誤った数学的推論のソースを表示

{{出典の明記|date=2017年2月}}
[[証明 (数学)|証明]]などの数学的記述において、数学的根拠を欠いた適切でない推測を用いた'''誤った推論'''（あやまったすいろん、{{lang-en-short|''fallacy''}}; '''誤謬'''）から導かれる結論は、一見して有り得ない状況に逢着することも多く、ときには結論だけ取り出せば正しいことがありうるとしても、議論全体としては完全に破綻している。

==概要==
一例として、以下のようなものがある。
:<math>\frac{14}{43} = \frac{1\!{\not4}}{{\not4}\,3}=\frac{1}{3}</math>
本来、<math>\textstyle\frac{14}{43}</math>は[[分子]]と[[分母]]が[[互いに素 (整数論)|互いに素]]であるので[[約分]]はできない。約分は分母全体と分子全体を同一の数で割ることでなされるが、分子の4と分母の4が共通していることに目をつけ、分子の1と4、分母の4と3をそれぞれ単独の数と見なして同一の数で割って[[計算]]されたのが上の例である。

==代数学における誤謬==
[[代数学]]、特に[[ゼロ除算]]による間違った証明は数多くある。2 = 1の誤った証明として以下のようなものがある。
# 0ではない <math>a</math> と <math>b</math> が等しいとする。
#:<math>a = b</math>
# 両辺に <math>a</math> を掛ける。
#:<math>a^2 = ab</math>
# 両辺から <math>b^2</math> を引く。
#:<math>a^2 - b^2 = ab - b^2</math>
# 両辺をそれぞれ因数分解する。
#:<math>(a - b)(a + b) = b(a - b)</math>
# 両辺を <math>(a - b)</math> で割る。
#:<math>a + b = b</math>
#  <math>a = b</math> であるから
#:<math>b + b = b</math>
# よって
#:<math>2b = b</math>
# 両辺を <math>b</math>で割る。
#:<math>2 = 1</math> [[Q.E.D.]]<ref>{{citation|first=Harro|last=Heuser|title=Lehrbuch der Analysis - Teil 1|edition=6th|publisher=Teubner|year=1989|isbn=978-3-8351-0131-9|page=51}}</ref>
誤謬があったのは5である。4から5に進む際、<math>(a-b)</math>で割っているが、それは0に等しいので割ることは出来ない。

==極限に関する誤謬==
aをbに極限まで近づけるということを、aをbとする、と間違えたことによる間違った証明もある。
#<math>a</math>を、正の方向から0に極限まで近づいた数とする。
#このとき、<math>a^a</math>は0なので
#:<math>0^0=0</math>
#また、<math>a^0</math>は1であるから
#:<math>0^0=1</math>
#よって
#:<math>0=1</math>[[Q.E.D.]]
誤謬があったのは2,3である。0に極限まで近づけた数と0は同一ではない。
== 脚注 ==
{{Reflist}}

==関連項目==
*[[数学的なジョーク]]
*[[ゼロ除算]]

==参考文献==

{{DEFAULTSORT:あやまつたすうかくてきすいろん}}
[[Category:無効な証明|*]]
[[Category:数学パズル]]
[[Category:推論]]
[[Category:証明論]]
[[Category:ジョーク]]
[[Category:数学的思考]]
[[Category:数学に関する記事]]