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'''近接性'''(きんせつせい、{{lang-en|accessibility|links=no}})とは、近づきやすさを示す概念で{{Sfn|村山|2013|p=153}}、[[地理学]]で用いられてきた{{Sfn|田中|2004|p=977}}。空間的側面を踏まえた地域構造の把握を行う上で用いられる[[測度]]の1つで{{Sfn|土谷|1986|p=265}}、[[グラフ理論]]の見方に基づくと、2つの[[頂点 (グラフ理論)|ノード]]間での相対的な近づきやすさとみなせる{{Sfn|村山|2013|p=153}}。 近接性の概念は[[交通ネットワーク]]の分析において利用できる{{Sfn|村山|1991|p=58}}。そのためには、交通ネットワークをノード([[交通結節点]]にあたる)と[[グラフ理論#頂点と辺|リンク]](交通路にあたる)で表示できるようにすることが求められる{{Sfn|村山|2013|p=153}}。 このほか、産業立地分析、買物行動モデル、[[都市計画]]・[[地域計画]]、[[地域経済]]などで近接性の概念を利用できるほか{{Sfn|田中|2004|p=978}}、政策や企業活動の実行の上での有用なツールにもなる{{Sfn|土谷|1986|p=266}}。 == 分類 == {{Harvtxt|Ingram|1971}}によると、近接性は、特定2地点間の近づきやすさを示す'''相対的近接性'''({{en|relative accessibility}})と、特定1地点を基準とした地域全体への近づきやすさを示す'''積分的近接性'''({{en|integral accessibility}})の2つに分けられる{{Sfn|田中|2004|p=978}}。両者の関係性は以下の式で表される{{Sfn|田中|2004|p=978}}。 :<math>A_i =\sum_{j=1}^n {a_{ij}}</math> ここで、<math>a_{ij}</math>は地点<math>ij</math>間の距離すなわち相対的近接性、<math>A_i</math>は地点<math>i</math>の積分的近接性である{{Sfn|田中|2004|p=978}}。 近接性の分析の研究では、地域全体を考慮した積分的近接性を扱うことが多い{{Sfn|田中|2004|p=978}}。なお、相対的近接性は、[[空間的相互作用]]の研究として行われ得る{{Sfn|土谷|1986|p=267}}。 == 研究史 == 広義には、[[ヨハン・ハインリヒ・フォン・チューネン]]の『[[孤立国]]』でも近接性の概念が用いられたとされる{{Sfn|田中|2004|p=978}}。近接性を定量的に分析した最古の研究として、[[アルフレート・ヴェーバー]]の[[工業立地論]]、[[ウィリアム・J・ライリー]]の[[小売引力モデル]]が挙げられる{{Sfn|田中|2004|p=978}}。その後、積分的近接性を取り上げた最古の研究として、{{仮リンク|ジョン・スチュワート (天体物理学者)|en|John Quincy Stewart|label=ジョン・スチュワート}}による人口ポテンシャルの測定が挙げられる{{Sfn|田中|2004|p=978}}。 1990年代以降は、[[地理情報システム]]を利用した研究がよく行われるようになった{{Sfn|田中|2004|p=977}}。 == 測度 == 近接性の測度として、{{Harvtxt|Pirie|1979}}をもとに一部修正して、ネットワークに基づく測度、ポテンシャル測度、累積機会に基づく測度の3つに分類することができる{{Sfn|土谷|1986|p=267}}。 === ネットワークに基づく測度 === ネットワークに基づく測度では、近接性は以下の式で求められる{{Sfn|土谷|1986|p=271}}。 :<math>A_i = \sum_{j=1}^n {d_{ij}}</math> ただし、<math>A_i</math>は地域<math>i</math>の近接性、<math>d_{ij}</math>は地域<math>ij</math>間距離、<math>n</math>は地区数である{{Sfn|土谷|1986|p=271}}。 ネットワークが、トポロジカルなネットワーク(ノードとリンクのみ)か有値ネットワーク(リンクに属性データを含む)かで、<math>d_{ij}</math>の扱いが異なる{{Sfn|土谷|1986|p=271}}。前者では交通・通信による地域間結合の影響を考慮しないが、後者では影響が考慮される{{Sfn|土谷|1986|p=271}}。 === ポテンシャル測度 === ポテンシャル測度として、以下のものが挙げられる。 '''重力モデル測度'''は、重力モデルや人口ポテンシャルをもとにした測度であり、以下の式で表される{{Sfn|田中|2004|p=981}}。 :<math>A_i=\sum_{j=1}^n {\frac{P_j}{{d_{ij}}^\alpha}}</math> ただし、<math>P_j</math>は地域<math>j</math>における吸引力変数、<math>d_{ij}</math>は地域<math>ij</math>間の距離、<math>\alpha</math>は距離減衰パラメータである{{Sfn|田中|2004|p=981}}。 この測度では、<math>A_i</math>が大きいほど、近接性も大きくなる{{Sfn|田中|2004|p=981}}。 '''輸送コスト測度'''は、輸送コストを考慮した測度であり、以下の式で表される{{Sfn|田中|2004|p=981}}。 :<math>A_i=\sum_{j=1}^n {P_j T_{ij}}</math> この測度では、<math>A_i</math>が小さいほど、近接性も大きくなる{{Sfn|田中|2004|p=981}}。 '''接触ポテンシャル測度'''は、[[時間地理学]]の概念を用いて{{Sfn|田中|2004|p=982}}、特定の都市の有効滞在時間に着目した測度で、以下の式で表される{{Sfn|村山|2013|p=156}}。 :<math>A_i=\sum_{j=1}^n {T_{ij} P_j}</math> ここで、<math>A_i</math>は都市<math>i</math>における接触ポテンシャル型近接性、<math>T_{ij}</math>は、都市<math>j</math>からの都市<math>i</math>の訪問者の有効滞在時間、<math>P_j</math>は都市<math>j</math>の人口である{{Sfn|村山|2013|p=156}}。 === 累積機会に基づく測度 === 累積機会に基づく測度は、対象地域から一定距離以内の吸引力変数({{en|attractor variables}})の総和で求められる{{Sfn|土谷|1986|p=270}}。以下の式で表示される{{Sfn|土谷|1986|p=271}}。 :<math>A_{ik}=\sum_{j \in [d_{ij} \le D]} {O_{jk}}</math> ただし、<math>A_{ik}</math>は、地域<math>i</math> 属性<math>k</math>の吸引力変数に対する近接性、<math>O_{jk}</math>は、地域<math>j</math> 属性<math>k</math>の吸引力変数、<math>d_{ij}</math>は地域<math>ij</math>間距離、<math>D</math>は近接性を計算する上での限界距離である{{Sfn|土谷|1986|p=271}}。 == 地理情報システムの影響 == 1990年代以降は、[[地理情報システム]](GIS)を利用した研究がよく行われるようになった{{Sfn|田中|2004|p=977}}。GISは近接性の分析に要する作業量と作業時間を大きく減らし、精密な分析を可能にした{{Sfn|田中|2004|p=985}}。GISの使用により、分析対象地域の広域化、対象地域のミクロな分析、道路距離・時間距離・費用距離の測定、複数の交通手段の利用時の分析、結果の可視化などが可能となった{{Sfn|関根|2018|p=101}}。 この他、今まで計算機の性能上困難だった、[[時間地理学]]の概念を利用した時空間測度(個々の生活行動に基づく近接性)の分析も行えるようになった{{Sfn|田中|2004|p=987}}。 == 脚注 == {{Reflist|2}} == 参考文献 == *{{Cite journal|和書|author=関根智子|year=2018|title=GISによる近接性研究の進展|journal=E-journal GEO|volume=13|issue=1|pages=101-108|url=https://doi.org/10.4157/ejgeo.13.101|ref={{SfnRef|関根|2018}}}} * {{Cite journal|和書|author=田中耕市|year=2004|title=GISを援用した近接性研究の動向と課題|journal=地理学評論|volume=77|issue=14|pages=977-996|url=https://doi.org/10.4157/grj.77.977|ref={{SfnRef|田中|2004}}}} * {{Cite journal|和書|author=土谷敏治|year=1986|title=累積機会に基づく測度によるアクセシビリティの測定|journal=人文地理|volume=38|issue=3|pages=265-280|url=https://doi.org/10.4200/jjhg1948.38.265|ref={{SfnRef|土谷|1986}}}} * {{Cite book|和書|author=村山祐司|authorlink=村山祐司|chapter=近接性をはかる|pages=153-158|year=2013|editor=村山祐司・駒木伸比古|title=新版 地域分析|publisher=古今書院|isbn=978-4-7722-5272-0|ref={{SfnRef|村山|2013}}}} * {{Cite journal|author=Ingram, D. R.|year=1971|title=The Concept of accessibility: A search for an operational form|journal=Regional Studies|volume=5|pages=101-107|url=https://doi.org/10.1080/09595237100185131|ref={{SfnRef|Ingram|1971}}}} * {{Cite journal|author=Pirie, G.H.|year=1979|title=Measuring accessibility: a review and proposal|journal=Environmental and Planning A|volume=11|issue=3|pages=299-312|url=https://doi.org/10.1068/a110299|ref={{SfnRef|Pirie|1979}}}} {{DEFAULTSORT:きんせつせい}} [[Category:交通地理学]] [[Category:計量地理学]]
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