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重合反応
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{{出典の明記|date=2014年12月}} '''重合反応'''(じゅうごうはんのう、{{lang-en-short|[[:en:wikt:polymerization|polymerization]]}})とは[[重合体]](ポリマー)を合成することを目的にした一群の[[化学反応]]の呼称である。また重合反応はその元となる反応の反応機構や化学反応種により細分化され、区分された反応名に重または重合の語を加えることで重合体合成反応であることを表す。 == 特徴と分類 == 広義における[[高分子]]は[[分子量]]が数千以下の[[オリゴマー]]も含めて呼称しているが、厳密な意味での[[高分子]]とは、重合体の物性は[[分子量]]あるいは重合度の大小で変化し、分子量で10,000以上、重合度でおおよそ100を越えると重合度に由来する物性の変化が見られなくなる程度の分子サイズの重合体を指す。例えば重合度が100になるには連鎖重合では99段階、逐次重合では少なくとも7段階の反応を経ないと到達しえない。言い換えると逐次重合で7段階を繰り返した後の収率が多く見積もっても50%であるためには単段階の収率 <math>x</math> は <math>0.5 = x^7</math> すなわち <math>x = \sqrt[7]{0.5} = 0.91</math> 以上ある必要があることが判る。実際の高分子の製品は重合度は1,000を越えるものも珍しくないので高分子を合成する反応は、副反応を起こさない高収率な反応である必要がある。 *連鎖重合 **付加重合 ***ラジカル重合 ***カチオン重合 ***アニオン重合 ***配位重合 **開環重合 ***ラジカル重合 ***カチオン重合 ***アニオン重合 ***配位重合 **連鎖縮合重合 *逐次重合 **重縮合 **重付加 **付加縮合 *リビング重合 **リビングアニオン重合 **リビングカチオン重合 **リビングラジカル重合 **リビング配位重合 また、[[共重合]]体の単位構造配列による分類方法もある。 *ランダム共重合体 *交互共重合体 *ブロック共重合体 *グラフト共重合体 == 連鎖重合 == '''連鎖重合'''({{lang-en-short|chain polymerization}})とは、反応が開始されると基質が'''成長活性種'''([[ラジカル]]、[[カチオン]]、または[[アニオン]])となり、反応が連鎖的に続く反応である。成長活性種は反応開始剤と反応すると、反応活性が高い部位([[反応点]])が現れる。反応点が[[モノマー]]と反応すると、同じ構造の新しい反応点が現れる。こうして次々に反応が続き、高分子は伸長する。反応の初期段階から、高い重合度の生成物が現れる。連鎖重合には、ビニルモノマーの重合である'''付加重合'''(addition polymerization)と、環状モノマーが開環して重合する'''開環重合'''(ring-opening polymerization)がある。この二つの重合は成長活性種により、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合にそれぞれ更に分けられる。付加重合の反応過程は開始、成長、停止から成る。 === イオン重合 === イオン重合(—じゅうごう、{{lang-en-short| ionic polymerization}})とは、[[付加重合]]のうち活性種が[[アニオン]]もしくは[[カチオン]]である重合のことで、それぞれ[[アニオン重合]]および[[カチオン重合]]と呼ばれる。特徴としては、一般に[[ラジカル重合]]は未反応モノマーの減少に伴い[[連鎖反応 (化学反応)|連鎖反応]]が減少するとともにポリマーラジカル同士や副反応のラジカル反応で終端反応が増加しラジカル種が減少・消滅する。そしてラジカル重合は水系など[[プロトン]][[溶媒]]中でも進行するが、一方[[イオン (化学)|イオン]]重合ではイオン種が消滅しないようにする為に非プロトン溶媒が使用され、あるいは低密度[[ポリエチレン]]のように[[気相]]で反応させる必要がある。しかし、そのような反応溶媒中では系中の[[モノマー]]を消費した後でも成長末端であるアニオンおよびカチオンは比較的安定であり、同一あるいは別種のモノマーを追加することで重合が再開する(リビング重合)。特に[[スチレン]]や[[ジエン]]など炭化水素をモノマーとするアニオン重合は成長中の[[カルボアニオン]]が安定な為、リビング重合に良く用いられる。また、[[分子量]]分布が比較的狭いのも特徴の一つである。また重合反応の反応形式の一つである開環重合は、イオン重合により進行する。 ==== カチオン重合 ==== カチオン重合(—じゅうごう、{{lang-en-short|cationic polymerization}})とは、イオン重合のうち、活性種が[[イオン (化学)|カチオン]]である[[重合]]のこと。一般的に用いられる開始剤としては、一般のブレンステッド[[酸]]の他に[[塩化アルミニウム|三塩化アルミニウム]]に代表されるルイス酸なども用いられる。また、用いる[[モノマー]]としては[[電子供与性]]基を持つ[[アルケン]]の方が活性種である[[カチオン]]を安定化するために重合活性が高い。 ==== アニオン重合 ==== アニオン重合(—じゅうごう、{{lang-en-short|anionic polymerization}})とは、イオン重合のうち、活性種が[[アニオン]]である[[重合]]のこと。用いられる開始剤としては[[アルキルリチウム]]化合物がよく用いられる。また、用いる[[モノマー]]としては[[電子求引性基]]を持つ[[アルケン]]の方が活性種であるアニオンを安定化するために重合活性が高い。 代表的な例としては、[[瞬間接着剤]]のシアノアクリル酸エステルは少量の水を開始剤としてアニオン重合することで固化接着する。 == 逐次重合 == '''逐次重合'''(ちくじじゅうごう、{{lang-en-short|step polymerization}})とは、反応点がモノマーに存在する重合反応である。反応はモノマーの官能基間とで起こり、重合は段階的に進む。反応の初期は低重合度の重合体が多いが、モノマーが消失するにつれ重合体の反応が増え、反応後半になって高重合度の重合体が現れてくる。 === 重縮合 === {{main|縮合重合}} '''重縮合'''(じゅうしゅくごう、{{lang-en-short|polycondensation}})とは、[[縮合反応]]の繰り返しによる重合反応である。縮重合(しゅくじゅうごう)とも呼ばれる。代表的な重合体を次に示す。 *[[ポリアミド樹脂]]([[ナイロン]]) *[[ポリエステル樹脂]] (PET) *[[ポリカーボネート樹脂]] === 重付加 === '''重付加'''(じゅうふか、{{lang-en-short|polyaddition}})とは、付加反応の繰り返しによる重合反応である。大きく分けて、活性水素をもつヘテロ原子の基が多重結合などに付加する水素移動型重付加と、[[ペリ環状反応]]で多重結合が付加する電子移動型重付加とがある。代表的な重合体を次に示す。 *水素移動型重付加 **[[ポリウレタン]](ウレタン樹脂) **[[エポキシ樹脂]] *電子移動型重付加 **環状ポリオレフィン樹脂 また、広義には(後に述べる)付加縮合を含む。 === 付加縮合 === '''付加縮合'''(ふかしゅくごう、{{lang-en-short|addition condensation}})がある。付加反応と縮合反応の両方が繰り返される重合反応は付加重合と呼ぶ。代表的な重合体を次に示す。 *[[フェノール樹脂]](ベークライト) :フェノール樹脂の合成はフェノールへの[[ホルムアルデヒド]]の付加反応で始まる。付加生成物のヒドロキシメチル基とフェノールは縮合反応をし、その縮合生成物へとホルムアルデヒドは付加反応する。これが繰り返されてフェノール樹脂は重合される。 *[[尿素樹脂]](ユリア樹脂) *[[メラミン樹脂]] これらの樹脂は形成後の熱処理により付加縮合が進行し、[[架橋]]構造が形成されて硬化する特徴を利用されることが多い。 == リビング重合 == リビング重合は開始反応及び成長反応のみで構成されているため、重縮合反応において重合体末端にも反応点が維持される場合は、反応の前半後半に関係なく重合度は反応率に比例する。リビング重合を示す重合体は反応性を維持しているため、反応が一旦終了したのち、モノマーを追加した場合重合反応が再開する。この性質は[[ブロック重合]]や[[ポリマーアロイ]]では重要な性質である。また、リビング重合はその反応の機構から、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合、リビング転位重合などに細かく分けられる。 == 参考文献 == *{{cite book |editor=社団法人高分子学会 |title=基礎高分子化学 |chapter= |author=小澤美奈子|authorlink=小澤美奈子 |publisher=東京化学同人 |year=2006 |location=東京 |pages= |url= |isbn=978-4-8079-0635-2}} *{{cite book |editor=[[大嶌幸一郎]]、[[大塚浩二]]、[[川崎昌博]]、[[木村俊作 (化学者)|木村俊作]]、[[田中一義]]、[[田中勝久]]、[[中篠善樹]] |title=高分子化学合成編 |chapter= |author=[[中篠善樹]]、[[中建介]] |publisher=丸善出版 |year=2015 |location= |pages= |url= |isbn=978-4-621-08259-1}} == 関連項目 == {{Div col}} *[[高分子]] *[[化学反応]] {{Div col end}} == 外部リンク == {{commonscat}} *{{kotobank}} *{{kotobank|重合}} {{Normdaten}} [[Category:重合反応|*]] {{DEFAULTSORT:しゆうこうはんのう}}
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