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電荷密度
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{{出典の明記|date=2015年7月}} {{物理量 | 名称 = | 英語 = charge density | 画像 = | 記号 =''ρ'' | 次元 = [[時間|T]] [[電流|I]] [[長さ|L]]{{sup-|3}} | 階 =[[スカラー]] | SI =クーロン毎立方メートル | CGS =クーロン毎立方センチメートル | MTS = | FPS = | MKSG = | CGSG = | FPSG = | プランク = | 原子 = }} '''電荷密度'''(でんかみつど、{{lang-en-short|charge density}})は、単位体積当たりの電荷の量(体積密度)。電荷を担うものとしては負電荷をもつ電子、正電荷を持つ原子核がある。(注:原子核の正電荷は陽子のものだが、陽子は複数の素粒子で構成されており、それらの中に正電荷を持つものがある。電荷の起因を議論するときは考えるスケールによることに注意。)電荷密度というときには、どの体積スケールで定義するかが大事である。物質は原子(や分子)で構成されているから、原子の中を細かく区分けした体積スケールでいうなら、原子核の位置付近では電荷密度は正であり、その外側では電荷密度が負である。原子の大きさのスケールでいうなら、その体積中の正電荷と負電荷が打ち消しあうから電荷密度はゼロということになる。 また、物性物理では、電流を担う電子に注目することも多いので、そのような伝導電子の密度を取り出し、一つの実体として議論をすることがある。例えば金属の銅は、正の1価の銅イオンと、そこから出てきた伝導電子との集合体としてとらえることが多い。そのような場合は、電荷密度として「伝導電子の電荷密度」を意味することもある。 実験的にはX線は電子と、中性子線は原子核と強く相互作用をすることを利用して、X線回折による構造解析から得られた結果から電子による負電荷密度の分布が求まる。中性子回折実験では、同様な手法により原子核による正電荷密度が求まる。 ==バンド計算での電荷密度== [[バンド計算]]では通常、電荷密度とは電子の密度のことを示す。従って、この場合は'''電子密度'''(electron density)とも言う。電子以外の電荷(例えば[[イオン (化学)|イオン]]など)に対しても "電荷密度" の表記を用いることがあるので注意が必要。 [[バンド計算]]では、実空間での電荷密度 ''ρ''('''''r''''') は[[波動関数]] ''ψ''<SUB>''i'','''''k'''''</SUB>('''''r''''') のノルムを取ることにより求められる: :<math>\rho (\boldsymbol{r}) = \sum_{i,\boldsymbol{k}} f_{i,\boldsymbol{k}} |\psi_{i,\boldsymbol{k}} (\boldsymbol{r})|^2. </math> ''i'', '''''k''''' はそれぞれ[[バンド構造|バンド]]と[[ブリュアンゾーン#k点|k点]]の指標。''f''<SUB>''i'','''''k'''''</SUB> は、各 ''k'' 点上の各バンドでの電子の占有数。なお、バンド計算では普通[[原子単位]]を用いるので素電荷は、''e'' = 1([[ハートリー原子単位|ハートリー原子単位系]]の場合)としている。ここで占有数は、''N'' を系の全電子数とすると :<math> \sum_{i,\boldsymbol{k}} f_{i,\boldsymbol{k}} = N </math> となる。バンド計算において波動関数は規格化されており、占有数 ''f''<SUB>''i'','''''k'''''</SUB> は非整数となる場合がある。 実空間の電荷密度を[[フーリエ変換]]したものは、 :<math> \rho (\boldsymbol{G}) = \frac{1}{V} \int \rho (\boldsymbol{r}) e^{-i\boldsymbol{G}\cdot\boldsymbol{r}} d\boldsymbol{r} </math> (''i'' は[[虚数単位]])であり、上式左辺の ''ρ''('''''G''''') は構造因子と言われるが、このことを逆空間表示での電荷密度と言う場合もある。 ==運動量密度== 実空間の波動関数をフーリエ変換して(指標 ''i'', '''''k''''' は省略、''V'':系の体積)、 :<math> \psi(\boldsymbol{G}) = \frac{1}{V} \int \psi(\boldsymbol{r}) e^{-i\boldsymbol{G}\cdot\boldsymbol{r}} d\boldsymbol{r} </math> を得る。''ψ''('''''G''''') は[[逆格子空間]]([[運動量空間]])での波動関数であり、これの[[ノルム]]をとると、 :<math> P(\boldsymbol{G}) = |\psi(\boldsymbol{G})|^2 </math> となり、上式左辺の ''P''('''''G''''') は逆格子空間での電荷密度と言えるが、通常は'''運動量密度'''(momentum density)と呼ばれる。 運動量密度は、[[コンプトン散乱]]や電子‐[[陽電子]]消滅実験などの実験によって観測される量で、対象が[[金属]](含む[[半金属]])の場合、[[フェルミ面]]の情報を含んでいる。 [[自由電子]]の場合の運動量密度 ''ρ''('''''P''''') は、自由電子の[[実空間]]([[3次元]])での波動関数 ''ψ'' が[[平面波]] <math> e^{-i\boldsymbol{k} \cdot \boldsymbol{r}}</math>であるから、 :<math>\iint e^{-i\boldsymbol{G} \cdot (\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}')} e^{i\boldsymbol{k} \cdot (\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}') } d\boldsymbol{r}d\boldsymbol{r'} = \iint e^{-i(\boldsymbol{G}-\boldsymbol{k})\cdot(\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}')} d\boldsymbol{r} d\boldsymbol{r}' = \delta (\boldsymbol{G}-\boldsymbol{k}) = \rho_{\boldsymbol{k}}(\boldsymbol{G})</math> となり([[体積]]は省略)、 :<math>\rho(\boldsymbol{G}) = \sum_{\boldsymbol{k}} \rho_{\boldsymbol{k}} (\boldsymbol{G}) = \sum_{|\boldsymbol{k}| \le k_F} f_{\boldsymbol{k}} \rho_{\boldsymbol{k}} (\boldsymbol{G}) </math> を得る(''f''<SUB>'''''k'''''</SUB> は[[フェルミ分布関数]]←電荷密度での占有数と表記が類似するが異なるものである)。実際は、[[2次元]]ないし [[1次元]]表示したものが[[実験]]による観測結果と比較される。 ;2次元表示 :<math> \rho(G_y,G_z) = \int \rho (\boldsymbol{G}) dG_x = \int_{G_x^2 \le G_F^2 - G_y^2 - G_z^2} dG_x = 2 \sqrt{G_F^2 - G_y^2 - G_z^2}. </math> ;1次元表示 :<math> \rho(G_z) = \iint \rho (\boldsymbol{G}) d G_x dG_y = \iint_{G_x^2 + G_y^2 + G_z^2 \le G_F^2} dG_x dG_y = G_F^2 - G_z^2. </math> 以上から、3次元での[[自由電子]]の運動量密度の2次元表示は[[半球]]状、1次元表示は[[放物線]]となる。実際に観測されるものは、[[アルカリ金属]]のような[[価電子]]が自由電子的であるような場合を除いて自由電子のものとは大分異なった形状になることが多い。 ==関連項目== * [[物性物理学]] * [[第一原理バンド計算]] ** [[電荷密度の混合の仕方]] * [[分極電荷密度 ]] * [[電荷・電流密度]] {{DEFAULTSORT:てんかみつと}} [[Category:密度]] [[Category:固体物理学]] [[es:Carga eléctrica#Densidad de carga eléctrica]]
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