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{{出典の明記|date=2011年7月}} {{otheruses|天文学での離心率|幾何学での離心率|離心率}} [[File:OrbitalEccentricityDemo.svg|thumb|right|離心率と円錐曲線]] {{Astrodynamics}} [[軌道力学]]において、'''軌道離心率'''(きどうりしんりつ、{{lang-en|orbital eccentricity}})とは、[[天体]]の軌道がどれだけ真円から離れているかを表す[[媒介変数|パラメーター]]であり、0から∞までの値をとる。軌道離心率は天体の運動を決定する6つの[[軌道要素]]のうちの一つである。 軌道離心率eは *<math>e = 0</math>のときに[[円軌道]] *<math>0 < e < 1</math>のときに[[楕円軌道]] *<math>e = 1</math>のとき[[放物線軌道]] *<math>e > 1</math>のとき[[双曲線軌道]] となる。軌道離心率が1未満であることは[[周回軌道]]の条件であるため、彗星等の遠方からの天体の軌道の分析にとって重要な意味を持つ。 通常、軌道離心率は楕円の{{仮リンク|ケプラーの軌道|en|Kepler orbit}}を運動する[[二体問題]]か、二天体以外の[[摂動]]の効果が小さく[[ケプラーの法則]]が近似して当てはめられる系(一般の衛星や惑星の軌道)に対して定義されるが、[[クレンペラーのバラ飾り]]など、3体以上の問題でも楕円軌道をとり軌道離心率が定義できる系が存在する。また、[[逆二乗則]]の働く相互作用では離心率が定義できる。 == 定義 == === 幾何学的な定義 === [[Image:Eccentricity.png|thumb|right|upright=1.25| 焦点Fと準線Lを固定し、離心率 {{Math|''e''}} を変えて描かれた円錐曲線。]] 一般に円錐曲線の離心率<math>e</math>は、焦点F、準線L上の点P'、曲線状の点Pの距離の比によって <math>e = \frac{\mathrm{FM}}{\mathrm{MM'}}</math> と定義される。離心率が変化しない曲線状のどの点Pについても離心率が変化しない曲線が円錐曲線である。 楕円軌道の場合は、離心率<math>e</math>を軌道長半径をa、軌道短半径をbとして次の式で表すこともできる<ref>{{Cite web|url=https://astro-dic.jp/eccentricity/|title=離心率 天文学辞典|accessdate=2024-03-08}}</ref>。 <math>e = \sqrt{1-\left(\frac{b}{a}\right)^2}</math> === 全エネルギーを用いた表示 === 更にエネルギーとの関係で離心率<math>e</math>を、全エネルギー<math>E</math>、[[角運動量]]<math>L</math>、[[換算質量]]<math>m_{red}</math>、中心力の係数<math>\alpha</math>として次の式で表せる。 <math display="block">e = \sqrt{1 + \frac{2 E L^2}{m_\text{red}\, \alpha ^2}}</math> ただし換算質量<math>m_\text{red}</math>とは、二天体の質量を<math>m_1</math>と<math>m_2</math>として <math>m_\text{red} = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}</math> で表される量であり、中心力の係数<math>\alpha</math>とは、公転する天体にかかる力Fと中心天体からの距離rを用いて <math>\alpha = F \cdot r^2</math> で表される量である。 == 計算 == 離心率は、[[離心率ベクトル]]の絶対値として表される。 :<math>e= \left | \mathbf{e} \right |</math> ここで<math>\mathbf{e}\,\!</math>は離心率ベクトルである。 楕円軌道では、[[近点・遠点|近点距離]] <math>r_{\mathrm{p}}</math>、[[近点・遠点|遠点距離]] <math>r_{\mathrm{a}}</math> でも表現できる。 :<math>e={\frac{r_{\mathrm{a}}-r_{\mathrm{p}}}{r_{\mathrm{a}}+r_{\mathrm{p}}}}=1-\frac{2}{r_{\mathrm{a}}/r_{\mathrm{p}}+1}.</math> == 例 == [[File:Animation of Orbital eccentricity.gif|thumb|right|周期が等しく離心率が異なる軌道の運動<br>{{legend2| OrangeRed |0.0}}{{·}}{{legend2|Lime|0.2}}{{·}}{{legend2|Cyan|0.4}}{{·}}{{legend2|Gold|0.6}}{{·}}{{legend2|hotpink|0.8}}]] [[File:Oumuamua orbit at perihelion.png|thumb|280px|オウムアムアの双曲線軌道]] [[地球]]の軌道離心率は[[惑星]]間[[重力]]の相互作用により、長年の間にほぼ0から約0.05までの間を振れており、現在は約0.0167である<ref name="nssdc_earthfactsheet"/>([[月]]は0.0549<ref name="nssdc_moonfactsheet"/>)。[[水星]]は0.2056と、[[太陽系]]の他の惑星と比べてかなり大きい値を持つ<ref name="nssdc_mercuryfactsheet"/>。[[準惑星]]の[[冥王星]]はさらに大きく、0.248である<ref name="nssdc_plutofactsheet"/>。太陽系の[[小惑星]]のほとんどは0から0.35の間で、その平均は0.17であるが、比較的大きい値を持つものは、[[木星]]の強力な重力の影響による。太陽系の中で最も値が小さいのは、[[海王星]]の[[海王星の衛星|衛星]][[トリトン (衛星)|トリトン]]の0.000016である。 [[彗星]]の軌道離心率はほぼ1に近い。[[周期彗星]]は非常に長細い楕円軌道で1よりわずかに小さく、例えば[[ハレー彗星]]は0.967である。[[非周期彗星]]は放物線に近い軌道を描き、やはり1に近い。例えば[[ヘール・ボップ彗星]]は0.995086、[[マックノート彗星 (C/2006 P1)|マックノート彗星]]は1.000030である。前者の値は1より小さいため、実は楕円軌道で西暦4380年頃に再び現れる。一方、後者は[[双曲線軌道]]であり、太陽系を離れれば二度と戻ることはない。[[1980年]]に発見された[[ボーエル彗星]]は1.058と、太陽系内で観測された天体の中での最大記録であったが、[[2017年]]に発見された観測史上初の[[恒星間天体]]である[[オウムアムア (恒星間天体)|オウムアムア]]は1.199と極端な双曲線軌道を描いており、最大値を大きく更新した。その後、2019年に発見された2番目の恒星間天体である[[ボリソフ彗星 (2I/Borisov)|ボリソフ彗星]]は離心率がおよそ3.3と、最大値をさらに更新した。 観測された中で最も値が小さい(=真円に近い)軌道を持つ天体は、[[白色矮星]][[EQ J190947-374414]]と[[連星]]になっている[[パルサー]][[PSR J1909-3744]]の0.000000135である。 == 出典 == {{脚注ヘルプ}} {{reflist|refs= <ref name="nssdc_earthfactsheet">{{cite web | url = https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/earthfact.html | title = Earth Fact Sheet | author = | authorlink = | coauthors = | date = | format = | work = | publisher = [[アメリカ航空宇宙局]] | pages = | language = | archiveurl = | archivedate = | quote = | accessdate = 2019-10-02}}</ref> <ref name="nssdc_moonfactsheet">{{cite web | url = https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/moonfact.html | title = Moon Fact Sheet | author = | authorlink = | coauthors = | date = | format = | work = | publisher = [[アメリカ航空宇宙局]] | pages = | language = | archiveurl = | archivedate = | quote = | accessdate = 2019-10-02}}</ref> <ref name="nssdc_mercuryfactsheet">{{cite web | url = https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/mercuryfact.html | title = Mercury Fact Sheet | author = | authorlink = | coauthors = | date = | format = | work = | publisher = [[アメリカ航空宇宙局]] | pages = | language = | archiveurl = | archivedate = | quote = | accessdate = 2019-10-02}}</ref> <ref name="nssdc_plutofactsheet">{{cite web | url = https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/plutofact.html | title = Pluto Fact Sheet | author = | authorlink = | coauthors = | date = | format = | work = | publisher = [[アメリカ航空宇宙局]] | pages = | language = | archiveurl = | archivedate = | quote = | accessdate = 2019-10-02}}</ref> }} == 関連項目 == * [[離心率]] * [[ミランコビッチ・サイクル]] * [[ベルトランの定理]] {{軌道}} {{DEFAULTSORT:きとうりしんりつ}} [[Category:軌道]] [[Category:力学]] [[Category:天文学に関する記事]] [[Category:率・割合]] [[ru:Кеплеровы элементы орбиты#Эксцентриситет]]
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