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'''重合度'''(じゅうごうど)、すなわち'''DP'''(英語:degree of polymerization)は、巨大分子や[[ポリマー]]や[[オリゴマー]]分子中の[[モノマー]]単位の数である<ref>[http://goldbook.iupac.org/D01569.html IUPAC Definition] in [[Compendium of Chemical Terminology]] (IUPAC Gold Book)</ref> <ref>Cowie J.M.G. ''Polymers: Chemistry and Physics of Modern Materials'' (2nd ed. Blackie 1991), p.10 </ref> <ref>[[ハリー・R・オールコック|Allcock H.R.]], Lampe F.W. and Mark J.P. ''Contemporary Polymer Chemistry'' (3rd ed. Pearson Prentice-Hall 2003), p.316 {{ISBN2|0-13-065056-0}}</ref>。 ホモポリマーの場合、1種類のモノマー単位しかなく、数平均重合度は次式で与えられる。 <math>DP_n\equiv X_n=\frac{M_n}{M_0}</math> ここで、M<sub>n</sub>は数平均[[分子量]]であり、M<sub>0</sub>はモノマー単位の分子量である。工業製品のポリマー製造においては、ほとんどの場合、数千または数万の重合度が必要とされる。この数はポリマーの分子サイズの通常の変化を反映しているわけではなく、モノマー単位の数平均を表しているだけである。 {{Quote box|title=[[IUPAC]]定義|quote=高分子、オリゴマー、ブロックや鎖状高分子の中<br />のモノマー単位の数<ref>{{cite journal|title=Glossary of basic terms in polymer science (IUPAC Recommendations 1996)|journal=[[Pure and Applied Chemistry]]|year=1996|volume=68|issue=12|pages=2287–2311|doi=10.1351/pac199668122287|url=http://pac.iupac.org/publications/pac/pdf/1996/pdf/6812x2287.pdf|last1=Jenkins|first1=A. D.|last2=Kratochvíl|first2=P.|last3=Stepto|first3=R. F. T.|last4=Suter|first4=U. W.}}</ref>}} しかし、いくつかの専門書では、DPを繰り返し単位の数として定義しており、この場合は[[共重合|コポリマー]]では繰り返し単位はモノマー単位と同一ではないかもしれない<ref name="Fried">Fried J.R. "Polymer Science and Technology" (Pearson Prentice-Hall, 2nd edn 2003), p.27 {{ISBN2|0-13-018168-4}}</ref> <ref>Rudin, Alfred "Elements of Polymer Science and Engineering" (Academic Press 1982), p.7 {{ISBN2|0-12-601680-1}}</ref>。 例えば、 [[ナイロン66]]では、繰り返し単位は、2種類のモノマー単位、-NH(CH<sub>2</sub>)<sub>6</sub>NH-および-OC(CH<sub>2</sub>)<sub>4</sub>CO-を含むので、1000個のモノマー単位の鎖は500個の繰り返し単位に相当する。重合度または鎖長は、最初の(IUPAC)定義(モノマー単位)で1000、2番目の定義(繰り返し単位)で500になる。 == 逐次重合と連鎖重合 == [[逐次重合]]では、高い重合度 ''X<sub>n</sub>''(分子量)を達成するためには、 [[ウォーレス・カロザース|カロザース]]の式 <ref>Rudin, p.171</ref> <ref name="#1">Cowie p.29</ref>によると、モノマー転化率''p''を高くする必要がある<ref name="#1"/> <math>\bar{X}_n=\frac{1}{1-p}</math> 例えば、''X''<sub>n</sub> = 100を達成するためには、''p'' = 99%のモノマー転化率が必要である。 しかし、[[連鎖重合]](フリー[[ラジカル重合]]) の場合、カロザースの式は適用されない。その代わりに、長い高分子鎖が反応の初期から形成される。反応時間を長くすると、ポリマー収率は増加するが、平均分子量にはほとんど影響を及ぼさない<ref>Cowie, p.81</ref>。 重合度は、動力学的鎖長に関係しており、これは開始鎖当たりに重合したモノマー分子の平均数に相当する<ref>Allcock, Lampe and Mark, p.345</ref>。しかし、それは以下のようないくつかの理由で動力学的鎖長とは異なる。 * 連鎖停止反応において、2つのラジカル鎖が、全体的または部分的に再結合することによって、重合度が倍になる可能性がある<ref>Allcock, Lampe and Mark, p.346</ref> * モノマーへの[[連鎖移動反応]]は、反応している同じ動力学的鎖に対し、新しい高分子を発生させる、これは重合度の減少をもたらす。 * 溶媒または溶解成分(改質剤や調整剤)への連鎖移動は、重合度を低下させる<ref>Allcock, Lampe and Mark, p.352-7</ref> <ref>Cowie p.63-64</ref>。 == 物性との相関 == [[ファイル:Degree_of_polymerization.png|右|サムネイル|350x350ピクセル| ポリエチレンの重合度と溶融温度の関係、Flory and Vrij(1963)によるデータ。 ]] 同一の組成のポリマーであっても、分子量が異なると、違った物理的性質を示す。一般的に、重合度が上がると、[[溶融]]温度が高くなり<ref>[[Paul Flory|Flory, P.J.]] and Vrij, A. J. Am. Chem. Soc.; 1963; 85(22) pp3548-3553 Melting Points of Linear-Chain Homologs. The Normal Paraffin Hydrocarbons.|doi=10.1021/ja00905a004|url=http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja00905a004</ref>、機械的強度が向上する。 一般的には、分子量10万以上になると、軟化温度・密度・引張強度などへの分子量の影響は無関係となる<ref>生産研究 21 巻・9 号(1969.9) p.526-541</ref> == 数平均および重量平均 == 合成ポリマーは、異なる重合度を持った巨大分子成分の混合物からなっており、したがってさまざまな分子量を有する。いろいろな種類の平均分子量があり、それぞれ異なった実験で測定することができる。最も重要な2つの平均分子量は、数平均(X<sub>n</sub>)と重量平均(X<sub>w</sub>)である<ref name="Fried">Fried J.R. "Polymer Science and Technology" (Pearson Prentice-Hall, 2nd edn 2003), p.27 {{ISBN2|0-13-018168-4}}</ref>。 数平均重合度は、ポリマー成分の重合度の[[加重平均]]であり、それぞれの成分の[[モル分率]](または分子数)によって重み付けされる。それはポリマーの[[浸透圧]]の測定により通常決定される。 重量平均重合度は、ポリマー成分の重量分率(または分子の全重量)で重み付けされた重合度の加重平均である。それはポリマーによる[[レイリー散乱]]の測定により通常決定される。 == 参照 == {{仮リンク|無水グルコース単位|en|Anhydroglucose unit}} == 参考文献 == {{Reflist}} {{DEFAULTSORT:しゆうこうと}} [[Category:高分子化学]]
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