AMS-LaTeXのソースを表示

{{Infobox Software
| ロゴ = {{#property:ロゴ画像}}
| 最新版 = v2.20
| プログラミング言語 = [[LaTeX|{{LaTeX}}]], [[TeX|{{TeX}}]]
| 対応OS = [[Unix系]]、[[Microsoft Windows|Windows]]
| 対応プラットフォーム = [[TeX Live|{{TeX}} Live]], [[MiKTeX]]
| 種別 = [[ライブラリ]]
| ライセンス = {{仮リンク|LaTeX Project Public License|en|LaTeX Project Public License}}
| 公式サイト = {{Official URL}}
}}

'''{{AmS-LaTeX}}'''は、[[アメリカ数学会]] (AMS) 向けに開発された、数学的記述のための [[LaTeX|{{LaTeX}}]] のドキュメントクラスとパッケージのコレクションである。複数行その他の数学的記述の組版、ドキュメントクラス、多数の数学記号を含むフォントなどを追加する{{Sfn|Gratzer|1996}}。

== 開発経緯 ==
AMS は元々 Michael Spivak による [[TeX|{{TeX}}]] のマクロパッケージである {{AmS-TeX}} の開発を支援していた。しかし、その後[[レスリー・ランポート]]によって {{TeX}} をより使いやすくした {{LaTeX}} が開発されると、{{LaTeX}} の中で {{AmS-TeX}} の機能を使えるようにすることが望まれるようになり、Frank Mittelbach や Rainer Schöpf の主導のもと {{AmS-LaTeX}} が開発された{{Sfn|奥村|黒木|2020|p=105}}。

2023年2月現在、AMS が提供している {{LaTeX}} ユーティリティは以下の通り<ref>{{Cite web |url=https://www.ams.org/arc/resources/texresources.html |title=AMS :: TeX Resources |access-date=2023-02-03 |publisher=[[アメリカ数学会|American Mathematical Society]] |language=en}}</ref>で、{{AmS-TeX}} は過去のものとなっている。
* {{AmS-LaTeX}}：AMS 出版物のためのドキュメントクラス群 amscls と数式の書きやすさや組版品質を向上させるパッケージ amsmath の二部構成
* AMSFonts：数式用フォントの拡張や多数の数学記号を提供するパッケージ amssymb と Eular フォントを使用するためのパッケージ群（eucal, eufrak, euscript）
* amsrefs：AMS 論文誌用の文献目録スタイルを提供するパッケージ
* snapshot：LaTeX ドキュメントの外部依存関係リストを取得するパッケージ
高度な数式を使う際には amsmath と AMSFonts を使用することが標準的であるとされる{{Sfn|奥村|黒木|2020|p=106}}。

== {{AmS-LaTeX}} の構成 ==
（内部用パッケージ・ドキュメントクラスである amsgen.sty, amsdtx.cls, amsldoc.cls は省略した。）
; amsmath 部分<ref>{{cite web |url=https://www.latex-project.org/help/documentation/amsldoc.pdf |title=User's Guide for the amsmath Package (Version 2.1) |author1=American Mathematical Society |authorlink1=アメリカ数学会 |author2={{LaTeX}} Project |year=2020 |access-date=2023-02-03 |language=en}}</ref>
* amsmath.sty：メインのパッケージであり、別行立て数式やその他の数学的な構成物のための機能を提供する。以下のパッケージを自動で読み込む。
** amstext.sty：別行立て数式中にテキストボックスを挿入する <code>\text</code> コマンドを提供する。
** amsopn.sty：基本的な演算子名（<code>\sin</code>, <code>\lim</code> など）と演算子のユーザ定義のためのコマンド <code>\DeclareMathOperator</code> を提供する。
** amsbsy.sty：数式におけるイタリック体の太字を提供する。現在は bm パッケージの使用が推奨されているが互換性のために残されている。
また、{{AmS-LaTeX}} のバージョン1.1までは {{AmS-TeX}} の影響が強く残り、バージョン 1.2 から {{LaTeX2e}} に適合する形に刷新された{{Sfn|奥村|黒木|2020|p=105}}ため、旧バージョンとの互換性のための以下のパッケージが存在する。これらは amsmath によって自動的に読み込まれるものではない。
* amstex.sty：バージョン1.1までの {{AmS-LaTeX}} の中心であったパッケージ。
* amscd.sty：ごく単純な可換図式の描画機能を提供する。現在は diagram, xypic, kuvio などのパッケージの使用が推奨されている。
* amsxtra.sty：バージョン1.1に存在したコマンドで、現在の amsmath では取り除かれているものを提供する。
; amscls 部分
* amsart.cls：AMS の論文誌記事用ドキュメントクラス。
* amsproc.cls：AMS の学会論文（プロシーディングス）用ドキュメントクラス。
* amsbook.cls：AMS の書籍用ドキュメントクラス。
** amsmidx.sty：索引を複数箇所に分割する機能を提供する amsbook 補助パッケージ。
** amsbooka.sty：章ごとに著者が異なる場合向けの amsbook 補助パッケージ。
* upref.sty：<code>\ref</code> による参照を直立体にする。
* amsthm.sty：定理や証明を適切なスタイルで記述するための環境を提供する。

== 使用例 ==
LaTeX2eの次のコードにより、AMS-LaTeXロゴが生成される（[[Image:AMS-LaTeX.svg|80px|\AmS-\LaTeX]]）。

<syntaxhighlight lang=latex>
 %%% -- AMS-LaTeX_logo.tex -------
 \documentclass{article}
 \usepackage{amsmath}
 
 \begin{document}
 \AmS-\LaTeX
 \end{document}
</syntaxhighlight>

パッケージには、複数行の式を書式設定するための一連の機能がある。例えば次のコード

<syntaxhighlight lang=latex>
  \begin{align}
    y &= (x+1)^2 \\
      &= x^2+2x+1
  \end{align}
</syntaxhighlight>

は、次のように2行の等号が互いに整列するようにする。

:<math>
  \begin{align}
    y &= (x+1)^2 \\
      &= x^2+2x+1
  \end{align}
</math>

AMS-LaTeXには、[[定理]]や[[補題]]などの書式設定や番号付けのための多くの柔軟なコマンドも含まれている。たとえば、<tt>theorem</tt>環境

<syntaxhighlight lang=latex>
  \begin{theorem}[Pythagoras] Suppose $a\leq b\leq c$ are the side-lengths of a right triangle.\\  Then $a^2+b^2=c^2$.\end{theorem}
  \begin{proof}. . . \end{proof}
</syntaxhighlight>

は、以下を生成する。

<blockquote>
   '''Theorem''' (''Pythagoras'') ''Suppose'' <math>a\leq b\leq c</math> ''are the side-lengths of a right triangle. '' <br>''Then'' <math>a^2+b^2=c^2</math>.<br>
   '''Proof'''. . . □
</blockquote>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<!-- === 注釈 ===
{{notelist}} -->
=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}

== 参考文献 ==
* {{cite book|和書
| last1 = 奥村 | first1 = 晴彦 | authorlink1 = 奥村晴彦
| last2 = 黒木 | first2 = 裕介
| edition = 改訂第8版 | title = {{LaTeX2e}} 美文書作成入門
| year = 2020
| publisher = [[技術評論社]]
| isbn = 978-4-297-11712-2
| ref = harv
}}
* {{cite book
| url = http://www.ctan.org/tex-archive/info/mil/mil.pdf
| title = Math into LaTeX
| author = George Gratzer
| year = 1996
| isbn = 0-8176-3805-9
| accessdate = 2007-10-08
}}

==関連項目==
*[[墓石記号]]
* {{仮リンク|amsrefs|en|AMSRefs}}

{{TeX関連}}

[[Category:TeX]]
[[Category:数学に関する記事]]