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{{Otheruses|自然科学・工学用語|その他}} {{出典の明記|date=2012年8月}} '''自由度'''(じゆうど、{{lang-en|degree of freedom}})とは、一般に、[[変数 (数学)|変数]]のうち独立に選べるものの数、すなわち、全変数の数から、それら相互間に成り立つ関係式(束縛条件、拘束条件)の数を引いたものである。数学的に言えば、[[多様体]]の次元である。「自由度1」、「1自由度」などと表現する。 自由度は、[[力学]]、[[機構学]]、[[統計学]]などで使用され、意味は上記の定義に準じるが、それぞれの具体的に示唆する処は異なる。 == 力学 == [[力学]]では、系を構成する全[[質点]]の座標のうち、独立に決定できるものの数をいう。 * 1質点:3次元空間での並進が許されている場合、自由度は3である。 * 2[[質点系]]:それぞれの質点が独立に運動する場合、自由度は6である。両者の質量中心を系の代表座標とし、[[重心]]の並進3自由度、重心回りの回転2自由度、重心をはさむ2質点間の相対距離の変化すなわち[[振動]]1自由度によって表現されることが多い。 * [[剛体]]:''n'' 質点系(ただし ''n'' ≥ 3)において、全質点間の[[相対距離]]が不変であるという代数的な拘束条件が課される。このため、系全体の自由度は並進3自由度、回転3自由度の計6自由度となる。平面上に運動が拘束されているならば、並進2自由度、回転1自由度の計3自由度となる。 関連項目:[[統計力学]]、[[エネルギー等配分の法則]] == 機構学 == [[機構学]]においては、機構全体の構造を決定する可動変数の数を指す。機構を構成する[[リンク]]は[[剛体]]とみなされるため力学における定義に準じ、さらにリンクの接点である[[対偶 (機械工学)|対偶]]によって拘束条件が代数的に表現されるため、自由度計算の定式化が比較的容易である。 例えば、平面上において1自由度対偶および2自由度対偶からなる機構の全自由度は次式で表される。 :<math>f = 3(n-1) - 2n_1 - n_2.</math> ただし ''f'' は自由度、''n'' はリンクの数、''n''<sub>1</sub> は自由度1の対偶の総数、''n''<sub>2</sub> は自由度2の対偶の総数である。また、機構をなすリンクのうち一つは空間に固定されているとする。 例えば、リンクの数が5、自由度1の対偶の総数が5である平面5節閉リンク系の自由度は、 :<math>f = 3 \times (5-1) - 2 \times 5 = 2 </math> である。 立体構造をとる機構の自由度を表す式は次の通りである。 :<math>f = 6(n-1) - \sum_{i}^{ } (6-i)n_i.</math> ただし自由度 ''i'' の対偶の総数を ''n<sub>i</sub>'' としている。 移動機構、すなわち[[脚型ロボット]]、[[人工衛星]]などでは、基底となる一つのリンクは空間に固定されておらず、平面の場合3自由度対偶、立体の場合6自由度対偶によって仮想的に[[慣性系]]に結合されていると見なす。さらに、慣性系もリンクの一つに加えられる。例えると、全ての関節が1自由度関節からなり、片腕に7リンク7関節、片脚に6リンク6関節を持つ26関節[[ヒューマノイドロボット]]の場合、胴体リンクと慣性系を加えて全28リンクとなるので、全自由度は、 :<math>f = 6 \times (28-1) - (6-6) \times 1 - (6-1) \times 26 = 32</math> となる。 また、例えば車輪型移動機構の場合、車輪が路面に対し滑りを生じないならば、代数的な関係で表せない拘束条件([[非ホロノミック拘束条件]])が課せられることになる。このため、自由度の計算は単純ではない。 == 熱力学 == [[熱力学]]では、[[熱力学的平衡|平衡]]状態で自由にとることのできる[[状態変数]]の数を示す。 一般に、''C'' 成分 ''P'' [[相]]が平衡状態で存在する場合には、自由度 ''F'' は :<math>F = C - P + 2</math> という'''[[ギブズの相律]]'''と呼ばれる式で表される。この場合、2 個の状態変数に加え、各成分の割合(から相の数を引いたもの)で状態を記述できる。 例えば、純水が液相のみで存在する場合、1 成分 1 相系であることより、自由度は 2。すなわち 2 個の状態変数([[温度]]と[[圧力]]、温度と[[体積]]、など)で状態を記述できる。 == 統計学 == [[統計学]]では、各種の統計量に関して自由度を定義している。 大きさ ''n'' の標本における観測データ (''x''<sub>1</sub>, ''x''<sub>2</sub>, ..., ''x<sub>n</sub>'') の自由度は ''n'' とする。それらから求めた標本[[平均]] {{overline|''x''}} についても同じ。 [[不偏分散]] :<math>s^2 = \frac{\sum_{i=1}^{n}(\bar{x} - x_i)^2}{n-1} </math> については、 :<math>\bar{x} = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i </math> という関係式(ここで {{overline|''x''}} は母集団平均 ''μ'' の推定量である)があるから、自由度は 1 少ない ''n'' − 1 となる。そのため分母には ''n'' − 1 を用いている。 [[日本工業規格]]では、「[[カイ二乗分布]]、[[F分布|''F'' 分布]]、[[t分布|''t'' 分布]]などの[[母数|パラメータ]]」と[[定義]]している{{sfn|JIS Z 8101-1:1999|loc=2.59 自由度}}。 == 脚注 == {{reflist}} == 参考文献 == {{参照方法|date=2016年4月}} * {{Cite book|和書|author=西岡康夫|year=2013|title=数学チュートリアル やさしく語る 確率統計|publisher=[[オーム社]]|isbn=9784274214073}} * {{Cite book|和書|author=伏見康治|authorlink=伏見康治|year=1942|title=[[確率論及統計論]]|publisher=[[河出書房]]|isbn=9784874720127|url= http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204}} * {{Cite book|和書|author=日本数学会|authorlink=日本数学会|year=2007|title=数学辞典|publisher=[[岩波書店]]|isbn=9784000803090}} * {{citation | title=JIS Z 8101-1:1999 統計−用語と記号−第1部:確率及び一般統計用語 | author=日本規格協会 | authorlink=日本規格協会 | url=http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html | ref={{sfnref|JIS Z 8101-1:1999}}}} == 関連項目 == * [[確率]] ** [[確率論]] * [[統計学]] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:しゆうと}} [[Category:統計学]] [[Category:力学]] [[Category:対称性]] [[Category:システム]] [[Category:数学に関する記事]]
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