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{{出典の明記|date=2015年10月}} '''解析関数'''(かいせきかんすう、{{lang-en-short|analytic function}})とは、定義域の各点において解析的(収束冪級数で書ける)な関数のことである。場合により多少異なった意味でも用いられる。[[複素数|複素]]変数 ''z'' の複素数値関数 ''f''(''z'') が1点 ''z'' = ''c'' で'''解析的''' (analytic) であるとは、''c'' の近傍で ''z'' − ''c'' の[[冪級数]]で表されることを云う。 == 一般の用法 == [[数学]]において、'''解析関数'''(かいせきかんすう)とは、各点で[[収束]][[冪級数]]で与えられる[[関数 (数学)|関数]]のことである。 複素関数については、もし一変数複素関数 ''f'' が[[複素領域]]の点 ''c'' を中心とする[[開近傍]] ''D'' で[[正則関数|正則]]であれば、同じ開近傍内で任意の階数の[[導関数]]が存在し、冪級数 :<math>\sum_{n=0}^\infty {f^{(n)}(c) \over n!} (z-c)^n</math> が ''D'' 内の全ての点で ''f''(''z'') に収束するので(複素)解析的である。そして複素平面上の定義域内のすべての点で解析的な[[関数 (数学)|関数]]を'''解析関数'''という。従って複素関数においては正則関数と解析関数は(驚くべきことに)全く同じ概念である。このことは、複素関数が実関数と比べ良い挙動を示すという重要な性質である。 結果として、定義域を複素平面上の一つの領域に限れば、[[複素解析]]では解析関数は[[正則関数]]と同義となる。 多変数の複素関数は、もしその関数がその各変数での収束冪級数で局所的に展開可能なときに解析的または正則と定義される。この条件は'''[[コーシー・リーマンの関係式]]'''より強い条件である。 一方で局所的に冪級数で与えられた実変数の関数を'''実解析関数'''というが、実関数では微分可能性だからといって実解析関数とは全く限らない。 == ワイエルシュトラスの解析関数 == 複素平面上のある領域で定義された正則関数はその中の各点にそれを中心とする冪級数を有する。冪級数とその収束円との組をその点における関数要素と言う。1点から出発して曲線に沿った[[解析接続]]で関数要素を次々に接続していくことにより定義域が拡張される。(詳細は項目「[[解析接続]]」を参照)あらゆる曲線に沿って出来るだけ解析接続を行い、定義域を限度一杯まで拡張して得られる関数を'''([[ワイエルシュトラス]]の)解析関数'''と云う。ある点における関数の値は、その点を中心とする関数要素のとる値として得られる。[[関数論]]はこの意味の解析関数を対象とする数学分野である。 こうして得られる解析関数には次のような特色がある。 * 解析関数はその1つの関数要素を与えれば、その定義域を含めて完全に定まる。 従って複素平面上の小さな領域で定義された正則関数からもその拡張である大域的な解析関数が一意的に定まる。 * 複素平面上の1点 ''c'' での値はそれを中心とする関数要素により定まるが、その関数要素は基準点からの解析接続の経路により一般には異なる。従って ''c'' での関数の値は一般には2つ以上定まり、関数は多価になる。例えば[[平方根]]を表す関数は2価であり、[[対数]]関数は無限[[多価関数]]である。 * 多価解析関数は、複素平面を変形して適当な[[リーマン面]]をつくると、その上では1価の正則関数と見なせるようになる。かくして通常の正則関数に関する多くの成果、例えば[[コーシーの積分定理]]なども適切な扱いのもとでそのまま使えるようになる。 ::「形容詞‘解析’ (analytic) は、むしろ全局的の意味において用いられる。局所的には簡便に正則 (regular) という。フランス系では'''整型''' (holomorphe) ともいう。」(高木貞治『解析概論』p.202) == 関連項目 == * [[関数論]] * [[正則関数]] == 参考文献 == * [[高木貞治]]『解析概論』[[岩波書店]]、1938年(第1版)、1961年(改訂第3版) * {{Cite web |title=Analytic Function |url=https://mathworld.wolfram.com/ |website=mathworld.wolfram.com |access-date=2023-05-09 |language=en |first=Eric W. |last=Weisstein}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:かいせきかんすう}} [[Category:解析関数|*]] [[Category:数学に関する記事]]
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