虫食い算のソースを表示

'''虫食い算'''（むしくいざん、{{Lang-en-short|cryptarithm}}, {{Lang-en-short|arithmetical restorations}}<ref name="Matsui2013">{{Harvtxt|Matsui|2013}}</ref>, {{Lang-en-short|digital puzzle}}, {{Lang-en-short|restoration problem}}, {{Lang-en-short|missing figure puzzle}}, {{Lang-en-short|dotty puzzle}}<ref name="下平1991pp909-910">{{Harvtxt|下平|1991|pp=909-910}}</ref>）は、いくつかの[[数字]]が伏せられた計算式を与えられ、明らかになっている部分から伏せられた数字が何であるかを推理し、完全な計算式を導き出す[[パズル]]である。解き手のヒントになるように、計算式は[[筆算]]の形で与えられることが多い。

== 名称 ==
「虫食い算」という名称は、計算式が虫に食われたように穴があることに由来する。他に「暗号算」「幽霊算」などの名称もあるが、[[1946年]]（昭和21年）に出版された[[海野十三|佐野昌一]]（[[1897年]]（明治30年） - [[1949年]]（昭和24年））の著書『[[#CITEREF佐野1946|虫食い算大会]]』に使用された「虫食い算」の名称が最も広く使用されている。

「虫食い算」は広義には[[覆面算]]などを含む計算式を復元する問題全般をさすが、本稿ではことわりのない限り□に数字を入れる問題のみを表す。

== 歴史 ==
虫食い算の具体的な起源ははっきりしていないが、日本では、[[江戸時代]]の[[和算]]書や[[算額]]などにも残されている。日本で記録に残っている古い問題としては、中根彦循の『竿頭算法』（[[1738年]]（[[元文]]3年））に掲載されている問題が挙げられる<ref name="下平1991pp909-910" /><ref name="大駒武丸尾1985p2">{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=2}}によると印刷されたものでは日本で最古のものとされる。</ref>。また、欧米でも古くから計算の練習問題として使用されていた。

[[1906年]]（明治39年）にイギリスの数学者[[ウィリアム・ベリック]]（[[1888年]]-[[1944年]]）は「7つの7」という作品を発表した。これは、ヒントとなる数字が7個に対して72個もの□があるという作品であり、見た目に美しく知的な虫食い算の元祖ともいわれる<ref>{{Harvtxt|佐野|1946|loc=第二十九会場（４）}}、{{Harvtxt|佐野|1977|loc=第二十九会場（４）}}、{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=48}}に収録されている。</ref>。
:{|
|+ 7つの7
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>７</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|□||□||□||□||７||□||）||□||□||７||□||□||□||□||□||□||□
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||□||□||□||□||□||７||□||　||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||□||７||□||□||□||□||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>７</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||□||□||□||□||□||□||□||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>７</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||□||□||□||□||□||□
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||０
|}

意味のある単語を使用した覆面算（ワード覆面算）に関しては、[[ヘンリー・アーネスト・デュードニー]]（[[1857年]] - [[1930年]]）が[[1924年]]に発表した SEND+MORE=MONEY という作品が最初といわれる<ref name=yougomyway>{{Cite web|和書
|date=2019-08-15
|url=https://yougomywayyougomyway.com/send-more-money
|title=【覆面算】SEND + MORE = MONEY問題の解き方を徹底的に解説する！
|publisher=yougomywayの部屋
|accessdate=2020-04-18
}}</ref>。<!--作者は1930年没なので著作権の問題はない-->
:{|
|-
|　||　||Ｓ||Ｅ||Ｎ||Ｄ
|-
|<u>＋</u>||<u>　</u>||<u>Ｍ</u>||<u>Ｏ</u>||<u>Ｒ</u>||<u>Ｅ</u>
|-
|　||Ｍ||Ｏ||Ｎ||Ｅ||Ｙ
|}

[[1931年]]にベルギーで数学遊戯雑誌"''Sphinx''"([[:fr:Sphinx_(revue)|fr]])が創刊される。「虫食い算」に相当する英単語の1つである"Cryptarithmetics"は同誌によって提唱された<ref name="sugakusi28">[[高木茂男]]「数学史研究」28号</ref>。

1940年代になると、主流は虫食い算からワード覆面算に移行していく。1947年にアメリカのアラン・ウェインは最初の数詞覆面算を発表している<ref name="sugakusi28" />。その後カナダのJ.A.ハンターがワード覆面算を"Alphametics"と命名して普及に努めた<ref name="sugakusi28" />。

=== 戦後の日本 ===
日本においては和算による虫食い算も存在したが、昭和初期には西洋の虫食い算が紹介されている。戦前から戦中に虫食い算を紹介した人物として[[高木茂男]]は[[藤本幸三郎]]、楠本虎四郎、[[佐野昌一]]、江口雅彦の4人を挙げている<ref name="sugakusi53">[[高木茂男]]「数学史研究」53号</ref>。このうち、楠本以外の3人は当時紹介のみで創作を行っていなかったとされる。

;1946年（昭和21年）:[[海野十三|佐野昌一]]『[[#CITEREF佐野1946|虫食い算大会]]』が出版される。
;[[1947年]]（昭和22年）:文部省発行の算数・数学の教科書に虫食い算が掲載される<ref name="sugakusi53" />。
;昭和20年代 :大学入試の[[進学適性検査]]の問題として毎年のように虫食い算が出題された<ref name="sugakusi53" />。
:この時期に創作を開始した人物としては泉行蔵、[[森本清吾]]、夏目康男、江口雅彦、佐藤米吉らの名前が挙げられる<ref name="sugakusi53" />。
:高木茂男が「年賀虫食い算」を始めたのもこの時期である<ref name="sugakusi53" />。
;[[1964年]]（昭和39年）:雑誌『数芸パズル』創刊。虫食い算を含む様々なパズルの発表の場が与えられた。
;[[1976年]]（昭和51年）:雑誌『[[詰将棋パラダイス]]』に「虫食算研究室」のコーナーができる。
:読者から問題・解答を募る形式のため、多くの作品が寄せられた。
:丸尾学・山本行雄・浅尾和義が担当を勤め、22年続いた。
;[[1980年]]（昭和55年）:雑誌『[[パズル通信ニコリ]]』創刊。
:創刊当初から虫食い算・覆面算に数ページを割いており、17号からは「スージーコーナー」という独立したコーナーとなっている（71号まで）。
:5号より毎号テーマを決めて覆面算を募集していたが、投稿数低下のため107号（04年夏号）からは不定期連載となった。
:着順発表と呼ばれる覆面算の解答競争も行われていた（現在でも同コーナーは存在するが、パズルは覆面算に限らなくなっている）。

== ルール ==
* □には一つの数字が入る<ref name="下平1991pp4-6">{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=4-6}}</ref>。
* 最上位の□には0は入らない。ただし、小数点で始まる小数の場合は最上位に0が入ることがある。また、小数点で始まる小数の場合は最下位に0が入らない<ref name="下平1991pp4-6" />。
** 1桁の□があった場合、最上位の条件を満たすので0を入れないとする考え方が一般的である。

狭義の虫食い算の問題では1つの□に入る数字は1つであるが、広義の虫食い算には空欄に複数の数字が入ることもある。筆算でない問題{{efn|例えば『竿頭算法』の問題は、文章中の数字が虫に食われている<ref name="下平1991pp909-910" /><ref name="大駒武丸尾1985p2" />。}}が多いが、筆算でも上位または下位の数字をまとめて隠すことがある<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=134}}などを参照。</ref>。

解答は1つに定まる場合が大原則であり<ref name="下平1991pp4-6" />、これを'''{{ruby|一意解|いちいかい}}'''ということがある。2つ以上の解がある場合に[[詰将棋]]の用語を借りて'''{{ruby|余詰|よづめ}}'''のある虫食い算という。解が1つもない場合には詰将棋の用語を借りて'''{{ruby|不詰|ふづめ}}'''の虫食い算という<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=157}}</ref>。

== 例題 ==
虫食い算大会　第三会場（２）の問題 <ref>{{Harvtxt|佐野|1946|loc=第三会場（２）}}、{{Harvtxt|佐野|1977|loc=第三会場（２）}}より引用。</ref>
{|
|-
|　||　||　||□||７||□||６||□||　
|-
|<u>　</u>||<u>×</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>７</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||３||□||２||９||□||６||　
|}

== 特別な虫食い算 ==
虫食い算の中には、ヒント・形状・制約等から特別な名前を冠される物がある。

=== 孤独の{{mvar|n}} ===
ヒントとして数字が1個のみ提示されているものを総称して「'''孤独の{{mvar|n}}'''」と呼ぶ<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|pp=63-67}}</ref>。割り算において割り切れたことを示す最下段の0は除いて考える。この呼称は、1923年頃にE・F・オドリングが発表した作品「'''[[孤独の7]]'''」に由来する<ref>日本語の文献では、{{Harvtxt|佐野|1946|loc=【例題七】, 第十五会場（４）}}、{{Harvtxt|佐野|1977|loc=【例題七】, 第十五会場（４）}}、{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=63}}に収録されている。</ref>。
:{|
|+ 孤独の7
|-
|　||　||　||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>７</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|□||□||□||）||□||□||□||□||□||□||□||□
|-
|　||　||　||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||□||□||□||　||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||□||□||□||□||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||□||□||□||□
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||０
|}

=== 完全虫食い算 ===
ヒントとして数字が全く提示されていないものを'''完全虫食い算'''と呼ぶ。まったく条件のつかない完全虫食い算の例としては、
:□＋□＋□＋□＋□＋□＋□＋□＋□＝□
がある<ref name="大駒武丸尾1985p68">{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=68}}</ref>。しかし、通常は何らかの制約条件（小数点・[[循環小数]]・使用数字の制限など）が加えられる。このとき、制約条件の一つとして割り算において割り切れたことを示す最下段の0はあってもよい<ref name="大駒武丸尾1985p68" />。
:例題　□には0以外の偶数が入る。
:{|
|-
|　||□||□||□
|-
|<u>×&nbsp;</u>||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|　||□||□||□
|-
|<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>
|-
|□||□||□||□
|}

=== 小町虫食い算 ===
□の中に1～9（あるいは0～9）の数字が1つずつ入るように指定したものを'''小町虫食い算'''と呼ぶ。この呼称は、1～9を使い100を表す[[小町算]]にちなんでいる<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|pp=74-75}}</ref>。
:例題　小町虫食い算　――1から9までの9種の数字をはめこむ（9と4はすでに使いずみ）<ref>{{Harvtxt|佐野|1946|loc=第二十七会場（２）}}、{{Harvtxt|佐野|1977|loc=第二十七会場（２）}}より引用。</ref>
:<math>94 \frac{\square\square\square\square}{\square\square\square}=100</math>
0～9を2個ずつ・3個ずつ使用する問題もあり、それらは「ダブル小町」「トリプル小町」などとも呼ばれる。[[1943年]]にオランダの数学者[[:nl:Fred. Schuh|Fred. Schuh]]（[[1875年]] - [[1966年]]）はダブル小町完全虫食い算という条件作を発表している<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=75}}</ref>。
:ダブル小町完全虫食い算 ―― □のなかには0から9までの数字が2つずつ入る。
:{|
|-
|　||　||□||□||□
|-
|<u>×</u>||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|　||　||□||□||□
|-
|　||□||□||□||　
|-
|<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|□||□||□||□||□
|}

=== 多重虫食い算 ===
升目の中に色違いの物を配置し、色違いの升目だけでも筆算が成り立つようにする問題を'''多重虫食い算'''という。制約が強く、数字が全くない[[#完全虫食い算|完全虫食い算]]になることが多い<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=71}}では完全虫食算の一種として紹介されている。</ref>。
:例題 ■で表された1桁×1桁=2桁の筆算も成り立つようにする。
:{|
|-
|　||　||　||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|□||□||）||□||□||■||□||□
|-
|　||　||　||　||<u>□</u>||<u>■</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||■||■||□
|-
|　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||□||□||□
|-
|　||　||　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||０
|}

=== グループ化 ===
0～9を2つのグループ（[[偶数]]と[[奇数]]・4以下と5以上 など）に分け、グループによって入れる升目を変える問題。

バリエーションとして、特定の升目には同じ数字、他の升目にはそれ以外の数字を入れる問題もある。[[リチャード・P・ファインマン]]のものとされる「ファインマンの問題」はこのタイプの問題の中でよく知られているものの1つである。
:例題 ◇には[[素数]]（2,3,5,7）、◎にはそれ以外の数を入れる。
:{|
|-
|　||◎||◎
|-
|<u>×&nbsp;</u>||<u>◎</u>||<u>◎</u>
|-
|◎||◎||◇
|-
|<u>◇</u>||<u>◇</u>||<u>　</u>
|-
|◎||◎||◇
|}

== かけ算と割り算以外の虫食い算 ==
=== 加減算 ===
[[足し算]]と[[引き算]]は、虫食い算より[[覆面算]]の作例が多い。理由としては□に制約がなく数字を入れ替えた別解が発生しやすいことがあげられる。

以下の問題は一意解である。
* 12□ + 3□4 = □56
* □ + 7□ + □□ + □□ = □1

算数の演習問題として虫食い算が出題されるときには、1つの□に複数桁の数字が入ることがある。以下はその一例である。
* 123 + □ = 789

=== 数学記号 ===
[[数学記号]]や[[関数 (数学)|関数]]を使用した虫食い算が存在する。これらは数学の知識が必要になるので通常の問題ほど多くは発表されていない。以下はその一例である。
* {{sqrt|□! + (□!)!}} = □
* log{{sub|□}}□□0□ + log{{sub|□}}□0□□ = □0

=== 平方根 ===
[[筆算]]による[[開平法|開平]]を元にした虫食い算が存在する。{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|p=71}}には問題が収録されているが、現在では義務教育で教えられていないため、この形式の問題を見ることはほとんどない。

:例題　開平算
:{|
|-
| ||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>□</u>
|-
|√||□||□||□||□||□||９
|-
|　||　||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||　||　
|-
|　||　||□||□||□||　||　
|-
|　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||□||□||□||□
|-
|　||　||　||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>||<u>□</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||０
|}

== 大きい虫食い算 ==
一部の虫食い算は、自由に桁数を増やすことができる。例えば上の例にある[[#完全虫食い算|完全虫食い算]]は、
:□＋…（10{{sup|{{mvar|n}}}}－1個）…＋□＝□…（{{mvar|n}}桁）…□
または
:□…（{{mvar|n}}桁）…□×□□=□…（{{mvar|n}}+1桁）…□
としても一意解である<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|pp=132-133}}には条件のない問題での拡張の例が書かれている。</ref>。このため、最大の虫食い算は存在しない。ただし、このような手法に頼らない大型虫食い算は存在する<ref>{{Harvtxt|大駒|武|丸尾|1985|pp=137-140}}には、大型の虫食い算として積が45桁に及ぶ問題や□が500個以上ある問題が掲載されている。</ref>。

[[1999年]]（平成11年）から『[[パズル通信ニコリ]]』誌の編集長を務めている[[安福良直]]は、学生時代に商が20000桁を超える割り算の虫食い算を作成して同誌に投稿したことがある。大きすぎて掲載できないため、最初の20桁ほどが紹介された。{{Harvtxt|安福|2008}}に詳しい顛末と理論が記されている。

コンピューターを用いて虫食い算を解く場合、桁数は計算時間に影響する。
2つの数字の掛け算が筆算の形で与えられた問題は、[[NP完全問題|NP完全]]であることが知られている<ref name="Matsui2013" />。

== 問題の解答 ==
{{hidden begin|title = 7つの7}}
{|
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>５</u>||<u>８</u>||<u>７</u>||<u>８</u>||<u>１</u>
|-
|１||２||５||４||７||３||）||７||３||７||５||４||２||８||４||１||３
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>　</u>||<u>６</u>||<u>２</u>||<u>７</u>||<u>３</u>||<u>６</u>||<u>５</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||１||１||０||１||７||７||８||　||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||<u>１</u>||<u>０</u>||<u>０</u>||<u>３</u>||<u>７</u>||<u>８</u>||<u>４</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||９||７||９||９||４||４||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||<u>８</u>||<u>７</u>||<u>８</u>||<u>３</u>||<u>１</u>||<u>１</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||１||０||１||６||３||３||１||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||<u>１</u>||<u>０</u>||<u>０</u>||<u>３</u>||<u>７</u>||<u>８</u>||<u>４</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||１||２||５||４||７||３
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||<u>１</u>||<u>２</u>||<u>５</u>||<u>４</u>||<u>７</u>||<u>３</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||０
|}
{{hidden end}}
{{hidden begin|title = SEND＋MORE＝MONEY}}
{|
|-
|　||　||９||５||６||７
|-
|<u>＋</u>||<u>　</u>||<u>１</u>||<u>０</u>||<u>８</u>||<u>５</u>
|-
|　||１||０||６||５||２
|} <ref name="下平1991pp909-910" /><ref name=yougomyway />
{{hidden end}}
{{hidden begin|title = 例題}}
{|
|-
|　||　||　||４||７||５||６||８||　
|-
|<u>　</u>||<u>×</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>７</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||３||３||２||９||７||６||　
|}
{{hidden end}}
{{hidden begin|title = 孤独の7}}
{|
|-
|　||　||　||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>９</u>||<u>７</u>||<u>８</u>||<u>０</u>||<u>９</u>
|-
|１||２||４||）||１||２||１||２||８||３||１||６
|-
|　||　||　||<u>　</u>||<u>１</u>||<u>１</u>||<u>１</u>||<u>６</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||９||６||８||　||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||<u>８</u>||<u>６</u>||<u>８</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||１||０||０||３||　||　
|-
|　||　||　||　||　||　||　||<u>９</u>||<u>９</u>||<u>２</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||１||１||１||６
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||<u>１</u>||<u>１</u>||<u>１</u>||<u>６</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||　||０
|} <ref name="下平1991pp909-910" /><ref>{{Harvtxt|佐野|1946|loc=【例題七】}}、{{Harvtxt|佐野|1977|loc=【例題七】}}に解法の説明と解答が収録されている。</ref>
{{hidden end}}
{{Hidden|ta1 = left| まったく条件のつかない完全虫食い算 |１＋１＋１＋１＋１＋１＋１＋１＋１＝９}}
{{hidden begin|title = 0以外の偶数のみを使う完全虫食い算}}
{|
|-
|　||２||２||２
|-
|<u>×</u>||<u>　</u>||<u>２</u>||<u>２</u>
|-
|　||４||４||４
|-
|<u>４</u>||<u>４</u>||<u>４</u>||<u>　</u>
|-
|４||８||８||４
|}
{{hidden end}}
{{Hidden|ta1 = left| 小町虫食い算 |<math>94 \frac{1578}{263}{{=}}100</math>}}
{{hidden begin|title = ダブル小町完全虫食い算}}
{|
|-
|　||　||１||７||９
|-
|<u>×</u>||<u>　</u>||<u>２</u>||<u>２</u>||<u>４</u>
|-
|　||　||７||１||６
|-
|　||３||５||８||　
|-
|<u>３</u>||<u>５</u>||<u>８</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
|-
|４||０||０||９||６
|}
{{hidden end}}
{{hidden begin|title = 多重虫食い算}}
{|
|-
|　||　||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||<u>１</u>||<u>１</u>||<u>８</u>
|-
|９||２||）||１||０||❽||５||６
|-
|　||　||　||　||<u>９</u>||<u>❷</u>||<u>　</u>||　
|-
|　||　||　||　||❶||❻||５||　
|-
|　||　||　||　||　||<u>９</u>||<u>２</u>||<u>　</u>
|-
|　||　||　||　||　||７||３||６
|-
|　||　||　||　||　||<u>７</u>||<u>３</u>||<u>６</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||　||０
|}
{{hidden end}}
{{hidden begin|title = グループ化}}
{|
|-
|　||１||８
|-
|<u>×</u>||<u>４</u>||<u>９</u>
|-
|１||６||２
|-
|<u>７</u>||<u>２</u>||<u>　</u>
|-
|８||８||２
|}
{{hidden end}}
{{Hidden|ta1 = left| 足し算 |122+334＝456, 1+70+10+10＝91, 123+666＝789}}
{{Hidden|ta1 = left| ルートと階乗の問題 |{{sqrt|(4!+(1!)!)}}＝5}}
{{Hidden|ta1 = left| 対数の問題 |log<sub>7</sub>2401+log<sub>4</sub>4096＝10}}
{{hidden begin|title = 開平算}}
{|
|-
|　||<u>　</u>||<u>３</u>||<u>　</u>||<u>１</u>||<u>　</u>||<u>７</u>
|-
|√||１||０||０||４||８||９
|-
|　||　||<u>９</u>||<u>　</u>||<u>　</u>||　||　
|-
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|　||　||　||<u>６</u>||<u>１</u>||<u>　</u>||<u>　</u>
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|　||　||　||<u>４</u>||<u>３</u>||<u>８</u>||<u>９</u>
|-
|　||　||　||　||　||　||０
|}
{{hidden end}}
{{Hidden|ta1 = left| 大きい虫食い算（まったく条件のつかない完全虫食い算） |１＋…（10{{sup|{{mvar|n}}}}－1個）…＋１＝９…（{{mvar|n}}桁）…９}}
{{Hidden|ta1 = left| 大きい虫食い算（0以外の偶数のみを使う完全虫食い算） |２…（{{mvar|n}}桁）…２×２２＝４８…（{{mvar|n}}－1桁）…８４}}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
|author=[[安福良直]]
|date=2008-11
|title=世界最大の虫食い算
|series=文春新書 669
|publisher=文藝春秋
|isbn=978-4-16-660669-6
|ref={{Harvid|安福|2008}}
}}
* {{Cite book |和書
|author = 大駒誠一
|author2 = 武純也
|author3 = 丸尾学
|date = 1985-04
|title = 虫食算パズル700選
|publisher = 共立出版
|isbn = 978-4-320-01339-1
|ref = {{Harvid|大駒|武|丸尾|1985}}
}}
* {{Cite book|和書
|author=佐野昌一
|authorlink=海野十三
|date=1946-03
|title=“虫喰ひ算”大會
|publisher=力書房
|url=https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card43533.html
|ref={{Harvid|佐野|1946}}
}}
** {{Cite book|和書
|author=佐野昌一
|date=1977-10
|title=推理学校　虫食い算大会
|series=数のライブラリー 10
|publisher=学生社
|isbn=978-4-311-41810-5
|ref={{Harvid|佐野|1977}}
}}
* {{Cite book|和書
|author=下平和夫
|editor=[[一松信]]・竹之内脩 編
|date=1991-11
|title=新数学事典
|chapter=3.　興味ある数学問題
|edition=改訂増補
|publisher=大阪書籍
|isbn=978-4-7548-4006-8
|pages=903-952
|ref={{Harvid|下平|1991}}
}}
* {{Citation
|first=Tomomi
|last=Matsui
|date=2013
|title=NP-Completeness of Arithmetical Restorations
|journal=Journal of Information Processing
|volume=21
|issue=3
|pages=402–404.
}}

== 関連項目 ==
* [[小町算]]
* [[数学パズル]]
* [[覆面算]]
* [[ペンシルパズル]]

== 外部リンク ==
* [[海野十三|佐野昌一]]{{青空文庫|000160|43532|旧字旧仮名|虫喰ひ算大会}}
* 佐野昌一{{青空文庫|000160|43533|新字新仮名|虫喰い算大会}}
* [[高木茂男]] [http://www.wasan.jp/sugakusipdf/sugakusi28.pdf 西洋における虫喰算の歴史]
* 高木茂男 [http://www.wasan.jp/sugakusipdf/sugakusi053.pdf 日本における「虫食い算」]

{{DEFAULTSORT:むしくいさん}}
[[Category:算数]]
[[Category:数学に関する記事]]
[[Category:数学パズル]]
[[Category:ペンシルパズル]]