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{{読み仮名|'''素反応'''|そはんのう|{{lang-en-short|elementary reaction}}}}は、1個もしくは複数の[[化学種]]が直接反応して[[反応段階|1段階]]で[[遷移状態]]を通って[[生成物]]に至る[[化学反応]]である。実際は、反応中間体が検出されなかったり、反応が単分子スケールであると仮定せざるを得ない場合はその反応は素反応であると考えられている<ref>{{GoldBookRef | file = E02035 | title = elementary reaction}}</ref>。見かけ上の素反応が実は寿命の短い[[反応中間体]]を含む[[多段階反応]]である可能性もある。

[[分子度|一分子反応]]の素反応では、[[分子]]Aが[[解離 (化学)|解離]]したり[[異性化]]したりして生成物になる。
:<math>\mbox{A} \rightarrow \mbox{products.}</math>
温度が一定ならば、そのような反応の[[反応速度]]はAの[[濃度]]に比例する。
:<math>\frac{d[\mbox{A}]}{dt}=-k[\mbox{A}].</math>
2分子反応の素反応では、2つの[[原子]]、分子、[[イオン (化学)|イオン]]や[[ラジカル (化学)|ラジカル]]など（AとBとする）が反応して生成物に変わる。
:<math>\mbox{A + B} \rightarrow \mbox{products.}</math>
温度が一定ならば、反応速度はAとBの濃度の積に比例する。
:<math>\frac{d[\mbox{A}]}{dt}=\frac{d[\mbox{B}]}{dt}=-k[\mbox{A}][\mbox{B}].</math>
二分子素反応の[[反応速度式]]はしばしば、1864年に{{仮リンク|カトー・マキシミリアン・グルベルグ|en|Cato Maximilian Guldberg}}とワーゲが提唱した[[質量作用の法則]]（[[:en:Law of Mass Action|英語版]]）で参照される。このタイプの反応の例として[[環化付加反応]]が挙げられる。この反応の反応速度式は{{仮リンク|衝突理論|en|collision theory}}を用いて理想気体の第一法則から導ける。[[溶解度]]に低い液体の平衡の場合は、単純な確率論から結果が得られる<ref>Gillespie, D.T., A diffusional bimolecular propensity function, The {{仮リンク|Journal of Chemical Physics|en|Journal of Chemical Physics}} '''131''', 164109 (2009)</ref>。

衝突理論によれば、3つの化学種が溶液中で衝突して反応する（三分子反応）確率は無視できるほど小さい。したがってそのような反応は素反応ではなく、質量作用の法則に従って二分子の反応の組に分けることができると考えられている<ref>Cook, GB and Gray, P. and Knapp, DG and Scott, SK, Bimolecular routes to cubic autocatalysis, The Journal of Physical Chemistry '''93''', 2749--2755 (1989)</ref><ref>Aris, R. and Gray, P. and Scott, SK, Modelling cubic autocatalysis by successive bimolecular steps, Chemical Engineering Science '''43'''', 207--211 (1988)</ref>。しかし、全体の反応速度を導き出すことが常に可能ではない。ただし{{仮リンク|定常状態 (化学)|en|steady state (chemistry)|label=定常状態}}近似や[[ミカエリス・メンテン式|ミカエリス・メンテン]]の近似を用いることで反応速度式を導くことが可能な場合がある。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>

{{デフォルトソート:そはんのう}}
[[Category:反応速度論]]