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{{出典の明記|date=2011年8月28日 (日) 02:59 (UTC)}} [[ファイル:Flamm.svg|thumb|right|220px|重力場の概念図]] '''重力場'''(じゅうりょくば、{{Lang-en|gravitational field}})とは、[[万有引力]](重力)が作用する時空中に存在する[[場]]のこと。 [[重力]]を記述する手法としては、[[アイザック・ニュートン|ニュートン]]の重力理論に基づく手法と、[[アルベルト・アインシュタイン|アインシュタイン]]による[[一般相対性理論]]に基づく手法がある。 == ニュートン的な重力場 == 位置 '''r''' にある[[質量]] m の粒子に作用する重力 '''F'''<sub>g</sub> は {{Indent| <math>\boldsymbol{F}_g = m \boldsymbol{g}(\boldsymbol{r})</math> }} と表される。この '''g''' が重力場である。重力場は[[空間ベクトル|ベクトル]]場である。比例係数は[[重力質量]]と呼ばれる質量であるが、[[等価原理]]により[[慣性質量]]と等しい。 ニュートンの重力理論によれば、位置 '''x''' に生じる重力場 '''g''' は、位置 '''r'''<sub>i</sub> にある質量 m<sub>i</sub> による重力の[[重ね合わせ]]であり、質量に比例し[[逆2乗の法則|距離の 2 乗に反比例]]する<ref>[[#fujiwara|藤原]]</ref>。 {{Indent| <math>\boldsymbol{g}(\boldsymbol{x}) = -G \sum_i \frac{m_i (\boldsymbol{x}-\boldsymbol{r}_i) }{|\boldsymbol{x}-\boldsymbol{r}_i|^3}</math> }} ここで、比例係数 G は[[万有引力定数|ニュートンの重力定数]]である。 === 重力ポテンシャル === 重力場の[[回転 (ベクトル解析)|回転]]を取ると、ゼロとなる。従って、重力場にはポテンシャルが存在する。 [[スカラー (物理学)|スカラー]]場 {{Indent| <math>\phi(\boldsymbol{x}) = -G \sum_i \frac{m_i}{|\boldsymbol{x}-\boldsymbol{r}_i|}</math> }} を考えると重力場は {{Indent| <math>\boldsymbol{g}(\boldsymbol{x}) = -\nabla\phi(\boldsymbol{x})</math> }} と表される。この φ は'''[[重力ポテンシャル]]'''と呼ばれる。重力ポテンシャルを指して重力場と呼ぶ場合もある。 質量分布を {{Indent| <math>\rho(\boldsymbol{x}) =\sum_i m_i\delta^3(\boldsymbol{x}-\boldsymbol{r}_i)</math> }} で定義すれば、重力ポテンシャル {{Indent| <math>\phi(\boldsymbol{x}) =-G\int \frac{\rho(\boldsymbol{r}) \, d^3\boldsymbol{r}}{| \boldsymbol{x} -\boldsymbol{r} |}</math> }} となる。重力ポテンシャルは[[ポアソン方程式]] {{Indent| <math>\triangle\phi(\boldsymbol{x}) =4\pi G\rho(\boldsymbol{x})</math> }} で決定される。 == 一般相対性理論における重力場 == 一般相対性理論においては、重力とは時空の歪みであると考える。 時空の歪みは時空の[[計量テンソル|計量]] ''g<sub>μν</sub>'' によって表される。 これは[[世界間隔]] ''ds''<sup>2</sup> を時空の座標 ''x<sup>μ</sup>''=(''ct'',''x'',''y'',''z'') を用いて表示する係数 {{Indent| <math>ds^2 = g_{\mu\nu} ( x ) dx^\mu dx^\nu</math> }} として定まる二階の対称[[テンソル場]]であり、四次元時空の場合10個の独立な成分を持つ。ただし ''g<sub>μν</sub>'' そのもの、 あるいはその微分([[クリストッフェル記号]])は座標変換によりその値が変化し、 特に一点で ''g<sub>μν</sub>'' が[[ミンコフスキー空間|ミンコフスキー計量]]に一致しクリストッフェル記号がすべてゼロであるような座標系が常に存在する(局所慣性系)。 従って計量のうち時空の曲がりを記述するものはその二階微分であり、座標変換の自由度を除くと20成分存在する<ref>[[#tanaka|田中]]、p. 17-19。</ref>。 この自由度はちょうど[[リーマン曲率テンソル]]により記述されるものに等しい。 従って、真の重力場が存在することはリーマンテンソルがゼロでないこととして特徴づけられる。 この主張は物理的には潮汐力の存在と関係している<ref>[[#hawking|Hawking & Ellis]]、p. 80。</ref>。 例えばミンコフスキー時空の場合リーマンテンソルの成分はすべてゼロである。 逆にリーマンテンソルがゼロであるとき、その時空は(少なくとも局所的には)ミンコフスキーであり時空の歪みは存在しない<ref>[[#landau|ランダウ]]、p. 290-291。</ref>。 重力場が弱く物質場が非相対論的であるときには世界間隔は {{Indent| <math>ds^2 = - \left( 1+\frac{2\phi}{c^2} \right) c^2 dt^2 + \left( 1-\frac{2\phi}{c^2} \right) (dx^2 +dy^2 +dz^2)</math> }} と表され、計量はニュートン的な極限で重力ポテンシャルと関係している<ref>[[#tanaka|田中]]、p. 40。</ref>。 歪んだ時空の中での進み方は[[測地線の方程式]] {{Indent| <math>\frac{d^2x^\mu}{d\tau^2} +\Gamma^\mu_{\rho\sigma} \frac{dx^\rho}{d\tau} \frac{dx^\sigma}{d\tau} =0</math> }} で記述される。Γ は[[クリストッフェル記号]]で、計量の微分によって書かれる。 重力場の力学方程式は[[アインシュタイン方程式]] {{Indent| <math>G_{\mu\nu} +\Lambda g_{\mu\nu} = \kappa T_{\mu\nu}</math> }} である。これは計量 ''g<sub>μν</sub>'' に関する非線型二階双曲型偏微分方程式であり、 適切な座標条件および初期条件のもとで計量の時間発展を記述する<ref>[[#landau|ランダウ]]、p. 310-311。[[#hawking|Hawking & Ellis]]、第7章。</ref>。 {{要出典範囲|ゆがんだ時空中では、物体の軌跡や光線が曲がる。これは質量やエネルギーや運動量のつくる重力によって軌跡や光線が曲げられたとみなされ、時空のゆがみが重力場と解釈できる。|date=2016年7月7日 (木) 12:16 (UTC)}} == 脚注 == {{reflist}} == 参考文献 == {{参照方法|section=1|date=2016年7月7日 (木) 12:16 (UTC)}} * {{Cite book|和書 |title=物理学序論としての力学 |author=藤原邦男 |publisher=[[東大出版会]] |series=基礎物理学 |year=1984 |isbn=4-13-062071-1 |ref=fujiwara }} * {{Cite book|和書 |title=場の古典論 |author=L.D.ランダウ, E.M.リフシッツ |publisher=東京図書 |series=理論物理学教程 |year=1978 |isbn=4-489-01161-X |ref=landau }} * {{Cite book|和書 |title=深化する一般相対論 ブラックホール・重力波・宇宙論 |author=田中貴浩 |publisher=丸善出版 |year=2017 |isbn=978-4621302316 |ref=tanaka }} * {{Cite book |last1 = Hawking |first1 = S. W. |last2 = Ellis |first2 = G. F. R. |year = 1973 |title = The large scale structure of space-time |publisher = Cambridge University Press |location = Cambridge, UK |isbn = 978-0-521-09906-6 |ref = hawking }} == 関連項目 == *[[アインシュタイン方程式]](重力場の方程式) {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:しゆうりよくは}} [[Category:重力]] [[Category:重力理論]] {{sci-stub}} [[de:Gravitation#Gravitationsfeld]]
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