金属アセチリドのソースを表示

'''金属アセチリド'''（きんぞくアセチリド、{{lang-en-short|metal acetylide}}）とは、[[アセチレン]]の[[水素]]の一方、あるいは双方を金属で置換した[[炭化物]]の一種の総称である。単に'''アセチリド'''とも称する。

*(例) アセチレンを[[トレンス試薬|アンモニア性硝酸銀水溶液]]''Ag(NH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>OH''に通すと、銀アセチリド(アセチレン銀)を生じる。
: <chem>HC \equiv CH\ + 2Ag^+ -> AgC\equiv CAg\ + 2H^+</chem>
*(例) アセチレンに[[n-ブチルリチウム]]を作用させるとリチウムアセチリドを与える。
: <chem>HC\equiv CH\ + \mathit{n}-C4H9Li -> HC\equiv CLi\ + \mathit{n}-C4H10 \uparrow</chem>

[[炭化カルシウム]] CaC<sub>2</sub> をはじめ、[[炭化ナトリウム]] Na<sub>2</sub>C<sub>2</sub> または NaC<sub>2</sub>H、[[炭化アルミニウム]] Al<sub>2</sub>C<sub>6</sub>、[[炭化銅(I)]] CuC≡CCu、[[炭化銀(I)]] AgC≡CAg または RC≡CAg などが代表的な金属アセチリドである。

M<sub>2</sub>C<sub>2</sub> 型アセチリドは[[アルカリ金属]]、[[銅]](I)、[[銀]](I)、[[金]](I)など、MC<sub>2</sub> 型アセチリドは[[アルカリ土類金属]]、[[亜鉛]]、[[希土類元素]]、[[ウラン]]、[[トリウム]]など、MHC<sub>2</sub> ないしは MRC<sub>2</sub> 型アセチリドはアルカリ金属、銅(I)、銀(I)、金(I)などで見られる。

アルカリ金属あるいはマグネシウムのアセチリドは加熱した金属にアセチレンを導入することによって生成する。アルカリ金属のアセチリドは金属の[[アンモニア#液体アンモニア|液体アンモニア]]溶液にアセチレンを吹き込むことでも生成する。[[アルカリ金属]]以外の場合は金属酸化物を過剰の炭素と加熱しても生成する。

炭化カルシウム CaC<sub>2</sub> は[[水]]と反応すると[[アセチレン]]を生成するが、[[二炭化ウラン]]や[[炭化トリウム]]は水と反応してアセチレン、[[メタン]]、[[エチレン]]、水素を同時に発生する。

銅(I)、銀(I)、金(I)のアセチリドは爆発性を持つ。

== 関連項目 ==
* [[炭素化合物]]
* [[アセチレン]]

== 出典 ==
* [[長倉三郎]] ほか（編）「アセチリド」『岩波理化学辞典』CD-ROM 版，第5版，岩波書店，1998年
* 大滝仁志「アセチリド」『世界大百科事典』CD-ROM版，平凡社，1998年
* 専門基礎ライブラリー『基礎化学１ 物質の構成と変化』 ISBN 978-4-407-30853-2 実教出版株式会社, 2006年第1刷発行

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[[Category:官能基]]