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[[数値解析]]、[[計算物理学]]および[[シミュレーション]]で、'''離散化誤差'''([[英語|英]]:{{Lang|en|Discretization error}})あるいは'''切り捨て誤差'''([[英語|英]]:{{Lang|en|Truncation error}})は、[[連続体|連続]]変数の[[関数 (数学)|関数]]をコンピューターで有限個数(たとえば{{仮リンク|格子モデル (物理学)|en|lattice model (physics)|label=格子モデル}}上)の計算で表現することに起因する[[誤差]]<ref name ="Oishi">{{Cite book |和書 |author=大石進一(編著) |authorlink=大石進一 |title=精度保証付き数値計算の基礎 |date=2018-07 |publisher=[[コロナ社 (出版社)|コロナ社]] |ISBN=978-4-339-02887-4}}</ref><ref name="Yamamoto1">{{Cite book |和書 |author=山本哲朗 |title=数値解析入門 |edition=増訂版 |date=2003-06 |publisher=[[サイエンス社]] |series=サイエンスライブラリ 現代数学への入門 14 |ISBN=4-7819-1038-6}}</ref>。一般的に、格子の間隔を狭くすることなどによって離散化誤差を減らすことができるが、[[計算複雑性理論|計算量]]は増加する。 == 例 == 離散化誤差は、[[計算物理学]]の[[有限差分法]]や{{仮リンク|疑似スペクトル法|en|pseudo-spectral method}}における誤差の主要な要因である。関数''f'' (''x'' ) の微分を : <math>f'(x)= \lim_{h\rightarrow0}{\frac{f(x+h)-f(x)}{h}}</math> とおく。''h'' が非常に小さな有限値の場合、 :<math>f'(x)\approx\frac{f(x+h)-f(x)}{h}</math> と近似できる。このとき、最初の微分の式と2つめの近似式の差が、離散化誤差である<ref name="Yamamoto1"/>。 == 関連する現象 == [[定義域]] (domain) の有限性から発生する離散化誤差は、[[値域]] (range) の有限性から発生する[[量子化誤差]]や、[[浮動小数点]]演算によって発生する[[丸め誤差]]と混同してはいけない。<!--値を正確に表し、正確な算術を使用することが可能な場合でも、離散化誤差が生じるのだろうか?これらの値による誤差ではなく、離散点の集合上でのそれらの値による関数を表すことによる誤差である-->値域に対して正確な値を表し、正確な演算を使用することが可能であったとしても、離散化誤差は発生する。離散化誤差は、定義域を離散的な点の集合上で表すから生じる誤差であって、値域の値の誤差ではない<ref> {{Cite book |first = Nicholas |last = Higham |title = Accuracy and Stability of Numerical Algorithms (2 ed) |publisher = SIAM |year = 2002 |pages = 5 }}</ref>([[数値解析#誤差の発生と伝播]]も参照)。 ===信号処理=== [[信号処理]]では、[[離散化]]に対応するのは[[標本化]]であり、[[標本化定理]]の条件が満たされる場合、情報は失われない。そうでない場合、[[標本化]]によって発生する誤差は[[折り返し雑音|折り返し雑音(エイリアシング)]]と呼ばれる。 ===幻影解=== {{see also|[[精度保証付き数値計算#幻影解]]}} 微分方程式の数値解法において、離散化誤差が原因で数学的には得られるはずのない解が現れることがある<ref name ="Oishi"/>。 == 誤差評価 == 誤差の大きさは、その[[量#相対量と絶対量|絶対量]]ではなく、格子幅''h'' との[[関数 (数学)|関数]]関係により表される。その解析には、[[テイラー展開]]が用いられる。通常、数値解析では''h'' には小さい値が取られるため、より高次精度のものが誤差も小さい<ref name="Yamamoto1"/>。 以下では、関数''f'' の厳密な微分を''Df'' 、離散化した微分をΔ''f'' と表す。 === 1次精度 === 1階微分''Df'' の離散化Δ''f'' として次式('''前進差分'''という)を採用する: :<math>\Delta f(x) = \frac{f(x+h)-f(x)}{h}</math> このとき、厳密な微分との差は、 :<math>\begin{align}\Delta f(x) - Df(x) &= \frac{h}{2}D^2f(x)+\cdots\\ &= O(h)\end{align}</math> すなわち、''h'' の1次の[[オーダー (物理学)|オーダー]]となる。ここで''O'' は[[ランダウの記号]]である。このように、誤差が''h'' の1次のオーダーとなることを、1次精度という<ref name="Yamamoto1"/>。 === 2次精度 === 1階微分''Df'' の離散化Δ''f'' として次式('''中心差分'''という)を採用する: :<math>\Delta f(x) = \frac{f(x+h)-f(x-h)}{2h}</math> このとき、厳密な微分との差は、 :<math>\begin{align}\Delta f(x) - Df(x) &= \frac{h^2}{6}D^3f(x)+\cdots\\ &= O(h^2)\end{align}</math> となる。このことを、2次精度という<ref name="Yamamoto1"/>。 == 参考文献 == {{Reflist}} == 関連項目 == *[[誤差]] *[[離散化]] *[[線型多段法]] *[[量子化誤差]] {{DEFAULTSORT:りさんかこさ}} [[Category:数値解析]] [[Category:数学に関する記事]]
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