解離 (化学)のソースを表示

{{出典の明記|date=2017年8月24日 (木) 15:03 (UTC)}}
'''解離'''（かいり、{{lang-en-short|dissociation}}）は、[[錯体]]や[[分子]]および[[塩 (化学)|塩(えん)]]などが分離または分裂し、より小さい分子や、[[イオン (化学)|イオン]]もしくは[[ラジカル (化学)|ラジカル]]を生じる過程である<ref>{{Kotobank|解離|2=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典}}</ref><ref>{{GoldBookRef|title=dissociation|file=D01801}} </ref>。なお、解離反応は多くの場合において[[可逆反応]]である{{要出典|date=2017年8月24日 (木) 15:12 (UTC)}}。

[[共有結合]]が切断される場合は同意語として '''開裂'''（かいれつ、{{lang-en-short|cleavage}}）とも呼ぶ。また、塩がイオンに分かれる解離のことを[[電離]](でんり、{{lang-en-short|ionization}})とも呼ぶ。

解離の反意語（逆反応）は[[化学結合|結合]]や再結合。小分子への分離の場合には、[[会合]]も反意語となる。

== 解離定数 ==
{{Main|解離定数}}
以下の式で表されるような[[化学平衡]]状態にある可逆的解離について、

<math> \rm AB \ \overrightarrow\longleftarrow \ \rm A + B </math>

'''[[解離定数]]'''は下式で求められる。

<math>K_d = \frac{\rm [A][B]}{\rm [AB]}</math>

ここで [X] は基質Xの濃度を示す。解離定数 ''K''<sub>d</sub> は解離した化合物と解離していない化合物との比である。

[[結合定数|会合定数]]（結合定数とも）''K''<sub>a</sub> は、解離定数 ''K''<sub>d</sub> の逆数である。

生化学分野や酸塩基の議論では、解離定数を用いることが多い。逆に、[[超分子]]化学やホスト・ゲスト化学では会合定数の大小で会合能の評価を行う場合が多い<ref>{{Cite web|和書|title=平衡定数・会合定数・解離定数・結合定数について分かりやすく解説|url=https://chemblogno1.blogspot.com/2019/10/blog-post.html|accessdate=2019-10-04}}</ref>。

== 塩 ==
[[水]]のような[[溶媒]]に塩を[[溶解]]させると生じる塩の解離は、具体的には[[陰イオン]]と[[陽イオン]]が解離することを意味する（電離）。これは、溶媒を[[蒸発]]させることで塩に戻すことが可能である。

== 酸塩基反応 ==
溶液中における[[ブレンステッド酸]]の解離は[[水素イオン|プロトン]] H<sup>+</sup> の遊離を意味する（詳しくは「[[酸と塩基]]」の項を参照）。この反応は、解離と再結合が同時に生じる[[化学平衡|平衡]]反応である。[[酸解離定数]] ''K''<sub>a</sub> は[[酸]]の強度の尺度として用いられる。より強い酸ほど、より大きい ''K''<sub>a</sub> 値と小さい pKa 値をとる。({{pKa}} = &minus;log''K''<sub>a</sub>)

== 共有結合の開裂 ==
共有結合が開裂する場合にその形式を、共有結合を作っていた2個の電子の動きによって2通りに大別する。[[ホモリティック開裂]]（ホモリシス）と[[ヘテロリティック開裂]]（ヘテロリシス）である。

ホモリティック開裂は、2個の電子が開裂後に分かれた2個の原子へ1個ずつ残る形式である。通常は2個の[[ラジカル (化学)|ラジカル]]が生成する。

:<chem>R-R' -> {R.} + {R'.} </chem>

ヘテロリティック開裂は、2個の電子の両方が、分かれた原子のどちらか一方へ移動する形式である。通常は[[カチオン]]と[[アニオン]]が1個ずつ生成する。

:<chem>R-R' -> {R^-} + {R^+} </chem>

[[質量分析法|質量分析計]]などの系中で起こる分子のフラグメント化は、電子を奪われたりイオン性の[[化学種]]が付加することをきっかけとして、ヘテロリティック開裂やホモリティック開裂の過程で起こる。

== 受容体 ==
[[受容体]]は、小分子[[リガンド]]と結合する[[タンパク質]]である。解離定数 ''K''<sub>d</sub> は、リガンドとレセプターとの[[化学親和力|親和性]]の尺度として用いられる。 レセプターとの親和性が大きいリガンドほど ''K''<sub>d</sub> はより小さな値となる（p''K''<sub>d</sub>はより大きな値となる）。

== 脚注 ==
{{reflist}}

{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:かいり}}
[[Category:化学反応]]
[[Category:溶液化学]]