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[[ファイル:bromocresol green spectrum.png|thumb|250 px|[[ブロモクレゾールグリーン]]([[:en:bromocresol green|英語版]])の[[スペクトル]] 。[[酸性]]、[[塩基性]]、[[中性 (酸塩基)|中性]]の[[溶液]]が示されている。全ての[[水素イオン指数|pH]]の溶液において[[濃度]](色の濃さ)が一致する点がある。]] [[分光法]]において'''等吸収点'''(Isosbestic point)とは、サンプルの物理的・化学的変化にかかわらず全てのサンプルが同じ[[吸光度]]を示す光の[[波長]](あるいは[[周波数]])である。Isosbesticは、2つの[[ギリシャ語]]の単語「iso」(同じ)と「sbestos」(消せる)を組み合わせた言葉である<ref>[http://goldbook.iupac.org/I03310.html IUPAC Gold Book] ([[国際純正・応用化学連合|IUPAC]])</ref>。 == 等吸収点のプロット == 等吸収点は[[吸光光度法]]([[モル吸光係数|モル吸光]]を用いるか、または両方の[[化学種]]の[[モル濃度|濃度]]を一定に保って[[吸光度]]を測る)によって得られた吸収スペクトルを重ね合わせ、全てのサンプルの吸光スペクトルが交わった波長を等吸収点とする。 また、等吸収点が多数あることもある。 [[化学反応|反応]]が1対1(1[[モル]]の[[反応物]]から1モルの[[生成物]]ができる反応で、[[化学平衡|平衡状態]]を含む)であり、反応物と生成物が等吸収点を持つ時、等吸収点において反応している混合物の吸光度は[[反応進行度]]や化学平衡の状態によらず一定である。これは反応物と生成物のその波長の光の吸光度が等しく、分析的濃度が一定だからである。 例えば、 :<math>X \rightarrow Y</math> という反応があったとする。この反応において、物質の分析的濃度は常に一定である。 :<math> c_X + c_Y = c \,</math> 反応中の混合物の吸光度A(XやYに依存する)は次のように表せる。 :<math>A = l\cdot (\epsilon_{X} c_{X} + \epsilon_{Y} c_{Y} )</math>. ここでlは光が混合物を通過する長さである。(混合物の[[光学的距離]]ではない) しかし、等吸収点では、それぞれの分子のモル吸光は等しい<ref>[http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/ubung/yyosuke/uebung/abindeq/abindeq1.htm 酸塩基指示薬の酸解離平衡と吸光度の変化] - [[京都大学]][[理学部]][[化学科]]所属教員、化学学生実験室</ref>。 :<math>\epsilon_X = \epsilon_Y = \epsilon \,</math>. ゆえに、吸光度は :<math>A = l\cdot (\epsilon_{X} c_{X} + \epsilon_{Y} c_{Y} )=l\cdot\epsilon \cdot (c_{X} + c_{Y} )=l\cdot\epsilon\cdot c</math> と表され、反応の進行度や、XやYそれぞれの濃度には依存しない。 等吸収点が現れるためには、2つの化学種が[[化学量論|化学量]]において互いに[[線型性|線形的に]]関わっていることが必要である。例えば、1つの物質においてある特定波長で吸光度がただ一つに決まることなどである。したがって、[[物質量]]比が1対1でない混合物でも等吸収点が現れることがある。また、等吸収点がある場合、通常濃度変化によって吸光度が変化し、吸光に関わる化学種は2種類しかない。もし3つめの物質のスペクトルが存在する場合、その交点の波長は一定ではなくなり、濃度によって変わるようになる<ref>『Kinetics and Mechanism』John W. Moore, {{仮リンク|ラルフ・ピアソン|en|Ralph Pearson|label=Ralph G. Pearson}}, Arthur Atwater Frost (第3版 [[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ]], 1981年)、ISBN 0-471-03558-0, ISBN 978-0-471-03558-9</ref>。それは、3つの化合物がある特定波長での吸光係数について線形の関係を持つことはほとんどないからである。 == 応用 == [[File:Isobestic graph.gif|thumb|250px|オキシメトリーでの等吸光点]] [[反応速度論]]では、等吸収点の波長では反応中常に吸光度が一定であるため、等吸収点が[[反応速度]]の研究において基準として用いられる。 等吸収点は、[[ヘモグロビン]]の濃度を調べるための[[パルスオキシメーター|オキシメトリー]]と呼ばれる医療技術に用いられている。これはヘモグロビンの飽和に関係なく使うことができる。オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの等吸光点は586[[ナノメートル|nm]]と808nmにある。 等吸収点は[[臨床化学]]([[:en:Clinical chemistry|英語版]])でも用いられる。[[分光測色法|分光測色計]]の[[品質保証|品質を保証]]し、[[波長]]の[[正確度と精度|正確性]]を確かめるために用いられる。これは、[[水素イオン指数|pH]]の異なる2つの標準物質のスペクトルを測定して行われる。(pHは{{pKa}}より大きいものと小さいものを使う。)標準物質には[[二クロム酸カリウム]](等吸収点339nmと445nm)、[[ブロモチモールブルー]](等吸収点325nmと498nm)、[[コンゴーレッド]](等吸収点541nm)が用いられる。等吸収点の波長は使った物質の濃度に依存しないので、それはとても信頼できる基準となる。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} {{デフォルトソート:とうきゆうしゆうてん}} [[Category:分光学]]
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