角速度のソースを表示

{{混同|角周波数}}

{{出典の明記|date=2013年5月19日 (日) 23:02 (UTC)}}

{{物理量
| 英語 = angular velocity
| 記号 = ''&omega;''
| T = &minus;1
| 階 = [[擬ベクトル]]
| SI = [[ラジアン毎秒]] (rad/s)
| CGS = 
| MTS = 
| FPS = 
| MKSG = 
| CGSG = 
| FPSG = 
| プランク = 
| 原子 = 
}}
{{古典力学}}
[[Image:Angular velocity jp.png|thumb|円運動する物体に対する角速度ベクトル {{math|'''Ω'''}} と[[位置ベクトル]] {{mvar|'''r'''}}、[[速度|速度ベクトル]] {{mvar|'''v'''}} の関係。それぞれのベクトルは互いに[[直交]]している。]]

[[運動 (物理学)|運動学]]において、'''角速度'''（かくそくど、{{lang-en-short|angular velocity}}）は、ある点をまわる[[回転|回転運動]]の[[速度]]を、[[単位時間]]に進む[[角度]]によって表わした[[物理量]]である。言い換えれば角速度とは、[[原点]]と物体を結ぶ[[線分]]、すなわち[[動径]]が向く角度の[[時間変化|時間変化量]]である。特に[[円運動#等速円運動|等速円運動]]する物体の角速度は、物体の[[速度]]を円の[[半径]]で割ったものとして与えられる{{sfn|江沢|2005|p=42|loc=§6 曲線運動}}。従って角速度の[[量の次元]]<ref group="注">物理学などの文献においては、文脈上紛れがない限り、単に「次元」と呼ばれる。</ref>は、通常の[[並進運動]]の速度とは異なり<ref group="注">速度の次元は[[長さ]] L に[[時間]] T の[[逆数]]を掛けた L&sdot;T<sup>&minus;1</sup> である。</ref>、[[時間]]の[[逆数]] T<sup>&minus;1</sup> となる。

== 概要 ==
角速度の[[単位]]は角度の単位と[[時間]]の単位の[[比]]によって表わされる。例えば[[国際単位系]]においては、角度の単位はラジアン (rad)、時間の単位は[[秒]] (s) であるため、角速度の単位は[[ラジアン毎秒]] (rad/s) となる。角速度を表す記号としてはしばしば[[ギリシア文字]]の [[ω|{{mvar|ω}}]] や {{math|Ω}} が用いられる<ref>例えば {{mvar|ω}} について {{harvnb|江沢|2005|p=42}}、{{harvnb|新井|2003|p=167}} など。{{math|Ω}} について {{harvnb|江沢|2005|p=254}}、{{harvnb|ランダウ|リフシッツ|1974|p=121}} など。後者は特に[[運動座標系]]に対する一般の角速度に対して用いられている。</ref>。

角速度が関係する物理現象としては例えば[[遠心力]]や[[コリオリ力]]がある。

角速度は、ある[[座標系]]における動径の角度の[[時間微分]]であるが、角速度の時間微分は[[角加速度]]と呼ばれる。また角速度の時間[[積分]]はある時刻間における回転角を与える。

=== 角速度の「向き」と「大きさ」 ===

角速度は[[物体]]が[[回転|回転運動]]する[[平面]]に対して[[時計回り]]か反時計回りかいずれか一つの方向を[[正の数と負の数|正]]とし、他方を負とするように定義される。また符号の正負は、幾何学的には角速度の向きに対応づけることができる。標準的に用いられる[[右手系]]の[[座標系]]では、角速度の符号は反時計回りを正として定義され、角速度の向きは[[右手の法則]]に従い、回転面が反時計回りに見える方向を向くように定められる。

角速度はしばしば[[スカラー (物理学)|スカラー]]や[[ベクトル空間|ベクトル]]として扱われるが、[[鏡映|鏡映反転]]により向きが変ってしまう<ref group="注">z軸周りの回転運動を表わす角速度はz軸成分しかもたないため、真にベクトルであるならばx-z面を鏡映面とする鏡映反転により不変に保たれるはずであるが、鏡映反転により回転運動の方向は反転されるため、z軸成分の符号が反転する。</ref>などの性質から、厳密にいえば[[擬スカラー]]や[[擬ベクトル]]として扱われる。[[2次元]]空間上では回転平面の軸は一つに限られるため、角速度は擬スカラーとなり、[[3次元]]空間においては回転平面の軸は自由な方向を向くことができるため、角速度は擬ベクトルとなる<ref group="注">より高次元の空間を含む {{Mvar|n}} 次元空間に対して統一的に使える方法としては、自由度 {{Math|{{sfrac|1|2}}''n''(''n'' &minus; 1)}} の二階[[反対称テンソル]]として表わす方法がある。</ref>。

また、角速度の[[絶対値]]（または[[ノルム]]）をしばしば'''角速度の大きさ'''と呼ぶが、文脈によっては、角速度の大きさを含めて単に「角速度」と呼ぶことがある。

== 定義 ==
[[質点]]の[[位置ベクトル|位置]]ベクトルを {{mvar|'''r'''}}、[[速度]]ベクトルを {{mvar|'''v'''}} とするとき、質点の原点まわりの角速度 {{mvar|'''&omega;'''}} は
:<math>\boldsymbol\omega = \frac{1}{r^2} \boldsymbol{r} \times \boldsymbol{v}</math>

と定義される。ここで {{mvar|r}} は位置ベクトルの大きさ {{math|{{abs|'''''r'''''}}}} であり、{{math|&times;}} は[[ベクトル積]]を表す。この定義は以下のように示される。

[[時刻]] {{mvar|t}} と {{mvar|t&prime;}} における質点の位置ベクトルをそれぞれ {{mvar|'''r'''}}、{{mvar|'''r&prime;'''}} とする。これらのなす角度を {{mvar|&phi;}} とすれば
:<math>|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{r}'| =r\, r' \sin\phi</math>
である。時間の間隔 {{math|1=''&Delta;t'' = ''t''' &minus; ''t''}} が小さいときに
:<math>\boldsymbol{r}' =\boldsymbol{r} +\boldsymbol{v} \Delta t +O(\Delta t^2)</math>
:<math>r' =r+O(\Delta t)</math>
:<math>\sin\phi =\omega \Delta t +O(\Delta t^2)</math>
であることから、ベクトル積に関する恒等式 {{math|1='''''r''''' &times; '''''r''''' &equiv; 0}}を用いれば
:<math>|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{v}| \Delta t + O(\Delta t^2) = r^2 \omega \Delta t + O(\Delta t^2)</math>
が得られ、上式両辺における {{mvar|&Delta;t}} の1次の項を比較して
:<math>|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{v} | =r^2 \omega</math>
が導かれる。回転角 {{math|1='''''&phi;''''' = '''''&omega;'''&Delta;t''}} の向きを回転軸の方向（すなわち右ねじの進む方向<!--{{sfn|岩波理化学事典|1998|p=233}}-->）に一致するように定めると{{sfn|ランダウ|リフシッツ|1974|p=21|loc=§9 角運動量}}、定義式が導かれる。

== 剛体回転 ==
位置ベクトルと角速度のベクトル積は、三重積の公式から
:<math>\boldsymbol{\omega} \times\boldsymbol{r} =\boldsymbol{v} -\frac{\boldsymbol{r}}{r^2}(\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{v})</math>
となる。動径方向の単位ベクトル {{math|1='''''e'''{{sub|r}}'' = '''''r'''''/''r''}} を導入すれば
:<math>\boldsymbol{v} =v_r \boldsymbol{e}_r +\boldsymbol{\omega} \times\boldsymbol{r}</math>
である。動径方向の速度成分を持たないとき、すなわち原点からの距離が変化しないとき
:<math>\boldsymbol{v} =\boldsymbol{\omega} \times\boldsymbol{r}</math>
となる。特に原点を固定点とする剛体回転では、単一の角速度によってすべての粒子の速度が同じ形で表される。

== 注釈 ==
{{reflist|group="注"}}

== 出典 ==
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{cite book|和書|last=江沢|first=洋|authorlink=江沢洋|date=2005-2-20|edition=初版|title=力学 ― 高校生・大学生のために|publisher=日本評論社|isbn=4-535-78501-5|ref=harv}}

* {{cite book|和書|last1=ランダウ|first1=レフ|authorlink1=レフ・ランダウ|last2=リフシッツ|first2=エフゲニー|authorlink2=エフゲニー・リフシッツ|others=広重, 徹 (訳); 水戸, 巌 (訳)|title=力学|series=理論物理学教程|edition=増訂第3版|publisher=東京図書|date=1974-10-1|isbn=978-4-489-01160-3|ref=harv}}

* {{cite book|和書|last=新井|first=朝雄|authorlink=新井朝雄|title=物理現象の数学的諸原理 ― 現代数理物理学入門|publisher=共立出版|date=2003-2-20|isbn=4-320-01726-9|ref=harv}}
* {{cite book|和書|last1=長倉|first1=三郎|last2=井口|first2=洋夫|last3=江沢|first3=洋|last4=岩村|first4=秀|last5=佐藤|first5=文隆||last6=久保 |first6=亮五|title = 岩波理化学辞典|publisher = [[岩波書店]]|edition = 第5版|date=1998-2-20|ref={{sfnref|岩波理化学事典|1998}}}}

== 関連項目 ==
* [[角周波数]]
* [[回転速度]]
* [[角運動量]]
* [[角加速度]]
* [[回転運動]]
* [[振動運動]]
* [[CAV]]
* [[ジャイロスコープ]]（角速度センサ）

* [[角速度の比較]]

{{物理学}}
{{古典力学のSI単位}}

{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:かくそくと}}

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[[Category:角度]]
[[Category:物理量]]
[[Category:回転]]
[[Category:回転対称性]]
[[Category:数学に関する記事]]