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'''離散ウェーブレット変換'''(りさんウェーブレットへんかん、{{lang-en-short|Discrete wavelet transform, DWT}})は、[[数値解析]]や[[関数解析]]において、離散的にサンプリングされた[[ウェーブレット]]を用いた[[ウェーブレット変換]]の[[アルゴリズム]]である。本来は異なる物だが、多くの[[ソフトウェア]]では[[多重解像度解析]]の事を離散ウェーブレット変換と呼んでいる。本項では本来の定義の方をふれ、[[多重解像度解析]]に関してはそちらの項目を参照。 ==概要== 最初の離散ウェーブレット変換は、ハンガリーの数学者[[ハール・アルフレッド|アルフレッド・ハール]]によって示された。[[ハールウェーブレット]]による多重解像度解析は、<math>2^n</math> の長さを持つ数列が入力されると、隣接した値の差分と和を求めるものである。この処理は再帰的に行われ、和の数列は次の処理の入力となる。最終的には、<math>2^n-1</math> の差分値と一つの和の値を得る。 この単純な離散ウェーブレット変換は、ウェーブレットの一般的な特性を示している。[[多重解像度解析]]の計算量は[[ランダウの記号#一般的なオーダー|<math>O(n)</math>]]である。また、この変換は、時間及び周波数の両方の特性をつかむことができる。これら2つの特徴は、[[高速フーリエ変換]]と比較した場合の多重解像度解析の大きな特徴である。 もっとも一般的な離散ウェーブレット変換は、ベルギーの数学者[[イングリッド・ドブシー]]によって1988年に証明された。この証明では、解像度が以前のスケールの2倍となっていく[[数列|漸化式]]によって、もっとも密にサンプリングされたマザーウェーブレットを生成している。彼女の講義資料には、{{仮リンク|ドブシーウェーブレット|en|Daubechies wavelet}}と呼ばれるウェーブレットファミリーが提供されており、その中の最古のウェーブレットは[[ハールウェーブレット]]である。このあと、これをベースとした多くのウェーブレットが開発された。 離散ウェーブレット変換の別の表現としては、{{仮リンク|定常ウェーブレット変換|en|Stationary wavelet transform}} (ダウンサンプリングが無い離散ウェーブレット変換)がある。また、関連した変換としては、{{仮リンク|ウェーブレットパケット|en|Wavelet packet decomposition}}や{{仮リンク|複素ウェーブレット変換|en|Complex wavelet transform}}がある。 離散ウェーブレット変換は、[[科学]]・[[工学]]・[[数学]]・[[計算機科学]]の分野で数多くの応用が存在する。 顕著な例としては、信号[[符号化]]や[[データ圧縮]]などに用いられる。特に画像圧縮に対しては[[モスキートノイズ]]が理論上ほとんど発生しないため、[[JPEG 2000]]の[[アルゴリズム]]にも採用されている。 == 本来の定義 == 本来の f(t) に対する離散ウェーブレット変換の定義は、[[連続ウェーブレット変換]]の解像度を2倍刻みにした、下記の形である<ref>{{cite book |title=ウェーブレット10講 |author=I.ドブシー |isbn=978-4621062289 }}</ref><ref>{{cite book |title=ウェーヴレットビギナーズガイド―数理科学 |author=榊原 進 |isbn=978-4501522704 }}</ref>。<math>\psi(t)</math> はウェーブレット関数。j と k は整数。 : <math>d_k^{(j)} = 2^j \int_{ \mathbf{R} } f(t) \overline{ \psi(2^j t - k) } dt</math> 逆離散ウェーブレット変換は以下の形である。 : <math>f(t) = \sum_j \sum_k d_k^{(j)} \psi(2^j t - k)</math> しかしながら、これが使われる事は少なく、多重解像度解析が使われる事が一般的である。[[Mathematica]]<ref>[https://reference.wolfram.com/language/ref/DiscreteWaveletTransform.html DiscreteWaveletTransform—Wolfram言語ドキュメント]</ref> や [[MATLAB]]<ref>[http://jp.mathworks.com/help/wavelet/ref/dwt.html Single-level discrete 1-D wavelet transform - MATLAB dwt - MathWorks 日本]</ref> をはじめとして、多くのソフトウェアでは、多重解像度解析の事を離散ウェーブレット変換と呼ぶ。[[多重解像度解析]]の詳細については、そちらの項目を参照。 ==参照== {{reflist}} * Stéphane Mallat, A Wavelet Tour of Signal Processing (ISBN 9780124666061) == 関連項目 == * [[多重解像度解析]] * [[ウェーブレット]] * [[ウェーブレット変換]] * [[直交ミラーフィルタ]] * [[:en:List of wavelet-related transforms]] {{デフォルトソート:りさんうええふれつとへんかん}} [[Category:数値解析]] [[Category:信号処理]] [[Category:ウェーブレット]] [[Category:数学に関する記事]] [[de:Wavelet-Transformation#Diskrete Wavelet-Transformation]] [[fr:Ondelette#Transformée en ondelettes discrète]]
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