虚数乗法のソースを表示
←
虚数乗法
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
{{about|[[楕円曲線]]の理論のトピックスの'''虚数乗法'''|複素数の掛け算|複素数}} '''虚数乗法'''(きょすうじょうほう、{{Lang-en-short|complex multiplication}})とは、通常よりも大きな対称性をもつ[[楕円曲線]]の理論のことをいう。別のいいかたをすれば、{{仮リンク|周期のペア|label=周期格子|en|period lattice}} (period lattice) が[[ガウス整数]]の[[格子 (数学)|格子]]であったり、[[アイゼンシュタイン整数]]の格子であったりするような、余剰な対称性を持つ[[楕円函数]]の理論である。楕円曲線の高次元化である[[アーベル多様体]]についても同様に大きな対称性をもつ場合があり、これらを扱うのが虚数乗法論である。 [[特殊関数]]の理論として、そのような楕円函数や[[多変数函数|多変数複素解析函数]]の[[アーベル多様体#アーベル函数|アーベル函数]]は、大きな対称性をもつことからその関数が多くの等式をみたすことがいえる。特別な点では具体的に計算可能な特殊値を持つ。また虚数乗法は代数的整数論の中心的なテーマであり、[[円分体]]の理論をより広く拡張する事を可能にする。 虚数乗法は、虚二次体の類体における相互法則、主イデアル定理、分岐の様子を、楕円函数や楕円曲線のことばで具体的に書き表すことを可能とする。[[ダフィット・ヒルベルト]]は、楕円曲線の虚数乗法論は数学のみならず、すべての科学の中の最も美しい分野であると言っている<ref>{{Citation | last=Reid | first=Constance | author-link=Constance Reid | title=Hilbert | publisher=Springer | isbn=978-0-387-94674-0 | year=1996 | page=200}}</ref>。 ==虚数乗法の例== [[Image:Lattice torsion points.svg|right|thumb|300px|複素数体上の楕円曲線は、複素平面を格子 Λ、言い換えると 2つの基本周期 ''ω''<sub>1</sub> と ''ω''<sub>2</sub> で張られる格子で割ることでできる商空間として得られる。格子 ''Λ''/4 の点が楕円曲線の 4 等分点に対応する。]] まずはじめに、虚数乗法をもつ格子の例を見る。複素数体 '''C''' の部分群としては[[ガウス整数]]環 '''Z'''[''i''] という格子を考える。 この格子は '''C''' の ''n'' 倍写像で保たれるのみならず、''i'' 倍でも保たれるという対称性をもつ。 虚数乗法を持つ楕円曲線の例は <math display="block">\mathbb{C}/(\mathbb{Z}[i]\theta)</math> である。ここで<math>\theta</math>は任意の非零複素数である。 そのような[[トーラス]]は自己同型環としてガウス整数を持つ。対応する曲線はすべて次の形に書かれることが知られている。 <math display="block">Y^2 = 4X^3 - aX</math> この曲線は、位数 4 の[[自己同型]]を持ち、この自己同型、 <math display="block">Y \rightarrow \pm iY,\ \ \ \ X \rightarrow-X</math> は[[ヴァイエルシュトラスの楕円函数]]にたいする ''i'' の作用に対応している。 より一般に、楕円函数 <math>f</math> の 2つの独立な周期を <math>\omega_1,\omega_2</math> とするとき,虚二次体<math>K</math> に含まれる任意の数<math>\lambda</math> に対して、<math>f(z)</math> と <math>f(\lambda z)</math> との間に代数的な関係式が存在するとき、楕円函数(楕円曲線)は'''虚数乗法'''を持つという。 (注:この箇所の日本語翻訳ははしょられており、英語版の対応箇所を参照されたい。) ==自己準同型環の構造== 楕円曲線の自己準同型環の構造は次の三通りで尽くされる。ひとつは整数環 '''Z''' で、もうひとつは[[二次体|虚二次体]]の{{仮リンク|整環|en|Order (ring theory)}} (order)、残るひとつが '''Q''' 上の定値[[四元数環]]の整環である<ref>Silverman (1989) p.102</ref>。 楕円曲線が[[有限体]]上定義されている場合には、つねに[[フロベニウス写像]]と呼ばれる非自明な自己準同型が存在する。従って、'''虚数乗法'''がある場合が典型となる(この場合には、多くの場合に虚数乗法という用語は適用されない)。一方で楕円曲線が代数体上定義されている場合、虚数乗法をもつのはむしろ例外的である。一般に、虚数乗法がある場合には、[[ホッジ予想]]を解くことが極めて難しいことが知られている。 ==クロネッカーとアーベル拡大== [[レオポルト・クロネッカー]]は、楕円曲線の位数有限の点での[[楕円函数]]の値が虚二次体のすべての[[アーベル拡大]]を生成するに十分であるというアイデアを提唱した。これは特別な場合には[[フェルディナント・ゴットホルト・マックス・アイゼンシュタイン|アイゼンシュタイン]]や[[カール・フリードリヒ・ガウス|ガウス]]によりすでに研究されていた。これが'''クロネッカーの青春の夢'''(Kronecker Jugendtraum)([[ヒルベルトの第12問題]])であり、上記のヒルベルトの指摘したことである。[[志村の相互法則]]を通して、[[有理数|有理数体]]のアーベル拡大が [[1の冪根|1のべき根]]の方法で構成できることを示し、[[類体論]]をより明白なものとしている。 実際、''K'' を類体 ''H'' をもつ虚二次体として、''E'' を ''H'' 上に定義された ''K'' の整数によって虚数乗法を持つ楕円曲線とする。このとき ''K'' の[[類体論|最大アーベル拡大]]は、''H'' 上の ''E'' のあるヴァイエルシュトラスのモデルの有限位数の点の ''x''-座標により生成される<ref name=S295>Serre (1967) p.295</ref>。 クロネッカーのアイデアには多くの一般化が考えられる。しかしながら、[[ラングランズ・プログラム|ラングランズ哲学]]の主要な方向性とはすこし異なるもので、今のところ決定的なステートメントは知られていない。 ==ひとつの結果== <math display="block">e^{\pi \sqrt{163}} = 262537412640768743.99999999999925007\dots</math> や、同じことだが、 <math display="block">e^{\pi \sqrt{163}} = 640320^3+743.99999999999925007\dots</math> であり、数値が整数に非常近いことは、偶然に起きたわけではない。この注目すべき事実は、虚数乗法論、[[モジュラ形式]]の知識と、 <math display="block">\mathbf{Z}\left[ \frac{1+\sqrt{-163}}{2}\right]</math> は、[[一意分解整域]]であるという事実から説明することができる。 <math>(1+\sqrt{-163})/2</math> は ''α''<sup>2</sup> = ''α'' - 41 を満たす。一般に、''S''[''α''] を ''S'' の元を係数とする ''α'' によるすべての[[多項式]]表現の集合とすると、''S''[''α''] は ''α'' と ''S'' を含む最も小さな環である。''α'' はこの二次式を満たすので、求めている多項式は次数 1 に限ることができる。 代わりに <math display="block">e^{\pi \sqrt{163}} = 12^3(231^2-1)^3+743.99999999999925007\dots</math> と見ることもできる。ある[[アイゼンシュタイン級数]]による内部構造によるものであり、他の[[ヘーグナー数]]に対しても同様な単純表現が存在する。 ==特異モジュライ== 虚数乗法を持つ楕円曲線の周期比率となる上半平面の点 ''τ'' はかならず虚二次数である<ref>Silverman (1986) p.339</ref>。これらの点における[[j-不変量|モジュラ不変量]] ''j''(''τ'') は'''特異モジュライ'''とよばれる。ここでは特異というのは特異点をもつという意味ではなく、非自明な自己準同型をもつという意味で特異と古くは呼ばれた事による。 [[モジュラ形式|モジュラ函数]] ''j''(''τ'') は、虚二次数 ''τ'' に対しては代数的数となる<ref name=S293>Serre (1967) p.293</ref>。逆に ''j'' が代数的であるような上半平面の値 ''τ'' はこの場合に限ることも知られている。<ref>{{cite book | first=Alan | last=Baker | authorlink=Alan Baker (mathematician) | title=Transcendental Number Theory | publisher=[[Cambridge University Press]] | year=1975 | isbn=0-521-20461-5 | zbl=0297.10013 | page=56 }}</ref>。 Λ が周期比率 ''τ'' をもつ格子のとき、''j''(''τ'') を ''j''(''Λ'') と書く。さらに ''Λ'' が虚二次体 ''K'' の整数環 ''O''<sub>''K''</sub> のイデアル '''a''' であれば、対応する特異モジュライを ''j''('''a''') と書く。すると、値 ''j''('''a''') は実数である代数的数であり、''K'' の[[ヒルベルト類体]](Hilbert class field) ''H'' を生成する。[[体の拡大]]の次数 [''H'':''K''] = ''h'' は ''K'' の'''類数'''であり、''H''/''K'' は ''K'' の[[イデアル類群]]に同型な[[ガロア群]]を持つ[[ガロア拡大]]である。このガロア群とイデアル類群の同型はイデアル類の作用が次のように記述できることによるもの、すなわち ['''b'''] : ''j''('''a''') → ''j''('''ab''') によって値 ''j''('''a''') の上に作用する。 特に、''K'' が類数 1 であれば、''j''('''a''') = ''j''(O) は有理整数である。例えば、''j''('''Z'''[''i'']) = ''j''(''i'') = 1728 である。 ==関連項目== *[[CMアーベル多様体]]、高次元の場合 *{{仮リンク|代数的ヘッケ指標|en|Algebraic Hecke character}} (Algebraic Hecke character) *[[ヒーグナー点]] *[[ヒルベルトの第12問題]] *{{仮リンク|ルービン・テイトの形式群|en|Lubin–Tate formal group}} (Lubin–Tate formal group), [[局所体]] *{{仮リンク|ドリンフェルトのシュトゥーカ|en|Drinfeld shtuka}} (Drinfeld shtuka), {{仮リンク|大域函数体|en|global function field}} (global function field) の場合 ==脚注== {{reflist}} ==参考文献== * Borel, A.; Chowla, S.; Herz, C. S.; Iwasawa, K.; Serre, J.-P. ''Seminar on complex multiplication''. Seminar held at the Institute for Advanced Study, Princeton, N.J., 1957-58. Lecture Notes in Mathematics, No. 21 Springer-Verlag, Berlin-New York, 1966 * {{cite book | last=Husemöller | first=Dale H. | title=Elliptic curves | others=With an appendix by Ruth Lawrence | series=Graduate Texts in Mathematics | volume=111 |publisher=[[Springer-Verlag]] | year=1987 | isbn=0-387-96371-5 | zbl=0605.14032 }} * {{cite book | last=Lang | first=Serge | authorlink=Serge Lang | title=Complex multiplication | series=Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften [Fundamental Principles of Mathematical Sciences] | volume=255 | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=New York | year=1983 | isbn=0-387-90786-6 | zbl=0536.14029 }} * {{cite book | last=Serre | first=J.-P. | authorlink=Jean-Pierre Serre | chapter=XIII. Complex multiplication | pages=292–296 | editor1-first=J.W.S. | editor1-last=Cassels | editor1-link=J. W. S. Cassels | editor2-first=Albrecht | editor2-last=Fröhlich | editor2-link=Albrecht Fröhlich | title=Algebraic Number Theory | year=1967 | publisher=Academic Press | zbl= }} *{{cite book | last=Shimura | first=Goro | authorlink=Goro Shimura | title=Introduction to the arithmetic theory of automorphic functions | publisher=Iwanami Shoten | location=Tokyo | series=Publications of the Mathematical Society of Japan | year=1971 | volume=11 | zbl=0221.10029 }} * {{cite book | last=Shimura | first=Goro | authorlink=Goro Shimura | title=Abelian varieties with complex multiplication and modular functions | series=Princeton Mathematical Series | volume=46 | publisher=[[Princeton University Press]] | location=Princeton, NJ | year=1998 | isbn=0-691-01656-9 | zbl=0908.11023 }} * {{cite book | first=Joseph H. | last=Silverman | authorlink=Joseph H. Silverman | title=The Arithmetic of Elliptic Curves | series=[[Graduate Texts in Mathematics]] | publisher=[[Springer-Verlag]] | volume=106 | year=1986 | isbn=0-387-96203-4 | zbl=0585.14026 }} * {{cite book | first=Joseph H. | last=Silverman | authorlink=Joseph H. Silverman | title=Advanced Topics in the Arithmetic of Elliptic Curves | series=[[Graduate Texts in Mathematics]] | publisher=[[Springer-Verlag]] | volume=151 | year=1994 | isbn=0-387-94328-5 | zbl=0911.14015 }} ==外部リンク== * [http://planetmath.org/encyclopedia/ComplexMultiplication.html Complex multiplication] from [[PlanetMath|PlanetMath.org]] * [http://planetmath.org/encyclopedia/ExamplesOfEllipticCurvesWithComplexMultiplication.html Examples of elliptic curves with complex multiplication] from [[PlanetMath|PlanetMath.org]] * {{cite journal | title = Galois Representations and Modular Forms | id = {{citeseerx|10.1.1.125.6114}} | authorlink = Kenneth Alan Ribet | first = Kenneth A. | last = Ribet | journal = [[Bulletin of the American Mathematical Society]] | volume = 32 | issue = 4 | month = October | year = 1995 | pages = 375–402 | doi=10.1090/s0273-0979-1995-00616-6}} {{DEFAULTSORT:きよすうしようほう}} [[Category:アーベル多様体]] [[Category:楕円函数論]] [[Category:類体論]] [[Category:数学に関する記事]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:About
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Citation
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite journal
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Reflist
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:仮リンク
(
ソースを閲覧
)
虚数乗法
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報