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透視投影
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'''透視投影'''(とうしとうえい、{{lang-en-short|perspective projection}})は全ての[[投影 (図学)#投影線|投影線]]が単一の[[透視投影#視点|視点]]に収束する[[投影 (図学)|投影]]である<ref>"透視投影 ... 投影面からある距離にある視点と対象物の各点とを結んだ投影線が投影面をよぎる投影。... perspective projection, central projection" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref><ref name=":1">"透視投影(中心投影)とは,投影面(通常,製図面)から有限の距離にある点(視点)から対象物を投影して,実物に近い絵画的な表現を与えるものである。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref><ref name=":0">"透視投影では、視点から物体までの視線が、一つの視点に集められるという特徴があります。" {{harvnb|武蔵野美術大学|2009a}} より引用。2024-07-21 閲覧.</ref><ref>"透視投影 perspective projection" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-18 閲覧.</ref>。'''中心投影'''(ちゅうしんとうえい、{{lang-en-short|links=no|central projection}})とも<ref>"透視投影は、中心投影とも呼ばれ" {{harvnb|武蔵野美術大学|2009a}} より引用。2024-07-18 閲覧.</ref><ref>"中心投影 central projection; conical projection ... 透視投影 perspective projection; central projection" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-18 閲覧.</ref>。 「投影」は[[投影 (図学)#投影図法|投影図法]]と[[投影 (図学)#投影図|投影図]]の両方を指しうるため、図法を[[#透視図法|透視図法]]、図を[[#透視図|透視図]]と呼び分ける場合もある。 == 概要 == [[Image:CG Nakatsuyama kofun Southwest.jpg|thumb|250px|right|透視投影による[[ワイヤーフレーム]]で描いた[[前方後円墳]]([[仲津山古墳]])]] 透視投影では[[#視点|視点]]を設定しすべての[[投影 (図学)#投影線|投影線]]をその視点へ収束させ[[投影 (図学)|投影]]をおこなう([[#仕組み]])<ref name=":0" />。これはすべての投影線が互いに平行である[[投影 (図学)#平行投影|平行投影]]と対照的である<ref>"透視投影 ... 平行投影と対置される投影法" 以下より引用。日本機械学会. (2017). ''[https://www.jsme.or.jp/jsme-medwiki/doku.php?id=16:1009048 透視投影]''. 機械工学事典. 2024-07-22閲覧.</ref>。 1点に投影線が収束するため対象物を[[目]]で見た像と近い表現が得られる<ref name=":1" /><ref>"対象物を目で見た時と同じような表現ができる" {{harvnb|武蔵野美術大学|2009a}} より引用。2024-07-18 閲覧.</ref>。物体は視点からの距離に反比例して小さく見え、遠方ほど縮小割合が小さくなる([[#特性]])<ref name=":9" /><ref name=":8" />。奥行き方向の線分が特徴的な変形を受けるため、対象物と投影面の関係に基づいて「一点透視」「二点透視」「三点透視」に分類できる([[#分類]])<ref name=":10" />。 このような特徴から、[[ヒト]]は透視投影図から[[遠近法|遠近感]]を得やすい。このため[[視覚芸術]]では遠近感を感じさせたり写実性の高い表現をするために透視投影がしばしば取り入れられる(詳細は[[遠近法]]を参照)。視点たるカメラで撮影する[[写真]]では自然に透視投影が起きている。また写実的な[[3次元コンピュータグラフィックス]]でも[[レンダリング (コンピュータ)|レンダリング]]の一環として透視投影が利用される(詳細は[[3次元コンピュータグラフィックス#原理]]を参照)。 透視投影を実現する[[投影 (図学)#投影図法|投影図法]]は透視図法と呼ばれる。消失点を利用する方法や座標変換行列による方法など、様々な実現手順(図法)が考案されている([[#透視図法]])。 透視投影・透視投影図は俗称として「'''パース'''」とも呼ばれる<ref>"透視投影は ... パースとも呼ばれます。" {{harvnb|武蔵野美術大学|2009a}} より引用。2024-07-22 閲覧.</ref>(用例: 「パースが狂っている」)。 == 仕組み == [[Image:Perspective Projection Principle.jpg|thumb|250px|right|透視投影]] 透視投影では、全ての[[投影#投影線|投影線]]が[[#視点|視点]]へ収束する制約を設けたうえで[[投影 (図学)|投影]]をおこなう<ref name=":1" /><ref name=":0" />。すなわち、3次元空間内の各点から視点へ向け[[投影 (図学)#投影線|投影線]]を伸ばし[[投影 (図学)#投影面|投影面]]との交差より投影図を得る。 === 視点 === 透視投影における'''視点'''(してん、{{lang-en-short|links=no|point of sight}})は全ての投影線が収束する点である<ref name=":0" /><ref>"視点 point of sight" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-21 閲覧.</ref>。'''投影中心'''(してん、{{lang-en-short|links=no|center of projection}})とも<ref>"投影中心 center of projection" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-21 閲覧.</ref>。 === 視線 === 透視投影における'''視線'''(してん、{{lang-en-short|links=no|line of sight}})は空間内の点と[[#視点|視点]]を結んだ直線である<ref name=":0" /><ref>"視線 ... 視点と空間にある点とを結ぶ線及びその延長線 ... line of sight" {{JIS|Z|8114|1999}}</ref><ref>"視線 visual line; visual ray; line of sight" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-21 閲覧.</ref>。 視線は「[[投影 (図学)#投影線|投影線]]」の透視投影における別名である。必ず視点を通る投影線、とも定義できる。ヒトの[[視覚]]における「[[視線]]」は視野中心の方向を指す(ある瞬間に1方向しかない)が、透視投影における「視線」は空間内の無数の点と視点を結んでいる無数の投影線を指す(ある瞬間に無数にある)ため意味が全く異なる。混同してはならない。 == 特性 == 全ての[[投影 (図学)#投影線|投影線]]が[[#視点|視点]]へ収束する制約により、透視投影は特有の性質をもつ。 === 平行面の形状維持 === 透視投影は、[[投影 (図学)#投影面|投影面]]と平行な面上の物体形状が像でも維持される特性を持つ<ref>"対象物の主面が投影面に平行な場合 ... 投影面に平行な対象物の外形線及びりょう(稜)線は,すべて向きを変えない(水平な線は水平,垂直な線は垂直のままである。)。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 この特性は視点の取り方に依らず常に成立する。 [[ファイル:Perspective same plane rev2.png|サムネイル|透視投影による平行面の形状維持]] この特性は右図を用いて次のように説明される: 投影面に平行な面上に線 <math>\overline{AB}</math> と線 <math>\overline{CD}</math> がある。2つの線の端から視点 <math>S</math> へ投影線を伸ばすことで、投影先 <math>\alpha</math>, <math>\beta</math>, <math>\gamma</math>, <math>\delta</math> が求められる。透視投影において平行面上の物体形状が像でも維持されるということは、 <math>AB:CD=\alpha\beta:\gamma\delta</math> … (1) と等価である([[図形の相似|相似]]で全体スケールだけ変わる)。ここで <math>{\bigtriangleup} \alpha \beta S</math> と <math>{\bigtriangleup}ABS</math> に着目すると <math>\overline{\alpha \beta} \ {\parallel} \ \overline{AB}</math> より二つの三角形は相似である。<math>{\bigtriangleup} \gamma \delta S</math> と <math>{\bigtriangleup}CDS</math> も同様である。そして相似比はどちらの三角形ペアも <math>S</math>-投影面の距離と <math>S</math>-平行面の距離の比になる。相似比を <math>1:k</math> とすると、<math>AB:CD = k \times \alpha \beta : k \times \gamma \delta = \alpha\beta:\gamma\delta</math> となり (1) が成立する。すなわち、投影面と平行な面上の物体形状が像でも維持される。∎ === 遠方の縮小 === 透視投影は、物体と[[#視点|視点]]の距離に反比例して像が小さくなる特性をもつ<ref name=":9">"透視投影 ... 直感的にいえば,光学中心(レンズ中心)からの光軸方向の距離に反比例して対象の像が小さくなるという,自然なモデルである." 梅田. (2015). ''[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/81/9/81_836/_article/-char/ja/ 精密工学のための画像処理]''. 精密工学会誌 Vol.81, No.9.</ref><ref name=":6">"透視投影では、物体の見かけの大きさが距離(深度, z 値)に反比例します。" p.129 より引用。床井. (2020). ''[https://tokoik.github.io/gg/ ゲームグラフィックス特論 A 講義ノート]''. 和歌山大学講義「ゲームグラフィックス特論 A / B」.</ref><ref>"透視投影画像に描かれる対象の大きさは視点からの距離に反比例するという特徴がある." 以下より引用。長田. (2011). ''[https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/23858 大きさ知覚特性に基づく3次元空間の視覚印象を表現する画像生成手法]''. 山口大学.</ref><ref>"高層ビルを見上げた時や、遥か彼方に向かって伸びる道を見た時に、遠くになるほど幅が細くなり" {{harvnb|武蔵野美術大学|2009a}} より引用。2024-07-22 閲覧.</ref><ref name=":7">"透視投影 ... 遠くのものが小さく描かれる" p.12 より引用。藤堂. (2015). ''[http://hideki-todo.com/cgu/lectures/cg2015/05_basic2/05_basic2.pdf コンピュータグラフィックス - 第5回 CG のための数学的基礎2 投影変換]''. 明治大学.</ref>。また物体と[[投影 (図学)#投影面|投影面]]の距離が離れるほど像が小さくなる特性をもつ。 この特性により[[遠近法#大小遠近法|大小遠近法]]および[[遠近法#短縮法|短縮法]]と同じ効果を得られる。 この特性は右図を用いて次のように説明される: [[ファイル:Perspective size.png|サムネイル|透視投影による像の反比例縮小]] 視点 <math>S</math> から <math>k</math> 離れた投影面と、その投影面に平行かつ <math>S</math> から <math>z</math> 離れた線分 <math>\overline{AB}</math> がある。この状態で <math>A</math> と <math>B</math> から <math>S</math> へ投影線を伸ばすことで、投影先 <math>\alpha</math> と <math>\beta</math> が求められる。ここで <math>{\bigtriangleup}ABS</math> と <math>{\bigtriangleup}\alpha \beta S</math> に着目すると、投影面上の <math>\overline{\alpha\beta}</math> が <math>\overline{AB}</math> と平行であるため2つの三角形は相似である。<math>S</math> から <math>\overline{\alpha\beta}</math> と <math>\overline{AB}</math> の距離が与えられているためその比は <math>\overline{AB}:\overline{\alpha\beta}=z:k</math> であり、像の大きさは <math>\overline{\alpha\beta}=k \ \overline{AB} / z</math> と求まる。すなわち、像の大きさは物体と視点の距離に反比例して小さくなる。∎ 上記の説明から物体は奥にいくほど小さく見えることがわかる。これにより透視投影によって[[遠近法#大小遠近法|大小遠近法]]と同じ効果が得られることがわかる。 奥行きある単一物体を用いて説明すると[[遠近法#短縮法|短縮法]]と同じ効果が得られることを直接的に説明できる。これは右図を用いて次のように説明される:[[ファイル:Perspective far small.png|サムネイル|透視投影による遠方の縮小]] 投影面に対し奥行きをもった線分 <math>\overline{AC}</math> へ向かって投影面を平行移動し、図のように近傍点 <math>A</math> へ添わせる。この状態で中間点 <math>B</math> と遠方点 <math>C</math> から視点 <math>S</math> へ投影線を伸ばすことで、投影先 <math>\beta</math> と <math>\gamma</math> が求められる(<math>A</math> はその場が投影先)。もし透視投影により距離依存のサイズ変化が起きるとすれば、像の形状維持を意味する式 <math>AB:BC=A\beta:\beta\gamma</math> … (2) が成立しないことになる。ここで<math>{\bigtriangleup}AC\gamma</math> に着目すると、(2) が成立するのは <math>B\beta \ {\parallel} \ C\gamma</math> が成立するときのみである(∵ 初等幾何)。しかし <math>BSC</math> が三角形であるためこれは成立しない。<math>{\bigtriangleup}BSC</math>は <math>S</math> のみが投影面の反対側にあるため、<math>\overline{B\beta}</math> と <math>\overline{C\gamma}</math> は <math>\beta \gamma</math> 側がすぼむ形の非平行に常になっている。ゆえに (2) は成立せず、また遠方側の投影である <math>\overline{\beta\gamma}</math> はより短くなっている。すなわち、物体と投影面の距離が離れるほど像が小さくなる。∎ 視点 <math>S</math> が無限遠にあるとき <math>{\angle}BSC \rightarrow 0</math> となるため (2) が例外的に成立する。つまり像の大きさが奥行きに依存しなくなる。これは[[投影 (図学)#平行投影|平行投影]]と同じ性質であり、平行投影が <math>S</math> 無限遠の透視投影と同値であることを反映している。またこのことから視点と物体が遠ざかるほどサイズ変化量が小さくなっていくことがわかる。 反比例であるため距離が離れるほど物体の大きさが縮みづらくなる。物体の縮小が遠近感を生むため、同じ物体の並びでも遠方にあるほど遠近感が弱くなる([[圧縮効果]])。 === 遠方縮小の割合減少 === 透視投影は、[[#視点|視点]]からの距離に応じて[[透視投影#遠方の縮小|遠方が縮小]]する割合が小さくなる特性をもつ<ref name=":8">"望遠レンズで離れて撮影すると手前と後ろの写る大きさの差は縮まるので遠近感は減少する。" {{Harvnb|馬場|1997|p=20}} より引用。</ref>。すなわち、遠方ほど像の大きさが変わりづらい。 透視投影は「[[透視投影#遠方の縮小|遠方の縮小]]」という特性をもつ<ref name=":7" />。像の大きさ <math>l_z</math> は深度 <math>z</math> に反比例して減少するため<ref name=":6" />、深度変化 <math>\Delta z</math> に対する像の大きさの変化、つまり <math>\Delta_{l_z} = l_z - l_{z+\Delta_z}</math> が <math>z</math> に依存しこれが段々と小さくなることは自明である。さらに縮小割合 <math>\tfrac{\Delta_{l_z}}{l_z}</math> にも法則性が見出せ、縮小割合は <math>z</math> に依存しこれが段々と小さくなる。つまり、遠方ほど縮小割合が小さくなる<ref name=":8" />。例えば互いに1m離れた2つの立方体を透視投影するとき、2つの立方体を視点のすぐそばに置けば大小差がはっきりとみえるが、1000m先に2つの立方体を置くとほとんど大きさに差がない。 === 平行線の収束 === 透視投影は、投影面と平行ではない空間内の平行線が無限遠において一点([[消失点]])へ収束する特性をもつ<ref>"消失点(もしくは消点)とは、高層ビルを見上げた時や、遥か彼方に向かって伸びる道を見た時に、遠くになるほど幅が細くなり、やがて一ヶ所に向かって収束していくように感じられる点のこと" {{harvnb|武蔵野美術大学|2009a}} より引用。2024-07-21 閲覧.</ref>。 この特性は[[投影 (図学)#投影面|投影面]]の取り方に依らず常に成立する。投影面と垂直な平行線の消失点は視心と一致する<ref>"投影面に直角なすべての線は,消点Vに収束する。この消点は視心Cに一致する" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 === 広角領域の感覚的歪み === 透視投影は、投影面上で視心から角度が離れた領域の像が歪んだように見える特性をもつ<ref name=":5">"投影面上の周辺部でゆがみが生じない有用な透視投影図を得るには,対象物を頂角が60°以内の視円すい内に置かなければならない。 この範囲を超えると,透視投影図の周辺部に大きなゆがみを生じ,対象物の長さ,幅及び高さの比率が合わなくなり,有用な透視投影図に見えない" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 ある透視投影図があったとき、その視点位置を観察者の片目と厳密に合わせれば([[被写界深度]]を除いて)本物と同じ像が観察者の片目に見える<ref>"透視投影は,対象物を眼に見えるように表現(単眼画像 monocular vision )できる" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。このように光学的な意味で透視投影には歪みがない。投影図の視心から角度が離れた領域では対象物の長さ・幅・高さの比率が物体と像で大きく変わるが、実際の目の周辺視野にもこのような変形した像が写っている<ref name=":5" />。 しかし実際の透視投影図(例: [[絵画]])を鑑賞する際に視点を合わせることはほぼ無い。基本的に視野の中心部(50°前後の視円錐の内側)で透視投影図全体を捉えるため、視野中心部に本来届かない70°や80°相当の強い変形をもった像が届くとこれに歪みを感じる(脳が50°分の補正を掛けてもなお歪んだ物体に見える)。つまりいわゆる「[[広角レンズ|広角]]」の画角だと透視投影図の端が歪んで見える。具体的には60°の視円錐より外側の像が感覚的に歪むとわかっている<ref name=":5" />。 == 分類 == 透視投影は対象物と投影面の関係に基づいて以下のように分類できる<ref name=":10">"透視投影の種類は,表現される対象物と投影面との位置によって分類される。... 一点透視投影法 ... 二点透視投影法 ... 三点透視投影法" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 なお、この関係によってグリッドがどう歪んで見えるかはチェス盤を水平に覗き込む・左右に回す・上下に傾けることで直感的に理解できる。 === 一点透視投影 === '''一点透視投影'''(いってんとうしとうえい、{{lang-en-short|links=no|one-point perspective}})は対象物の一つの面が投影面に平行な透視投影である<ref>"一点透視投影 対象物の一つの面が,投影面に平行なときの,透視投影表現 ... one-point perspective" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref>。 [[直方体]]の一点透視投影を得る場合、正面が投影面と平行になるため奥行き方向の平行な4辺は全て投影面と垂直になる。そのためこれら4本の辺は全て「一点」の[[消失点]]へ向き、この消失点は[[透視投影#視心|視心]]と一致する<ref>"消失点を一つ持つ「一点透視法」" {{harvnb|武蔵野美術大学|2007b}} より引用。2024-07-23閲覧.</ref><ref>"投影面に直角なすべての線は,消点Vに収束する。この消点は視心Cに一致する" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。[[直方体]]でないが奥行き方向の4辺が平行な対象物(例: [[平行六面体]])を一点透視投影した場合、4辺は平行だが投影面と垂直ではないため、視心とは一致しない消失点へ4辺全てが収束する。 透視投影された対象物が一点透視か否かを判別する方法がいくつかある。 1つは正面図を用いる方法である。対象物の形状が事前にわかっておりその対象物の正面が投影面上でも同じ形で描画されている(=[[図形の相似|相似]]な)とき、この対象物は一点透視投影されていると判別できる。なぜなら[[透視投影#平行面の形状維持|平行面の形状維持]]により投影面が対象物の正面と平行だと確定するからである。 他には平行線を用いる方法がある。対象物の正面が縦方向と横方向の平行線を持つと事前にわかっておりそれら平行線が投影面上でも平行なとき、この対象物は一点透視投影されていると判別できる<ref>"一点透視投影法 ... では,投影面に平行な対象物の外形線及びりょう(稜)線は,すべて向きを変えない(水平な線は水平,垂直な線は垂直のままである。)。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。なぜなら[[透視投影#平行線の収束|平行線の収束]]により投影面と平行でない限り平行線は平行に描画され得ないからである。例えば[[教室]]を描いた透視投影図で黒板の上下辺・左右辺が共に平行に描写されていれば黒板は一点透視投影されていると確定する。さらに黒板を掛けてある壁、壁からなる教室の立方体も一点透視投影されている可能性が高い(黒板が壁に対して斜めに配置されていたらこれは成立しない)。 <gallery> Perspective with 1 point.svg|一点透視図法。対象物を正面から見る。 Zentralperspektive.png|一点透視図法の例。キャンバスは垂直・水平方向の2軸と平行で、奥行き方向の軸とは垂直である。 Komehakubutsukan-passage.jpg|[[西予市]]米博物館 中央左寄が消失点。 </gallery> === 二点透視投影 === '''二点透視投影'''(にてんとうしとうえい、{{lang-en-short|links=no|two-point perspective}})は投影面に対して対象物の上下面が直交し側面が傾斜した透視投影である<ref>"投影面が鉛直で対象物の垂直の面が投影面に対し傾斜しており,水平の面が投影面に対し直角な透視投影。... two-point perspective" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref>。 直方体の二点透視投影を得る場合、上面と下面を繋ぐ平行な4辺は全て投影面と平行になる。側面のうち2つは右奥方向へ、残りの2つは左奥方向へ傾斜するため、合わせて「二点」の[[消失点]]へ向けて各側面の辺は向かう<ref>"消失点を二つ持つ「二点透視法」" {{harvnb|武蔵野美術大学|2007b}} より引用。2024-07-23閲覧.</ref>。二点透視投影は一点透視投影から視点を左右に回すことで実現できる。 <gallery> Perspective with 2 points_b.svg|二点透視図法。対象物を斜めから見る。 2-punktperspektive.svg|二点透視図法の例。キャンバスは垂直方向の軸のみと平行である。 Ministry of Justice Japan02s3200.jpg|[[法務省旧本館]] 写真外に消失点がある </gallery> === 三点透視投影 === '''三点透視投影'''(さんてんとうしとうえい、{{lang-en-short|links=no|three-point perspective}})は対象物のすべての面が投影面に対し傾斜した透視投影である<ref>"三点透視投影 対象物のすべての面が投影面に対し傾斜している透視投影。 ... three-point perspective" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref>。 直方体の三点透視投影を得る場合、各面ペアの4辺はペアごとに異なる消失点へ向かう。そのため合わせて「三点」の消失点が現れる<ref>"消失点を三つ持つ「三点透視法」" {{harvnb|武蔵野美術大学|2007b}} より引用。2024-07-23閲覧.</ref>。三点透視投影は二点透視投影に仰角・俯角をつけることで実現できる。 <gallery> Perspective with 3 points.svg|三点透視図法。 対象物を斜め下、または斜め上から見る。 3-point perspective 1-px-line.svg|三点透視図法の例。 対象物を斜め上から見る Century-Park-Tower.JPG|[[大川端リバーシティ21#北ブロック|センチュリーパークタワー]]。対象物を斜め下から見る。 </gallery> == 透視図法 == '''透視図法'''(とうしずほう、{{lang-en-short|links=no|perspective drawing method}})は透視投影を実現する[[投影 (図学)#投影図法|投影図法]]である。'''透視投影法'''(とうしとうえいほう)とも<ref>"透視図法 method of perspective drawing ... 透視投影法 perspective projection procedure; perspective drawing method" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-18 閲覧.</ref>。 透視投影図を得るための具体的な手続きには様々な種類がある。以下はその一例である: * [[#直接法|直接法]] ** [[#座標計算法|座標計算法]] * [[#消点法|消点法]] * [[#距離点法|距離点法]] * 測点法({{lang-en-short|links=no|Scale point method}}) 各図法に応じた様々な道具も存在する(例: パース定規、パースグリッド)。 === 透視図法の基礎概念 === 複数の透視図法に共通する基礎的な概念がいくつか存在する。これら無しでも透視投影そのものは説明できるが、図法の説明にはこれらの理解が必要になることが多い。 ==== 視心 ==== '''視心'''(ししん、{{lang-en-short|links=no|main point}}, {{lang-en-short|links=no|visual center}})は視点から[[投影 (図学)#投影面|投影面]]へ伸ばした垂線が投影面と交わる点である。'''視中心'''(しちゅうしん)とも<ref>"視心 visual center ... 視中心 visual center" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-08-03 閲覧.</ref>。 視心は「カメラの真正面が投影される点」に相当する。視心は主投影線と投影面の交点とも言い換えられる<ref>"視心,視中心 主投影線と投影面との交点。投影平面に直交するすべての直線(奥行き方向の線)の消点となる。 main point" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref>。[[透視投影#広角領域の感覚的歪み|広角領域の感覚的歪み]]は視心と離れるほど大きくなるため、作図にあたって視心の把握が必要になる場合が多い。 ==== 水平面 ==== '''水平面'''(すいへいめん、{{lang-en-short|horizon plane, horizontal plane}})は[[#視点|視点]]を通る水平な面である<ref>"水平面 ... horizontal plane 透視投影法で,地面に平行,かつ視点を含む平面。" p.130より引用。職業能力開発総合大学校 基盤整備センター. (2008). テクニカルイラストレーション. 職業訓練教材研究会. ISBN 978-4-7863-1106-2</ref><ref>"水平面 投影中心を通る水平な面。 horizon plane" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref><ref>"水平面 horizontal plane" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-08-05 閲覧.</ref>。'''地平面'''とも<ref>"地平面 (Horizon plane)" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 水平面は「垂直に立った人の目の高さにある、空間内の水平な面」に相当する。水平面と投影面は独立している(直交するとは限らない)。 ==== 水平線 ==== 透視投影における'''水平線'''(すいへいせん、{{lang-en-short|horizon line, horizontal line}})は水平面と投影面が交差してできる投影面上の直線である<ref>"地平線 水平面と鉛直投影面とが交差する線。... horizon line, horizontal line" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref><ref>"地平線 horizon; horizontal line ... 水平線 horizontal line" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-08-05 閲覧.</ref>。'''地平線'''とも。 水平線は水平面の投影像である。これは以下のように説明できる。水平面は視点を通るため視点は水平面上にある。また水平面は平面であるため水平面の任意の点と視点は同一平面上に存在する。このため水平面上の任意の点の投影線(=点と視点を繋ぐ直線)もまた水平面上に存在する。投影先は投影線と投影面の交点であるため、投影先は投影面と水平面が交差する直線上のどこかになる。よって空間内の水平面を投影すると水平線という直線へ潰れて投影面上に現れる。 この水平線は地球が球体であることに由来する[[水平線]]({{lang-en-short|horizon}})とは異なる概念であり混同してはならない。透視投影はたとえ地球が平面であってもその果てが消失点としての水平線に収束することを示している(ゆえに水平線と呼ばれている)。 水平面は平行であるため面内のどこでも高さが一定(視高の値)である。ゆえに視高と同じ高さの点は奥行きに関わらず水平線上に投影される。これは作図上有用である。 ==== 基準面 ==== '''基準面'''(きじゅんめん、{{lang-en-short|links=no|basic plane}})は基準となる水平な面である<ref name=":3">"視高 (height of projection) 基準面 (basic plane) から視点までの垂直距離。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 '''基面'''(きめん)、{{lang-en-short|links=no|ground plane}} とも<ref name=":4">"基面(きめん) 観察者が立っている水平面。 basic plane, ground plane" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref>。 基準面は抽象的な「地面」に相当し、観測者(目が視点)は基準面上に立っていると想定される<ref name=":4" />。基準面と投影面は独立している(直交するとは限らない)<ref>"任意の向き ... β ... βは,投影面と基準面のなす視点側の角度である。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 視点の高さである'''視高'''(しこう)は基準面から視点までの垂直距離と定義される<ref name=":3" />。[[#水平面|水平面]]を視高の分だけ垂直に下げた平面が基準面ともいえる。また視高はカメラにおける[[アングル (写真)#レベル (カメラ)|レベル]]に相当する。 [[透視投影#一点透視投影|一点透視投影]]と[[透視投影#二点透視投影|二点透視投影]]では基準面と視高を設定することで投影図から実長を計測する助けになる。 ==== 投影角度 ==== '''投影角度'''(とうえいかくど、{{lang-en-short|projection angle}})は[[投影 (図学)#投影面|投影面]]と[[#水平面|水平面]]がなす角度である<ref>"投影角度 (projection angle) 投影面と地平面 (horizon plane) のなす角度。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 投影面と[[透視投影#基準面|基準面]]がなす角度ともいえる<ref>"投影角度 ... β ... βは,投影面と基準面のなす視点側の角度である。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。視点にカメラを置いたとき、そのカメラが向いている上下方向の角度が投影角度にあたる。 === 直接法 === '''直接法'''({{lang-en-short|links=no|Piercing method}})は各視線と投影面の交点を直接写し取る透視図法である<ref>"直接法 (Piercing method)" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 交点の求め方は様々存在する。視線の正投影を利用した作図や三角比を持ちいた[[#座標計算法|座標計算法]]などで求められる<ref>"直接法では,投影線と投影面の交点は ... 作図によっても計算によっても求めることができる" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。対象物の各点について同様の計算を繰り返すため、直接的で単純だが繰り返しの多い図法である<ref>"直接法は、立体の特徴点を一点一点作図する必要がある。" 以下より引用。大阪大学. (2020). ''[http://www.comy.cmc.osaka-u.ac.jp/zugaku2019up/index2.htm 第3章 立体から平面へ]''. 図学講義B. 2024-07-31閲覧.</ref>。透視投影では空間内の直線が投影図上でも直線であるため、線分であれば端点を写し取り間に直線を引くだけで投影できる(繰り返しの数を減らせる)。点を写し取る手法であるため、曲線などの複雑な形状であっても点集合として容易に投影できる(繰り返しの数は多い)<ref>"直接法によれば,複雑な形状の対象物(丸やら旋形状など)でも簡単に表すことができる。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 ==== 座標計算法 ==== '''座標計算法'''({{lang-en-short|links=no|Coordinate piercing method}})は視線の正投影から投影先の座標を幾何的に算出する透視図法である<ref>"座標計算法 (Coordinate piercing method) 座標計算法は,単純な比例関係に基づいたもので,各投影線の投影面との交点を作図によってではなく,計算によって求める。この方法は,二つの参照面によって空間を四つの象限に分けることが基本になる。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 座標計算法は直接法の一種で、作図ではなく座標計算によって視線と投影面の交点を求める。視点から視心への投影線(主投影線)を軸として直交する二つの平面を用意し、ここへ視線と投影面を平行投影(正投影)する。これにより投影面を含んだ三角形の相似関係が見いだせるため、比例計算によって投影先の座標が求まる<ref>"座標計算法は,単純な比例関係に基づいたもので ... 一つの参照面は水平で,もう一つの参照面は垂直である。両面は直交しており,それらの交線が主投影線になるように定める。 ... 計算に必要な寸法は,対象物の基準面,立面図,側面図などから得られる。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 === 消点法 === '''消点法'''({{lang-en-short|links=no|Trace-vanishing point method}})は投影される直線の描画角度を[[消失点]]から求める透視図法である<ref>"消点法 (Trace-vanishing point methods)" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 透視投影は[[透視投影#平行線の収束|平行線が消失点へ収束]]する特性を持つ。ゆえに線分内の点1つと消失点が分かれば線分の描画角度がわかる。これを利用し、基準となるいくつかの点・線分を直接法で用意したうえでそこから各線分を消失点により投影する。こうすることで対象物の角が投影された線の交点として現れ、対象物全体を投影できる。交点の位置を直接求める必要が無いため手間を省くことができる<ref>"透視投象の「消点(消失点)」を利用することで、平行な線で構成される立体の透視図を効率的に作成することができる(消点法)。" 以下より引用。大阪大学. (2020). ''[http://www.comy.cmc.osaka-u.ac.jp/zugaku2019up/index2.htm 第3章 立体から平面へ]''. 図学講義B. 2024-07-31閲覧.</ref>。 ==== 一点透視図法 ==== '''一点透視図法'''({{lang-en-short|links=no|One-point method}})は[[透視投影#一点透視投影|一点透視投影]]が成立する視点から消点法を用いる透視図法である<ref>"一点透視投影法 (One-point method)" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref><ref>"消点法A(対象物が投影面に対して平行に置かれた場合) 消点法Aは,対象物の一つの垂直面が垂直な投影面に対して平行に置かれる場合 ... 消点法Aは,一点透視投影法と同じである。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 一点透視投影が成立する視点を取るため対象物は正面が投影面と平行であり、さらに箱型であれば奥行き方向の辺が互いに平行である。よってまず対象物の正面を形状を保ったまま描画する([[#平行面の形状維持]])。残りは奥行き辺の方向と長さである。奥行き辺は互いに平行であるため投影面上に消失点を1つ設定し全ての奥行き辺をその方向へ向ける([[#平行線の収束]])。長さは様々な方法で決定される。投影面上の別の物体から補助線を伸ばすケース(例: 別の正方形の対角線を延長して交点を探す)や測点を使い正面像と比較するケース(例: [[透視投影#視心|視心]]へ収束する辺の長さを[[透視投影#距離点法|距離点]]で計測)や任意に設定するケース(画角が後付け)などがある。向きと長さが決まったので正面像からこれに従って線分を伸ばせば一点透視図を得られる。 ==== 二点透視図法 ==== '''二点透視図法'''({{lang-en-short|links=no|Two-point method}})は[[透視投影#二点透視投影|二点透視投影]]が成立する視点から消点法を用いる透視図法である<ref>"二点透視投影法 (Two-point method)"</ref><ref>"消点法B(対象物が投影面に対して斜めに置かれた場合) 消点法Bは,対象物の水平面が垂直な投影面に対して直角に置かれる場合である(対象物が,投影面に対して斜めの位置におかれる。)。... 消点法Bは,二点透視投影法と同じである。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 二点透視投影が成立する視点を取るため消失点が二点になる。この二点へ向けて奥行きのある平行線が収束する。 <gallery> Perspectiva-1.jpg|二点透視図法による立方体 Perspectiva-2.jpg|直接法と二点透視図法の一致 </gallery> ==== 三点透視図法 ==== 三点透視図法は[[透視投影#三点透視投影|三点透視投影]]が成立する視点から消点法を用いる透視図法である<ref>"三点透視投影法 (Three-point method) 三点透視投影法は,対象物のいずれの外形線やりょう線も投影面に平行ではない場合の透視投影法である。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref><ref>"傾斜した投影面に対する消点法 (Trace point method with inclined projection plane) ... これは,三点透視投影と同じである。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 三点透視投影が成立する視点を取るため消失点が三点になる。単なる(視点に制約のない)消点法ともいえる。 === 距離点法 === '''距離点法'''({{lang-en-short|links=no|Distance point method}})は[[透視投影#一点透視投影|一点透視投影]]で水平角度45°の消失点を用いて投影面にグリッドを映す透視図法である<ref name=":2">"距離点法 (Distance point method)(対象物が投影面に対して平行に置かれた場合) 距離点法は,基準面を使わずに格子状の透視画面を設定することによって対象物の透視投影図を描く方法である。" {{JIS|Z|8315-4|1999}} より引用。</ref>。 一点透視投影では消失点が水平線上に存在する。水平線上の消失点のうち水平角度45°に対応する点を'''距離点'''(きょりてん、{{lang-en-short|links=no|Distance point}})という。ここで投影面に垂直な四角形を考えると、その対角線は距離点へ収束する。ゆえに次の手順で正方形の投影ができる: [[ファイル:Distance method.png|サムネイル|距離点法|296x296ピクセル]] * 正方形の1辺となる水平な線分 <math>\overline{AB}</math> を投影面上に描く * 両端である <math>A</math> と <math>B</math> から水平角度0°の消失点(視心)<math>C</math> へ線を伸ばす * <math>A</math> から距離点 <math>D</math> へ線を伸ばし <math>\overline{BC}</math> との交点を <math>E</math> とする * <math>E</math> から水平線を引き、この水平線と <math>\overline{AC}</math> の交点を <math>F</math> とする * <math>\Box ABEF</math> を囲う <math>\Box ABEF</math> は正方形の投影である。なぜなら <math>\overline{AF}</math> と <math>\overline{BE}</math> は視心へ収束するため投影面と平行な <math>\overline{AB}</math> とは垂直であり、この長方形の対角線が距離点により45°の傾きを持つからである。 これを更に進めると、<math>\overline{AB}</math> を直線に伸ばし等間隔に区切ることで正方形のグリッドを投影できる<ref name=":2" />。このグリッドは目盛り付きの座標と同じであるから、これを用いれば対象物の大きさに基づいて投影図を容易に作図できる。 距離点が消失点の一種であること・グリッド作成後は消点法で作図するのが主流であることから、距離点法は消点法の一種とも捉えられる。 いわゆる「パースグリッド」ツールを用いた手書きでの一点透視投影図の作成は距離点法による透視図法の一種といえる。 == 透視図 == '''透視図'''(とうしず、{{lang-en-short|perspective drawing}})は透視投影で得られる[[投影 (図学)#投影図|投影図]]である。'''透視投影図'''(とうしとうえいず)とも<ref>"透視投影 ... これによって描いた図を透視投影図という。" {{JIS|Z|8114|1999}} より引用。</ref><ref>"透視図 perspective; perspective drawing ... 透視投影図 perspective drawing" {{Harvnb|日本図学会|2024}} より引用。2024-07-18 閲覧.</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} ==参考文献== * {{Cite web |url=http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E9%80%8F%E8%A6%96%E6%8A%95%E5%BD%B1/ |title=透視投影 | accessdate=2024-07-22 |author=武蔵野美術大学 |year=2009a |website=MAU造形ファイル |ref=harv}} * {{Cite web |url=http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E9%80%8F%E8%A6%96%E5%9B%B3%E6%B3%95%EF%BC%88%E7%B7%9A%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95%EF%BC%89/ |title=透視図法 |accessdate=2024-07-31 |author=武蔵野美術大学 |year=2007b |website=MAU造形ファイル |ref=harv}} * {{Cite web |url=https://www.graphicscience.jp/publications/1_list_detail.html |title=図学辞書(簡易版) | accessdate=2024-07-18 |author=日本図学会 |ref={{Harvid|日本図学会|2024}}}} * {{JIS|Z|8114|1999}} 製図-製図用語 * {{JIS|Z|8315-4|1999}} 製図-投影法-第4部:透視投影 * {{Cite web |url=https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/ricoh-filmcamera_lib/technique/index.html |title=カメラと写真がわかる本 |accessdate=2024-08-05 |author=馬場 |year=1997 |publisher=株式会社リコー/リコーフォトプロダクツ アジア LTD |ref=harv}} == 関連項目 == * [[投影 (図学)]] ** [[平行投影]] * [[遠近法]] * [[作図]] * [[射影幾何学]] {{DEFAULTSORT:とうしとうえい}} [[Category:絵画技術]] [[Category:設計]] [[Category:建築]] [[Category:射影幾何学]] [[Category:図]]
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