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運動の第2法則
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{{redirect|ニュートンの法則|流体力学の法則|ニュートン流体|熱工学の法則|ニュートンの冷却の法則}} {{古典力学}} {{読み仮名|'''運動の第2法則'''|うんどうのだい2ほうそく|{{lang-en-short|Newton's second law}}}}は、[[ニュートン力学]]の基礎をなす三つの運動法則の一つ。 第2法則は[[運動の第1法則]](慣性の法則)が成り立つ[[基準系]](いわゆる[[座標系]])、すなわち[[慣性系]]における、[[物体]]の運動状態の[[時間]]変化と物体に作用する[[力 (物理学)|力]]の関係を示す[[法則]]である。 ==概要== 運動の第2法則は[[アイザック・ニュートン]]によって発見され、[[1687年]]に出版した『[[自然哲学の数学的諸原理]]』において発表された。 運動の第2法則から、ニュートン力学における物体の[[運動方程式]]('''[[ニュートンの運動方程式|ニュートンの方程式]]''')が導かれる。 :<math> m\boldsymbol{a} = \boldsymbol{F}.</math> ここで、<math>m</math> は物体の[[質量]]、<math>\boldsymbol{a}</math> は物体の[[加速度]]、<math>\boldsymbol{F}</math> は物体に加わる[[力 (物理学)|力]]。 なお、この運動方程式は、ニュートン自身は直接示しておらず、[[レオンハルト・オイラー]]によって、[[1749年]]の {{fr|«Recherches sur le mouvement des corps célestes en général»}}(『天体の運動一般に関する研究』){{sfn|Euler|1749|pp=102–103}}で初めて公表された。 == 解説 == ニュートンの運動の第2法則は、物体の運動状態の時間変化が、物体に作用する力に比例し、方向が同じになることを主張する。 『自然哲学の数学的諸原理』における第2法則は力の作用する時間が暗黙に含まれており、前述した「運動状態の変化」は[[運動量]]の変化、「力」は今日でいう[[力積]]に相当する概念になっている。 現代的記法に則して第2法則を記述するなら、ある短い時間 {{math|Δ''t''}} に生じた物体の運動量の変化 {{math|Δ'''''p'''''}} は、(現代物理学における意味での)[[力 (物理学)|力]] {{mvar|'''F'''}} に比例する。 :<math>\Delta \boldsymbol{p} = \boldsymbol{F}\Delta t.</math><ref group="注" name="boldsymbol" /> この両辺を時間 {{math|Δ''t''}} で割り、運動量 {{mvar|'''p'''}} を時刻 {{mvar|t}} の[[関数 (数学)|関数]]と見なし {{math|Δ''t'' → 0}} の[[極限]]をとれば、以下の[[微分方程式]]が得られる。 :<math>\frac{d\boldsymbol{p}}{dt}(t) =\boldsymbol{F}(t)</math> この方程式はニュートンの運動方程式と呼ばれる。 ニュートンはまた、(現代でいうところの)運動量 {{mvar|'''p'''}} を、(慣性)[[質量]] {{mvar|m}} と速度 {{mvar|'''v'''}} の積として定義している。 :<math>\boldsymbol{p} := m\boldsymbol{v}.</math> 従って、上述の運動方程式は速度と質量を用いて以下のように書き直すことができる。 :<math>\frac{d(m \boldsymbol{v} )}{dt}(t) =\boldsymbol{F}(t)</math> また初等的な[[運動 (物理学)|運動学]]から、速度 {{mvar|'''v'''}} は[[位置]] {{mvar|'''x'''}} の[[時間微分]]として表すことができるから、運動方程式を {{mvar|'''x'''}} に関する2階の[[常微分方程式]]に書き換えることができる。 :<math>m\frac{d^2 \boldsymbol{x} }{dt^2}(t) = \boldsymbol{F}(t).</math> ここで質量 {{mvar|m}} は[[定数]]とした。 速度の時間微分、従って位置の2階の時間微分は[[加速度]]と呼ばれる。ニュートンの方程式によれば、物体の加速度はその物体が受ける正味の力に[[比例]]し、その[[比例係数]]は慣性質量となる。 :<math>m\boldsymbol{a}(t) = \boldsymbol{F}(t).</math> この形の方程式を運動方程式と呼ぶこともある。 加速度と力の関係から、ある(既知の)力が働く物体について、その加速度から物体の慣性質量を決定することができる。 == 相対性理論による修正 == [[ニュートン力学]]では、[[時間]]はあらゆる物体や[[空間]]について共通であると暗黙に仮定されていた。しかしながら、[[自然法則]]は[[相対性原理]]に従う(系によらず自然法則は不変)という考えの下では、もはや時間はすべてに共通する絶対的なものではなく、あらゆる系に固有のものとなる。 [[特殊相対性理論]](特殊相対論)では、[[慣性系]]における自然法則の不変性が要請される。特殊相対論においては、ニュートンの方程式に現れる時間は絶対的なものではなく、その系の[[固有時]]と解釈される。すなわち基準時刻 {{mvar|t}} を固有時 {{mvar|τ}} に置き換えたものが(特殊)相対論的運動方程式となる。 :<math>\frac{dp}{d\tau} =K(\tau)</math> この[[運動量]] {{mvar|p}} は[[速度]] {{math|1=''v'' {{coloneqq}} {{sfrac|''dx''|''dt''}}}} ではなく、位置の固有時による[[微分]]に[[比例]]する。 :<math>p =m\frac{dx}{d\tau}.</math> 時刻 {{mvar|t}} は固有時 {{mvar|τ}} の[[関数 (数学)|関数]]として与えられ、運動量は[[連鎖律]]から :<math>p=m\frac{dx}{dt} \frac{dt}{d\tau}=\gamma mv</math> となる。ここで {{mvar|γ}} は以下のように定義される。 :<math>\gamma =\frac{dt}{d\tau} =\frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}.</math> 質点の速さが[[光速]]より十分小さければ {{math|''γ'' → 1}} となり、ニュートン力学とほぼ同じ意味を持つ式となる。 {{See also|相対論的力学}} == 注釈 == {{reflist|group="注"|refs= <ref group="注" name="boldsymbol">太字の変数は[[幾何ベクトル|ベクトル量]]を表す。</ref> }} == 出典 == {{reflist}} == 参考文献 == * {{cite journal|first=Leonhard|last=Euler|title=Recherches sur le mouvement des corps célestes en général|journal=Mémoires de l'académie des sciences de Berlin|volume=3|pages=93-143|url=http://eulerarchive.maa.org/pages/E112.html|year=1749|access-date=2017-3-11|ref=harv}} * {{Cite book|和書 |author=松田哲 |title=力学|series=パリティ物理学コース |publisher=[[丸善]]|year=1993|page=20 |isbn= |ref=harv }} * {{Cite book|和書 |author=[[小出昭一郎]] |title=力学|series=物理テキストシリーズ |publisher=[[岩波書店]]|year=1997|page=18 |isbn= |ref=harv }} * {{Cite book|和書 |author=[[原康夫]] |title=物理学通論 I |publisher=[[学術図書出版社]]|year=2004|page=31 |isbn= |ref=harv }} == 関連項目 == *[[ニュートン力学]] *[[運動の第3法則]] *[[ニュートンの運動方程式]] *[[加速度系]] *[[加加加速度]] *[[重力質量]] *[[等価原理]] {{DEFAULTSORT:うんとうのたい2ほうそく}} [[Category:力学]] [[Category:自然科学の法則]] [[Category:力 (自然科学)]] [[Category:アイザック・ニュートン]]
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