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{{出典の明記| date = 2021年3月}} {{chembox | 出典=<!--英語版:viscosity; Merck Index 13th: density, RI --> | Name = 2-プロパノール | ImageFile1 = Isopropanol-skeletal.png | ImageSize1 = 100px | ImageFile2 = Isopropanol-3D-balls.png | ImageSize2 =150px | ImageAlt = 2-プロパノール | IUPACName = propan-2-ol | OtherNames = イソプロピルアルコール; イソプロパノール; IPA | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 67-63-0 | KEGG = D00137 | SMILES = CC(O)C }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = C<sub>3</sub>H<sub>8</sub>O | RationalFormula =CH<sub>3</sub>CH(OH)CH<sub>3</sub> | MolarMass = 60.10 g/mol | Appearance = 無色液体 | Density = 0.78084 g/cm<sup>3</sup>, 液体 (25 ℃) | MeltingPtC= −89.5 | Melting_notes = | BoilingPtC= 82.4 | Boiling_notes = | pKa = 16.5 | 屈折率= 1.3749 (25 ℃) | 粘度= 1.77 mPa s (30 ℃) }} }} '''2-プロパノール''' (2-propanol) は、第二級[[アルコール]]の一種である。[[プロパノール]]の2種類の[[構造異性体]]のうちの一つである。[[消防法]]に定める第4類[[危険物]] アルコール類に該当する<ref>[https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/I0277 法規情報](東京化成工業株式会社)</ref>。別名、'''イソプロパノール'''、'''イソプロピルアルコール'''、'''IPA'''。[[溶媒]]、[[殺菌]]に使われ、エタノールより安価。 == 化合物名 == [[IUPAC命名法]]により名付けられる化合物名には、化合物の構造から系統的に決まる組織名(系統名)と、いくつかの基本的な化合物や構造に使用が認められた慣用名(許容慣用名とそれ以外)とがある。この化合物の場合は'''2-プロパノール''' (2-propanol)、'''プロパン-2-オール''' (propan-2-ol) が組織名で、'''イソプロピルアルコール'''(isopropyl alcohol、基官能命名法)は慣用名から誘導した化合物名である。IUPAC命名法では双方とも利用は認めているが、組織名(2-プロパノール)を使用することを推奨している。ただ、IUPAC命名法にはよらないが、「''s''-プロピルアルコール」、「''sec''-プロピルアルコール」(secondary propyl alcohol)、あるいはまた[[日本薬局方]]でも規定されている'''イソプロパノール''' (isopropanol) という名称が用いられることもある。 == 特性 == 無色透明で芳香を帯びた液体で、可燃性であり、引火点 11.7℃(常温で引火する)、発火点460 ℃ である。[[ヒドロキシ基]]による[[水素結合]]性を持つことから水、アルコールなどの極性溶媒に溶ける。同時に、相対的に大きな疎水性基(イソプロピル基)を持つために[[エーテル (化学)|エーテル]]などの非極性溶媒にも溶ける両親媒性を示す。またCH<sub>3</sub>CH(OH)-を構造中に持つため[[ヨードホルム反応]]を示す。 [[酸化]]すると[[アセトン]]、[[還元]]すると[[プロパン]]となる。[[メールワイン・ポンドルフ・バーレー還元]]、あるいは[[ベンゾフェノン]]などの光化学的還元反応において、還元剤兼溶媒としてはたらく。[[第二級アルコール]]は光の作用で空気中の酸素と反応して、微量ながら[[過酸化物]]として[[過酸化アセトン]]を生じる。環状イミドオキシム触媒などを用いて、積極的に酸化させて過酸化水素を製造する手法が研究されている。 == 用途 == === 工業原料・有機溶剤 === [[アセトン]]合成の中間原料や[[グリセリン]]の合成原料としても用いられる。[[キシレン]]などの有機溶剤にくらべ環境負荷が小さく、印刷用・文具用インクの基材として利用されている。[[プラスチック]]([[アクリル樹脂]])や[[ゴム]]を侵す場合もある。 === 消毒・清掃用品 === 医療機関で[[手指消毒剤]]として、[[エタノール]]と並び広く利用されている。エタノールと比べて殺菌できる菌種は少ないが安価である。エタノールに比べて、脱脂作用が強く、やや毒性と刺激性が強いため、手指や器具の[[消毒]]が目安である。(創傷面や損傷皮膚への使用や、内服は[[禁忌 (医学)|禁忌]]である) 湿式の[[VHS]]ヘッドクリーナー、[[コンパクトディスク|CD]]/[[DVD]]/[[Blu-ray Disc|BD]]レンズクリーナーのクリーニング液、[[複写機]]のガラスや[[コンタクトレンズ]]の洗浄液として利用される。安価であること、油脂類をよく溶かすこと、速乾性であることなどから、機械部品の洗浄にも使用される。 ===酒税回避=== 「消毒用アルコールIP」は、消毒用アルコールの市場占有率で1位を持つ[[健栄製薬]]が、[[消毒用アルコール]]に添加物として2-プロパノールを混ぜたものを、消毒用アルコールより安価に販売した製品である。健栄製薬が自ら「消毒用エタノールIPには添加物としてイソプロパノールが含まれているため...酒税がかかりません<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kenei-pharm.com/general/learn/influenza/2918/|title=消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの違い|accessdate=2021/9/23}}</ref>」と解説したことから、2-プロパノールの添加が酒税を回避する目的で行われたものと広く認知されている。 実際には、消毒用アルコールは、[[アルコール事業法]]上の工業用アルコールを希釈した「特定アルコール」と考えられ、酒類原料への不正使用を防止する価格が加算されているためで酒税そのものではないとみられる<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.meti.go.jp/policy/alcohol/tokuteialcohol.html|title=特定アルコールについて|accessdate=2021/9/23}}</ref>。 ただし、酒税法第二条により、「「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(中略))をいう」とも定められている。したがって、1%以上のアルコールを含む飲用可能な液体は酒税法のいう酒類に当たるとの解釈もあり、統一した見解は得られていないとの報告もある<ref>{{Cite web|和書|url=https://mbp-japan.com/hyogo/komorebipharmacy/column/5048531/|title=薬剤師・植芝亮太コラム「消毒用アルコールが無いなら赤ワインから合法的に作ってみる。」『神戸新聞』2020年4月23日更新|accessdate=2021/9/23|publisher=神戸新聞社}}</ref>。 === 燃料用水抜き剤 === [[自動車]]等の燃料タンク内に入り込んだ水分を排出するための添加剤として、2-プロパノールを主成分としたものが利用されている。2-プロパノールは水と油分の両方に親和性があることから、混入した水分を燃料中に[[乳化]]させて燃焼室に送り、燃焼あるいは蒸発させて水分を排出する。この目的には親水性かつ親油性で水分を含んでいない物質であればよく、無水エタノールでも同様の効果がある。自動車のガソリンや軽油の[[燃料タンク (自動車)|燃料タンク]]、[[灯油]]の屋外設置型タンクで使用される。用途や商品によっては[[防錆剤]]やエンジン保護剤、[[イソブチルアルコール]]([[軽油]]用)、黒煙防止剤(同)を混合している物もある。清浄剤やオクタン(軽油用はセタン)価向上剤なども含むものは、燃料添加剤に分類される。 燃料タンク内の水分には、タンクの中の[[空気]]に含まれる水分が[[気温]]の低下とともに[[結露]]してタンクの底に溜まるものがある。燃料タンクの蓋に小さな通気口が設けられていて、ガソリンを消費した分だけ外気も入り込んでくるため、水分の結露が発生しやすい。こうした水分がタンクに溜まることはタンク内壁の錆を招く可能性があるとして、水抜き剤が製品化された。 2-プロパノールをはじめとするアルコール類は、濃度が高い場合は[[ゴム]]や[[樹脂]]([[アクリル樹脂]])を膨潤させて劣化させる性質を持つため、水抜き剤には燃料に対する添加濃度が指定されている。 == 製法 == [[フーゼル油]]を分留することで得られる[[1-プロパノール]]とは異なり、[[プロピレン]]の水和反応(水分子付加反応)でほぼ100%生産されている。水和反応には2種類あり、日本国内では酸化タングステンや酸化チタンなどの金属酸化物を触媒として用いる直接水和法が多用されている。2000年の日本国内における生産量は15万tである。もう一つは硫酸化後に加水分解を行う間接水和法であり、世界的には間接水和法が主力である。間接水和法は、[[1920年]]に最初の工業的な合成が始まったときから採用されている伝統的な製法でもある。硫酸を媒介とする水和反応は[[求電子剤#水付加|求電子的付加反応]]の形式で進行する。 : <chem>C3H6 + H2O -> CH3CH(OH)CH3</chem> <!--統計項目に合致させるためにイソプロピルアルコールの語を使用する--> 日本国内における生産動態が「イソプロピルアルコール」の名称で経済産業省により集計されており、2014年度の生産量は16,476t、消費量は72tである<ref>[https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/08_seidou.html 経済産業省生産動態統計・生産・出荷・在庫統計]平成20年年計による</ref>。 == 関連する法規 == * [[労働安全衛生法]] * [[消防法]] * [[船舶安全法]] * [[航空法]] * [[医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律]] * [[特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律]] == 註・出典 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 外部リンク == {{commonscat}} * [https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0928.html 職場のあんぜんサイト:化学物質:イソプロピルアルコール] - [[厚生労働省]] ** [https://web.archive.org/web/20150721042802/www.jaish.gr.jp/anzen/gmsds/0928.html イソプロピルアルコール](2006年02月19日改定、[[製品安全データシート]]、安全衛生情報センター、[[中央労働災害防止協会]]) - [[ウェイバックマシン]](2015年7月21日アーカイブ分) {{Chem-stub}} {{アルコール}} {{Chemical warfare}} {{DEFAULTSORT:2ふろはのおる}} [[Category:脂肪族アルコール]] [[Category:溶媒]] [[Category:第4類危険物]] [[Category:殺菌消毒薬]] [[category:アルコール]]
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