重ね板ばねのソースを表示

[[File:Three-quarter-elliptic leaf spring.jpg|thumb|[[馬車]]の[[懸架装置]]として使われている重ね板ばねの一例]]
'''重ね板ばね'''（かさねいたばね）とは[[板ばね]]の一種で、板を層状に積み重ねて造られる[[ばね]]である。'''リーフスプリング'''（{{lang-en-short|leaf spring}}）や単に'''板ばね'''と呼ばれることもある{{Sfn|JIS D 0111|1992|p=5}}。板の曲げ変形を利用して、ばね作用する。普通の板厚一定の一枚板だと[[応力]]が根元に向かって大きくなるので、応力を均一化させるように、板を積み重ねたり板を[[テーパー]]形状にしたりすることで長手方向に沿って断面形状を変化させるのが、重ね板ばねの基本原理といえる。

現在では、主に[[貨物自動車|トラック]]、[[バス (交通機関)|バス]]、商用の[[バン (自動車)|バン]]などの[[懸架装置]]として、重ね板ばねは使われている。20世紀前半ごろまでは[[鉄道車両]]の懸架装置でも常用されていた。古くは[[馬車]]の懸架装置として利用されてきた。車体を支える用途の重ね板ばねは、特に'''担いばね'''（にないばね）とも呼ばれる{{Sfn|JIS B 0103|2005|p=5}}。

重ね板ばねを構成する板はリーフやばね板と呼ばれ、一般的に[[ばね鋼]]という鉄鋼材料で出来ている。重ね板ばね、特にマルチリーフスプリングと呼ばれるものでは、隣り合う板同士が摩擦を起こすのが特徴である。これによって振動に対する減衰力が得られるメリットもあるが、きしみ音の発生、動的ばね定数の増加、塗膜剥がれによる腐食などのデメリットにもつながる。板をテーパー形にするものはテーパリーフスプリングと呼ばれ、この種類では板間摩擦が軽減される。その他には、非線形のばね特性を持たせたプログレッシブ重ね板ばねや親子重ね板ばねなどのバリエーションがある。

== 基本原理 ==
[[File:固定端片持ちはり.svg|thumb|先端（自由端）に荷重がかかる、幅 ''b'' 厚み ''t'' の長方形断面をもつ固定端片持ちはり]]
[[板ばね]]とは、板の曲げ変形を利用してばね作用を得ているばねで、その一種である重ね板ばねは、曲げ応力が一定となることを基本理念としている{{Sfn|渡辺・武田|1989|pp=57&ndash;58, 63}}。片方が固定端でもう片方が自由端の[[はり部材|片持ちはり]]について考える。自由端位置に荷重 ''P'' が加わるとき、はりの曲げ変形による自由端位置の変位 ''&delta;'' は以下のように表される{{Sfn|渡辺・武田|1989|p=59}}。

:<math>\delta = \frac{PL^3}{3EI} </math>

ここで、''L'' は固定端から自由端までの長さ、''E'' は[[縦弾性係数]]、''I'' は[[断面二次モーメント]]である。この式を変形し、断面が[[長方形]]だとすれば

:<math>k = \frac{P}{\delta} = \frac{E b t^3}{4 L^3} </math>

となり、この片持ちはりは、上式で表されるような[[ばね定数]] ''k'' のばねとして働く{{Sfn|渡辺・武田|1989|p=59}}。ここで、''b'' は長方形断面の幅、''t'' 長方形断面の厚みである。

はりの固定端から距離 ''x'' とする。上述の場合のはり表面の曲げ応力 ''&sigma;<sub>b</sub>'' は、

:<math>\sigma_b = \frac{6P}{bt^2}(L - x) </math>

と表され、''x'' によって変化する{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=139|渡辺・武田|1989|2p=62}}。曲げ応力は、はりの根元（固定端）で最も大きくなる{{Sfn|渡辺・武田|1989|p=60}}。

[[File:平等応力のはり（三角はり）.svg|thumb|平等応力のはり（手法1）]]
[[File:平等応力のはり（パラボリックはり）.svg|thumb|平等応力のはり（手法2）]]
一定断面ならばこのように ''x'' によって変化する ''&sigma;<sub>b</sub>'' を、''x'' に関わらず一定になるように断面形状を ''x'' に沿って変化させることを考える。このような応力状態を'''平等応力'''や'''等応力'''と呼ぶ{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=138|ばね技術研究会（編）|1998|2p=3}}。平等応力を実現する方法として
#断面厚み ''t'' は一定とし、断面幅 ''b'' を可変とする。
#断面幅 ''b'' は一定とし、断面厚み ''t'' を可変とする。
という2つの手法があり得る{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=139}}。手法1を実現するには、次式で表されるような、はり固定端での幅は ''B''<sub>0</sub> でそこから直線的に幅が狭まっていき先端で幅 0 になる三角形のはりにすればよい{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=139}}。

:<math>b = B_0 \frac{L-x}{L} </math>

手法2を実現するには、次式で表されるような、はり固定端での厚みは ''T''<sub>0</sub> でそこから放物線状に厚みが狭まっていき先端で厚み 0 になる放物線形のはりにすればよい{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=139}}。

:<math>t = T_0 \sqrt{\frac{L-x}{L}} </math>

このように、はり上の曲げ応力を一定とする基本な考え方としつつ、上式2つの断面形状を現実的に実現可能な形に修正したのが重ね板ばねである{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|pp=138&ndash;140}}。一定断面の板ばねを重ね板ばねにすることによって、[[エネルギー貯蔵]]も高効率化する<ref name="Spotts et al.">{{Cite book |title = Design of Machine Elements |url = https://www.pearson.com/en-us/subject-catalog/p/Spotts-Design-of-Machine-Elements-8th-Edition/P200000006702/9780130489890 |author= Merhyle F. Spotts; Terry E. Shoup; Lee E. Hornberger  |publisher = Pearson |location = New Jersey |year = 2004 |edition = 8 |isbn = 0-13-048989-1 |page = 298&ndash;299 }}</ref>{{Sfn|渡辺・武田|1989|p=63}}。ばねに蓄えられる[[弾性エネルギー]]を ''U'' とし、ばねの体積を ''V'' とする。ばねが変位するときに発生する最大応力を ''&sigma;'' とし、材質の縦弾性係数を ''E'' とする。一定の長方形断面の板ばねだと ''E'' は次式のようになる<ref name="Spotts et al."/>。 

:<math> U = \frac{\sigma^2}{18E}V </math>

これを上記のような理想的な三角形はりにすると、弾性エネルギーは

:<math> U = \frac{\sigma^2}{6E}V </math>

となり、エネルギー貯蔵効率も向上する<ref name="Spotts et al."/>。

==種類と構成==
[[File:マルチリーフスプリング概略図.svg|thumb|マルチリーフスプリング概略図]]
[[File:テーパーリーフスプリング概略図.svg|thumb|テーパリーフスプリング概略図]]

===マルチリーフとテーパリーフ===
重ね板ばねを構成する各板は、'''リーフ'''や'''ばね板'''と呼ばれる{{Sfnm|JIS B 2710-1|2020|1p=1|JIS B 0103|2005|2p=9}}。分類方法は他にもあるが、大別すると、重ね板ばねには'''マルチリーフスプリング'''と'''テーパリーフスプリング'''の2種類がある{{Sfn|日本ばね学会（編）|2019|p=15}}。

マルチリーフスプリングとは、長さの異なる平らな板を階段状に積み重ねて構成する板ばねである{{Sfn|JIS B 0103|2005|p=6}}。[[#基本原理|上述]]の平等応力を実現する手法 1 に基づくのが、このマルチリーフスプリングといえる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=139}}。[[#リーフ間摩擦|後述]]のように、リーフ同士が摩擦によって減衰力が得られる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=136}}。特に腐食環境での耐久性に欠点を抱えているが、よく使用されている重ね板ばねの種類である{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=136|KYB株式会社（編）|2013|2p=82}}。

テーパリーフスプリングとは、リーフ自体が[[テーパー]]（先細り形状）になっており、そのようなリーフ1枚または複数枚から構成される板ばねである{{Sfnm|JIS B 0103|2005|1p=6|日本ばね学会（編）|2008|2p=136}}。テーパリーフスプリングは[[#基本原理|上述]]の平等応力を実現する手法 2 に基づいている{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=139}}。リーフに加わる応力を均一化できるため軽量化が達成できる{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=51}}。耐久性や軽量化の利点によって、近年の重ね板ばねではテーパリーフスプリングの採用が広がっている{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=138}}。

===取付構造===
[[File:重ね板ばね取付構造の例.svg|thumb|340px|重ね板ばね取付構造の例]]
自動車の懸架装置などに用いる場合は、最上部のリーフの端部を丸く巻いて'''目玉'''と呼ばれる部位を作ることがある{{Sfnm|JIS B 0103|2005|1p=10|KYB株式会社（編）|2013|2p=81}}。目玉や取付部を持つリーフは'''親リーフ'''や'''親板'''と呼ばれる{{Sfnm|JIS B 0103|2005|1p=9|日本ばね学会（編）|2008|2p=157}}。親リーフは'''1番リーフ'''とも呼ばれ、以下長い順に各リーフは2番リーフ、3番リーフ…などと呼ばれる{{Sfn|JIS B 2710-1|2020|p=1}}。各リーフはキャンバと呼ばれるような反り返ったような形状をしており、取り付け状態での反り返り量は目玉ないし荷重点からの距離で定義され、'''反り'''と呼ばれる{{Sfnm|JIS B 0103|2005|1pp=18, 31&ndash;33|日本ばね学会（編）|2008|2p=140}}。

目玉がある場合、どちらかの端部の目玉にはシャックルと呼ばれる[[リンク機構|リンク]]を取り付け、リンクを介して車体と結合させる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2019|p=15}}。重ね板ばねに荷重が加わりたわむとき、'''スパン'''と呼ばれるリーフ全長が変化する{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=59}}。シャックルはこのようなスパン変化を吸収するために使われる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|p=13}}。目玉を設けずに親リーフに受を当てて、親リーフ上で受をスライドさせてスパン変化を逃がす構造もある{{Sfnm|JIS B 2710-2|2020|1p=13|ばね技術研究会（編）|1998|2pp=3&ndash;4}}。ただし、スライドでは接触点が移動するためばね特性が非線形となり、特に両側をスライドさせると非線形の程度が大きくなる{{Sfnm|ばね技術研究会（編）|1998|1pp=3&ndash;4|日本ばね学会（編）|2008|2p=165}}。

重ね板ばねの中央部には穴があけられ、'''センタピン'''と呼ばれるリーフ間のズレを防ぐ[[リベット]]や'''センタボルト'''と呼ばれるリーフ同士を締結する[[ボルト (部品)|ボルト]]が取り付けられる{{Sfnm|JIS B 0103|2005|1pp=10, 31&ndash;33|KYB株式会社（編）|2013|2p=81}}。通常、リーフのキャンバは各リーフごとに異なっているので、中央を締め付ける前は各リーフを寄り添わせてもリーフ同士には'''ニップ'''と呼ばれる隙間がある{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1pp=140, 155&ndash;156|JIS B 0103|2005|2p=18}}。中央を締め付けることによって各リーフ同士の隙間が埋まり、とくに板端で接触する{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|pp=140, 155&ndash;156}}。

また、'''胴締め'''と呼ばれる枠形の金具や[[Uボルト]]2本で中央部一定範囲を固定する{{Sfnm|JIS B 2710-2|2020|1pp=11&ndash;12|JIS B 0103|2005|2pp=11, 31}}。[[車軸]]に対して重ね板ばねを固定する場合はUボルトが使われる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2019|1p=14|JIS B 2710-1|2020|2p=3}}。'''クリップ'''と呼ばれるリーフの横ずれを防ぐ部品を、中央部と端部の間にさらに取り付ける場合もある{{Sfnm|JIS B 0103|2005|1pp=10, 32&ndash;33|KYB株式会社（編）|2013|2pp=81&ndash;82}}。

中央部のUボルトや胴締めによって固定されている範囲は、ばねとして機能しなくなり、ばね定数を高くする効果をもたらす{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=170|ばね技術研究会（編）|2001|2p=60|JIS B 2710-2|2020|3pp=11&ndash;12}}。固定範囲（Uボルトであれば2本のUボルトの間隔）が長くなるほどばね無効範囲も長くなり、ばね定数も高くなる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=170|ばね技術研究会（編）|2001|2p=60|JIS B 2710-2|2020|3pp=11&ndash;12}}。振動絶縁のためにゴム板などを介して固定する場合は、ばね無効範囲を 0 あるいは小さくできる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=170|ばね技術研究会（編）|2001|2p=60|JIS B 2710-2|2020|3pp=11&ndash;12}}。

<gallery mode="nolines" widths="220" heights="220">
File:Leafs1.jpg|自動車の懸架装置として使われる重ね板ばねの例。端部に目玉があり、リンクで車体に結合している。車軸に対して2本のUボルトで結合している。
File:Leaf spring on a train.jpg|鉄道車両の懸架装置として使われる重ね板ばねの例。端部は車体の受に直接当てる方式で、中央部は胴締めで固定されている。
File:Trunnion 001.JPG|自動車の[[リンク式サスペンション|トラニオン式サスペンション]]で使われているテーパリーフスプリングの例。リーフ間にはスペーサを挟み、軸に対してUボルトで固定されている。
</gallery>

===その他種類===
[[File:Spring 3 (PSF).png|thumb|だ円ばねの絵]]
重ね板ばねを2つ向き合わせたような形で使用する板ばねを、その見た目から'''だ円ばね'''と呼ぶ{{Sfnm|ばね技術研究会（編）|1998|1p=1|JIS B 0103|2005|2p=6}}。一方で単独で用いる場合は、'''半だ円ばね'''と呼ばれる{{Sfnm|ばね技術研究会（編）|1998|1p=1|JIS B 0103|2005|2p=6}}。だ円ばねはかつては鉄道車両で広く使用されたが近年での新規採用例はなく、現在「重ね板ばね」と言えば、今でも使用例が多い半だ円ばねを指す{{Sfn|ばね技術研究会（編）|1998|pp=1&ndash;2}}。

形状による分類の他には、ばね特性による分類がある{{Sfn|日本ばね学会（編）|2019|p=14}}。一般的な重ね板ばねは荷重-たわみ関係が線形として表されるが、荷重-たわみ関係を非線形にした種類もある{{Sfn|門田|2016|p=68}}。重ね板ばねが使われるトラックなどでは、積載によって重ね板ばねが受ける荷重が大きく変動する{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=53}}。積載量が小さいときも大きいときも良い[[乗り心地]]を実現し、かつ負担に耐えられるようにするには、荷重に比例してばね定数が変化することが望ましい{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=53}}。

上述のスライドで重ね板ばねを受ける構造も、そのような非線形ばねの一例である{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=53}}。他の非線形ばねの例としては、'''主ばね'''と呼ばれる通常の重ね板ばねに'''補助ばね'''と呼ばれる板を備えた種類があり、'''プログレッシブ重ね板ばね'''と呼ばれる{{Sfn|JIS B 0103|2005|p=6}}。荷重が小さい内は主ばねのみが働くが、ある荷重以上になると補助ばねが主ばねと接触し出し、そこから接触が完了する荷重までばね定数が徐々に増加する{{Sfnm|ばね技術研究会（編）|2001|1p=53|日本ばね学会（編）|2019|2p=14}}。もう一つの非線形ばねの例は、'''親ばね'''と呼ばれる重ね板ばねに'''子ばね'''と呼ばれる別の重ね板ばねを備えた種類があり、'''親子重ね板ばね'''と呼ばれる{{Sfn|JIS B 0103|2005|p=6}}。これも荷重が小さい内は親ばねのみが働き、ある荷重を境に子ばねも荷重を負担するようになる構造になっており、ばね定数が折れ曲がるように増加する2段特性を示す{{Sfnm|ばね技術研究会（編）|2001|1p=53|日本ばね学会（編）|2019|2p=14}}。

==特性==
===ばね定数、曲げ応力===
====展開法====
重ね板ばねのばね定数や各リーフの応力分布を求める設計手法として、マルチリーフスプリングの場合は'''展開法'''と'''板端法'''（ばんたんほう）という2つの手法がある{{Sfnm|JIS B 2710-2|2020|1p=2|JIS B 0103|2005|2p=18}}。展開法には手計算可能という長所がある一方で、細かな形状のバリエーションを計算に反映できない短所がある<ref name="機械要素・トライボロジー"/>。板端法はその逆で、種々の形状の違いを計算に落とし込める長所がある一方で、計算が複雑となり一般的には電算処理を要する短所がある<ref name="機械要素・トライボロジー"/>。そのため、大まかな諸元を決める際は展開法を用い、詳細を決める際は板端法を用いるという使い分けがなされることが多い<ref name="機械要素・トライボロジー">{{Cite book ja-jp |editor = 日本機械学会 |title= 機械工学便覧　デザイン編　''&beta;''4　機械要素・トライボロジー |url = https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b297732.html |publisher = 丸善出版 |year= 2005 |edition = 初版 |isbn = 4-88898-129-9 |page = 134 }}</ref>。

展開法は'''曲率法'''とも呼ばれる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=140}}。展開法では重なり合う各リーフが全面接触しており、各リーフの曲げ曲率半径が全て同一であると仮定する。このような仮定を置くと、各リーフを同一平面上に展開してつなぎ合わせた一枚の幅広い板と、元の重ね板ばねは力学的に等価となる{{Sfnm|JIS B 2710-2|2020|1p=3|ばね技術研究会（編）|2001|2p=48}}。このような仮定に立って[[台形]]の片持ちはりを考える。台形はりの固定端の幅を ''B'' とし、自由端の幅を ''B''<sub>1</sub> とし、長さを ''L'' とし、板厚を ''t'' とし、縦弾性係数を ''E'' とする。自由端に荷重 ''P'' がかかるときの自由端のたわみ ''u'' は次のようになる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=144}}。

:<math> u = K_{T}  \frac{P L^3}{ 3 E I_{0}} </math>

ここで、''I''<sub>0</sub> は固定端位置での断面二次モーメントで、''K<sub>T</sub>'' は次のように表される係数である{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=144}}。
:<math> K_{T} = \frac{3}{(1- \beta)^3} \left [ \frac{1}{2} - 2 \beta + \left ( \frac{3}{2} - \ln \beta \right ) \right ] </math>
:<math> \beta = \frac{B_1}{B} </math>

[[File:台形はりと展開法.svg|thumb|330px|展開法の考え方にもとづく重ね板ばねの台形はり近似。(1)長手方向に2等分して両側に振り分けて同一平面上に配置し、(2)台形はりへ近似する。]]
一般的なマルチリーフスプリングを長手方向に2等分して、等分されたリーフを両側に振り分けて同一平面上に配置すると、近似的な台形が仮想的に構成できる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1pp=143&ndash;144|ばね技術研究会（編）|2001|2pp=48&ndash;50}}。展開法の仮定に立つと、この仮想的な台形のはりの変形は上記の一体化した台形はりの変形と同じと見なせ、上記のたわみと荷重の関係式をそのまま使うことができる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1pp=143&ndash;144|ばね技術研究会（編）|2001|2pp=48&ndash;50}}。

両端支持はりでは、両端に荷重を ''P'' が加わるときは、中心では荷重 2''P'' が加わるので、重ね板ばねではこれを基準にばね定数を考える{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1pp=143&ndash;144|JIS B 2710-2|2020|2p=2}}。重ね板ばねのリーフの幅を ''b'' とし、リーフの総枚数を ''n'' とし、全長リーフの枚数を ''n<sub>f</sub>'' とし、リーフの断面二次モーメントを ''I'' とする。全てのリーフが同じ板厚 ''t'' の場合のマルチリーフスプリングのばね定数 ''k'' = 2''P''/''u'' は

:<math> k = \frac{6 n E I}{K_{T} L^3} </math>

と得られる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|p=4}}。ただし、''K<sub>T</sub>'' は上式と同じだが、ここで ''&beta;'' は次のような総枚数に対する全長リーフ枚数の割合となる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=144|ばね技術研究会（編）|2001|2p=49|JIS B 2710-2|2020|3p=4}}。

:<math> \beta = \frac{n_f}{n} </math>

このときのリーフ中央部での曲げ応力は各リーフで等しく、[[断面係数]]を ''Z'' とすると、リーフ中央部での曲げ応力 ''&sigma;<sub>b</sub>'' は次式となる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|p=4}}。

:<math> \sigma_b = \frac{LP}{nZ} </math>

各リーフの板厚が異なる場合のばね定数・曲げ応力についても、展開法による解が用意されている{{Sfnm|ばね技術研究会（編）|2001|1p=49&ndash;50|JIS B 2710-2|2020|2p=4&ndash;5}}。

展開法の仮定であるリーフ間の全面接触状態は、実際にまれにしか起きない{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=50}}。そのため、展開法によるばね定数計算値は実際の値よりも大きくなりがちで、特にリーフ枚数が少ないほどその差異は顕著となる{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=50}}。展開法による計算応力も、各リーフで起きる応力の平均値に相当する一つの値を算出している点に留意が必要である{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=50}}。

====板端法====
板端法では各リーフはリーフ先端でのみ接触し、リーフ先端のみでリーフ間の荷重が伝わると仮定する{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=150|ばね技術研究会（編）|2001|2p=50|JIS B 2710-2|2020|3p=5}}。板端法の仮定も常に現実で満たされている条件ではないものの、板端法による計算値は実測値と比較的よい一致を示す{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=50}}。

板端法はある種の[[有限要素法]]のようなもので、重ね板ばねを１つ１つの片持ちはりに分割して解いていく{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|pp=150&ndash;154}}。板端法にもとづいて定式化すると、''n'' 枚の重ね板ばねであれば隣り合う接触力の関係を表す式が ''n''&minus;1個出てくる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=154|ばね技術研究会（編）|2001|2p=51}}。この [[線型方程式系|''n''&minus;1元連立一次方程式]]を解くことによって各接触力を得れば、あとは外力が加わる片持ちはりとして計算できる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=154|ばね技術研究会（編）|2001|2p=51}}。

[[File:2枚リーフの場合の板端法.svg|thumb|240px|2枚リーフの場合の板端法の考え方]]
例として、2枚重ねの対称形のマルチリーフスプリングを考える。2枚のリーフのそれぞれの[[曲げ剛性]] ''EI'' は同一とする。2つのリーフの接触点の位置を、親リーフの方は 2 とし、子リーフの方は 3 とし、中央からの距離を ''l<sub>b</sub>'', ''l<sub>c</sub>'' とする。親リーフの端部を点 1 とし、点 2 から点 1 までの距離を ''l<sub>a</sub>'' とする。端部に外力 ''P'' が加わり、接触点 2, 3 でリーフ間を伝わる内力 ''P''<sub>2</sub>, ''P''<sub>3</sub> が発生すると考えると、片持ちはりの曲げ変形の式から点 2 の変位 ''u''<sub>2</sub> と点 3 の変位 ''u''<sub>3</sub> は以下のように表される（''P'' , ''P''<sub>2</sub>, ''P''<sub>3</sub> は同じ向きと置く）{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=151}}。 

:<math>u_2 = \frac{ l_{b}^{3} }{3EI} \left (  P + \frac{3 l_a}{2 l_b}P + P_2 \right ) </math>
:<math>u_3 = \frac{ l_{c}^{3} }{3EI} P_3 </math>

さらに、板端法の仮定より境界条件

:<math>u_2 = u_3 </math>
:<math>P_2 + P_3 = 0 </math>

が成立する{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=151}}。これらの条件を使って式を解けば未知量 ''P''<sub>2</sub>, ''P''<sub>3</sub> を既知量で表すことができ、 最終的には以下のような各点の変位と外力の関係を得ることができる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=152}}。

:<math>u_1 = \frac{ (l_a + l_{b})^{3}  - \alpha l_{b}^{3} \left ( 1+ \frac{3 l_a}{2 l_b} \right ) }{3EI} P </math> 
:<math>u_2 = u_3 = \frac{ \alpha l_{c}^{3} }{3EI} P </math>
:<math> \alpha = \frac{3 l_a + 2 l_b}{4 l_b} </math>

====テーパリーフ====
テーパリーフスプリングの場合、テーパ部板厚を直線状に漸減させたモデルと放物線状に漸減させたモデルの計算式が用意されている{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|p=2}}。リーフの幅が ''b'' で、長手方向 ''x'' = ''l''<sub>1</sub> から ''x'' = ''l''<sub>2</sub> にかけて板厚が ''t''<sub>1</sub> から ''t''<sub>2</sub> へ放物線状に漸減する対象のテーパリーフの例では、ばね定数は次のように与えられる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|p=9}}。

:<math>k = \frac{6EI}{KL^3}</math>
ここで
:<math> K = 1 + (1- \lambda_1)^3 \left [ 1 - 2 (1 - \zeta)^{3/2} \right ] + (1 - \lambda_2)^3 \eta </math>
:<math> I = \frac{b t_{1}^{3}}{12} </math>
:<math> \lambda_1 = \frac{ l_1 }{L}, \ \lambda_2 = \frac{ l_2 }{L} </math>
:<math> \zeta = \frac{ l_2 - l_1 }{L - l_1}, \ \eta= \frac{t_1}{t_2} </math>

この場合、テーパ範囲 ''l''<sub>1</sub> &le; ''x'' &le; ''l''<sub>2</sub> では応力一定で、その範囲の曲げ応力は
:<math> \sigma_b = \frac{6P (L - l_1)}{b t_{1}^2} </math>
で与えられる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|p=9}}。

テーパリーフを複数重ね合わせる場合も、ばね全体のたわみ変化と各リーフのたわみ変化が一致する格好になっていれば、個々のリーフについてばね定数を計算し、各リーフのばね定数の総和として全体のばね定数が計算できる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|pp=7, 9}}。各リーフの応力は、各リーフがばね定数割合に応じて分担する荷重から計算できる{{Sfn|JIS B 2710-2|2020|pp=9&ndash;10}}。

===リーフ間摩擦===
重ね板ばねに上下荷重が加わって変形するとき、重ね板ばねの各リーフ同士がこすれ合い、[[摩擦]]が生じる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=165|ばね技術研究会（編）|2001|2p=57}}。この摩擦は、荷重に対する抵抗として働き、減衰力の発生や動的ばね定数の増加を生む{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=165|ばね技術研究会（編）|2001|2p=57}}。重ね板ばねの荷重-たわみ曲線は、このような摩擦によって[[ヒステリシス|ヒステリシスループ]]を持つようになる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=165}}。

摩擦が大きいほど減衰が大きくなり、振動減衰の観点からは望ましいはずだが、重ね板ばねのリーフ間摩擦は必ずしも望ましいものではない{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=165|ばね技術研究会（編）|2001|2p=57}}。摩擦が大きくなると同時に動的ばね定数も大きくなるので、高周波のびびり振動を生みやすくなる{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=57}}。リーフ同士がこすれ合うことによってきしみ音も発生し、騒音・異音の原因ともなる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=169|ばね技術研究会（編）|2001|2p=59}}。こすれによって塗膜がはがれ、[[腐食]]も起きやすくなる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=136}}。特にリーフ間の接触面圧が高い場所では、微小相対変位による[[フレッティング]]の発生の可能性もある{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=168|ばね技術研究会（編）|2001|2p=60}}。さらに、摩擦力の存在はチューニングを難しくする欠点もある{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=168}}。

リーフ間摩擦を小さくする方策としては、リーフの枚数を減らしたり、マルチリーフスプリングからテーパーリーフスプリングに変えたり、リーフ間に潤滑剤を塗布したり、リーフ間に小さい摩擦係数のスペーサーを挟む、といったことが有効である{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=165&ndash;166|ばね技術研究会（編）|2001|2p=57}}。きしみ音の低減には、接触する部分に'''サイレンサ'''と呼ばれる樹脂やゴムのパッドを挟むことが行われる{{Sfnm|KYB株式会社（編）|2013|1p=82|ばね技術研究会（編）|2001|2p=60|日本ばね学会（編）|2008|3p=169&ndash;170}}。フレッティングの低減には、同じくスペーサーを挟んで接触を避けることが有効だが、他には接触面圧自体を下げることもある{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=168&ndash;169|ばね技術研究会（編）|2001|2p=60}}。

リーフ間摩擦は小さいするように設計するのが近年の傾向だが、摩擦力を大きくする場合には、リーフの枚数を増やしたり、リーフ間に大きい摩擦係数のスペーサーを挟むといった方策がある{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=168&ndash;169|ばね技術研究会（編）|2001|2p=57}}。

===ワイドアップ===
[[File:Leaf spring, showing torque reaction effects (Manual of Driving and Maintenance).jpg|thumb|ねじりモーメントによるワイドアップの図]]
重ね板ばねは車両の懸架装置として用いられることが多く、その際は緩衝装置としての役目の他に、車輪・車軸の位置決めを兼ねることがある{{Sfn|門田|2016|p=68}}。このような構造では、車両の加速時やブレーキ時に重ね板ばねに車軸回りの[[ねじりモーメント]]が加わる{{Sfn|KYB株式会社（編）|2013|p=26}}。このようなねじりモーメントによって起きる重ね板ばねの変形は'''ワイドアップ'''と呼ばれる{{Sfnm|JIS B 2710-1|2020|1p=3|ばね技術研究会（編）|2001|2p=58}}。

ワイドアップによる変形や応力は比較的大きいので、設計時には配慮を要する{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=58}}。ワイドアップに対する剛性が低いと、自動車ではブレーキ時にタイヤの[[自励振動]]が起きることがある{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=166}}。

==材料==
重ね板ばねのリーフ材料は、[[ばね鋼]]の熱間成形用鋼材が使われる。重ね板ばねの材料は板幅・板厚が大きいため、一般的に[[冷間加工|冷間成形]]ではなく[[熱間成形]]で製造される{{Sfn|ばね技術研究会（編）|1998|p=5}}。熱間[[圧延加工]]で平鋼の形にし、重ね板ばね製造に供される{{Sfnm|門田|2016|1p=148|日本ばね学会（編）|2008|2p=498}}。

[[日本産業規格]]の例では、以下のような鋼種が重ね板ばね用に規格化されている<ref>{{Cite jis|G|4801|2021|name=ばね鋼鋼材 |page=3}}</ref>。
*SUP6 - [[シリコン]][[マンガン]]鋼
*SUP7 - シリコンマンガン鋼
*SUP9 - マンガン[[クロム]]鋼
*SUP9A - マンガンクロム鋼
*SUP11A - マンガンクロム[[ボロン]]鋼
*SUP13 - クロム[[モリブデン]]鋼
鋼種の使い分けは、主の[[焼入れ性]]の観点からリーフ板厚による{{Sfn|ばね技術研究会（編）|1998|p=5}}。SUP11A と SUP13 は合金元素添加によって焼入れ性を向上させた鋼種で、特に大型のリーフに使われる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=31}}。軽量化や信頼性向上の需要のため、自動車用では規格鋼種を超えて高性能な板ばね材料も開発されている{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|pp=34&ndash;35}}。

==製造==
[[File:Assembling of leaf spring.jpg|thumb|重ね板ばねの組立の様子]]
重ね板ばねの製造は、各リーフ単品を製造する工程と、完成したリーフを組み立てて化されたとして完成させる工程で構成される{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=164}}。自動車用のマルチリーフスプリングの例では、以下のような工程順序で製造される{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=499}}。
#材料切断
#:せん断機やのこ盤を用いて、供された平鋼材を適切な形に切断する{{Sfnm|門田|2016|1p=148|日本ばね学会（編）|2008|2p=499}}。
#穴あけ
#:センタボルトなどを取り付ける中央部の穴をあける{{Sfnm|門田|2016|1p=148|日本ばね学会（編）|2008|2p=499}}。冷間打ち抜き加工で行われるが、板厚が太くて冷間が困難な場合はあとの加熱成形時に行われる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=499}}。
#板端加工
#:親リーフについては端部に目玉を加工する{{Sfn|門田|2016|p=148}}。目玉巻加工と呼ばれ、板端部を曲げて造られる{{Sfn|門田|2016|p=148}}。子リーフについても、端部のテーパ加工や、端部のクリップやサイレンサの取り付け穴加工などを行う{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=164}}。
#加熱・成形
#:リーフを炉でおよそ 950 &deg;C に加熱し、そのまま成形加工を行う。成形加工はキャンバを付けるためのもので、ロールやプレスを用いてリーフを所定の径に曲げる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|pp=502&ndash;503}}。
#[[焼入れ]]・[[焼戻し]]
#:成形後、材質を硬くて粘り強くするために焼入れ焼戻しという[[熱処理]]をリーフに施す{{Sfn|門田|2016|p=148}}。上記の加熱成形後すぐに、高温状態のリーフを油中に浸して焼入れ（急冷）する{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=503}}。プレス成形の場合はプレスで抑えたまま焼入れすることもある{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=166}}。焼入れ後、また炉で加熱して焼戻し処理を行う{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=504}}。
#[[ショットピーニング]]
#:熱処理後は、さらに[[疲労 (材料)|疲労強度]]を向上させるためにショットピーニングを行う{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=504}}。リーフ中央部を中心にして、全体的にショットを当てる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=505}}。普通のピーニング手法の他に、ストレスショットピーニングやストレスピーニングと呼ばれる引張応力をかけた状態でピーニングを行ってより大きな圧縮残留応力を与える手法も、板ばねでは一般的に行われている{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=166}}<ref>{{Cite book ja-jp |editor = ショットピーニング技術協会 |title = 金属疲労とショットピーニング |url = https://www.taigashuppan.co.jp/products/detail/538 |year = 2018 |edition = 初版 |publisher = 大河出版 |isbn =978-4-88661-708-8 |pages = 123&ndash;124 }}</ref>。
#[[プライマー (塗装)|下塗り防錆塗装]]
#:ショットピーニング後の表面はさびやすいこともあり、引き続いて各リーフに下塗り防錆塗装を施す{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=505}}。
#追加工
#:下塗り後、必要に応じて組立前の追加工を行う{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=166}}。よく行われるのは目玉内径の仕上げ加工で、目玉にはブシュが圧入されるためリーマ加工などで適切な内径に調整される{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|pp=166&ndash;167}}。
#重ね板ばね組立
#:完成した各リーフをセンタボルト、クリップ、サイレンサなどの装着部品とともに組み立てる{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=506|ばね技術研究会（編）|2001|2p=167}}。リーフにキャンバが付いている場合はそのまま組み立てるのは難しいので、油圧をかけてセンタボルトで締結する{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=167}}。
#セッチング
#:組み立てられた重ね板ばねには、使用中の[[ばね#強度|ばねのへたり]]を低減するために、最大使用荷重以上の大きな荷重をかけるセッチングと呼ばれる処理を行う{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1pp=478, 506|門田|2016|2pp=146, 148}}。
#荷重試験
#:完成した重ね板ばねのばね特性を確認するために、荷重試験機に取り付け、指定された荷重をかけたときの重ね板ばねのそりや高さが目標内に入っていることを確認する{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1pp=506, 574|ばね技術研究会（編）|2001|2p=190}}。指定されたそりや高さに対する荷重値やばね定数を確認する場合もある{{Sfn|ばね技術研究会（編）|2001|p=190}}。
#完成塗装
#:試験を合格した重ね板ばねに仕上げの完成塗装を行う{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=506}}。

テーパリーフスプリングの製造は上記の工程とほぼ同じだが、材料切断と穴あけ・板端加工のあいだに、ロングテーパを成形する圧延加工が入る{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|pp=506&ndash;508}}。

==用途例==
===自動車===
[[File:ScaniaP4204x4HHZ3900leafsprings.jpg|thumb|270px|重ね板ばねを使った[[貨物自動車|トラック]]の[[懸架装置]]（縦置き板ばね式の例）]]
自動車分野では、[[貨物自動車|トラック]]、[[バス (交通機関)|バス]]、商用の[[バン (自動車)|バン]]などの[[懸架装置]]として重ね板ばねが使われている{{Sfnm|蒲|2008|1p=31|門田|2016|2p=68|KYB株式会社（編）|2013|3p=80}}。特にトラックでの使用が主といえる{{Sfn|日本ばね学会（編）|2019|p=14}}。かつては[[乗用車]]でも重ね板ばねが使われていたが、[[乗り心地]]や操縦安定性の要求が高くなるにつれ、乗用車では重ね板ばねは使われなくなっている{{Sfn|KYB株式会社（編）|2013|pp=27, 80}}。

[[File:Front axle, Scammell Pioneer.jpg|thumb|270px|第二次世界大戦で使われていた軍用車両の懸架装置（横置き板ばね式の例）]]
自動車の重ね板ばねを使う懸架装置方式には、車幅方向に平行に車輪間を渡すように重ね板ばねを配置する方式（横置き板ばね式）と左右の車輪を車軸で結合してそれぞれの車輪に重ね板ばねを車長方向に配置する方式（縦置き板ばね式）がある{{Sfnm|JIS D 0111|1992|1pp=2, 8|日本ばね学会（編）|2008|2pp=137&ndash;138}}。横置き板ばね式はヨーロッパの昔の自動車で使われてきた{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=138}}。日本では、小型トラックのフロントで[[独立懸架]]で横置きして用いる例もある{{Sfn|日本ばね学会（編）|2008|p=138}}。縦置き板ばね式は平行リーフ式やパラレルリーフ式とも呼ばれ、[[車軸懸架]]として用いられる{{Sfnm|JIS D 0111|1992|1p=2|KYB株式会社（編）|2013|2p=26}}。トラックなどで使用が多いのはこの縦置き板ばね式である{{Sfn|KYB株式会社（編）|2013|p=27}}。

他方で、近年の大型トラックやバスでは実用性が向上した[[空気ばね]]も懸架装置として採用が広がっている{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2019|1p=44|「ばねの歴史」編纂ワーキンググループ（編）|2012|2p=234}}。トラックであれば、フロント・リアがともに重ね板ばねの場合とフロント・リアがともに空気ばねの場合のほかに、フロントが重ね板ばねでリアが空気ばねという風に使い分けるパターンもある<ref>{{Cite book ja-jp |editor= GP企画センター |title = トラックのすべて |url = https://grandprix-book.jp/2006/03/01/post_26/ |year = 2006 |edition = 初版 |publisher = グランプリ出版 |isbn =4-87687-281-3 |page = 156 }}</ref>。金属ばねと比較した空気ばね式懸架装置の長所は、良好な乗り心地や車両高さを操作可能にする点にある{{Sfn|日本ばね学会（編）|2019|p=44}}。空気ばねの短所は構造が複雑でコストが高い点で、重ね板ばねによる懸架装置であれば構造が簡単で部品数が少なくコストが安いという長所がある{{Sfnm|蒲|2008|1pp=99&ndash;100|「ばねの歴史」編纂ワーキンググループ（編）|2012|2p=233}}。

===鉄道車両===
[[File:L00 499 Handelshafen Magdeburg, Beiwagendrehgestelle.jpg|thumb|300px|第二次世界大戦前にドイツで普及していたゲルリッツ型[[鉄道車両の台車|台車]]<ref name="鉄道車両と設計技術"/>。枕ばね・軸ばねに重ね板ばねが使用されている。]]
[[鉄道車両]]の一般的な懸架装置は[[枕ばね]]と[[軸ばね]]の二種類で構成されるが、枕ばねには[[空気ばね]]を使用し、軸ばねには[[コイルばね]]を使用するのが現在の主流で、鉄道車両の懸架装置用としては重ね板ば利用は現在では非主流である{{Sfn|門田|2016|p=24}}。

第二次世界大戦前には、アメリカやヨーロッパの鉄道車両では懸架装置に重ね板ばねが常用されていた<ref name="鉄道車両と設計技術">{{Cite book ja-jp |editor= 「応用機械工学」編集部 |title = 鉄道車両と設計技術 |url = https://www.taigashuppan.co.jp/products/detail/540 |year = 2018 |edition = 復刻版 |publisher = 大河出版 |isbn =978-4-88661-354-7 |pages = 138&ndash;139}}</ref>。当時は[[オイルダンパー]]のような適当な減衰装置が未発達だったため、重ね板ばねの摩擦を振動減衰に利用せざるを得なかったというのが、重ね板ばね採用の理由であった<ref name="鉄道車両と設計技術"/>。

[[File:Seibu-Railway-Sumu-201-Double-Link-Suspention-01.jpg|thumb|300px|[[2段リンク式走り装置]]の例]]
重ね板ばねの摩擦は大き過ぎる面があり、使用環境によって安定しない欠点が重ね板ばねにはあったため、オイルダンパーが実用化された後は、[[旅客車|旅客用の車両]]では柔らかいコイルばねとオイルダンパーの組み合わせが採用されるようになり、車両の乗り心地も向上した<ref>{{Cite book ja-jp |author = 伊原 一夫 |title = 鉄道車両メカニズム図鑑 |year = 1987 |edition = 初版 |publisher = グランプリ出版 |isbn = 4-906189-64-4 |page = 223}}</ref>。第二次世界大戦後に造られた世界各国の新型[[鉄道車両の台車|台車]]では、枕ばねにも軸ばねにもコイルばねが用いられるようになっていった<ref name="鉄道車両と設計技術"/>。

[[貨車]]では、重ね板ばねを使用していた[[二軸車 (鉄道)|2軸]]貨車の速度向上のために、重ね板ばねの固定部を改良した[[2段リンク式走り装置]]がドイツや日本で大戦後に開発された実績がある<ref name="宮本">{{Cite book ja-jp |author = 宮本 昌幸 |year = 2012 |title = 鉄道車両の科学 |publisher  = ソフトバンククリエイティブ |isbn = 978-4-7973-4220-8 |pages = 96&ndash;99}}</ref>。日本ではこの懸架装置を用いた[[国鉄ワム80000形貨車|ワム80000形]]が大量生産され、2008年まで使用された<ref name="宮本"/>。

===防振装置===
新規の採用は少なくなっているが、[[プレス機械]]やハンマー機械などで振動が地面に伝わるのを防止する防振装置として重ね板ばねの利用例がある{{Sfnm|日本ばね学会（編）|2008|1p=136|ばね技術研究会（編）|1998|2p=121}}。マルチリーフスプリングは板間摩擦により動ばね定数が大きくなるのである程度の振幅が許容できる機械に向いており、振幅を小さくしたい場合は板間摩擦の少ないテーパリーフスプリングが向いている<ref>{{Cite journal ja-jp |author = 坂場 晃三|year  = 1982 |title     = 金属ばね |journal = 環境技術 |volume = 11 |issue  = 5 |publisher = 環境技術学会/環境技術編集委員会 |doi  = 10.5956/jriet.11.369 |pages  = 371 }}</ref>。

==歴史==
重ね板ばねが誰によって発明されたについて、確実に分かっていることはない<ref name="Landau1912">{{Cite book |editor= Landau, David |title = Leaf springs, their characteristics and methods of specification |publisher= Wilkes-Barre, Pa., Sheldon axle company, Spring engineering department |year=1912 |url = https://archive.org/details/leafspringstheir00land | pages = 1&ndash;2 }}</ref>。古くは、重ね板ばねは[[馬車]]の時代から登場して使われていた{{Sfn|門田|2016|p=68}}。少なくとも1750年以降のイギリスで、馬車メーカーの間で重ね板ばねの利用は始まっており、イギリスに続いてフランスやドイツでも重ね板ばねの使用が始まった<ref name="Landau1912"/>。当時の重ね板ばねは高価で、そのために重ね板ばね利用はまだ一般化しなかった<ref name="Landau1912"/>。

[[File:Landaulette carriage, 1816 (1).jpg|thumb|290px|だ円ばねを使った馬車の絵。1816年にイギリスで発行されたものより<ref>{{Cite web |author= Ackermann and Company |url= https://artsandculture.google.com/asset/one-of-nine-prints-of-early-19th-century-carriages-ackermann-and-company-maker/FAFEBVJ1loL22A |title= One of nine prints of early 19th century carriages |accessdate=2022-10-10}}</ref>。]]
1804年、イギリスの{{仮リンク|オバデヤ・エリオット|en|Obadiah Elliott}}が、だ円ばねを使った馬車用懸架装置方式の特許を取得した<ref name="Landau1912"/>。エリオットの発明はパーチと呼ばれる重い馬車部品を不要とし、軽量で快適な馬車の時代の幕開けとなったとされる<ref>{{Cite web |author= Ralph Straus |url= https://www.gutenberg.org/files/46216/46216-h/46216-h.htm#Page_205 |title= Carriages & Coaches |website= Project Gutenberg |page= 205 |accessdate=2022-10-10}}</ref>。だ円ばね自体は、詳細は不明であるものの、エリオット以前からドイツで使用されていた<ref>{{Cite web |url= https://www.gracesguide.co.uk/Obadiah_Elliot |title= Obadiah Elliot |website = Grace's Guide To British Industrial History |accessdate=2022-10-10}}</ref>。エリオットの発明は自動車懸架用板ばねの原型となり<ref>{{Cite web|和書|author= ニッパツ |url= https://www.nhkspg.co.jp/museum/01.html |title= ばねの歴史 |accessdate=2022-10-10}}</ref>、世界最初の自動車といわれる1886年のベンツ第1号車でもだ円ばねが装着された{{Sfn|KYB株式会社（編）|2013|p=14}}。

1852年には、鉄道車両用ばね設計の問題に取り組んでいたフランスのE.フィリップが、各リーフが接触を保つという仮定に立脚して重ね板ばねのたわみの計算式を算出する理論の論文を出版した<ref name="Pearson">{{Cite book |editor= Pearson, Karl |author = Todhunter, Isaac |title = A history of the theory of elasticity and of the strength of materials from Galilei to the present time, Vol. 2 pt. 1. Saint Venant to Lord Kelvin. |publisher= Cambridge, Univ. Press |year=1893|url = https://archive.org/details/pt1historyoftheo02todhuoft | pages = 330, 349 }}</ref><ref name="ティモシェンコ">{{Cite book ja-jp |author= S. P. ティモシェンコ |translator= 最上 武雄・川口 昌宏 |title= 材料力学史 |year=2007 |edition= 初版 |publisher= 鹿島出版会 |isbn = 978-4-306-02390-1 |pages = 220, 247}}</ref>。フィリップの理論は、各リーフの曲げ曲率が同じになるとみなして重ね板ばねを1枚の平板に展開する曲率法で、実際の接触状態を忠実に再現しているわけではないがその後も長く支持されて利用される{{Sfn|「ばねの歴史」編纂ワーキンググループ（編）|2012|pp=140&ndash;141}}。[[カール・ピアソン]]は「弾性学と材料力学の歴史」（1893年）において、簡単な弾性論でも大きな価値のある結果が得られる際立った例だとフィリップの仕事を紹介している<ref name="Pearson"/><ref name="ティモシェンコ"/>。荷重伝達が各リーフの端部で集中的に起こると仮定して理論を展開する板端法については、日本の[[亘理厚]]が提唱した{{Sfn|「ばねの歴史」編纂ワーキンググループ（編）|2012|p=141}}。既存の理論よりも実験結果に合うものとして、1952年、1954年に論文として出版された<ref>{{Cite journal ja-jp |author = 亘理 厚 |year  = 1952 |title = 重ね板ばねのたわみ及び応力について |journal = ばね論文集 |volume = 1 |publisher = 日本ばね学会  |doi = 10.5346/trbane.1952.57 |pages = 57-61 }}</ref><ref>{{Cite journal ja-jp |author = 亘理 厚 |year = 1954 |title = 自動車用重ね板ばねの設計と3枚ばねへの応用 |journal = 日本機械学会誌 |volume = 57 |issue = 423 |publisher = 日本機械学会 |doi = 10.1299/jsmemag.57.423_245 |pages = 245-250 }}</ref>。

==出典==
{{Reflist|2}}

==参照文献==
*{{Cite jis|B|0103|2005
|name = ばね用語
|ref={{SfnRef|JIS B 0103|2005}}
}}
*{{Cite jis|B|2710-1|2020
|name=重ね板ばね－第１部：用語
|ref={{SfnRef|JIS B 2710-1|2020}}
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*{{Cite jis|B|2710-2|2020
|name=重ね板ばね－第２部：設計方法
|ref={{SfnRef|JIS B 2710-2|2020}}
}}
*{{Cite jis|D|0111|1992
|name=自動車懸架装置用語
|ref={{SfnRef|JIS D 0111|1992}}
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* {{Cite book ja-jp
|editor= 日本ばね学会
|title = ばね
|url = https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b302337.html
|year = 2008
|edition = 第4版 POD版
|publisher = 丸善出版
|isbn =978-4-621-10513-9
|ref = {{SfnRef|日本ばね学会（編）|2008}}
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* {{Cite book ja-jp
|editor = 「ばねの歴史」編纂ワーキンググループ
|title= ばねの歴史
|year =2012
|publisher = 日本ばね工業会
|ref= {{SfnRef|「ばねの歴史」編纂ワーキンググループ（編）|2012}}
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*{{Cite book ja-jp 
|editor= ばね技術研究会
|title= ばねの種類と用途例
|series=ばね技術シリーズ
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|editor = ばね技術研究会
|title= ばねの設計と製造・信頼性
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|edition = 初版
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*{{Cite book ja-jp 
|author = 渡辺 彬・武田 定彦
|title = ばねの基礎（訂正版）
|url = http://www.powersha.co.jp/book/b94152.html
|series = 基礎シリーズ(5)
|publisher = パワー社
|year = 1989
|edition = 訂正1版
|isbn = 4-8277-1245-X
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*{{Cite book ja-jp 
|author = 蒲 久男
|title = 絵とき「ばね」基礎のきそ
|url = https://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00001717
|publisher=日刊工業新聞社
|year=2008
|edition= 初版
|isbn = 978-4-526-06112-7
|ref = {{SfnRef|蒲|2008}}
}}
*{{Cite book ja-jp 
|author= 門田 和雄
|title = トコトンやさしいばねの本
|series = 今日からモノ知りシリーズ
|publisher = 日刊工業新聞社
|year= 2016
|edition = 初版
|isbn = 978-4-526-07632-9
|ref= {{SfnRef|門田|2016}}
}}
*{{Cite book ja-jp 
|editor = 日本ばね学会
|title = わかる！使える！ばね入門　＜基礎知識＞＜設計・選定＞＜勘どころ＞
|url  = https://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00003443
|publisher = 日刊工業新聞社
|year = 2019
|edition=初版
|isbn = 978-4-526-07996-2
|ref = {{SfnRef|日本ばね学会（編）|2019}}
}}
*{{Cite book ja-jp 
|editor = KYB株式会社
|title = 自動車のサスペンション―構造・理論・評価
|url = https://grandprix-book.jp/2013/10/24/post_117/
|publisher = グランプリ出版
|year = 2013
|edition= 初版
|isbn = 978-4-87687-330-2
|ref = {{SfnRef|KYB株式会社（編）|2013}}
}}

==外部リンク==
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*{{Kotobank}}
*{{機械工学事典|id=07:1002064}}
* {{JGLOBAL ID|201106077093905218}}
{{Good article}}
{{デフォルトソート:かさねいたはね}}
[[Category:ばね]]
[[Category:自動車サスペンション技術]]