2013年チェリャビンスク州の隕石落下のソースを表示

{{Otheruses|自然災害|原因の隕石|チェリャビンスク隕石}}
{{Coord|55|09|17|N|61|22|33|E|display=title}}
{{Infobox 事故
| image                    = [[File:Meteorite explosion over Chelyabinsk on February 15, 2013.gif|250px]]
| caption                    = ([[2013年チェリャビンスク州の隕石落下#ギャラリー|動画へのリンク]])<br /> 隕石接近の様子{{center|{{Location map|Russia|width=250|float=center|caption=|mark=City locator 13.svg| marksize= 10|label= | lat_deg =54|lat_min=30|lat_sec=18|lat_dir= N | lon_deg=61|lon_min=30|lon_sec=18|lon_dir= E}}発生位置}}
| date                     = [[2013年]][[2月15日]]
| time                     = [[エカテリンブルク時間|YEKT]] 9時42分42秒 ([[UTC+6|UTC+06:00]])
| place                    = '''{{RUS}}'''<br />[[チェリャビンスク州]]<br />[[クルガン州]]<br />[[オレンブルク州]]<br />[[スヴェルドロフスク州]]<br />[[チュメニ州]]<br />'''{{KAZ}}'''<br />[[アクトベ州]]<br />[[コスタナイ州]]
| coordinates              = {{Coord|55|09|17|N|61|22|33|E|}}
| also known as            = ロシアの隕石落下<br/>KEF-2013
| reported death(s)        = 0人
| reported injuries        = 1491人
| reported property damage = 4474棟の建造物が損壊<br/>被害総額10億[[ロシア・ルーブル|ルーブル]]（約30億円）
}}
'''2013年チェリャビンスク州の隕石落下'''（2013ねんチェリャビンスクしゅうのいんせきらっか）は、[[ロシア|ロシア連邦]][[ウラル連邦管区]]の[[チェリャビンスク州]]付近で、[[2013年]][[2月15日]][[エカテリンブルク時間]] (YEKT) 9時42分42秒に発生した<ref>{{Cite web|和書|date=2013-02-16|url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1507B_V10C13A2CR8000/|title=冬の空、一瞬真っ白に ロシアの隕石落下|publisher=日本経済新聞社|accessdate=2020-10-02}}</ref><ref name="bom">[http://www.nasa.gov/mission_pages/asteroids/news/asteroid20130215.html Russia Meteor Not Linked to Asteroid Flyby ''NASA'']</ref><ref>{{cite web|title=100 injured by meteorite falls in Russian Urals|url=http://www.mercurynews.com/breaking-news/ci_22596238/100-injured-by-meteorite-falls-russian-urals|publisher=Mercury News|publishdate=2013-02-15|accessdate=2013-02-15}}</ref>[[天体衝突|隕石の落下]]、及びその隕石の通過と分裂により発生した[[ソニックブーム|衝撃波]]が原因となって引き起こされた[[自然災害]]である<ref name="nhk1">{{Cite news|title=ロシア“隕石”落下で500人けが|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015553651000.html|date=2013-02-15|newspaper=NHKニュース|publisher=日本放送協会|accessdate=2013-02-16|archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1321-42/www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015553651000.html|archivedate=2013-02-16}}</ref><ref name="yomiuri0216">「露に隕石 1000人負傷 上空で爆発、落下 衝撃波、広範囲に被害」『読売新聞』2013年2月16日付朝刊、1面</ref>。史上初めて大規模な人的被害をもたらした隕石による災害である<ref group="注釈">隕石による人的被害を及ぼす災害では、[[1490年]]に[[明]]の陝西省慶陽県（現在の[[中華人民共和国]][[甘粛省]][[慶陽市]]）に落下した隕石における1万人以上の死者を出した隕石災害があったと推定されている（{{仮リンク|1490年慶陽事件|zh|1490年慶陽事件}}）。ただしこれは古文書を解読した事による推定であり、直接的な証拠は見つかっていない。</ref><ref>[http://adsabs.harvard.edu/full/1994Metic..29..864Y Meteorite falls in China and some related human casualty events ''Astrophysics Data System'']</ref>。

== 概要 ==
[[File:Chelya track annotated.png|thumb|left|250px|隕石の移動方向。青い点は被害が大きかった[[チェリャビンスク]]。大気圏と宇宙との境界として通常見なされる上空100kmに至ったのは[[ロシア]]と[[カザフスタン]]の[[国境]]付近である。]]
2013年2月15日、直径17mの[[小惑星]]が[[地球]]の[[大気圏]]に突入した。[[エカテリンブルク時間|現地時間]]9時15分（[[協定世界時]]3時15分・[[日本標準時|日本時間]]12時15分）、強い閃光を放ち、煙の尾を曳きながら落下する[[火球]]がチェリャビンスク州など[[ウラル山脈]]中南部一帯で観測された。隕石の落下の痕跡で見られる煙のようなものは、隕石の表面が大気との[[断熱過程|断熱圧縮]]で高温となり蒸発し<ref>[http://www.gsj.jp/data/chishitsunews/97_01_06.pdf#search='%E9%9A%95%E7%9F%B3%E9%9B%B2' つくば隕石雲のダスト量]、地質ニュース509号、1997年1月</ref>、それらが冷却凝固した細かい粒子が見えている[[流星塵|隕石雲]]と考えられている。隕石雲は、低空では[[地球の大気|大気]]中の[[水蒸気]]が微粒子に[[結露]]して水滴化し、まるで雲のように見える<ref>「超音速 強い破壊力 露に隕石落下 直径数メートル 重さ10トンか」『読売新聞』2013年2月16日付朝刊14版、3面</ref>。火球はその後9時42分42秒に、上空15kmから50kmで爆発し、複数の破片に分裂して落下した。

隕石は主に[[チェリャビンスク州]]から、[[スヴェルドロフスク州]]、[[オレンブルク州]]の上空で目撃されている<ref>http://www.youtube.com/watch?v=zJ-Y7vhS1JE</ref><ref>
{{cite web|url=http://www.reuters.com/article/2013/02/15/us-russia-meteorite-idUSBRE91E05Z20130215 |title=Possible meteor shower reported in eastern Russia |publisher=Reuters |date=2013-02-15 |accessdate=2013-02-15}}</ref>。また、ウラル中南部と国境を接する[[カザフスタン]]北部でも目撃されている。目撃例から、隕石はカザフスタン側からロシアへと侵入していったと見られている。カザフスタン側のロシアとの国境付近で約70km、隕石が分裂する直前の高度で約30kmであったと見られている。

隕石衝突が発生して程なく、数多くの動画がインターネットにアップロードされ、その一部は当時路上を走っていた車両の[[ドライブレコーダー]]が捉えたものであった<ref>{{cite web|url=https://www.nytimes.com/2013/02/16/world/europe/meteorite-fragments-are-said-to-rain-down-on-siberia.html?hp&_r=1& |title=Meteorite Fragments Are Said to Rain Down on Siberia; 400 Injuries Reported |publisher=New York Times |date=2013-02-15 |accessdate=2013-02-15}}</ref><ref group="注釈">この車載動画の多さは、事故の際に汚職警官や被害額を低く見積もろうとする保険会社から身を守るため、車にカメラと[[ドライブレコーダー]]を設置するドライバーが多いというロシアの交通事情も絡んでいる。</ref><ref>[http://jp.techcrunch.com/archives/20130215meteor-video-footage-goes-large-on-youtube-thanks-to-bad-russian-drivers-corruption-and-the-use-of-dash-cams-to-fight-them/ 隕石落下のビデオがYouTubeにあふれた理由はロシアの独特の“車事情”から] by Ingrid Lunden on 2013年2月16日, TechCrunch</ref>。撮影された動画では、火球が光を曳きながら空を横切り、その後に大きな爆音が残されている。物体は一時的に[[太陽]]より明るくなり、朝の地上に影を作り出すほどに輝いていた<ref>http://www.youtube.com/watch?v=Qin41lP9r2U&t=40s</ref><ref>{{cite web|url=http://www.space.com/19801-possible-meteor-blast-russia.html |title=Possible Meteor Crash in Russia: Reports |publisher=space.com |date=2013-02-15 |accessdate=2013-02-15}}</ref>。

=== ツングースカ大爆発との類似性 ===
1908年6月30日の[[ツングースカ大爆発]]についても、同様に隕石の空中爆発が原因とする見方が有力である<ref name="Discovery">{{Cite web|和書|date=2021-5-25|url=https://www.youtube.com/watch?v=fI3Wp1LIR_I|title=【100年前の謎が解明】ツングースカ大爆発 | ミッシング～迷宮事件の謎～【ゾッとする】|publisher=ID Investigation Discovery|accessdate=2021-6-19}}</ref>。

== 調査 ==
{{See also|チェリャビンスク隕石}}
=== 隕石と地球への侵入 ===
[[File:Comparativa de tamaño del Evento de Cheliábinsk.jpg|thumb|right|250px|今回の隕石の元となった小惑星の想像図と人の大きさ比較。(スペイン語)]]
[[ファイル:A trace of the meteorite in Chelyabinsk.JPG|サムネイル|250x250ピクセル|落下した[[隕石]]の軌跡。隕石の表面が蒸発や飛散することによって発生した[[流星塵|隕石雲]]と考えられている。]]
分解直前の隕石の推定される大きさは発表した機関によって異なるが、直径は数mから15mと見られている<ref name="nhk1"/><ref name="jiji2"/><ref name="jiji1">{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013021500835 |title=直径数メートルの隕石か＝人的被害は極めてまれ－接近小惑星と無関係・専門家 |newspaper=時事ドットコム |publisher=時事通信社 |date=2013-02-15 |archiveurl=https://archive.is/8y84Y |archivedate=2013-04-26}}</ref>。[[ロシア科学アカデミー]]の解析によれば、隕石の質量は10トン<!-- 要検証 -->、落下速度は秒速15km以上で、隕石が分解したのは高度30kmから50kmではないかと見られている<ref name="mainiti1"/><ref name="BBCNews">{{Citeweb|date=2013-2-15|url=http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-21468116|title=Meteor strike injures hundreds in central Russia|publisher=BBC News|accessdate=2013-02-15}}</ref>。[[RIAノーボスチ]]は、公式発表として空中爆発が高度10kmで発生したことを探知したと報道した<ref>{{cite web|title=Meteorite Falls in Eastern Russia, Causes Damage: Reports|url=http://news.yahoo.com/meteorite-falls-eastern-russia-causes-damage-reports-070021484.html|publisher=Yahool News|publishdate=2013-02-15|accessdate=2013-02-15}}</ref>。また、[[アメリカ航空宇宙局]] (NASA) の解析では爆発した高度は15kmから25kmとしている。落下方向は東から南への方角と見られている<ref name="jiji1"/>。また、大気圏に突入しても燃え尽きず地上まで落下したことから、組成は[[鉄隕石]]に近い、[[鉄]]などの硬い物質で構成されていると考えられている<ref>{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013021500861 |title=落下の隕石は約10トンか＝硬い物質で燃え尽きず－ロシア |newspaper=時事ドットコム |publisher=時事通信社 |date=2013-02-15 |archiveurl=https://archive.is/YCWYb |archivedate=2013-04-26}}</ref>。NASAの推定によれば、大気圏突入前の[[小惑星]]の大きさは直径17m、質量1万トン、大気圏突入前の地球に対する相対速度は秒速18km、衝突角度は20度未満としている。仮に地球に対してより垂直に近い角度で落下した場合、大気から受ける熱と圧力が大きく、高度80km前後で燃え尽きてしまい、今回のように地表まで達しなかったと考えられている<ref name="kurogen">[https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3311/index.html ロシア隕石落下の衝撃 ''NHK クローズアップ現代'']</ref>。[[包括的核実験禁止条約機関準備委員会]] (CTBTO) は、小惑星の直径は17mとNASAと同じ推定であるが、質量は70万トン、分裂した時点での落下速度は秒速18kmと推定している<ref name="CNN0228">[http://www.cnn.co.jp/fringe/35028886.html ロシア隕石の音、地球全体に響いた　核実験監視機関が観測]、CNN.co.jp、2013年2月28日</ref>。

2013年11月には、オリガ・ポポーヴァら世界中の59名の研究者の共著で[[サイエンス|サイエンス誌]]に落下を詳細に分析した論文が掲載された<ref name="Popova2013">{{cite journal
 | first=Olga P. | last=Popova | others=Peter Jenniskens, Vacheslav Emel&apos;yanenko, Anna Kartashova, et al. | year=2013
 | title=Chelyabinsk Airburst, Damage Assessment, Meteorite Recovery, and Characterization
 | journal=Science | volume=342 | pages=1069&ndash;1073
 | doi=10.1126/science.1242642
}}</ref>。 それによると、突入した隕石の元の質量は1.3万&nbsp;トン（不確かさは2倍程度）で直径は15～25&nbsp;mあったとされる。 高度97&nbsp;kmにあったときの火球の速度はおよそ秒速19&nbsp;kmで、地表面と約18°の角度をなしていた。 撮影された映像などを詳細に分析したところでは、隕石が高度90&nbsp;kmに達したとき大気中に最初の衝撃波が生成され、83&nbsp;kmで隕石が分解し始めチリが形成された。 この過程は高度54&nbsp;kmで加速し、高さおよそ30&nbsp;kmまで降下したとき火球は最も輝いた。 このときの火球は、火球から100&nbsp;km以内で太陽よりも明るくなり、火球からの[[紫外線]]により屋外にいた人のいくらかは[[日焼け]]を負った。 最後の爆発は高度27&nbsp;kmで起きた。 経路全体では元の運動エネルギーのうちの4～10%が放射に変わったとみられる。 経路に沿って熱を帯びたチリの雲が形成され、火球の通過後、チリの雲が徐々に平行な2つの雲に分裂した<ref name="Popova2013" />。 これは、熱の浮力によって2つの円柱状の渦が形成されたことによる<ref name="Zinn2005">{{cite journal
 | first=John | last=Zinn | others=Jack Drummond | year=2007
 | title=Formation of Parallel Meteor Trail Pairs as Associated With Their Buoyant Rise
 | journal=Advances in Space Research
 | volume=39 | pages=555&ndash;561
 | doi=10.1016/j.asr.2006.12.007
}}</ref>。

また隕石となった小惑星の[[太陽周回軌道]]は、[[近日点]]を地球と[[金星]]軌道の間、[[遠日点]]を[[火星]]軌道の外側と推定されている<ref>{{Cite web|date=2013-2-15|url=http://wiki.nasa.gov/cm/blog/Watch%20the%20Skies/posts/post_1360985685055.html |title=Orbit of the Russian Meteor ''NASA blog'' |publisher=NASA |accessdate=2013-10-20 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130509233959/http://wiki.nasa.gov/cm/blog/Watch%20the%20Skies/posts/post_1360985685055.html |archivedate=2013-05-9}}</ref><ref name="arxiv">[http://jp.arxiv.org/abs/1302.5377 A preliminary reconstruction of the orbit of the Chelyabinsk Meteoroid ''arXiv'']</ref>。この小惑星はもともと[[小惑星帯]]を起源としており、[[木星]]の重力による摂動で軌道が変化したか、小惑星帯にある小惑星同士の衝突で飛び出した破片が[[地球横断小惑星]]となって衝突直前までの太陽周回軌道に変化したと考えられている<ref name="kurogen"/>。後の分析の結果、小惑星自体は[[太陽系]]の年齢と一致する約46億年前に生成されたものであるが、もっと新しい年代に融解し形成された鉱脈が存在し、3000万年前から5000万年前に小惑星が何らかの衝突を起こした痕跡であると考えられている。また、隕石は比較的大きな小惑星の中心部で生成されたことを示す5型である<ref name="msn0318"/>。したがって、隕石の元となった小惑星は、母天体から飛び出した破片である可能性がある<ref>{{Cite news|url=https://www.astroarts.co.jp/news/2014/05/28chelyabinsk/index-j.shtml|title=大規模天体衝突の証拠、チェリャビンスク隕石からヒスイ輝石を発見|newspaper =[[アストロアーツ]]|date=2014-05-28|accessdate=2020-04-01}}</ref>。

{| class="wikitable"
|+隕石の元の小惑星の軌道<ref name="arxiv"/>
|-
! rowspan="2"|軌道要素 !! colspan="4"|値
|-
! 平均 !! 最小値 !! 中間値 !! 最大値
|-
| [[軌道長半径]] ([[天文単位|AU]]) || 1.73 ± 0.23 || 1.40 || 1.69 || 2.21
|-
| [[近日点]]距離 (AU) || 0.82 ± 0.03 || 0.77 || 0.82 || 0.88
|-
| [[遠日点]]距離 (AU) || 2.64 ± 0.49 || 1.93 || 2.55 || 3.64
|-
| [[離心率]] || 0.51 ± 0.08 || 0.37 || 0.51 || 0.65
|-
| [[軌道傾斜角]] (度) || 3.45 ± 2.02 || 0.03 || 3.30 || 6.98
|-
| [[近点引数|近日点引数]] (度) || 120.62 ± 2.77 || 116.06 || 120.75 || 125.25
|-
| [[昇交点黄経]] (度) || 326.70 ± 0.79 || 326.50 || 326.51 || 331.87
|}

今回の隕石の落下では、事前に小惑星としての観測はなされていなかった。このサイズの小惑星は元々観測が難しい上に、地球に接近した側は当時日中であったため、事前の観測による落下の把握は極めて困難であった<ref name="yomiuri2">[https://web.archive.org/web/20130219035410/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130216-OYT1T00511.htm 隕石は直径15m、7千トンか…負傷１１４５人]、YOMIURI ONLINE、2012年2月16日{{リンク切れ|date=2013年11月}}</ref>。今回の隕石落下の事象以前で、落下前に小惑星が観測されたのは、[[2008年]][[10月6日]]6時39分に発見され、[[10月7日]]2時46分[[スーダン]]に落下した直径2mから5mの{{mpl|2008 TC|3}}の1例のみで<ref name="nhk2">{{Cite news |title=“隕石”事前の発見は困難 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015552561000.html |date=2013-02-15 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-02-16 |archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1321-44/www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015552561000.html |archivedate=2013-02-16}}</ref>、今回の事象以後で観測されたのは、[[2014年]][[1月1日]]6時18分に発見され、[[1月2日]]3時0分に落下した小惑星[[2014 AA]]などごく少数である<ref name="NASA">[http://www.nasa.gov/jpl/asteroid/first-2014-asteroid-20140102/#.UsYmxiFp7wQ First 2014 Asteroid Discovered ''NASA'']</ref><ref>[https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9947_2018la 直径2mの小惑星がアフリカ南部に落下] - アストロアーツ</ref>。

宇宙からは、[[欧州気象衛星開発機構]]が運営している[[気象衛星]]の1つである[[メテオサット|メテオサット10]]が偶然、大気圏に突入した後の隕石雲の画像を捉えていた<ref>[http://rt.com/news/meteorite-crash-urals-chelyabinsk-283/ Meteorite hits Russian Urals: Fireball explosion wreaks havoc, up to 1,200 injured (PHOTOS, VIDEO) ''RT''] - [[ロシア・トゥデイ]]</ref>。

[[File:I31kz 20130215 russiabolide v3.png|250px|thumb|right|[[包括的核実験禁止条約機関準備委員会|CTBTO]]が捉えた隕石の落下に伴う超低周音波。]]
CTBTOは2月28日に、同機関が核実験の監視のために設置しているセンサーが、隕石の落下によって発生した音波を捉えたことを発表した。捉えたのは人間の聴覚で探知できる領域よりはるかに低周波の音波である[[低周波音|超低周音波]]で、落下地点からほぼ反対側に相当する南極でもこの音波を捉えた。音波は約32秒間継続した。CTBTOのセンサーは年間約20個の隕石の落下で発生する音波を捉えているが、今回の隕石の落下による音波は観測史上最大規模である<ref name="CNN0228"/>。

なお、当初ロシア政府は上空で飛行機が爆発した可能性も検討していたが、付近で事故の情報が無いことがまもなく分かり可能性が排除された。また原因が隕石と分かった後も、隕石の地上落下があったかそれとも途中で燃え尽きたかについて一時混乱があった<ref>「政府情報混乱 住民に不安」『読売新聞』2013年2月16日付朝刊、3面</ref>。

=== 落下地点 ===
[[File:Chebarkul meteorite sample on lake ice.jpg|thumb|right|250px|チェバルクリ湖の氷の上で発見された[[チェリャビンスク隕石]]の破片。]]
[[ロシア連邦宇宙局]]は、実際の破片が発見される前に、落下した物体を隕石と断定した<ref name="yomiuri0216"/>。[[ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省|ロシア非常事態省]]は、落下地点周辺の半径数百kmの範囲を捜索し、隕石の破片がないかどうかを調べた。その結果、隕石は分裂後大部分が高温で燃え尽きたものの<ref name="yomiuri0216"/>、ロシア軍によって約6mのクレーターが{{仮リンク|チェバルクリ|en|Chebarkul}}近郊で発見されている<ref>{{citeweb|url=http://english.ruvr.ru/2013_02_15/6m-crater-found-at-site-of-alleged-fragment-crash/|title=6m-crater found at site of alleged fragment crash|publisher=ロシアの声|date=2013-02-15|accessdate=2013-02-15}}</ref><ref name="yomiuri0216"/>。また、[[カザフスタン]]の[[アクトベ州]]に2つの未確認物体の落下が観測されたことから、カザフスタンにも隕石の一部が落下したものと見られ、政府が捜索している<ref name="RIA0215">{{citeweb|url=http://en.rian.ru/russia/20130215/179481049.html|title=Meteorite Fragments Injure Hundreds in Central Russia|publisher=[[RIAノーボスチ]]|date=2013-02-15|accessdate=2013-02-15}}</ref>。隕石の直径を10mと推定した[[日本スペースガード協会]]の[[高橋典嗣]]は、もし空中で隕石が砕けずに地表に落下すれば、直径100mの[[クレーター]]が生じ、周辺は壊滅的な被害になったと推定している<ref>{{Cite web|和書|date=2013-2-15|url=http://mainichi.jp/select/news/20130216k0000m030088000c.html |title=ロシア隕石落下:直径10メートルの可能性…専門家指摘 |publisher= |accessdate=2013-11-3 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130508184700/http://mainichi.jp/select/news/20130216k0000m030088000c.html |archivedate=2013-05-8}}</ref>。

ポポーヴァらによると、地上まで落ちてきた多数の隕石の破片のうち0.1&nbsp;g程度の微小なものは火球が最も明るかった地点直下のアレクサンドロヴカ周辺に降り、重くなるほど軌道の延長に沿って遠くまで飛んだ。 破片の大多数はグラム単位の小さなもので、最大のものを加えて地表に達した隕石の総量は4～6トンと見積もられている。 これは突入時の質量のわずか0.03～0.05％にあたる。 質量の76％は蒸発し、残りはチリ状になったと見積もられている。 収集された目撃情報では、およそ1時間後からまる1日、焼け焦げる匂いや硫黄の匂いを感じた人もおり、隕石起源のチリのためと考えられる。 隕石が多くの小さな破片に分裂したことは、突入時の天体が物質的および構造的に弱いものであったことを示唆している<ref name="Popova2013" />。

チェバルクリ（チェリャビンスクから西に約70km）から約1km離れた位置にある[[チェバルクリ湖]]の表面を覆った氷に、隕石の落下によるものと見られる直径約8mと約6mの穴も発見されていた<ref name="nhk1"/><ref name="jiji2"/><ref name="NHK3"/><ref name="swisscom"/><ref name="BBCNews" />。[[ロシア内務省]]はチェバルクリ湖に潜水チームを派遣し湖底の調査を行ったが、水が濁っているために何も見つからなかった。ただし、湖の周辺で約0.5cmから1cmほどの小さな黒い物体を複数採集したため、これが隕石の破片であるかどうかを分析した<ref name="NHK5">{{Cite news |title=約1センチの物体 隕石の破片か調査へ |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130217/t10015572531000.html |date=2013-02-17 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-02-17 |archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0217-1005-24/www3.nhk.or.jp/news/html/20130217/t10015572531000.html |archivedate=2013-02-17}}</ref><ref name="yomiuri5">[http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130218-OYT1T00528.htm 隕石の破片、53個発見…露チェバルクリ湖氷上]、YOMIURI ONLINE、2013年2月18日{{リンク切れ|date=2013年11月}}</ref>。また、これらの穴は隕石ではない別の原因で生じた穴である可能性もある。そして[[2月17日]]になって[[ロシア科学アカデミー]]は、チェバルクリ湖で破片53個を発見し、破片を分析した結果、金属[[鉄]]の含有量が10%と地球上の物質とは異なることから、この破片は隕石であると結論付けた。分類は隕石で最も一般的である[[普通コンドライト]]である。隕石の名称は当初、発見場所から'''チェバルクリ隕石''' (Chebarkul meteorite) と命名申請し、[[国際隕石学会]]に提出される予定であったが<ref name="yomiuri5"/><ref>[http://en.rian.ru/russia/20130218/179532704.html Russian Meteorite May Be Named Chebarkul ''Ria Novosti'']</ref>、後の捜索でチェリャビンスク州のより広範囲で隕石の破片が見つかったことから、ロシア科学アカデミーの[[地球化学・分析化学研究所]]は[[3月14日]]、隕石の名称を同州の名をとって'''[[チェリャビンスク隕石]]''' (Chelyabinsk meteorite) と正式に命名し、登録申請する事を発表した<ref name="jiji0315">{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013031500649 |title=チェリャビンスク隕石を商機に＝香水開発も－ロシア落下１カ月 |newspaper=時事ドットコム |publisher=時事通信社 |date=2013-03-15 |archiveurl=https://archive.is/y3rze |archivedate=2013-04-26}}</ref><ref name="msn0318">[https://www.sankei.com/world/news/130318/wor1303180032-n1.html ４６億年前に形成　他天体と衝突した形跡も　名前は「チェリャビンスク隕石」に]、産経ニュース、2013年3月18日</ref>。そして[[3月18日]]に、隕石はチェリャビンスク隕石で正式に登録された<ref name="Bulletin">{{metbull|57165|Chelyabinsk}}</ref>。

===隕石本体の発見===
チェバルクリ湖ではその後も調査が続いていたが、同年[[9月10日]]、水面から9メートル下の湖底で隕石の本体と推定される60〜90センチほどの塊が発見されたことが報じられ<ref>[http://www.asahi.com/international/update/0911/TKY201309100524.html ロシアに落下の隕石見つかる　重さ６００キロ？湖の底に] 朝日新聞、2013年9月11日7時22分</ref>、落下の様子は湖畔の監視カメラで捉えられていたことが判明した<ref name="Popova2013" />。翌月には引き揚げが行われたが、湖底の泥にめり込んだ状態(水面から13メートル)で、長さは150センチ(5フィート)にも達し、引き揚げ途中で3つに割れてしまったものの、重量は約600キロとている<ref>{{Cite news|url=https://www.bbc.com/news/science-environment-24550941|title=Meteorite pulled from Russian lake|newspaper =[[BBC]]|date=2013-10-16|accessdate=2020-03-31}}</ref>  。

隕石は、今回よりやや小ぶりなもの(落下前の直径3m〜7m)はほぼ毎日落下しているが、そのほとんどは大気圏で燃え尽きるか、人がいない地域や海上に落下している。これより大きいと見られる隕石が人口密集地帯の近くに落下するのは珍しい<ref>{{Cite news |title=NASA“事前に見つけられなかった” |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130216/k10015561261000.html |date=2013-02-16 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-02-16 |archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1321-45/www3.nhk.or.jp/news/html/20130216/k10015561261000.html |archivedate=2013-02-16}}</ref>。NASAでは、この現象は100年に1度という極めて珍しい現象だと説明している<ref name="NHK4"/>。

=== 隕石のエネルギー ===
この隕石の爆発的な分裂により発生したエネルギーは、NASAにより[[TNT換算]]では約500キロトンと見積もられている。これは約2100兆[[ジュール|J]] (2.1[[ペタ|P]]J) 、[[広島型原爆 (単位)|広島型原爆]]<ref>[http://nuclearweaponarchive.org/Nwfaq/Nfaq8.html#nfaq8.1.3 Section 8.0 The First Nuclear Weapons ''The Nuclear Weapon Archive'']</ref>の30倍以上にあたる<ref name="NHK4">{{Cite news |title=爆発の威力は広島型原爆の30倍以上|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130216/k10015565451000.html |date=2013-02-16 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会|accessdate=2013-02-16 |archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1926-21/www3.nhk.or.jp/news/html/20130216/k10015565451000.html|archivedate=2013-02-16}}</ref><ref>[https://www.astroarts.co.jp/news/2013/02/15ural/index-j.shtml ロシア・ウラル地方で小天体落下か　400人以上負傷 ''AstroArtz'']</ref>。ただし爆発は上空数十kmと高かったため、高度約600mで爆発した広島型原爆に比べると、分裂した高度が20kmと仮定した場合、地表での受けるエネルギーは真下でも約37分の1と小さくなり、被害ははるかに小さくて済んだと考えられる<ref group="注釈">隕石の分裂によるエネルギーは広島型原爆の約31倍であるが、エネルギーを放った高度は約33倍（高度20kmの場合）である。地表面が受けるエネルギーは爆発した高度、即ち距離の二乗に反比例するため、地表面が受けるエネルギーは約37分の1となる。</ref>。この時、隕石の表面は6000℃まで加熱されていたと考えられている<ref name="kurogen"/>。CTBTOは先述の観測された超低周音波から、隕石の分裂のエネルギーを450から500キロトンと推定しており、これはNASAによる推定とほぼ一致する<ref name="CNN0228"/>。ポポーヴァらの論文では、隕石が持っていた[[運動エネルギー]]は、ヒトの可聴域よりも低い周波数の音（20Hz以下の音）の分析による見積りでTNT換算570±150キロトン、衛星からの可視光・赤外光の分析による見積りで590±50キロトンである<ref name="Popova2013" />。

しばしば隕石の分裂を「[[爆発]]」と表現する場合があるが、これは正確な表現ではなく、実際には隕石が分裂した際に表面積が大きくなるために発光が増光した現象を指している。この分裂は、[[地球の大気]]を通過する際の圧力に隕石が耐え切れなくなった時に起こる現象である。「爆発的なエネルギーの放出」が正確な表現である<ref>{{Cite news|title=“隕石”落下 国立天文台・渡部副台長に聞く |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015557581000.html |date=2013-02-15|newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-02-16|archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1321-43/www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015557581000.html|archivedate=2013-02-16}}</ref>。

隕石が仮に分裂せずに秒速15kmで地表まで落下した場合に変換される[[運動エネルギー]]は約1.1兆J (1.1[[テラ|T]]J) であり、これによって地表には直径100mのクレーターが形成され、周辺も衝撃波で吹き飛ばされる。なお、大気圏突入前の隕石の地球に対する運動エネルギーは約1600兆J (1.6PJ) である<ref group="注釈"><math>E = \frac{1}{2}mv^2</math></ref>。

== 被害 ==
[[File:Broken window (разбитое окно).JPG|250px|thumb|right|多数の建物で窓ガラスが破壊されるなどの被害が発生した。この窓は外側から来た衝撃波によって、ガラスが破損し窓枠が建物の内側に向かって変形している事がわかる。]]
[[File:Цинковый завод Челябинска.jpg|250px|thumb|right|衝撃波で壁と屋根の一部が破壊された亜鉛工場。]]
隕石が大気圏を超[[音速]]で通過し、更に大気との圧力に耐え切れず分裂するという2つの現象によって発生した[[ソニックブーム]]によって、[[チェリャビンスク]]、[[ズラトウスト]]、[[コルキノ]]、[[トロイツク]]などが被災した<ref name="yomiuri2"/>。衝撃波は分裂による閃光が確認された後、数分かかって到達した。

たとえば[[南ウラル大学]]では、閃光から2分25秒後に衝撃波が到達している<ref name="kurogen"/><ref group="注釈">これは観測者に対して、光はほとんど時間をおかずに到達するが、ソニックブームは大気中を音速でしか進めないため、このような時間差が発生する。これは、[[雷]]や[[花火]]が見えてから音が数秒遅れて聞こえると同じ原理である。</ref>。特に被害の大きかったチェリャビンスクとその周辺で合計4474棟の建物の窓ガラスが割れたりドアが吹き飛ぶなどの被害が発生した<ref name="nikkei1">[https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG16008_W3A210C1CR0000/ ロシア隕石、負傷者1200人に　直径は15メートル 隕石の大きさ、1908年以来]、日本経済新聞、2013年2月16日</ref><ref name="NHK3">{{Cite news |title=ロシア“隕石”けが人1000人以上に NHKニュース |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130216/t10015561241000.html |date=2013-02-16 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-02-16 |archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1321-46/www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015552151000.html |archivedate=2013-02-16}}</ref>。内訳は集合住宅が3724棟、教育施設が631施設、文化施設が69施設、病院や医療施設が34ヶ所、社会施設が11施設、スポーツ施設が5施設である<ref name="RT">{{citeweb|url=http://rt.com/news/russia-meteor-meteorite-asteroid-chelyabinsk-291/|title=Russian meteorite crash: LIVE UPDATES|publisher=ロシア・トゥデイ|accessdate=2013-02-16}}</ref>。

衝撃波によるガラスの破損が起きた範囲は、およそ東から西の隕石の経路に垂直な南北方向に幅の広い形状をなし、南北180&nbsp;km、東西80&nbsp;km に及んだ。 これは衝撃波が経路に沿った円柱状の形状を持っていたことを示している。 火球の経路の直下では衝撃波が人間を吹き飛ばすほど大きかった一方、隕石の進行方向へは広がらず被害もほとんどなかった<ref name="Popova2013" />。 チェリャビンスク州知事の[[ミハイル・ユレーヴィチ]]は、同州全体で20万m<sup>2</sup>の窓ガラスが損壊したと試算している<ref name="nikkei1"/>。同州による試算では、被害総額は約10億[[ロシア・ルーブル|ルーブル]]（約30億円）<ref name="yomiuri2"/><ref>「隕石 直径15メートル 7000トン 負傷1145人 損壊2962棟」、読売新聞、1面、2013年2月16日付夕刊4版</ref>。また、被災した教育施設は次の平日である月曜日までに修復を完了させると述べた<ref name="RT"/>。

また、衝撃波で割れたガラスの破片を浴びたり、衝撃波で転ぶなどして、1491人の怪我人が発生し、このうち311人は子供である<ref>{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013021900185 |title=隕石負傷者1500人に＝ロシア保健省 |newspaper=時事ドットコム |publisher=時事通信社 |date=2013-02-09 |archiveurl=https://archive.is/etaWC |archivedate=2013-04-26}}</ref>。このうち指が切断されるなど、重傷患者52人（うち子供13人）が入院している。また、52歳の女性が隕石に直接当たったことにより[[頸椎]]を[[骨折]]し、モスクワに搬送された<ref name="nhk1"/><ref name="RT"/><ref name="jiji2">{{Cite news |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013021600075 |title=被害、半径100キロに及ぶ＝負傷者1200人に－ロシア隕石落下 |newspaper=時事ドットコム |publisher=時事通信社 |date=2013-02-16 |archiveurl=https://archive.is/PEJk2 |archivedate=2013-04-26}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://mainichi.jp/select/news/m20130215k0000e030222000c.html|title=ロシア:ウラルで隕石が爆発・落下 1000人が負傷|publisher=毎日新聞|accessdate=2013-02-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130522192205/http://mainichi.jp/select/news/m20130215k0000e030222000c.html|archivedate=2013-5-22}}</ref><ref>[http://www.asahi.com/international/update/0215/TKY201302150309.html 突然、火の玉が　衝撃で吹き飛ぶ扉、転ぶ人　ロシア隕石]、朝日新聞デジタル、2013年2月15日</ref>。隕石が直接人に命中するのは非常に稀で、[[1954年]]にアン・エリザベス・ホッジスに命中した[[ホッジス隕石]]<ref>{{metbull|23773|Sylacauga}}</ref>など数えるほどしかない。隕石が直接衝突する事による被害は、確認されている中ではこの1件のみである。なお、火球の強い光を見て視力に障害を負った数人は退院している。また、この災害による死者は報告されていない<ref name="RT"/>。隕石による広範囲への災害は、[[ロシア帝国]]時代の[[1908年]]に発生した[[ツングースカ大爆発]]以来の出来事で<ref name="yomiuri0216"/>、これほどの負傷者を出した隕石災害は前例がない<ref name="jiji2"/>。

墜落時期<!--当期では誤解を生じるので訂正--><!--冬季ではなく墜落時期-->には-20℃近くの寒さになる現場周辺では、衝撃波によって窓ガラスが割れた学校や幼稚園には休校措置がとられた。平日の朝であり、学校で怪我をした児童も多かった。また、一時的に[[携帯電話]]が使用できなくなった<ref name="nhk1"/><ref name="swisscom">{{Cite news |url=http://www.bluewin.ch/de/index.php/26,759488/Hunderte_Verletzte_und_Schaeden_bei_Meteoritenregen_in_Russland/de/news/vermischtes/sda/ |title=Hunderte Verletzte und Schäden bei Meteoritenregen in Russland |publisher=swisscom |date=2013-02-15 |archiveurl=https://archive.is/FaUew |archivedate=2013-05-06}}</ref><ref name="yomiuri1"/>。窓ガラスが割れた住宅では、冷気が入り込むのを防ぐために段ボールやシートで穴をふさぐ応急処置をしているところもある<ref name="NHK5"/>。

この付近には[[ベロヤルスク原子力発電所]]や使用済み核燃料再処理工場もあるが、被害の報告はなく、周辺の放射線量にも変化はないとされている<ref name="mainiti1">{{Cite web|和書|date=2013-2-15|url=http://mainichi.jp/select/news/20130215k0000e030222000c.html |title=ロシア:ウラルに隕石が落下　ガラスなどで500人負傷 |publisher=毎日jp |accessdate=2013-11-3 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130522203709/http://mainichi.jp/select/news/20130215k0000e030222000c.html |archivedate=2013-05-22}}</ref><ref name="yomiuri1">[https://web.archive.org/web/20130218084155/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130215-OYT1T01152.htm 隕石落下のロシア中部州、原発など重要施設も]、YOMIURI ONLINE、2013年2月15日{{リンク切れ|date=2013年11月}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2013-2-15|url=http://mainichi.jp/select/news/20130216k0000m030058000c.html |title=ロシア隕石落下:地平線では爆発の煙　人々が叫び声上げる |publisher=毎日jp |accessdate=2013-11-3 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130515223944/http://mainichi.jp/select/news/20130216k0000m030058000c.html |archivedate=2013-05-15}}</ref>。

== 反応 ==
[[ウラジーミル・プーチン]][[ロシア連邦大統領|大統領]]は、隕石落下による被害状況の把握に全力をあげるよう、[[ウラジーミル・プチコフ]][[ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省|非常事態相]]に指示した<ref name="yomiuri0216"/>。プチコフはこれに応え、3日以内にチェリャビンスクのインフラの修復を完了させると述べた<ref name="RT"/>。

[[ドミートリー・メドヴェージェフ]][[ロシアの首相|首相]]はロシアに隕石が落下したことを確認し、この事態は地球全体が同様のケースに対して脆弱であることを証明するもので、将来発生しうる事態に対する防御システムが必要であると述べた<ref name="Newsroom">{{cite web|title=PM Medvedev Says Russian Meteorite KEF-2013 Shows "Entire Planet" Vulnerable|url=http://www.newsroomamerica.com/story/347222/pm_medvedev_says_russian_meteorite_kef-2013_shows_entire_planet_vulnerable_.html|publisher=Newsroom America|publishdate=2013-02-15|accessdate=2013-02-15}}</ref> 。

[[ドミトリー・ロゴージン]][[副首相]]は、ロシアと他の国々が、将来同様の出来事が発生した際に地球を守るシステムを開発すべきだと述べた<ref name="Newsroom" />。

チェリャビンスク州の[[ミハイル・ユレーヴィチ]]知事はこの災害を受けて「私たちの上で分解した隕石がもう少し大きかったら、私たちの町や村で何が起こったのかを想像するのは難しい。壊れた窓や壁の修復に必要な10億ルーブルという巨額も、我々が受けた可能性のある損害に対しては見劣りする。最も重要なことは、誰も死ななかったことです」と述べた<ref name="RT"/>。

一方、ロシアの右翼政治家として知られる[[ロシア自由民主党]]党首の[[ウラジーミル・ジリノフスキー]]は、これは隕石落下ではなく[[アメリカ合衆国]]による新型兵器の実験であると主張した<ref>{{citeweb|url=https://sputniknews.com/russia/20130215179489080-Russian-Politician-Denies-Meteorite-Claims-US-Weapons-Tests/|title=Russian Politician Denies Meteorite, Claims US Weapons Tests|publisher=[[スプートニク (通信社)]]|publishdate=2013-02-15|accessdate=2013-02-15}}</ref> 。

== 無関係の天文現象 ==
=== {{mp|2012 DA|14}} ===
[[File:2012_DA14_fireball_orbit.png|thumb|250px|right|地球から見た{{mpl|2012 DA|14}}（緑色）と隕石の元となった小惑星（赤色）の軌道。両者は全く異なる事がわかる。]]
{{Main|{{mpl|2012 DA|14}}}}
この隕石の落下から約16時間後の世界協定時15日19時25分に、直径約45mの小惑星'''{{mpl|2012 DA|14}}'''が地球表面から約2万7700kmのところを通過した<ref name="da14">[https://www.astroarts.co.jp/news/2013/02/08mp2012da14/index-j.shtml 16日夜明け前に小惑星が地球に大接近　アマチュア機器でも観測可能 ''AstroArts'']</ref>。直径数十mの小惑星が[[静止軌道]]の内側に入り込む事は40年に1度程度という珍しい現象であり<ref name="da14"/>、今回の隕石の落下も、人的な被害が発生するという100年に1回程度<ref name="NHK4"/>の珍しい現象であるため、この2つはテレビなどでは一緒に報道された<ref name="nhk2"/><ref name="jiji1"/>。
2つの現象の関連性については、隕石の落下方向と{{mp|2012 DA|14}}の軌道が正反対と全く異なるため、単なる偶然であると考えられている<ref name="jiji1"/><ref name="nhk2"/><ref name="swisscom"/><ref>{{Cite news |title=小惑星突入による「火球」か |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130215/t10015552151000.html |date=2013-02-15 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-02-16 |archiveurl=https://megalodon.jp/2013-0216-1321-47/www3.nhk.or.jp/news/html/20130216/t10015561241000.html |archivedate=2013-02-16}}</ref>。1908年にシベリアで発生した[[ツングースカ大爆発]]の原因となった隕石の直径は{{mp|2012 DA|14}}と同程度と言われている<ref name="da14"/>。

=== サンフランシスコの火球 ===
この隕石の落下から約24時間後の[[太平洋標準時]]15日19時45分（日本時間16日12時45分）に、[[サンフランシスコ・ベイエリア]]で緑から青白い色を放つ火球が観測された。これは偶然発生した日時が近く、たまたま人の住んでいるエリアの近くを通過しただけであり、今回の隕石や先述の{{mp|2012 DA|14}}の接近とは関係がないと考えられている<ref>[http://www.nbcbayarea.com/news/local/Fireball-Streaks-Across-Bay-Area-Sky-191503601.html Watch: Fireball Streaks Across Bay Area Sky ''NBC Bay Area'']</ref>。

== ギャラリー ==
<gallery>
File:Взрыв метеорита над Челябинском 15 02 2013 avi-iCawTYPtehk.ogv|動画
File:Bolidi.jpg|隕石の落下軌道。最初は地表面に対して20度の角度で落下していたが、途中から空気抵抗による失速で角度が大きくなったと考えられる。
File:Ekaterinburg view of 2013 meteor event.jpg|チェリャビンスクから約200km離れた位置にある[[エカテリンブルク]]で観測された隕石雲。
File:Tscheljabinsk Meteor Größenvergleich.svg|[[バリンジャー・クレーター]]を形成した隕石 (50m) 、今回の隕石に分裂する前（すなわち大気圏突入前）の小惑星 (17m) 、現存する最大の隕石である[[ホバ隕石]] (2.7×2.7×0.9m) と[[ボーイング747]]（翼幅65m）の大きさの比較。
File:Chelyabinsk meteor event consequences in Drama Theatre.jpg|外から来た衝撃波によって窓ガラスが割れ、破片が建物の内部に入り込んだ。画像の建物はチェリャビンスクの映画館。
File:Trajectory of Chelyabinsk meteoroid ru.png|隕石の落下方向。太い矢印が最適と思われる隕石の落下方向で、誤差は点線の範囲内に収まると考えられる。3本の線は隕石の破片が最初に見つかった[[チェバルクリ湖]]で収束する。なお赤い曲線で示された道路が密集するエリアは被害が最も大きかったチェリャビンスク。
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 関連項目 ==
* [[天文現象]]
*{{mpl|2008 TC|3}}
* [[2014 AA]]
* [[ツングースカ大爆発]]
* [[シホテアリニ隕石落下]]
* [[隕石の一覧]]

==外部リンク==
{{commons|Category:2013 Russian meteor event}}
* [http://chelyabinsk.ru/text/news/621775.html Метеоритный удар по Челябинску] Collection of videos and photographs of the meteor and the damage (Russian)
* [http://rt.com/news/meteorite-crash-urals-chelyabinsk-283/ Meteorite hits Russian Urals: Fireball explosion wreaks havoc, up to 500 injured (PHOTOS, VIDEO)]

{{Modern impact events}}

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[[Category:天体衝突|ちえりやひんくすしゆうのいんせきらつか2013]]
[[Category:2013年のロシア|ちえりやひんくすしゆうのいんせきらつか]]
[[Category:2013年の災害|ちえりやひんくすしゆうのいんせきらつか]]
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[[Category:2013年2月|ちえりやひんくすしゆうのいんせきらつか]]
[[Category:天文学に関する記事]]