2012年4月の低気圧のソースを表示

{{暫定記事名|date=2012年4月}}
{{風水害
| name=2012年4月の低気圧
| image=East Asian cyclone 2012-04-04 0300Z.jpg
| dates={{年月日 | year=2012 | month=4 |day=3日 - 5日}}
| country=Japan
| area=西日本から北日本にかけて（[[九州]]・[[四国]]・[[本州]]・[[北海道]]）
| factor=急発達した[[低気圧]]による[[暴風雨]]
| winda=山形県酒田市飛島
| windd=39.7m/s<br />山形県酒田市飛島で最大瞬間風速:51.1<ref name="tobishima">{{PDFlink|[http://www.jma-net.go.jp/yamagata/saigai_shiryou/saigaiji_shiryou_20120418.pdf 急速に発達した低気圧の影響について]}}（平成24年）4月18日、山形地方気象台。</ref>| dead=5<ref name="mainichi0405-1">[https://web.archive.org/web/20130902091752/http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012040500424 暴風の死者、全国で5人に＝重体の男性死亡－富山] 時事通信、[[2012年]]（平成24年）4月5日12時42分版。{{リンク切れ|date=2013-9-2}}</ref><ref name="mainichi0404-1">[http://mainichi.jp/select/news/20120404k0000e040224000c.html 爆弾低気圧:東北でも暴風被害…死者4人に]{{リンク切れ|date=2013年10月}}、[http://mainichi.jp/select/news/20120404k0000e040224000c2.html p2] 池田知広、川名壮志、神足俊輔、平林由梨、毎日新聞、[[2012年]]（平成24年）4月4日13時03分版。{{リンク切れ|date=2013-9-2}}</ref>
| injured=約350<ref name="mainichi0404-1" />
| zenkai=
| hankai=
| sonkai=
| higaigaku=
| data=*<ref name="jmasokuji0405">{{PDFlink|[http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/new/jyun_sokuji20120403-0405.pdf 平成24 年4 月3 日から5 日にかけての暴風と高波]}} [[2012年]]（平成24年）4月5日、気象庁。</ref><ref name="jma0406">{{PDFlink|[https://www.jma.go.jp/jma/press/1204/06a/20120406teikiatsu.pdf 平成24年4月2〜3日に急発達した低気圧について]}} [[2012年]]（平成24年）4月6日、気象研究所・気象庁。</ref>
}}
日本での2012年4月の[[爆弾低気圧]]は、'''[[2012年]]'''（[[平成]]24年）[[4月2日]]に発生、急発達しながら[[日本海]]を横断し[[北海道]]を通過、[[4月5日]]に[[オホーツク海]]に達した'''[[温帯低気圧|低気圧]]'''は、[[4月3日]]から4月5日にかけて[[九州]]・[[四国]]・[[本州]]・北海道に[[暴風]]・[[大雨]]・[[高波]]による災害を発生させた。最低中心気圧は957.8hPa (46.2N,145E) を記録した<ref>{{Cite web|和書|title=2012年04月02日発生の低気圧 {{!}} 爆弾低気圧データ {{!}} 爆弾低気圧情報データベース|url=http://fujin.geo.kyushu-u.ac.jp/meteorol_bomb/view/detail.php?id=2012-04-02-15|website=fujin.geo.kyushu-u.ac.jp|accessdate=2021-04-20}}</ref>。

== 概要と経過 ==
[[ファイル:April 2012 East Asian cyclone track.png|サムネイル|左|低気圧の経路]]
4月2日に[[中華人民共和国|中国]]の[[黄海]]沿岸部で発生した1008[[ヘクトパスカル|hPa]]の[[温帯低気圧]]は、黄海を東に進み[[朝鮮半島]]を横断、[[日本海]]上に入った4月3日朝から急速に発達をはじめ、中心気圧が低下していった。3日15:00には972hPaに下がって爆弾低気圧の定義を満たしたが<ref>2日15:00に北緯約35°で1006hPa、3日15:00に北緯約40°で972hPaなので24時間に34hPa低下、24時間に<math>24 \times (\sin \phi / \sin 60^\circ)</math>hPa以上の定義を満たす。この1つ前の観測正時では2日9:00-35°-1008hPa、3日9:00-38°-986hPaであり満たさない。</ref>、3日午前から西日本を中心に暴風雨や高波が強さを増し、東に拡大していった。3日21:00には964hPaに低下するが、4日3:00には低気圧東方の[[閉塞前線]]上に新たな低気圧の中心が生じ、中心はそちらにシフトしてさらに発達していく。低気圧の中心は北海道を通過し北上、4日15:00に[[樺太]]南東沖のオホーツク海上で最低気圧となる950hPaまで発達し、その後緩やかに気圧が上がりながらゆっくりと北東に進んだ<ref name="jmasokuji0405" />。

低気圧の中心付近や南側・東側の寒冷前線上には発達した[[積乱雲]]があり、[[集中豪雨]]や[[突風]]が発生した。[[鹿児島県]][[奄美地方]]、[[兵庫県]]南東部・[[大阪府]]北部・[[京都府]]南部、[[高知県]]東部などで集中豪雨となった。また最大風速・最大瞬間風速の大きな地点は低気圧の中心に近い[[北陸]]や[[東北]]の日本海側や[[北海道]]に多かったが、和歌山市、山形県[[小国町 (山形県)|小国町]]、[[仙台市]]、[[明石市]]、[[日光市]]、[[八王子市]]などの内陸や太平洋岸にもみられるなど広い範囲で強風が吹き荒れ、75の観測地点で観測史上最大の風速を観測した<ref name="jmasokuji0405" />。

== 被害と記録 ==
低気圧の急発達が予想された4月2日夕方の段階で、[[気象庁]]は「台風並み」の暴風や高波になるとして警戒を呼び掛け、物の固定などの飛散防止を事前に行うことや強風が予想される時間帯には「できるだけ外出を控える」よう呼びかけ、これを報道機関でも報じた<ref>[https://web.archive.org/web/20120404163530/www3.nhk.or.jp/news/html/20120402/k10014151811000.html 低気圧が急発達 “台風並みに”]{{リンク切れ|date=2013年10月}} NHK NEWSWEB、[[2012年]]（平成24年）4月2日17時49分。</ref>。

夕方から首都圏では大規模な鉄道の制限や運休が発生、空でも国内旅客線500便以上が欠航するなどした。[[首都圏 (日本)|首都圏]]では帰宅[[ラッシュ時]]と強風のピーク時間帯が重なることから交通の混乱が予想されたが、前年の[[東日本大震災による帰宅困難者|東日本大震災]]や[[平成23年台風第15号]]の教訓から早期の「分散帰宅」の動きがみられた。東京都は昼の段階で企業に「一斉帰宅の抑制」を求めるという前例のない措置をとり、他県でも早期帰宅を促す企業があった。そのため、混乱は抑えられたとの報道があった<ref>[https://archive.is/20120908203420/www.sanspo.com/geino/news/20120403/sot12040314220010-n1.html 東京都、企業に「一斉帰宅抑制」を要請]{{リンク切れ|date=2013年10月}} サンケイスポーツ、[[2012年]]（平成24年）4月3日14時19分。</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0302T_T00C12A4000000/ 春の嵐、47地点で史上最大風速 4日も続く見通し] 日本経済新聞、[[2012年]]（平成24年）4月4日0時53分版。</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20120407081906/www3.nhk.or.jp/news/html/20120404/k10014218831000.html 強風 企業や社員は冷静に行動]{{リンク切れ|date=2013年10月}} NHK NEWSWEB、[[2012年]]（平成24年）4月4日20時39分。</ref><ref>[http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1204030040/ 春の嵐 帰宅直撃、県内鉄道など大混乱/神奈川]{{リンク切れ|date=2013年10月}} 神奈川新聞、[[2012年]]（平成24年）4月4日。</ref>。

倒れた小屋の下敷きになったり、風にあおられて転落するなどして、日本国内では計5人が死亡したほか、350人以上が負傷した<ref name="mainichi0404-1" /><ref name="mainichi0405-1" /><ref>[https://web.archive.org/web/20120426132143/mainichi.jp/area/hokkaido/news/20120404ddr001040010000c.html 暴風雨:春の嵐、列島大荒れ 3人死亡、302人負傷−−34都府県]{{リンク切れ|date=2013年10月}} 小川祐希、毎日新聞（北海道朝刊）、[[2012年]]（平成24年）4月4日。</ref>。[[新潟県]]では延べ19万世帯で停電、建物被害が約500件、ビニールハウス等被害が約1000件、新潟市西区の国道沿いで電柱約20本が倒れるなどの被害が生じた<ref>[http://mainichi.jp/area/niigata/news/20120405ddlk15040004000c.html 爆弾低気圧:佐渡で観測史上最大、風速43.5メートル 19万戸以上停電 ／新潟]{{リンク切れ|date=2013年10月}}、[http://mainichi.jp/area/niigata/news/20120405ddlk15040004000c2.html p2]{{リンク切れ|date=2013年10月}}、[http://mainichi.jp/area/niigata/news/20120405ddlk15040004000c.html p4]{{リンク切れ|date=2013年10月}} 川畑さおり、宮地佳那子、塚本恒、毎日新聞（地方版）、[[2012年]]（平成24年）4月5日。</ref>。[[東北地方]]でも4日までに6県で最大30万世帯で停電、住宅の屋根が飛ばされたり、車が横転したりといった被害や、鉄道の運休が発生した<ref>[https://web.archive.org/web/20120408082235/www.kahoku.co.jp/news/2012/04/20120404t73032.htm “春台風”東北を襲う 被害拡大、宮城・登米で1人死亡]{{リンク切れ|date=2013年10月}} 河北新報、[[2012年]]（平成24年）4月4日。</ref>。また、[[韓国]]でも強風による物品の転倒などが発生し、強風による転倒が原因で1人が死亡したほか、航空機の運休・遅延などが相次いだ。また低気圧に向かって寒気が南下したため遅い雪となり、[[ソウル特別市|ソウル]]では4月としては[[1993年]]（平成5年）以来19年ぶりに雪が降った<ref>[https://web.archive.org/web/20130127234456/http://japanese.joins.com/article/821/149821.html?servcode=400&sectcode=400 韓国各地で台風クラスの強風、ソウルでは19年ぶりに4月の雪] 中央日報日本語版、[[2012年]]（平成24年）4月4日。</ref>。

== 低気圧が発達した要因 ==
この低気圧は日本海を発達しながら東進して、日本に南寄りの湿った風と雨をもたらす[[日本海低気圧]]に分類される。このように日本海上で発達する例は珍しくはないが、この低気圧は2日21:00 (1006hPa)から3日21:00 (964hPa)の24時間で42hPaも低下しており、[[気象研究所]]によると日本海低気圧としては「飛びぬけて大きな値」であり、報道によると[[1995年]]（平成7年）11月以来約16年ぶりの急発達を記録した<ref>[https://web.archive.org/web/20120420225754/mainichi.jp/select/news/20120407k0000m040056000c.html 爆弾低気圧:大気境界下がり渦発生…台風そっくりの構造に]{{リンク切れ|date=2013年10月}}、[https://web.archive.org/web/20120426132127/mainichi.jp/select/news/20120407k0000m040056000c2.html p2]{{リンク切れ|date=2013年10月}} 池田知広、毎日新聞、[[2012年]]（平成24年）4月6日22時53分版。</ref>。

[[数値予報|モデル]]解析や再現等に基づく気象研究所の見解によると、以下のようにいくつかの要因が考えられている<ref name="jma0406" />。
*発達初期の低気圧西側に[[気圧の谷]]（トラフ）があったこと - 気圧の谷と低気圧中心の位置解析結果から。
*上記の気圧の谷が、上空に行くほど気圧の低下が大きい強いものであったこと - 500hPa高度、[[対流圏界面]]の解析結果から。
*大気下層（高度500m付近）で南から低気圧へ向かうエネルギーの大きい[[暖湿流]]があったこと - 925hPa面の水蒸気フラックス量・風分布から。
*上記3つのように低気圧西側は強い気圧の谷、東側は[[潜熱]]加熱を伴う[[上昇気流]]帯となったため、低気圧中心付近で[[傾圧]]が大きい強力な循環場が形成されていたこと - [[対流圏界面]]の解析結果から。
*発達中期から後期の低気圧で、寒気核から暖気核へ、熱的非対称型から熱的対称型へという、[[熱帯低気圧]]の性質に近づくような構造変化が起きたこと - 低気圧位相空間の解析による。熱帯低気圧で起こる[[熱帯低気圧#衰弱・温低化|温帯低気圧化]]とは逆の変化。風が強まる要因となった。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[爆弾低気圧]]
* [[2013年4月の低気圧]]

== 外部リンク ==
* [http://www.atmos.washington.edu/~hakim/tropo/trop_pres.html Isentropic PV and Tropopause Maps] - ワシントン大学大気科学研究所による対流圏界面の分布。

{{デフォルトソート:ていきあつ201204}}
[[Category:2012年の日本における災害|4かつのていきあつ]]
[[Category:日本の水害]]
[[Category:2012年4月]]
[[Category:低気圧]]
[[Category:風水害]]