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{{出典の明記|date=2015-10}} '''線型性'''(せんけいせい、{{lang-en|''linearity''}})あるいは'''線型'''、'''線形'''、'''線状'''、'''[[リニア]]'''(せんけい、{{lang-en|''linear''}}、{{lang-la|''linearis''}})とは、[[数学]]や[[工学]]の用語であり、視覚的には、[[グラフ (関数)|グラフ]]で表すと原点を通る[[直線]]や[[平面]]となるような[[代数的構造|代数構造]]のことである。対義語は'''[[非線型性]]'''({{lang-en|''Non-Linearity''}})。 == 表記のぶれ == 英語の数学用語の linear に当てる日本語訳としては、線<u>型</u>が本来の表記であると指摘されることもある<ref>岩波国語辞典 第五版</ref>が、他にも線<u>形</u>、線<u>状</u>などといった表記もしばしば用いられている。また'''一次'''という表記・表現もしばしば用いられている。というのは linear は、(多変数の)[[斉次函数|斉一次函数]]を指していると考えて間違っていない場合も多いためである<ref group="注">「一次」も、必ずしも「線型」を意味しない。例えば一般の[[一次関数]] (linear function) の「一次」および linear は本項にいう意味では線型でない([[アフィン写像|アフィン]]である)。「線形代数」「線型代数」を「一次代数」とは云わない。</ref>。 == 線型写像 == [[数学]]において、[[写像]] {{mvar|f}} が[[線型写像|線型]]であるとは、{{mvar|f}} について以下の2つの性質 * '''加法性''':任意の {{math2|''x'', ''y''}} に対して {{math2|''f''(''x'' + ''y'') {{=}} ''f''(''x'') + ''f''(''y'')}} * '''斉次性'''(作用との可換性): 任意の {{math2|''x'', ''α''}} に対して {{math2|''f'' (''αx'') {{=}} ''αf''(''x'')}} が満たされることである。ここで {{math2|''x'', ''y''}} は[[実数]]や[[複素数]]、あるいは[[ベクトル]]{{要曖昧さ回避|date=2021年7月}}など一般に[[環 (数学)|環]]上の[[環上の加群|加群]]の元、{{mvar|α}} はその環の元を表す。たとえば、[[一次関数]]はその[[グラフ (関数)|グラフ]]が[[原点 (数学)|原点]]を通るとき、またそのときに限り線型性を持つ。 [[線型代数学]]はこのような線型の変換とそれによって保たれる[[空間]]の性質について研究する[[学問]]であり、ベクトル、[[ベクトル空間]]および[[行列]]によって表される[[線型写像]]や[[線型方程式系]]を扱う。また[[関数 (数学)|関数]]を関数に写す写像である[[作用素 (関数解析学)|作用素]]の線型性は[[関数解析学]]で扱われる。関数の[[微分]]を作用素と見なすことで得られる[[微分作用素]](たとえば[[ナブラ|∇]]や[[ラプラス作用素]])の概念は線型作用素の重要な例である。 == 微分方程式 == [[微分方程式]]が[[線型方程式|線型]]である場合は[[線型代数学]]の範疇で解を探すことができる。一方で、線型でない('''非線型'''の)場合には、たとえば[[カオス理論|カオス]]のような問題が現れ、解くことが飛躍的に難しくなる。しかし、それゆえに、また[[パンルヴェ方程式]]のようにある種の対称性をもち、幾何学的に多様な性質を内包するものが存在するなどの理由により、[[数学者]]や[[物理学者]]などにとって興味深い対象が数多く存在するのも非線型微分方程式である。 == 重線型 == 多変数の写像の線型性として[[多重線型写像|重線型性]](多重線型性)がある。2変数の場合は ;[[双線型写像|双線型性]] # {{math2|''f''(''x'' + ''y'', ''z'') {{=}} ''f''(''x'', ''z'') + ''f''(''y'', ''z'')}}, # {{math2|''f''(''x'', ''y'' + ''z'') {{=}} ''f''(''x'', ''y'') + ''f''(''x'', ''z'')}}, # {{math2|''f''(''cx'', ''y'' ) {{=}} ''f''(''x'', ''cy'') {{=}} ''cf'' (''x'', ''y'')}} である。双線型な汎関数([[双線型形式]])の例としては[[内積]]や[[外積代数|外積]]が挙げられる。さらに多変数の場合に ;多重線型性 #<math>f(x_1, \ldots, x_i + x'_i, \ldots, x_n) = f(x_1, \ldots, x_i, \ldots, x_n) + f(x_1, \ldots, x'_i, \ldots, x_n)</math> #<math>f(x_1, \ldots, c\cdot x_i, \ldots, x_n) = c\cdot f(x_1, \ldots, x_i, \ldots, x_n)</math> を考えることができる。例えば、[[行列式]]は列または行ベクトルに注目すれば[[多重線型形式]]である。 {{main|テンソル積|テンソル代数}} == 電気回路 == {{main|線形回路}} 入力と出力の関係に線型性のある[[電気回路]]は、線形回路と呼ばれる。特に[[増幅回路]]において、線形性の有無は重要である。線形性が不完全な場合は、増幅後の信号に歪みが生じる。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist2}} === 出典 === {{Reflist}} == 関連項目 == * [[線型結合]] * [[線型方程式]] * [[線型微分方程式]] == 外部リンク == * {{高校数学の美しい物語|684|高校数学における線形性の8つの例}} {{DEFAULTSORT:せんけいせい}} [[Category:線型代数学]] [[Category:代数的構造]] [[Category:数学に関する記事]] [[cs:Linearita]]
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