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{{出典の明記|date=2013年3月}} {| class="floatright wikitable" |+ 体重70 kgの男性の[[体液]]の内訳<ref>[http://www.jhf.or.jp/senmoni/q&a/na.html 血圧と血中ナトリウム量の関係について教えてください](日本心臓財団、2009年4月)</ref> |- |rowspan="3" |全水分量42 L |rowspan="2" |[[細胞外液]]14 L |血漿(血管内)2.8 L |- |[[間質液]]11.2 L |- | colspan="2" |[[細胞内液]]28 L |} '''血漿'''(けっしょう、{{lang-en-short|Blood plasma}}、プラズマ)は、[[血液]]に含まれる[[液体]]成分の一つで、血液の55%を占める。血液を試験管にとって遠心沈殿すると、下の方に赤い塊りができ、上澄は淡黄色の液体になる。赤い塊りは主として[[赤血球]]の集りで、上澄の液体が血漿である。赤血球と血漿との容積の比はほぼ半々ぐらいである。血漿は[[アルブミン]]と[[グロブリン]]からなる[[タンパク質]]を約7.0%程度含んでおり、その他[[カリウム|K]]、[[ナトリウム|Na]]、[[カルシウム|Ca]]などの[[電解質]]や[[ビタミン]]などを含んでいる<ref>大谷 五良、「[https://doi.org/10.1295/kobunshi.7.21 代用血漿]」、『高分子』Vol. 7 (1958) No. 1 P 21-23 </ref>。 == 歴史 == 血漿は、1628年に[[ウイリアム・ハーベー]]によって説明されていたが、1770年頃、[[ウィリアム・ヘンソン]]が[[フィブリノゲン]]を発見したことにより、研究が加速した。輸血の代替品としての血漿の使用は、1918年3月に英国医学雑誌の通信欄でゴードンR.ウォードによって提案された。やがて粉末の「乾燥プラズマ」が開発され、英国軍や米軍によって第二次世界大戦で初めて使用された。粉末プラズマの入ったガラス瓶に、同じくガラス瓶に入った[[蒸留水]]を流し込み、ゴム管と注射針で注入する。約3分で、プラズマはすぐに使用できる状態になり、約4時間新鮮に保たれる。それらの器具一式が一つのセットになっていて、戦場のどこででも輸送でき、いつどこでも輸血することが可能となり<ref>池宮城秀意『沖縄の戦場に生きた人たち』(サイマル出版会) pp. 199-200</ref>、戦場の兵士たちの多くの命を救った<ref>{{Cite web |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2340039/ |title=TRANSFLUSION OF PLASMA |access-date=2023-06-27 |publisher=NCBI}}</ref>。 [[1960年代]]まで、[[日本赤十字社]]が製造していた血漿(液状)は、防腐剤に[[チメロサール]]が使用されていた。[[1970年]]2月、血漿を大量に点滴していた患者が有機[[水銀中毒]]を発症して死亡する事例が発生。血漿に含まれる水銀の量は1万分の1と微量であり一般患者には問題のない量とされたが、当年度にチメロサールを使用した血漿は回収が行われて市場から姿を消した<ref>「日赤製の血漿で中毒死? 防腐用の水銀たまる 連続使用の少年患者」『朝日新聞』昭和45年(1970年)3月1日朝刊、12版、15面</ref>。 == 血漿量 == 血漿量は、全[[体液]]量−[[細胞内液]]量-[[間質液]]量で求めることができる。また、エバンスブルー色素を用いての色素濃度の測定、放射性ヨウ素標識血清アルブミンを用いての放射活性からも血漿量を求めることができる。 == 組成 == やや黄色みを帯びた中性の液体で以下の成分で構成される。水 (91%) の次にたんぱく質 (7%) が多い。 *[[水]] *[[蛋白質]]([[アルブミン]]、[[フィブリノーゲン]]、[[抗体|免疫グロブリン]]) *[[脂質]] *[[糖類]]([[グルコース]]) *[[無機塩類]] なお、血漿等における無機塩類の濃度は表のとおりである<ref>{{出典無効|date=2012年11月}} [http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/biochem6.htm 水・無機質] 講義資料のページ</ref>。 {| class="wikitable" |- ! [[イオン (化学)|イオン]] !! 血漿等細胞外濃度<br>{{smaller|(mmol/L)}} !! 細胞内濃度<br>{{smaller|(mmol/L)}} |- |[[ナトリウム]](Na+)||145||12 |- |[[カリウム]](K+)||4||140 |- |[[マグネシウム]](Mg2+)||1.5||0.8 |- |[[カルシウム]](Ca2+)||1.8||<0.0002 |- |[[塩素]](Cl-)||116||4 |- |[[リン酸]](HPO4 2-)||1||35 |} == 役割 == 血液細胞・養分・[[脂質]]・[[ホルモン]]・老廃物の運搬、体内[[恒常性]]の維持(緩衝作用)、[[凝固・線溶系|血液凝固]]、[[免疫]]機能を持つ([[抗原抗体反応]]の場)。急激な温度変化の抑制。 [[血管]]外に組織液としてしみだす事ができ、これにより細胞に栄養分を供給できる。一部は[[毛細血管]]を経由して血管に戻るが、多くは毛細[[リンパ管]]に入り、[[リンパ漿]]となる。 == 検査項目 == * 血漿浸透圧 ** 計算式 **: 血漿浸透圧を<math>\Pi</math>、[[血清ナトリウム濃度]]をNa、[[血清カリウム濃度]]をK、[[血糖]]をBG、血中[[尿素窒素]]をBUN (UN)とすると、血漿浸透圧は **:: <math>\Pi=2(Na+K)+\frac{BG}{18}+\frac{BUN}{2.8}</math> **: で近似できる。さらに臨床的には **:: <math>\Pi=2Na+\frac{BG}{18}+\frac{BUN}{2.8}</math> **: とする。 ** 正常値 **: 285〜295<sub>mOsm/L (mOsm/kg)</sub> == 臨床効果が認められていない利用 == [[アメリカ合衆国]]では、一部で[[アンチエイジング]]などを目的に若者から採取した血漿を注入する療法が行われてきた。こうした療法について[[アメリカ食品医薬品局]]は、[[2019年]][[2月19日]]、臨床効果が認められていないうえ、危険が伴う恐れがあるものとして警告を出している<ref>{{Cite web |date=2019-02-19 |url=https://www.cnn.co.jp/usa/35133022.html |title=米FDA、若者の血漿注入する「治療」に警告 |publisher=CNN |accessdate=2019-02-20}}</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == *[[赤血球]] *[[白血球]] *[[血小板]] *[[血清]] *[[献血]] {{Sisterlinks}} {{Myeloid blood cells and plasma}} {{輸血}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:けつしよう}} [[Category:血液]] [[Category:体液]] [[Category:血液学]] [[Category:生化学]] [[Category:免疫学]] [[Category:輸血]] [[simple:Blood#Plasma]]
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