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'''電気化学ポテンシャル'''(でんきかがくポテンシャル、electrochemical potential)は、[[電荷]]を持つ粒子([[イオン (化学)|イオン]]や[[電子]]など)の[[化学ポテンシャル]]のことである。電荷を持たない粒子の化学ポテンシャルと比べて、電気化学ポテンシャルには[[電位]]の寄与が付け加わっている。電気化学ポテンシャルは、その荷電粒子が存在する[[相]]の電位によって変化する。 [[エドワード・グッゲンハイム]]によって、特に電位を考慮しない通常の化学ポテンシャルと区別するために導入された<ref>[[#Guggenheim|Guggenheim]] (1929) p.842.</ref>。 == 定義 == === 化学ポテンシャル === {{main|化学ポテンシャル}} 化学ポテンシャル<math>\mu</math>は、定温定圧の下では[[ギブズエネルギー]]差 Δ''G'' を[[物質量]] ''n'' で[[偏微分]]したもの、定温定積の下では[[ヘルムホルツエネルギー]]差 Δ''H'' を物質量''n'' で[[偏微分]]したものと定義される。 : <math>\mu = \frac{\partial \Delta G}{\partial n} </math> === 荷電粒子のギブス自由エネルギー === ある相に電荷<math>q</math>の粒子が[[物質量]] ''n''だけ存在しているとする。この荷電粒子系のギブス自由エネルギーは、「その荷電粒子を無限遠の真空からある相に持ち込むために必要な仕事([[自由エネルギー]]の変化量)」と定義される。もし相の電位 φ が無限遠の真空と等しい(0 である)とすれば、荷電粒子のギブス自由エネルギーは、非荷電粒子のギブス自由エネルギーと同様に振舞うと考えられる。 ここで電位が存在すると考えると、純粋にその[[クーロン力]]による[[仕事 (物理学)|仕事]]<math>q\phi</math>の分だけギブス自由エネルギーが増加する。 これらはあくまで仮説であるが、矛盾するような現象は今までに知られていないため受け入れられている。 === 電気化学ポテンシャル === 荷電粒子の[[イオン価]]を ''z''、[[ファラデー定数]]を ''F'' とすると、 :<math>q/n=zF</math> と表せることから、電気化学ポテンシャルは次で定義される。 : <math>\bar{\mu} = \frac{\partial \Delta G}{\partial n} = \mu + zF \phi</math> 電場のある状況では、この電気化学ポテンシャル<math>\bar{\mu}</math> が物理的に意味のある化学ポテンシャルである<ref>{{Cite book|和書|first=晴明|last=田崎|authorlink=田崎晴明|title=熱力学―現代的な視点から|publisher=[[培風館]]|series=新物理学シリーズ|date=2000|isbn=978-4-563-02432-1}}</ref> === 多成分系 === 多成分系での化学ポテンシャルは、[[標準状態]]の化学ポテンシャル μ<sup>*</sup> と[[活量]] a を含む項の和で表される。 よって[[気体定数]]を ''R''とすると、電気化学ポテンシャル<math>\bar{\mu}</math>は次で定義される。 : <math>\bar{\mu} = \frac{\partial \Delta G}{\partial n} = \mu^* + RT \ln a + zF \phi</math> 多成分系の電気化学ポテンシャルは電位が異なる相間での[[化学平衡]]を論じるのに使用される。 ==脚注== {{脚注ヘルプ}} {{reflist}} ==関連項目== *[[電気化学的勾配]] ==参考文献== *{{cite journal |author=E. A. Guggenheim |title=The conceptions of electrical potential difference between two phases and the individual activities of ions |journal= Journal of physical chemistry |volume=33|year=1929 |ref=Guggenheim}} {{chem-stub}} {{デフォルトソート:てんきかかくほてんしやる}} [[Category:電気化学]] [[Category:熱力学]]
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