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{{出典の明記|date=2017年5月}} '''集団運動模型'''(しゅうだんうんどうもけい)とは[[原子核]]の性質を記述する[[モデル (自然科学)|モデル]]のひとつである。 == 概要 == [[殻模型]]での[[核子]]([[陽子]]や[[中性子]])の独立粒子運動と、[[液滴模型]]での[[集団運動]]を統一的に考えるために、[[1953年]][[オーゲ・ニールス・ボーア]]と[[ベン・ロイ・モッテルソン]]によって提唱された「統一模型」である。一つの核子は、他の核子が作る平均的な[[ポテンシャル]]([[平均場近似|平均場]])中を自由に[[運動 (物理学)|運動]]しているが、この平均場が時間と共に変化するとき、核子の運動には集団性がもたらされると考える。 <math>\hat{H} = \hat{H}_{\mathrm{ collective}} + \hat{H}_{\mathrm{ single-particle}} + \hat{H}_{\mathrm{ interaction}}</math> この平均場をどのように与えるかによって、いくつかのタイプの模型に細分化される。初期の研究においては、集団運動の[[ハミルトニアン]]は人為的に仮定された。たとえば、原子核の形状すなわち平均場の形状を[[回転楕円体]](β2変形)と仮定し、その変形度に関する自由度を考えるなどであった。 代表的なモデルがニルソン模型である。原子核の変形度に依存した座標空間で、平均場として[[調和振動子]]ポテンシャルに[[スピン軌道相互作用|スピン・軌道]]、軌道・軌道カップリング項を加えたもの(MOポテンシャル)を用い、その一粒子[[エネルギー]][[固有値]]を求める。するとエネルギー値は変形度の関数となる。それを示した図が[[ニルソン図]]である。最外殻核子がもつエネルギー準位は変形度の関数として曲線を描くが、その最小値が原子核の変形度を決定する。このモデルは原子核の変形度について実験値をうまく説明している。 しかし、原理的にはこれら「巨視的な」自由度もすべて核子ひとつひとつの微視的な自由度から成りたっているはずである。現在では、微視的な集団運動模型が確立している。原子核の[[波動関数]]を一つの[[スレイター行列式|スレーター行列式]]と表現し、[[変分原理]]からエネルギーを極小化すると、[[ハートリー-フォック方程式|ハートレー・フォック方程式]]が得られる。このように決まるポテンシャルが、核子によって作られる平均場である。この方法は相互作用と、対象とする系の粒子数のみがインプットであるから、[[核構造]]理論における[[第一原理計算]]と考えることができる。また、この拡張が[[時間依存ハートレー・フォック方程式]]であり、[[基底状態]]のみならず[[励起状態]]も記述することができる。このような、[[時間依存平均場理論]]によって原子核の基底状態及び励起状態を一つの枠組みで理解することができるようになった。 [[有効相互作用]]として[[スキルム力]]を用いた計算が現在の主流になっているが、これは[[密度汎関数法]]の一種と見なすことができる。 == 関連項目 == *[[原子核]] *[[原子核物理学]] *[[核構造]] *[[殻模型]] *[[シェルモデル]] *[[液滴模型]] {{DEFAULTSORT:しゆうたんうんとうもけい}} [[Category:原子核物理学]]
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