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'''複素速度ポテンシャル'''（ふくそそくどぽてんしゃる、{{lang-en-short|complex velocity potential}}）<ref>{{cite|和書|author=小池勝|title=流体機械工学|publisher=コロナ社|year=2009|isbn=978-4-339-04474-4}}</ref>または複素ポテンシャルとは、[[流体力学]]において複素平面上に定義される[[正則関数]]である。ある特別な条件下の流れ場について解析を容易にするために用いられる。

== 概要 ==
2次元かつ非粘性、渦なしの流れについて、[[速度ポテンシャル]] Φ と[[流れ関数]] Ψ の双方が定義できる。この双方に対し、ある参照点の任意方位について勾配をとると、2つの勾配ベクトルは参照点速度の直交しあう成分であり、それらの合ベクトルは勾配参照の方位によらず一意に定まる。この性質は複素平面上の正則条件に相当する。

数式の上では速度 '''u''' = (''u'' , ''v'' ) が次のように書ける。
:<math>\begin{align}u &= \frac{\partial\phi}{\partial x} = \frac{\partial\psi}{\partial y}, \\
v &= \frac{\partial\phi}{\partial y} = -\frac{\partial\psi}{\partial x}\end{align}</math>


実数軸にx、u、Φ、虚数軸にy、ｖ、Ψをとり、ひとつの複素関数として束ねることで次の[[正則関数]]、'''複素速度ポテンシャル''' ''W'' (''z'' ) を定義できる。
:<math>W(z) = \phi + i\psi,\quad z = x+iy</math>

前述のu,vの式は、このWに対する[[コーシー・リーマンの方程式]]に他ならない。

複素速度ポテンシャル''W'' (''z'' ) の微分から速度場が得られる：
:<math>\frac{{\rm d} W}{{\rm d} z} = u-iv</math>
複素速度ポテンシャルを定義し[[複素解析]]の手法を適用することで、流れ場の解析が容易となる。

== 流れ場の例 ==
いくつかの単純な流れを、複素速度ポテンシャルで表現する。
=== 一様流 ===
大きさが''U'' 、''x'' 軸となす角が&alpha;の向きの一様流は次式で表される。
:<math>W(z) = Uze^{-i\alpha}</math>
=== 湧き出し、吸い込み ===
湧き出し及び吸い込みは次式で表される。
:<math>W(z) = m\log z</math>
ここで''m'' は湧き出し、吸い込みの強さを表す実定数であり、''m'' > 0なら湧き出し、''m'' < 0なら吸い込みを表す。また、湧き出し、吸い込みの[[流量]]''Q'' は次式となる。
:<math>Q = 2\pi m</math>
=== 渦糸 ===
[[渦糸]]の周りの流れは次式で表される。
:<math>W(z) = i\kappa\log z</math>
ここで&kappa;は渦糸の強さを表す実定数であり、[[循環 (流体力学)|循環]]&Gamma;は次式となる。
:<math>\Gamma = -2\pi\kappa</math>
=== 二重湧き出し ===
''x'' 軸上の+''a'' 、-''a'' の位置に強さ-''m'' 、+''m'' の吸い込みと湧き出しがある場合、複素速度ポテンシャルは
:<math>W(z) = -m\log(z-a)+m\log(z+a)</math>
となる。ここで''a'' →0、2''ma'' →''b'' > 0の極限をとれば
:<math>W(z) = \frac{b}{z}</math>
となる。この流れを強さ''b'' の二重湧き出しという。
{{節stub}}
<!--=== 円柱周りの流れ場 ===
=== 循環のある円柱周りの流れ場 ===-->
== 参考文献 ==
<references/>
{{physics-stub}}
{{DEFAULTSORT:ふくそそくとほてんしやる}}
[[Category:流体力学]]