長七の和音のソースを表示

'''長七の和音'''（ちょうしちのわおん）とは、[[四和音]]の一種で、[[長三和音]]に根音から[[長七度]]上の音を付加したものである。

[[ポピュラー音楽]]では[[英語]]名の'''メイジャー・セブンス・コード'''（慣例的には'''メジャー・セブンス・コード'''）とも呼ばれる。

== 基本データ ==
=== 各語での呼称 ===
* {{lang-en|Major seventh chord}} （'''メイジャー・セブンス・コード'''）
* {{lang-en|Delta chord}}（デルタ・コード）

=== 構成音 ===
* 根音（R）
* 長三度（M3°）
* 完全五度（P5°）
* 長七度（M7°）
以上の4音から構成される[[四和音]]である。

=== 和音記号 ===
{|border=1
|-align=center bgcolor=e0e0e0
|rowspan=2|和音記号の種類
|colspan=4 |表記法
|-align=center bgcolor=e0e0e0
|基本形
|第1転回形
|第2転回形
|第3転回形
|-align=center
|[[コードネーム]]表示
|'''XM7'''
|'''XM7/Y'''<br />または '''XM7onY'''
|'''XM7/Z'''<br />または '''XM7onZ'''
|'''XM7/W'''<br />または '''XM7onW'''
|-align=center
|[[ピッチクラス]]表示
|colspan=4 center|'''[047B]'''
|-
|}
ただし、根音をX, 第3音をY, 第5音をZ, 第7音をWとする。

=== 周波数比 ===
{|border=1
|-align=center bgcolor=e0e0e0
|[[音律]]名
|根音 : 第3音 : 第5音 : 第7音
|数値
|-
|[[純正律]]
|<math>8 : 10 : 12 : 15</math>
|1 : 1.25 : 1.5 : 1.875
|-
|[[ピタゴラス音律]]
|<math>1 : \frac{81}{64} : \frac{3}{2} : \frac{243}{128}</math>
|1 : 1.265625 : 1.5 : 1.898438
|-
|[[中全音律#1/4コンマ中全音律|中全音律]]
|<math>1 : \frac{5}{4} : 5^{\frac{1}{4}} : {\frac{5}{4}} \times 5^{\frac{1}{4}}</math>
|1 : 1.25 : 1.495349 : 1.869186
|-
|[[平均律#十二平均律|平均律]]
|<math>1 : 2^{\frac{4}{12}} : 2^{\frac{7}{12}} : 2^{\frac{11}{12}}</math>
|1 : 1.259921 : 1.498307 : 1.887749
|-
|}
[[長七度]]は不協和音程であるため、この和音は[[不協和音]]と見なされるが、純正率では単純な周波数比になるため、[[うなり]]は生じない。

== 主な用法 ==
四和音が[[和声]]の基本となる[[ポピュラー音楽]]において、中心的な役割を果たし、この傾向は[[長調]]において顕著になる<ref>長調のIM7やIVM7が[[ダイアトニック・コード]]であり、トニックやサブドミナントとして使えるため。</ref>。[[属七の和音]]<ref>ブルースでの用法</ref>や[[メイジャー・シックスス・コード]]と並び、長三和音の代理コードとして用いられる<ref>進行感を阻害するため、基本的に[[ドミナントコード|ドミナント]]では用いられない。</ref>。

=== 機能和声の中で ===
以下のような用法があげられる。
* 長調における I7（[[トニックコード|トニック]]）
* 長調における IV7（[[サブドミナントコード|サブドミナント]]）
* [[短調]]（[[短音階#自然短音階（ナチュラル・マイナー・スケール）|自然的短音階]]）における III7（トニックの代理コード）
* 短調（自然的短音階）における VI7（トニックの代理コード）

=== モードの中で ===
アイオニアン・モード、リディアン・モードの中で使用できる。

ただし、リディアン・モードにおいてそのまま使用すると長調やアイオニアン・モードを連想させるため、リディアン・モードの[[特性音]]である増11度音がテンションとして加えられることがある。

=== 転回 ===
長七の和音は、主に基本形（根音が低音）で用いられることが多い。

=== 付加音、テンション ===
以下の音が付加されることがある。

==== アイオニアン・スケールにおいて ====
* 9th（根音の長九度上）
* 13th（根音の長十三度上）

なお、11th（根音の完全十一度上）は第3音と短9度を形成し響きを阻害するため、用いられない<ref>このような音を'''アヴォイド・ノート'''という。</ref>。

==== リディアン・スケールにおいて ====
* 9th（根音の長九度上）
* #11th（根音の増十一度上）
* 13th（根音の長十三度上）

なお、#11thはリディアン・スケールの特性音である。

== 注釈 ==
{{reflist}}

== 関連項目 ==
=== 類似する和音 ===
* [[長三和音]]
* [[メイジャー・シックスス]]
=== 音階 ===
* [[長調]]、[[長音階]]
* [[旋法]]
* [[特性音]]

=== その他 ===
* [[和声]]
* [[ポピュラー和声]]
* [[テンション (音楽)]]

{{DEFAULTSORT:ちようしちのわおん}}
[[Category:和音]]
[[Category:和声]]