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{{出典の明記|date=2015年10月}} [[ファイル:Pm1234 Ground.png|250px|right|thumb|1−2+3−4+… の部分和が発散する様子の模式図]] '''1−2+3−4+…''' は、[[無限級数]]の一つで、[[項]]番号と同じ[[自然数]]が各項に現れる[[交項級数]]として以下の式で表される。 : <math>\sum_{n=1}^{\infty} (-1)^{n-1}n</math> その部分和は 1, −1, 2, −2, 3, −3, … と一定の値に近づくことはないので、この[[級数]]は[[発散級数|発散]]するというのが一般的な解釈である。しかし計算方法によってはこの級数が[[極限|収束]]すると考えることもでき、その場合の収束値は [[1/4]] である。これは[[18世紀]]に[[レオンハルト・オイラー]]によって発見された。その後[[エミール・ボレル]]らによって厳密な研究が行われ、その他の部分和が収束しない級数(1−1+1−1+… など)の収束値についても考察がなされた。 == 部分和を求める計算 == : 1 = '''1''' : 1 − 2 = '''−1''' : 1 − 2 + 3 = '''2''' : 1 − 2 + 3 − 4 = '''−2''' : 1 − 2 + 3 − 4 + 5 = '''3''' : 1 − 2 + 3 − 4 + 5 − 6 = '''−3''' このように部分和は [[0]] 以外の全ての[[整数]]を取りうる。したがって 1 − 2 + 3 − 4 + … は、部分和が一定の値に近づかず、'''発散する'''。(正または負の[[無限|無限大]]への発散ではなく、振動である。) == 収束すると考えた場合の計算 == [[ファイル:Pm1234 linearity.png|250px|right|thumb|白丸をプラス、赤丸をマイナスとしたとき4つの級数の和が1になることの説明。線で結ばれた白と赤の丸が相殺しあい、緑丸1つが残っている]] 以下の議論は単なる[[ヒューリスティクス]]であり、現代的な観点からは厳密な証明とは認められない。 ''S'' = 1 − 2 + 3 − 4 + 5 − … とおき、4''S'' を計算する。 : 4''S'' = (1−2+3−4+5−…)+(1−2+3−4+5−…)+(1−2+3−4+5−…)+(1−2+3−4+5−6+…) : = ('''1−2'''+3−4+…)''+1''+('''−2+3'''−4+5−…)''+1''+('''−2+3'''−4+5−…)''+1−2''+('''+3−4'''+5−6+…) : = ''1''+('''1−2−2+3''')+(+3−4−4+5)+('''−2+3+3−4''')+(−4+5+5−6)+… : = 1 よって、'''''S'' = {{sfrac|1|4}}''' である。 なお : 2''S'' = (1−2+3−4+5−…)+(1−2+3−4+5−6+…) : = ''1''+('''−2+3'''−4+5−…)''+1−2''+('''+3−4'''+5−6+…) : = ''0''+('''−2+3''')+('''+3−4''')+(−4+5)+(+5−6)+… : = 1−1+1−1+… ''S'' = {{sfrac|1|2}} なので、'''1−1+1−1+… = {{sfrac|1|2}}''' となる。 (1−1+1−1+…)<sup>2</sup> = 1−2+3−4+…, 1−1+1−1+… = '''{{sfrac|1|2}}''' であることを利用して 1−2+3−4+… = '''{{sfrac|1|4}}''' を証明する方法がある。 1−1+1−1+… は[[公式]] : <math>1-x+x^2-x^3+\cdots=\frac{1}{1+x}</math> (右辺の[[テイラー展開|マクローリン展開]]とも考えられる) に形式的に ''x'' = 1 を代入したものと考えることにする(ただし本来この式は −1 < ''x'' < 1 の範囲でしか成り立たない)。 またこの式の両辺を ''x'' で[[微分法|微分]]して −1 をかけると : <math>1-2x+3x^2-4x^3+\cdots=\frac{1}{(1+x)^2}</math> となる。ここで形式的に ''x'' = 1 を代入すると 1−2+3−4+… = {{sfrac|1|4}} を得る。これらの他にも収束値を求める方法はいくつか知られている。 == 現代的な解釈 == 1−2+3−4+… は、{{仮リンク|ディリクレのイータ関数|en|Dirichlet eta function}} : <math>\eta(s) = \sum_{n=1}^{\infty}{(-1)^{n+1} \over n^s}.</math> において ''s'' = −1 を形式的に代入したものである。右辺の級数は ''s'' の[[複素数#定義|実部]]が正でなければ収束しないが、イータ関数は複素数平面全域に[[解析接続]]されて、η(−1) の値も定義され、その値は 1/4 である。実際、イータ関数は[[リーマンゼータ関数]] ζ(''s'') と : <math>\eta(s) = \left(1-2^{1-s}\right) \zeta(s)</math> という関係を持つので、ゼータ関数の[[函数等式#ゼータの函数等式|関数等式]]よりイータ関数の関数等式を得るし、ゼータ関数の特殊値 ζ(−1) = −1/12 から η(−1) の値を得る。<br /> また(例えば[[アーベル総和法|アーベルの]])[[総和法]]によっても、この形式的な和を正当化することが出来る。すなわちg(x)を : <math>g(x)=\sum_{n=1}^{\infty}{(-x)^{n-1} n}</math> とすれば、両辺に-xを乗じて辺々引いて(|x|<1とすればg(x)は絶対収束するから、同じ仮定の下この操作が許されることに注意) : <math>(1+x)g(x)=\sum_{n=1}^{\infty}{(-x)^{n-1}} </math> を得、よって : <math>g(x)= {1 \over (1+x)^{2}} </math> となるのだが :<math>\lim_{x \to 1-0}g(x)={1 \over 4}</math> であるから、アーベルの意味でこの和が{{sfrac|1|4}}と結論することができる。これは上のヒューリスティックとよく似た議論であるが一度議論対象を関数に落とし込んでから、その極限をとって再び特殊化することにより厳密な議論となっている。<br /> 逆にこの方法で得た値をイータ関数の値とみることによってゼータ関数の値をも求めることが出来る。この方法で得た値はゼータ関数の解析接続によって得られる値と等しい。 == 関連項目 == * [[1+2+3+4+…]] <!--* [[1+1+1+1+…]]--> * [[レオンハルト・オイラー]] * [[リーマンゼータ函数|ゼータ関数]] {{級数}} {{DEFAULTSORT:1いちひくにたすさんひくよんたす}} [[Category:級数]] [[Category:数学に関する記事|/1いちひくにたすさんひくよんたす]]
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