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近似による誤差
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[[ファイル:E^x_with_linear_approximation.png|サムネイル|<math>f(x) = e^x</math>(青)と、{{math|1=''x'' = 0}} における線形近似 <math>P_1(x) = 1 + x</math>(赤)のグラフ。近似による誤差は2つのグラフの差であり、{{mvar|x}} の値が0より大きくなるほど誤差も大きくなっている。]] '''近似による誤差'''(きんじによるごさ)とは、[[真の値]]と[[近似値]]の差のことである。 近似による誤差は以下のような事情で発生する: # 測定に用いる器具が原因で [[測定]]した[[データ]] が厳密でない(例: 正確には29.7 cmの長さがある[[紙の寸法#A列|A4]]用紙の[[長辺]]の長さを[[小数]]の目盛りがない[[定規]]で測れば、測定結果を29cmか30cmに[[丸め]]ざるを得ない)。 # 実際の値の代わりに、近似値を用いる(例: [[円周率]]{{mvar|π}}の代わりに3.14を用いて計算する)。 [[数値解析]]の[[数学]]の分野では、[[アルゴリズム]]の[[数値的安定性]]は誤差がアルゴリズムの過程でどのように伝搬していくかということに対応している。 == 形式的な定義 == 一般的に、近似による誤差については、'''[[相対誤差]]'''と'''絶対誤差'''を区別して考える。 真の値 ''v'' とその近似 ''v''<sub>approx</sub> に対して、その'''絶対誤差'''''ε''は : <math>\epsilon = |v-v_\text{approx}|</math> で[[定義]]される<ref name="ohmori1967">{{Cite journal|author=大森 重夫|date=1967|title=メッキ液の分析精度管理について|url=http://joi.jlc.jst.go.jp/JST.Journalarchive/sfj1950/18.486?from=CrossRef|journal=Journal of the Metal Finishing Society of Japan|volume=18|issue=12|pages=486–493|language=ja|doi=10.4139/sfj1950.18.486|issn=1884-3395}}</ref>。ここで、縦棒|·|は[[絶対値]]を表す記号である。 次に、<math> v \neq 0</math>の場合、'''相対誤差'''''η''は : <math>\eta = \frac{\epsilon}{|v|} = \left|\frac{v-v_\text{approx}}{v}\right| = \left|1-\frac{v_\text{approx}}{v}\right|</math> <ref name="ohmori1967" />、'''誤差百分率'''''δ''は、 :<math>\delta = 100\%\times\eta = 100\%\times\frac{\epsilon}{|v|} = 100\%\times\left| \frac{v-v_\text{approx}}{v} \right|</math> と定義できる<ref>{{Cite journal|author=竹平 昭暢|year=2001|title=測定値と誤差|journal=ターボ機械|volume=29|issue=6|pages=371-377|DOI=10.11458/tsj1973.29.371}}</ref>。つまり、絶対誤差とは真の値と近似値の差の{{仮リンク|大きさ (数学)|label=大きさ|en|Magnitude_(mathematics)}}そのもので、相対誤差とは絶対誤差を真の値で割ったものということになる。これは真の値に対する絶対誤差の割合と言い換えることもでき、誤差百分率は相対誤差を[[百分率]]で表したものである。 === 一般化 === 以上の誤差の定義は、[[空間ベクトル|''n''次元]]ベクトルの場合にも拡張することができる。この場合には、絶対値の代わりに [[ノルム|''n''-ノルム]]を用いればよい<ref name="GOLUB_MAT_COMP2.2.3">{{cite book|last=Golub|first=Gene|title=Matrix Computations – Third Edition|year=1996|publisher=The Johns Hopkins University Press|pages=53|location=Baltimore|author2=Charles F. Van Loan|authorlink=Gene_H._Golub|isbn=0-8018-5413-X}} </ref>。 == 計算例 == 絶対誤差と相対誤差の計算例を示す。真の値が50で近似49.9の場合、その絶対誤差は |50 − 49.9| = 0.1 となり、相対誤差は 0.1/50 = 0.002 = 0.2% となる。またもう一つの例として、6 mL 入っているビーカーに対して 5 mL と測定した場合、正確な値は 6 mL となるため、誤差百分率は約 16.7% となる。 == 相対誤差の利用 == 相対誤差は、全く異なる大きさの値に対する近似値の[[精度]]を比較する場合にしばしば使われる。例を挙げると、真の値が1000であるのに対し近似値を1003と与える場合と、真の値が1000000であるときに近似値を1000003で与える場合とでは、どちらも絶対誤差は3で等しいが、実際には大抵の場合に前者の近似がより意味をなさないことが多い。実際相対誤差を計算してみると、前者が0.003なのに対し後者は0.000003であるから、絶対誤差は同じでも相対誤差は1000倍もの差になるのである。 しかし相対誤差を利用するにあたっては、以下に示す2つの点に注意せねばならない。まず、相対誤差の計算では[[分母]]に真の値を用いるから、真の値が0の時には相対誤差を定義できない。第二に、相対誤差は[[比率尺度]](すなわち、ゼロに絶対的な意味がある尺度)の単位を持つ値に対しては意味を持つのだが、そうでない場合の取扱には注意が必要であることである。 例えば、[[温度]]を測定した際に絶対誤差が[[摂氏]]1℃で、真の温度は摂氏2℃であったとしよう。この場合の相対誤差は定義に従えば0.5(50%)と計算できる。しかし同じ場合でも温度を[[ケルビン|絶対温度]]で計測していた場合、絶対誤差は摂氏の場合と同様に1Kであるが、真の値が275.15Kであるから相対誤差はわずか3.63×10{{sup-|3}}(0.363%)となる。摂氏温度は単に間隔尺度であるのに対し、絶対温度は0Kという真のゼロ点を有するので比率尺度である。したがって、相対誤差を計算するならば絶対温度を用いなければ適切とは言えない。 == 測定誤差 == ほとんどの測定器は、フルスケール(最大測定可能な量)に対して一定の割合の精度が保証されている。こういったある特定の値からの誤差の上限のことを、誤差限界または誤差保証という<ref>Helfrick, Albert D. (2005) ''Modern Electronic Instrumentation and Measurement Techniques''. p. 16. {{ISBN2|81-297-0731-4}}</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == * {{仮リンク|Accepted and experimental value|en|Accepted and experimental value}} * {{仮リンク|Relative difference|en|Relative difference}} * [[不確実性]] * {{仮リンク|実験的不確かさ解析|en|Experimental uncertainty analysis}} * {{仮リンク|不確定性伝搬|en|Propagation of uncertainty}} * [[誤差]] * [[丸め誤差]] * [[量子化誤差]] * [[不確かさ (測定)]] * [[測定誤差]] == 外部リンク == * {{MathWorld|PercentageError|Percentage error}}<div class="cx-template-editor-source-container" lang="en" dir="ltr" style="display: none;"><div class="cx-template-editor-source"><div class="cx-template-editor-title">MathWorld</div><div class="cx-template-editor-param"><div class="cx-template-editor-param-title"><span id="1" class="cx-template-editor-param-key">1</span></div><div class="cx-template-editor-param-value" data-key="1" id="Reference-Mathworld-Percentage_error-1-" style="position: relative;">PercentageError</div></div><div class="cx-template-editor-param"><div class="cx-template-editor-param-title"><span id="2" class="cx-template-editor-param-key">2</span></div><div class="cx-template-editor-param-value" data-key="2" id="Reference-Mathworld-Percentage_error-2-" style="position: relative;">Percentage error</div></div></div></div> {{DEFAULTSORT:きんしによるこさ}} [[Category:数値解析]] [[Category:数学に関する記事]]
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