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{{chembox | verifiedrevid = 413798711 | Name = 臭化カリウム | ImageFile = Potassium bromide.jpg | ImageSize = 200px | ImageName = Potassium bromide | ImageFile1 = Potassium-bromide-3D-ionic.png | ImageSize1 = 200px | ImageName1 = Potassium bromide | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 7758-02-3 | CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}} | PubChem = 253877 | RTECS = TS7650000 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = KBr | MolarMass = 119.002 g/mol | Appearance = 白色固体 | Density = 2.75 g/cm<sup>3</sup> | Solubility = 53.5 g/100 ml (0 {{℃}})<br />102 g/100 mL (100 {{℃}}) | Solvent1 = glycerol | Solubility1 = 21.7 g/100 mL | Solvent2 = ethanol | Solubility2 = 4.76 g/100 mL (80 {{℃}}) | MeltingPtC = 734 | BoilingPtC = 1435 }} | Section3 = {{Chembox Structure | Coordination = [[八面体形]] | CrystalStruct = [[塩化ナトリウム型構造]] | Dipole = 10.41 [[デバイ|D]] (''gas'') }} | Section7 = {{Chembox Hazards | ExternalMSDS = [http://physchem.ox.ac.uk/MSDS/PO/potassium_bromide.html MSDS at Oxford University] | EUIndex = Not listed | RPhrases = {{R20}}, {{R21}}, {{R22}}, {{R36}}, {{R37}}, {{R38}} | SPhrases = {{S22}}, {{S26}}, {{S36}} }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherAnions = [[フッ化カリウム]]<br />[[塩化カリウム]]<br />[[ヨウ化カリウム]] | OtherCations = [[臭化リチウム]]<br />[[臭化ナトリウム]]<br />[[臭化ルビジウム]]<br />[[臭化セシウム]] }} }} '''臭化カリウム'''(しゅうかカリウム、{{lang-en-short|potassium bromide}})は[[化学式]] '''KBr''' で表される[[カリウム]]の[[臭化物]]である。[[水酸化カリウム]]と[[臭化水素]]の[[中和 (化学)|中和反応]]によって生成する。[[水溶液]]は[[水素イオン指数|中性]]で、カリウムイオンと臭化物イオンに電離している。常温常圧では無色の固体である。[[硫酸]]との反応で[[臭素]]が遊離する。 1800年代には[[抗痙攣薬]]や[[抗不安薬]]として用いられていた。<!-- 今日では -->イヌの治療薬としても使われる。薄い水溶液は甘く、濃い水溶液は苦いが、ほとんどの濃度範囲では塩辛い味がする。高濃度の場合は内臓の粘膜組織を侵し、吐き気および嘔吐を引き起こす。 == 化学的性質 == 典型的なイオン性の塩で、水に溶けやすく、水溶液の pH は7である。臭素イオン源として、[[写真フィルム]]用の[[臭化銀]]の製造に用いられる。 : <chem>KBr(aq) + AgNO3(aq) -> AgBr(s) + KNO3(aq)</chem> 臭化銅(II) などの金属ハロゲン化物と反応させると[[錯体|錯塩]]を形成する。 : <chem>2KBr(aq) + CuBr2(aq) -> K2[CuBr4](aq)</chem> == 調製 == 伝統的な方法として、[[炭酸カリウム]]と臭化鉄 ({{chem|Fe|3|Br|8}}) の反応が知られている。臭化鉄は水中で鉄くずと過剰の臭素 ({{chem|Br|2}}) を反応させて作られる。 : <chem>4K2CO3 + Fe3Br8 -> 8KBr + Fe3O4 + 4CO2</chem> == 用途 == === 医学・獣医学 === 抗痙攣薬としての性質が初めて指摘されたのは、[[1857年]]のロンドン王立医学・外科学会 (Royal Medical and Chirurgical Society of London) での会議におけるチャールズ・ロコック (Charles Locock) による発表である。これは[[てんかん]]に対して効果のある治療薬の最初の報告例とされる。当時てんかんは自慰が原因であると考えられており、ロコックは、臭化物塩は性的興奮を鎮めることによっててんかんの発作を抑えるとした。[[1912年]]に[[フェノバルビタール]]が登場するまで、てんかんに対して臭化カリウムより優れた薬剤は存在しなかった。 現在では、有効な抗てんかん薬のほとんどない[[ドラベ症候群]](乳児重症ミオクロニーてんかん)において、[[クロバザム]]・{{仮リンク|スチリペントール|en|Stiripentol}}・[[トピラマート]]・[[バルプロン酸]]などを組み合わせて用いられている<ref>{{Cite news|url=https://shizuokamind.hosp.go.jp/epilepsy-info/news/n15-2/ |title=2. てんかん症候群 |work=てんかん情報センター |publisher=[[国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター]] |accessdate=2022-01-05}}</ref>。また、イヌへの抗てんかん薬としても用いられている。フェノバルビタール単独で効果が思わしくない場合にしばしば補助薬として使用されるが、第一選択薬となる例も増加しつつある。過去にはネコのてんかんに対しても用いられていたが、呼吸器系の重篤な副作用を引き起こす危険性があるため、推奨されていない。 [[アメリカ食品医薬品局]] (FDA) はヒトのてんかんに対する使用を認めていない。<!-- ヒトへの抗てんかん薬としての使用を認可しているのは -->ドイツでは、全身性・強直間代性、あるいは小児期の大発作や[[筋クローヌス]]性のてんかんを伴うなど、子供や青年特に重篤な症状に対してである。少年期・青年期にこの薬剤に対して陽性反応を示した場合、さらに治療が続けられる場合もある。Dibro-Be mono の商品名で販売されている(処方のみ)。適切な症候に用いられれば、確実に効果をあらわすとされる。完全な[[生物学的利用能]]と、6週間という長い半減期を持つ。1錠あたり850 mgの臭化カリウムを含む。他の抗痙攣薬の吸収や排出を阻害するという報告はない。 副作用として、食欲の減退、吐き気・催嘔性、嗜眠、日中の眠気、抑うつ、集中力や記憶力の低下、せん妄、頭痛などを主訴とする、いわゆる[[ブロム中毒]](傾眠から昏睡に至る中枢反応、カヘキシー(悪液質)、エキシコーシス(exicosis、体液の欠乏)、反射の消失、間代性てんかん発作、ふるえ、運動失調(歩行障害)、神経感度の減少、運動麻痺、目における乳頭状浮腫、言語障害、[[脳浮腫]]、精神錯乱 (frank delirium)、攻撃性の増加、精神病)、そしてざ瘡型の肢端皮膚炎などの皮膚疾患、肺粘膜の分泌過多が挙げられる。気管支喘息や鼻炎にかかっている場合、悪化することがある。舌障害、アフテン (aphten)、口臭、オブスティペーション(obstipation、腸閉塞による重度の便秘)などもまれに見られる。 === 光学 === 近紫外から遠赤外領域 (0.25-25 μm) に透過性を持つため光学窓やプリズムとして利用される。吸湿性・潮解性を持つため乾燥した容器中に保存する必要がある。屈折率は1.0 μmで 約1.55である。[[赤外分光法|赤外吸収スペクトル]]を測定する場合には、試料を臭化カリウムの粉末と混合し、ペレット状に押し固めて測定する方法がよく用いられる。臭化カリウムは測定領域内に測定の妨げとなるピークを持たない。 また[[固体核磁気共鳴]]分野においては、[[マジック角]]回転下での<sup>79</sup>Brの信号がマジック角からのわずかなずれに鋭敏に影響することと、共鳴周波数が[[炭素13|<sup>13</sup>C]]に近いことから、<sup>13</sup>C測定時のマジック角調整に用いられる。 === 銀塩写真 === 臭化カリは、かつては[[銀塩写真]]において[[現像]]処理に多用された。'''ブロムカリ'''とも呼ばれる。 ; 現像液 [[現像液]]助剤の現像抑制剤としてカブリ(弱感光部への過度な現像作用)を抑制するが、近年では処方されないことが多い。[[天体写真]]などでハイコントラストな仕上がりが要求される場合に使用されることがある。 ; 定着液 [[カロタイプ]]など[[写真史|写真技術の創成期]]には[[定着液 (写真現像)|定着液]]主剤として使用されたが、現在は[[チオ硫酸ナトリウム]]が使われることが多い。 == 脚注 == {{reflist}} {{カリウムの化合物}}{{GABAA受容体陽性アロステリック調節因子}}{{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:しゆうかかりうむ}} [[Category:カリウムの化合物]] [[Category:臭化物]] [[Category:抗不安薬]] [[Category:抗てんかん薬]] [[Category:光学材料]]
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