質量数のソースを表示

'''質量数'''（しつりょうすう、{{Lang-en|mass number}}）とは、[[核種]]を区別する量の一つで<ref name="Povh">[[#Povh|B.ポッフ ''et al.'']], p.14</ref>、[[原子核]]を構成する[[核子]]の個数、すなわち[[陽子]]と[[中性子]]の個数の合計である<ref name="r">[[#jiten|『岩波理化学辞典』]]、項目「質量数」</ref><ref name="Povh"/>。通常は記号 {{mvar|A}} で表される<ref name="Povh"/>。

[[同位体]]を区別するときに用いられることが多く<ref name="r" />、[[元素記号]]の左肩に示す。たとえば、質量数12の[[炭素]]の場合は
:{{sup|12}}C
で表す。

[[原子番号]]は同じであるが質量数が異なる原子は原子核を構成する中性子の数が異なり、[[同位体]]と呼ばれる。これに対して同じ質量数であるが原子番号（すなわち陽子数）が異なる原子を[[同重体]]と呼び、中性子数が同じであるが原子番号が異なるものを[[同中性子体]]（同調体）という。

質量数はあくまで核子の個数であり、原子核自体の質量とは別物である。質量数は[[原子量]]（相対原子質量）とほとんど変わらないもののごく僅かに異なる<ref name="r" />。ただし、実際の計算では質量数を原子量として用いる事も多い。
ある中性原子の質量を {{math|''m''{{sub|a}}}} としたとき
:<math>\Delta =m_\text{a} -Am_\text{u}</math>
を質量過剰（{{en|mass excess}}）という。ここで {{math|''m''{{sub|u}}}} は[[原子質量定数]]である。
核子1個あたりの質量過剰を[[統一原子質量単位]]（ダルトン、記号: Da）で表した値
:<math>f =\frac{\Delta/\text{Da}}{A}</math>
はパッキング・フラクション（{{en|packing fraction}}）という<ref>[[#jiten|『岩波理化学辞典』]]、項目「パッキングフラクション」</ref>。

核子の質量の合計よりも原子核の質量の方が僅かに少なくこの差が[[質量欠損]]である。質量欠損は
:<math>B =Zm_\text{p} +(A-Z)m_\text{n} -m_\text{a}</math>
で表される。核子1個あたりの質量欠損を Da で表した値
:<math>b =\frac{B/\text{Da}}{A}</math>
はバインディング・フラクション（{{en|binding fraction}}）という。

== 脚注 ==
<references />

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
 |editor= 長倉三郎 ほか
 |title= 岩波 理化学辞典
 |edition= 第5版
 |publisher= [[岩波書店]] |year= 1998
 |isbn= 9784000800907
 |url= https://www.iwanami.co.jp/book/b256607.html
 |ref= jiten
}}
* {{Cite book|和書
 |author= B.ポッフ、K.リーツ、C.ショルツ、F.サッチャ
 |translator= 柴田利明
 |title= 素粒子・原子核物理入門
 |edition= 改訂新版
 |publisher= [[丸善出版]]
 |year= 2012
 |isbn= 978-4-621-06134-3
 |ref= Povh
}}
* {{Cite jis|Z|8000-10|2022|name= 量及び単位－第10部：原子物理学及び核物理学}}

== 関連記事 ==
* [[原子番号]]
* [[原子量]] - [[原子質量単位]]
* [[質量欠損]]
* [[アボガドロ定数]]
* [[超電荷]] - [[バリオン数]]

{{放射線}}

{{DEFAULTSORT:しつりようすう}}

[[Category:原子]]
[[Category:原子核物理学]]
[[Category:無次元数]]