれる。ユークリッド空間の曲面の場合、これは同様に曲面の向きの選択によって与えられる。) === 任意の余次元への一般化 === 第二基本形式は、任意の余次元(codimension)に一般化できる。その場合、それは法ベクトル束(normal bundle)における値を持つ接空間上の二次形式である。次のように定義できる。 : <math>\mathrm{I\!I}(v,w)=(\nabla_v w)^\bot\,, </math> ここで、<math>(\nabla_v w)^\bot</math> は[[レヴィ・チヴィタ接続|共変微分]] <math>\nabla_v w</math> の法ベクトル束への直交射影(orthogonal projection)を表す。 [[ユークリッド空間]]では、[[部分多様体]]の[[リーマン曲率テンソル|曲率テンソル]]は次の式で表すことができる。 : <math>\langle R(u,v)w,z\rangle =\langle \mathrm I\!\mathrm I(u,z),\mathrm I\!\mathrm I(v,w)\rangle-\langle \mathrm I\!\mathrm I(u,w),\mathrm I\!\mathrm I(v,z)\rangle.</math> これは、ガウスの[[Theorema Egregium]]の一般化と見なすことができるため、'''ガウス方程式'''と呼ばれる。 一般的なリーマン多様体の場合、全体空間(ambient space)の曲率を追加する必要がある。{{Math|''N''}} が[[リーマン多様体]] {{Math|(''M'',''g'')}} に埋め込まれた多様体である場合、 {{Math|(''M'',''g'')}} から誘導された計量を持つ {{Math|''N''}} の曲率テンソル {{Math|''R<sub>N</sub>''}} は、第二基本形式と {{Math|''M''}} の曲率テンソル {{Math|''R<sub>M</sub>''}} を用いて次のように表現することができる。 : <math>\langle R_N(u,v)w,z\rangle = \langle R_M(u,v)w,z\rangle+\langle \mathrm I\!\mathrm I(u,z),\mathrm I\!\mathrm I(v,w)\rangle-\langle \mathrm I\!\mathrm I(u,w),\mathrm I\!\mathrm I(v,z)\rangle\,.</math> == 関連項目 == * [[第一基本形式]] * [[ガウス曲率]] * ガウス・コダッチ方程式 * 形作用素 * 第三基本形式 * トートロジー形式 == 参考文献 == * {{Cite book|first=Heinrich|last=Guggenheimer|title=Differential Geometry|year=1977|publisher=Dover|chapter=Chapter 10. Surfaces|isbn=0-486-63433-7}} * {{Cite book|last=Kobayashi, Shoshichi|last2=Nomizu, Katsumi|title=Foundations of Differential Geometry, Vol. 2|publisher=Wiley-Interscience|year=1996|edition=New|isbn=0-471-15732-5}} * {{Cite book|last=Spivak|first=Michael|title=A Comprehensive introduction to differential geometry (Volume 3)|year=1999|publisher=Publish or Perish|isbn=0-914098-72-1}} == 外部リンク == * Steven Verpoort (2008) [https://lirias.kuleuven.be/bitstream/1979/1779/2/hierrrissiedan!.pdf Geometry of the Second Fundamental Form: Curvature Properties and Variational Aspects] from [[ルーヴェン・カトリック大学|Katholieke Universiteit Leuven]]. {{Curvature}} {{DEFAULTSORT:たいにきほんけいしき}} [[Category:カール・フリードリヒ・ガウス]] [[Category:曲面の微分幾何学]] [[Category:曲率]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:テンソル]] [[Category:微分幾何学]] [[Category:リーマン幾何学]]
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