配置エントロピーのソースを表示

[[統計力学]]において、'''配置エントロピー'''（はいちエントロピー、{{lang-en-short|Configuration entropy}}）は、系の[[エントロピー]]のうち、構成粒子の離散的な代表位置に関連する部分である。例えば、混合物、合金、またはガラス中で[[原子]]または[[分子]]が詰め込まれるやり方の数、分子の立体配座の数、あるいは磁石のスピン配置の数などを指すかもしれない。名称は、これが[[速度]]または[[運動量]]のエントロピーを除いた系の全ての可能な配置または粒子の位置と関連していることを示唆しているかもしれないが、そのような用例はほとんどない<ref>{{cite journal | vauthors = Hnizdo V, Gilson MK | title = Thermodynamic and Differential Entropy under a Change of Variables | journal = Entropy | volume = 12 | issue = 3 | pages = 578–590 | date = March 2010 | pmid = 24436633 | pmc = 3891802 | doi = 10.3390/e12030578 }}</ref>。

== 計算 ==
配置が全て同じ重み（エネルギー）を有しているならば、配置エントロピーは[[ボルツマンの原理|ボルツマンのエントロピー式]]によって与えられる。
:<math>S = k_B \, \ln W</math> 
上式において、''k''<sub>''B''</sub>は[[ボルツマン定数]]、''W''は可能な配置の数である。系が確率''P''<sub>''n''</sub>で状態''n''をとることができるならば、系の配置エントロピーは以下の式によって与えられる。
:<math>S = - k_B \, \sum_{n=1}^W P_n \ln P_n</math> 
この式は、完全無秩序極限（全ての''P''<sub>''n''</sub> = 1/''W''）においてボルツマンの式となるが、逆の極限（1つの配置が確率1を持つ）ではエントロピーは消滅する。この定式化は{{仮リンク|エントロピー (統計熱力学)|en|Entropy (statistical thermodynamics)|label=ギブズのエントロピー式}}と呼ばれ、[[情報量|シャノンの情報エントロピー]]のものと類似している。

数学の[[組合せ数学|組合せ論]]分野、特に[[組合せ (数学)|組合せ]]と[[置換 (数学)|置換]]の数学は配置エントロピーの計算において非常に重要である。特に、この数学分野は、離散的な対象（この場合は原子または分子）を選んだり配置したりするやり方の数を計算するための定式化された手法を提供する。しかしながら、分子の位置は厳密には量子レベル以上では離散的ではないことに注意することが重要である。そのため、重水な組合せ的手法を可能とするために系を離散化する様々な近似法が使用されることがある。別の方法として、場合によっては、連続的な位置関数を直接扱うために積分法（通常は配置積分と呼ばれる）が使われることがある。

== 出典 ==
{{reflist}}

== 参考文献 ==
{{refbegin}}
* {{ cite book | last = Kroemer | first = Herbert | first2 = Charles | last2 = Kittel | name-list-format = vanc | year = 1980| title = Thermal Physics | edition = 2nd | publisher = W. H. Freeman Company | isbn = 978-0-7167-1088-2 }}
{{refend}}

== 関連項目 ==
* [[配座エントロピー]]
* [[組合せ数学]]
* [[エントロピー的な力]]
* {{仮リンク|ナノ力学|en|Nanomechanics}}
* {{仮リンク|混合のエントロピー|en|Entropy of mixing}}

{{DEFAULTSORT:はいちえんとろひい}}

[[Category:統計力学]]
[[Category:エントロピー]]
[[Category:統計力学の哲学]]
[[Category:物理学の概念|えんとろひい]]