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過マンガン酸カリウム
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{{Chembox | verifiedrevid = 406375376 | ImageFile1 = Potassium-permanganate-2004-unit-cell-3D-balls.png | ImageSize1 = | ImageFile2 = Potassium-permanganate-sample.jpg | ImageSize2 = 250px | ImageFile3 = Kaliumperma.jpg | ImageSize3 = 250px | IUPACName = Potassium manganate(VII) | OtherNames = 過マンガン酸カリウム<br />Chameleon mineral<br />Condy's crystals | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 7722-64-7 | CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}} | PubChem = 24400 | ChemSpiderID_Ref = {{chemspidercite|correct|chemspider}} | ChemSpiderID = 22810 | SMILES = [K+].[O-][Mn](=O)(=O)=O | StdInChI_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChI=1S/K.Mn.4O/q+1;;;;;-1 | StdInChIKey_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChIKey = VZJVWSHVAAUDKD-UHFFFAOYSA-N | RTECS = SD6475000 | KEGG_Ref = {{keggcite|correct|kegg}} | KEGG = D02053 | UNNumber = 1490 | EINECS = 231-760-3 | Non-Flammable }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = KMnO<sub>4</sub> | MolarMass = 158.034 g/mol | Appearance = 深紫色結晶<br />溶液中で[[マゼンタ]]色からバラ色 | Odor = 無臭 | Density = 2.703 g/cm<sup>3</sup> | MeltingPtC = 200 | Melting_notes = 分解 | Solubility = 6.38 g/100 ml (20 °C) <br /> 25 g/100 mL (65 °C) | SolubleOther = [[アルコール]]や[[有機溶媒]]中で分解 }} | Section3 = {{Chembox Structure | CrystalStruct = 柱状斜方晶系結晶 | Coordination = | MolShape = }} | Section4 = {{Chembox Thermochemistry | DeltaHf = -813.4 kJ/mol | Entropy = 171.7 J K<sup>-1</sup> mol<sup>-1</sup> | HeatCapacity = }} | Section7 = {{Chembox Hazards | ExternalMSDS = [http://ptcl.chem.ox.ac.uk/MSDS/PO/potassium_permanganate.html External MSDS] <!--旧規格のため、隠しました。--><!--| EUIndex = 025-002-00-9 | EUClass = Oxidant ('''O''')<br />Harmful ('''Xn''')<br />Dangerous for the environment ('''N''')<br />Non-Flammable | RPhrases = {{R-phrases|8|22|50/53}} | SPhrases = {{S-phrases|2|60|61}}--> | GHSPictograms = {{GHS03}}{{GHS07}}{{GHS08}}{{GHS09}} | GHSSignalWord = Warning | HPhrases = {{H-phrases|272|302|361|400|410}} | PPhrases = {{P-phrases|201|202|210|220|221|264|270|273|280|281|301+312|308+313|330|370+378|391|405|501}} | NFPA-H = 2 | NFPA-F = 0 | NFPA-R = 1 | NFPA-O = OX | FlashPt = }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherAnions = [[マンガン酸カリウム]] | OtherCations = [[過マンガン酸ナトリウム]]<br />[[過マンガン酸アンモニウム]] | OtherFunctn = | Function = | OtherCpds = [[七酸化二マンガン]] }} }} '''過マンガン酸カリウム'''(かマンガンさんカリウム、{{lang-en-short|potassium permanganate}})は、化学式 KMnO<sub>4</sub> の[[無機化合物]]で、[[カリウム]]イオン (K<sup>+</sup>) と[[過マンガン酸]][[イオン (化学)|イオン]] (MnO<sub>4</sub><sup>−</sup>) より構成される[[過マンガン酸塩]]の一種。Mn の[[酸化数]]は+7、O の酸化数は−2、K は+1である。 式量は 158.04 g/mol で、水、[[アセトン]]、[[メタノール]]に可溶である。[[固体]]では深紫色の柱状[[斜方晶]]系結晶である。においはなく、強力な[[酸化剤]]である。 水への[[溶解度]]は 7.5 g/100 g (25 {{℃}}) で、約 200 ℃ で[[酸素]]を放ち分解する<ref>久保亮五、長倉三郎、井口洋夫、江沢洋 『岩波 理化学辞典 第4版』 株式会社岩波書店、1987年。ISBN 4-00-080015-9</ref>。 [[麻薬及び向精神薬取締法]]により麻薬向精神薬原料に指定されている<ref>[http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe2.cgi?MODE=hourei&DMODE=SEARCH&SMODE=NORMAL&KEYWORD=%8c%fc%90%b8%90%5f%96%f2%8e%e6%92%f7%96%40&EFSNO=782&FILE=FIRST&POS=0&HITSU=6 麻薬及び向精神薬取締法施行規則 昭和二十八年三月三十一日 政令第五十七号 第一条 五]</ref>。 ==歴史== 過マンガン酸カリウムは[[1659年]]に発見された。初期の[[写真家]]の間では[[閃光粉]]として使用されていた。 == 製法== ===実験室的製法=== 主に以下の3段階の操作で合成される。 # 酸化剤に対して耐久性のある素材(不動態被膜を形成する鉄など)製の容器で[[二酸化マンガン]]と、[[水酸化カリウム]]もしくは[[炭酸カリウム]]を溶融させて空気酸化させるか、前者2つに酸化剤である[[塩素酸カリウム]]もしくは[[硝酸カリウム]]を混合して溶融させて酸化し、[[マンガン酸カリウム]]を得る。 # 合成したマンガン酸カリウムを冷却後に水に溶解し、酸化剤に耐久性のある素材(ガラス繊維ろ紙等)を用いて未反応のMnO<sub>2</sub>等を濾別する。 # 濾過後の溶液に[[二酸化炭素]]を吹き込むと自己酸化還元反応が起こり、過マンガン酸カリウムが生成する。 マンガン酸イオン(MnO<sub>4</sub><sup>2-</sup>)は[[中性 (酸塩基)|中性]]~[[酸性]]条件下、酸性が強くなるほど不安定になり、[[自己酸化還元反応]]によって[[二酸化マンガン]]と過マンガン酸イオンに不均化することを利用する。 上記の方法は、[[化学反応]]としては2つの反応を利用している。下記にその一例を示す。 # 二酸化マンガンの酸化によるマンガン酸カリウムの生成 #:塩基に水酸化カリウム、酸化剤に塩素酸カリウムを用いた場合 #:: <chem>3MnO2 + 6KOH + KClO3 -> 3K2MnO4 + KCl + 3H2O</chem> #:塩基に水酸化カリウム、酸化剤に酸素を用いた場合 #:: <chem>2MnO2 + 4KOH + O2 -> 2K2MnO4 + 2H2O</chem> # マンガン酸カリウムの不均化による過マンガン酸カリウムの生成 #:: <chem>3K2MnO4 + 2H2O -> 2KMnO4 + MnO2 + 4KOH</chem> #:特に、[[pH調整剤]]として二酸化炭素を用いた場合 #:: <chem>3K2MnO4 + 2CO2 -> 2KMnO4 + MnO2 + 2K2CO3</chem> === 工業的製法 === [[軟マンガン鉱]] (主成分:[[二酸化マンガン]] MnO<sub>2</sub>) を水酸化カリウムに溶融し、空気酸化してマンガン酸カリウムとした後、電解酸化または塩素により酸化して製造する。 塩素によるマンガン酸カリウムの酸化は次の式で表される。 : <chem>2K2MnO4 + Cl2 -> 2KMnO4 + 2KCl</chem> == 用途 == [[ファイル:KMnO4 in H2O.jpg|thumb|left|150px|KMnO<sub>4</sub> の希薄水溶液]] 過マンガン酸カリウムは強い酸化剤として、実験室および工業の場面で数多くの種類の[[酸化]]反応に用いられている。用いる溶液の濃度である程度酸化作用を調節でき、例として薄い KMnO<sub>4</sub> 水溶液は[[アルケン]]を 1,2-ジオール([[グリコール]])に酸化する。より濃い溶液は[[芳香環]]の[[メチル基]]などの[[アルキル基]]を[[カルボキシ基]]に酸化する。分析化学では KMnO<sub>4</sub> 水溶液の標準溶液の紫色が目視で確認しやすく、当量点の特定が容易であるために[[滴定|酸化還元滴定]]の[[酸化還元指示薬|滴定剤]]として用いられる。深紫色の[[過マンガン酸]]イオンは、酸性溶液中では酸化数+2を持つ薄いピンク色の Mn<sup>2+</sup> (aq) 陽イオンに還元される。[[塩基性]]溶液中では過マンガン酸イオンは酸化数+4を持つ茶色の沈殿物、[[二酸化マンガン]] (MnO<sub>2</sub>) に還元される。 過マンガン酸カリウム水溶液と[[プソイドエフェドリン|塩酸プソイドエフェドリン]]水溶液から[[メトカチノン]]を生成する事ができる。薄い水溶液は洗口液 (0.25%) もしくは手の消毒液 (1%) としても利用される。[[コカイン]]を 100% 純粋に[[精製]]するのにも用いられてきた。ほかに、[[殺菌剤]]、[[消臭剤]]、魚類の[[寄生虫]]駆除、[[飲料水]]の殺菌、リン中毒の[[解毒]]剤、[[染料]]の用途が挙げられる。 エチレンを酸化して分解してしまうので、バナナの長期保存に使用される。過マンガン酸カリウムを使用することにより、常温で最大4週間の貯蔵が可能となる<ref>{{cite journal|author=Scott, KJ, McGlasson WB and Roberts EA |title=Potassium Permanganate as an Ethylene Absorbent in Polyethylene Bags to Delay the Ripening of Bananas During Storage|journal= Australian Journal of Experimental Agriculture and Animal Husbandry |doi=10.1071/EA9700237|volume=10|issue=43|page= 237|year=1970}}</ref><ref>{{cite journal|author=Scott KJ, Blake, JR, Stracha, G, Tugwell, BL and McGlasson WB |year=1971|title= Transport of Bananas at Ambient Temperatures using Polyethylene Bags|journal= Tropical Agriculture (Trinidad)|volume= 48|pages= 163-165}}</ref><ref>{{cite journal|author=Scott, KJ and Gandanegara, S |year=1974|title= Effect of Temperature on the Storage Life of bananas Held in Polyethylene Bags with an Ethylene Absorbent|journal= Tropical Agriculture (Trinidad)|volume= 51|pages=23-26}}</ref>。 また木[[パルプ]]の[[κ価]]を測定する試薬として用いられる。自動車の[[ラジエター液]]と混合すると発火するので、サバイバルキットに[[点火材]]として含まれることがある<ref name="Bob Gillis and Dino Labiste">{{cite web |url=http://www.primitiveways.com/chemical_fire.html |title=Fire by Chemical Reaction |author = Gillis, Bob and Labiste, Dino||accessdate=2015-09-05}}</ref>。<!--下品なので隠します--><!--かつて自宅での非合法な[[妊娠中絶]]目的で溶液を膣に入れる行為がおこなわれていたが、膣粘膜の腐食がおこるだけで中絶には有効ではないことが判っており[[アメリカ食品医薬品局|FDA]]はそのような用途に使用しないよう規制を強化した<ref>{{cite web|title=CFR - Code of Federal Regulations Title 21|url=http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/CFRSearch.cfm?fr=250.108|website=U.S. Food and Drug Administration|publisher=U.S. Department of Health & Human Services|accessdate=1 April 2015}}</ref>。--> == 注意 == 固体の過マンガン酸カリウムは非常に強い酸化剤であり、純粋な[[グリセリン]]などの[[アルコール]]と混合すると強い[[発熱反応]]が発生する。この反応はこれらが入っているガラスや他の容器を溶かすほど自発的に高温の[[燃焼]]となり、近くにある[[可燃性]]の物質に[[引火]]することがある。この反応は固体の過マンガン酸カリウムが多種の[[有機化合物]]と混合された場合にも発生し得る。 : <chem>3 C3H5(OH)3 + 14KMnO4 -> 14MnO2 + 7K2CO3 + 2CO2 + 12H2O</chem> 水溶液中では酸性条件下で最も強い酸化力を示し、中性、塩基性では酸性条件より酸化力は弱い。これは過マンガン酸イオンの水溶液中での安定度と密接な関係があり、過マンガン酸イオンは酸性条件下では不安定で、中性、塩基性において安定である。(但し、過剰の塩基存在下では不安定で、[[マンガン酸塩|マンガン酸イオン]]へ還元される。)また、当然濃度によっても酸化力は危険性と共に増減する。過マンガン酸カリウムの'''水溶液'''は、特に薄い場合、酸化力は低く危険性は低いが、高濃度では過マンガン酸イオンは不安定で酸化力は強くなり、危険性が高まる。さらに、過マンガン酸カリウムの'''固体'''を[[濃硫酸]]と混合すると、爆発性の[[酸化マンガン(VII)]] (Mn<sub>2</sub>O<sub>7</sub>) を生成する<ref>Cotton, F. A.; Wilkinson, G.; Murillo, C. A.; Bochmann, M. (April 1999). ''Advanced Inorganic Chemistry, 6th Edition''. Wiley-VCH. ISBN 0-471-19957-5</ref>。 また、通常、酸性条件で酸化を行う場合、[[希硫酸]]で酸性にした'''硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液'''を用いる。これは[[硫酸]]が過マンガン酸イオンの酸化作用の影響を受けず、かつ最も汎用され、安価な酸で都合が良いためである。酸化剤に対して安定な酸ならば、他の酸を用いることも可能である。 仮に[[塩酸]]を用いた場合、[[塩化水素]]が還元剤となって酸化される反応が起こってしまう。 [[硝酸]]では酸化作用に対しては安定であるが、自身が酸化剤であるために、[[酸化還元滴定]]などでは正確な値の測定には不都合である。また、過マンガン酸カリウムの濃厚な水溶液や固体を[[塩酸]]と混合すると、致死性の[[塩素|塩素ガス]]が発生する。これは自発的な反応であり、穏やかな酸化剤である[[二酸化マンガン]]との反応とは異なる点である。(二酸化マンガンと塩酸との反応は加熱が必要) 過マンガン酸カリウムは衣服や手を[[染色]]するため取り扱いには注意が必要である。これは、過マンガン酸カリウムが[[還元]]されてできる[[二酸化マンガン]]のためである。衣服のしみは酸性にした[[亜硫酸ナトリウム]](亜硫酸ガスの発生に注意、酸性の[[定着液]]を使用すると安全、処理後の洗浄を確実に)を使用して除去可能である。ただし、[[シュウ酸]]を使うこともできる。肌のしみは48時間以内に自然に除去されるが、肌に触れると[[やけど]]を起こし、飲み込むと[[胃腸炎]]を起こす。 日本では法令により[[危険物|危険物第一類]]、[[向精神薬|特定麻薬向精神薬原料]]に指定されている。[[アメリカ]]ではDEA規則により使用と販売が制限されている。 == 出典 == {{Reflist}} == 関連項目 == * [[酸化剤]] * [[過マンガン酸]] * [[過マンガン酸塩]] * [[酸化マンガン(VII)]] * [[マンガン酸塩]] * [[二酸化マンガン]] * [[滴定]] * [[化学的酸素消費量]] {{カリウムのオキソ酸塩}} {{DEFAULTSORT:かまんかんさんかりうむ}} [[Category:過マンガン酸塩]] [[Category:カリウムの化合物]] [[Category:無機化合物]] [[Category:第1類危険物]] [[Category:酸化剤]] [[Category:麻薬向精神薬原料]] [[Category:指示薬]]
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