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酸化還元反応
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{{Redirect|Redox|Rustプログラミング言語で書かれたUnix系オペレーティングシステム|Redox (オペレーティングシステム)}} {{出典の明記|date=2012-1}} [[Image:redox reaction.png|thumb|300px|right|酸化還元反応の例。[[水素]]は酸化され、[[フッ素]]は還元されている。]] '''酸化還元反応'''(さんかかんげんはんのう)とは、[[酸化剤]]と[[還元剤]]が反応して、[[電子]]の授受を行う[[化学反応]]のことである。英語表記の Reduction / Oxidation から、'''レドックス''' (Redox) という[[かばん語]]も一般的に使われている。 酸化還元反応ではある物質の[[酸化]]プロセスと別の物質の[[還元]]プロセスが必ず並行して進行する。言い換えれば、一組の酸化される物質と還元される物質があってはじめて酸化還元反応が[[完結]]する。酸化還元反応の[[化学反応式]]は、[[還元剤]]が電子を放出する[[酸化反応]]と、[[酸化剤]]が電子を受け取る[[還元反応]]の2本に分割して記述することができる。このように分割して記述した化学反応式のことを'''[[半反応式]]'''、'''半電池反応式'''、あるいは'''半電池式'''と呼ぶ。半反応式は、必ず[[電子]] <chem>{e^-}</chem> の項を含む。 [[化学]]における主要な[[化学反応]]には、他に『'''[[中和反応]]'''』などがあるが、酸化還元反応と中和反応はまったくの別物なので、注意されたい。酸化還元反応は、中和反応とは異なり、[[反応物]]の[[元素|構成元素]]のうち、[[酸化数]]が変化するものが必ず存在する。また、『[[酸性]][[共通部分 (数学)|かつ]]酸化剤の[[水溶液]]』『酸性かつ還元剤の水溶液』『[[アルカリ性]]かつ酸化剤の水溶液』『アルカリ性かつ還元剤の水溶液』は、いずれも実際に存在する。(具体例は、順に[[硝酸]]、[[硫化水素]]、[[次亜塩素酸ナトリウム]]、[[硫化ナトリウム]]など) == 酸素が関与する酸化還元反応 == 狭義には酸化あるいは還元とは[[金属]]と[[酸素]]との化学反応を示す呼称であった。 例えば、金属の[[銅]]は[[空気]]中の酸素分子と徐々に反応し、表面は褐色の[[酸化銅(II)]] (CuO) に変化する。酸化銅(II)は高温で[[炭素]]と反応させると酸素が奪われて元の銅に変化する。前者を酸化といい、後者を還元と呼ぶ。このとき、銅を中心に反応を見ると、銅を酸化する酸素は[[酸化剤]]である。また、酸化銅(II)を還元して銅に戻す炭素は[[還元剤]]になる。 一方で酸素を中心に反応を見ると、前者の銅の酸化反応では、空気中の酸素分子は最終的に酸化銅(II)に含まれる酸化物イオンとなり還元されている。すなわち酸素(原子)の[[酸化数]]は0から-2に変化しており、このとき銅は酸素に対して還元剤として働いているとみなせる。また、後者の酸化銅(II)の還元反応では、炭素は最終的に[[二酸化炭素]]となり酸化されている。すなわち炭素の酸化数は0から+4に変化しており、このとき酸化銅(II)は炭素に対して酸化剤として働いている。 また電子反応論に立つと、前者の銅の酸化反応では、銅は電子を2個失い、同時に酸素(原子)は銅からその2個の電子を受け取って[[オクテット則]]を満たす酸化物イオンとして安定化されている。 したがって、酸化還元反応とは、単なる酸素原子の授受に限らず、次に述べるように、物質間の電子の授受を伴う反応であると広義に考えることができる。今日では、この広義の定義が広く用いられている。 == 酸素が関与しない酸化還元反応 == 酸素が関与しない反応で、[[酸化還元電位]](平たく言えば[[イオン化傾向]])の差によって自発的に金属が[[析出]]する反応がある。例えば以下の反応である。 :<math>\rm{Cu^{2+}+Zn\rightarrow Cu+Zn^{2+}}</math> これも酸化還元反応で、金属[[亜鉛]]は電子を失って亜鉛イオンとなり、銅イオンは電子を受け取って金属銅になっている。 したがって、酸素の授受のない反応にも酸化還元反応を拡大すると、その本質は電子の授受にあるということができる。 他にも、酸素も金属も関与しない反応で電子の授受を伴う反応が多数存在し、それら全てを含めて酸化還元反応という概念で理解されている。酸素や金属が関与する反応は、膨大な酸化還元反応のうちごく一部でしかない。 == 酸化数 == この様に酸化還元反応では、失う側の電子の数と受け取る側の電子の数は一致するので、[[化学当量]]の式で表すことができる。このとき、各[[元素]]に[[酸化数]] (oxidation number) という概念を導入すると、当量関係の把握が容易になる。つまり、酸化還元反応の前後で反応系全体の酸化数の総和は変化しないので、各段階でどの様に電子が授受されるかを追跡しなくても、最初の状態と最後の状態で酸化数の変化を見れば、どの原子が酸化されて、どの原子が還元されたかが一目瞭然となる。それゆえ酸化数は酸化状態 (oxidation state) とも呼ばれる。 酸化数は次のルールに従って、決定される。 #[[単体]]中の原子の酸化数は 0 とする。 #:(例 Cu, O<sub>2</sub>, H<sub>2</sub>) #単原子からなる[[イオン (化学)|イオン]]は、そのイオン原子の酸化数はイオンの[[電荷]]の数と等しいとみなす。 #:(例 Cu<sup>2+</sup> ⇒ +2) #化合物中の酸素原子の酸化数は −2 とする。例外として[[過酸化物]]の酸素は −1 の酸化数を持つ。 #化合物中の水素原子の酸化数は +1 とする。例外として[[水素化合物]]の水素は −1 の酸化数を持つ。 #電荷を持たない[[化合物]]については、それを構成する各原子の酸化数の総和は 0 になる。 #:(例 CuO ⇒ Cu (+2) + O (−2) = 0) #複数の原子で構成されるイオン(例 [[硫酸]]イオン)は、それを構成する各原子の酸化数の総和はイオンの価数と一致する。 #:(例 SO<sub>4</sub><sup>2−</sup> ⇒ S (+6) + 4 × O (−2) = −2) #特例を除き、原子の酸化数は 2 ずつ変化する。 #:(例 (Sの酸化数) SO<sub>4</sub><sup>2−</sup> (+6) ⇔ SO<sub>3</sub><sup>2−</sup> (+4) ⇔ S<sub>2</sub>O<sub>3</sub><sup>2−</sup> (+2) ⇔ S<sub>8</sub> (0) ⇔ S<sup>2−</sup> (−2) なお、[[量子化学]]的解釈は酸化数を参照のこと。 (酸化数は共有電子を双方とも電気陰性度の大きい原子に振り分けた、仮想のイオンの酸化数として、決定される) == 酸化還元電位 == 酸化還元反応において、電子が授受される方向は酸化剤として働く物質の酸化力、あるいは還元剤として働く物質の還元力の大小に従っている。そしてそれは相対的なものであって、酸化剤自身は反応後、還元された状態になるが、それに対してより強い酸化剤を作用させると酸化されてしまう。金属イオンの場合は、前述の酸化還元反応のように酸化力(あるいは還元力)の序列がイオン化傾向として定性的に知られている。但し、金属イオンに対する[[配位子]]の有無、溶液のpH([[水素イオン指数]])、[[合金]]形成の有無などによってイオン化傾向の序列は逆転することがあるため、イオン化傾向だけで酸化力や還元力の大小を判断するのは危険である。酸化還元反応を構成する二つの[[化学反応式#半反応式|半反応式]](多くの場合金属/金属イオンのペア)を、互いに隔離して空間的に異なる別々の場所で行わせ、その際に授受される電子を外部の回路に取り出すことができるように工夫したものが、電池である。このとき測定される電池の起電力は、それぞれの半反応式に含まれる酸化剤の酸化力(あるいは還元剤の還元力)の差を反映している。 以上の原理を元に導入された酸化還元の強度の尺度が酸化還元電位である。レドックス電位とも呼ばれる。 電池では、その正極と負極において、半反応式(半電池式)で表される1組の酸化還元反応が起こっている。それぞれの極を半電池と呼ぶことにすると、二つの半電池の間に発生するのが電池の起電力である。1対の酸化体と還元体(例えば銅イオンと金属銅)を含む半反応式の酸化還元電位は、ある基準となる半電池と組み合せたときの起電力として定義されている。水溶液系の場合、ある半反応式の酸化還元電位を求める際に基準とする、相手の半電池には :<math>\rm{2H^{+}(aq) + 2e^{-} = H_2(g)}</math> を使うことが取り決められている。ここで、水素イオンの活量は1、水素ガスの分圧は1気圧であり、このような半電池を[[基準電極#標準水素電極|標準水素電極]](SHE; standard hydrogen electrodeもしくはNHE; normal hydrogen electrode)と呼んでいる。酸化還元反応系において、関与する物質の活量(あるいは分圧)がすべて1の場合の電極電位を標準電極電位と呼んでいる。活量が1でない場合の電極電位は[[ネルンストの式]]から計算することができる。標準水素電極 (SHE) を基準に求めた種々の半反応式の酸化還元電位は、便覧等に表として掲載されている。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == *[[酸化数]] *[[電子移動反応]] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:さんかかんけんはんのう}} [[Category:化学反応]] [[Category:電気化学]]
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