CGS単位系のソースを表示

'''CGS単位系'''（シージーエスたんいけい）は、[[長さ]]の単位としての[[センチメートル]] (centimetre)、[[質量]]の単位としての[[グラム]] (gram)、[[時間]]の単位としての[[秒]]（second）を[[基本単位]]とする、[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある[[メートル法]]系の[[単位系]]である。

==概要==
"CGS" は基本単位の頭文字をつなげたものである。[[力学]]の単位は3つの基本単位からの組み立てにより定義されるが、[[電磁気の単位]]については複数の組み立て方がある<ref>{{Cite news|url=https://www.britannica.com/science/centimetre-gram-second-system|title=Centimetre-gram-second system {{!}} physics|encyclopedia=Encyclopedia Britannica|access-date=2018-03-27|language=en}}{{failed verification|date=April 2018|reason=article is about viscosity, not electromagnetism}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://www.maplesoft.com/support/help/maple/view.aspx?path=Units/CGS|title=The Centimeter-Gram-Second (CGS) System of Units - Maple Programming Help|website=www.maplesoft.com|access-date=2018-03-27}}</ref><ref>{{cite report |df=ja | title = Babel of units: The evolution of units systems in classical electromagnetism | last = Carron | first = Neal J.| date = 21 May 2015|arxiv = 1506.01951}}</ref>。

CGS単位系は、[[メートル]]、[[キログラム]]、秒を基本単位とする[[MKS単位系]]、およびそれを拡張した[[国際単位系]](SI)に置き換えられた。[[科学]]・[[工学]]の多くの分野ではSIのみが使用されているが、特定の分野ではCGS単位系の単位が残っている。

力学にのみ関わる単位（長さ、質量、[[力 (物理学)|力]]、[[エネルギー]]、[[圧力]]など）ではCGS単位系とSIの違いは単純で、特定の変換係数を乗除するだけで変換できる。変換係数は {{nowrap|1=100 cm = 1 m}} および {{nowrap|1=1000 g = 1 kg}} であることに由来する[[10の冪|10の累乗数]]である。例えば、CGS単位系の力の単位は {{nowrap|1=1 g⋅cm/s<sup>2</sup>}} と定義される[[ダイン]]であるため、SIの力の単位である[[ニュートン (単位)|ニュートン]] ({{nowrap|1=1 kg⋅m/s<sup>2</sup>}}) は100,000ダインに等しい。

一方、電磁気の単位（[[電荷]]、[[電界]]、[[磁界]]、[[電圧]]など）のCGS単位系とSIとの変換は単純ではない。電磁気学の物理法則（[[マクスウェルの方程式]]など）は、使用する単位系に応じて変える必要がある。これは、力学の単位の場合のような、SIの電磁単位とCGSの電磁単位の間に1対1の対応がないためである。

さらに、CGS単位系の中でも、ガウス単位系、電磁単位系、静電単位系、ローレンツ＝ヘビサイド単位系など、様々な[[電磁気量の単位系#各々の単位系|電磁気量の単位系]]が存在する。これらの中で、今日最も一般的なのはガウス単位系であり、よく使用される「CGS単位」は特にCGSガウス単位系を指す。

== 歴史 ==
CGS単位系は、物理学における[[物理量|量]]を距離・質量・時間の3つの独立な[[量の次元|次元]]によって表すという、ドイツの数学者[[カール・フリードリヒ・ガウス]]の[[1832年]]の提案に遡る<ref>{{citation | first = C. F. | last = Gauss| authorlink = Carl Friedrich Gauss | title = Intensitas vis magneticae terrestris ad mensuram absolutam revocata | journal = Commentationes Societatis Regiae Scientiarum Gottingensis Recentiores | volume = 8 | year = 1832 | pages = 3–44}}. [http://www.21stcenturysciencetech.com/translations/gaussMagnetic.pdf English translation].</ref>。ガウスは、基本単位として[[ミリメートル]]、[[ミリグラム]]、秒を選択した<ref>{{cite book
| first1 = William
| last1 = Hallock
| first2 = Herbert Treadwell
| last2 = Wade
| page = 200
| year = 1906
| place = New York
| title = Outlines of the evolution of weights and measures and the metric system
| publisher = The Macmillan Co
| url = https://archive.org/stream/outlinesofevolut00halluoft#page/200/mode/2up
}}</ref>。[[1873年]]、物理学者[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]や[[ウィリアム・トムソン]]（ケルヴィン卿）らからなる{{仮リンク|英国科学協会|en|British Science Association|label=英国科学振興協会}}の委員会は、センチメートル、グラム、秒を基本単位として採用することを推奨し<ref name="BAAS-43rd">{{cite conference 
|url= https://www.biodiversitylibrary.org/item/94452#page/323/mode/1up
|title=First Report of the Committee for the Selection and Nomenclature of Dynamical and Electrical Units 
|date=September 1873
|conference= Forty-third Meeting of the British Association for the Advancement of Science
|editor-first= Professor |editor-last = Everett |editor-link = Joseph David Everett
|first1 = Sir W |last1 = Thomson |author1-link = William Thomson, 1st Baron Kelvin
|first2 = Professor GC |last2 = Foster |author2-link = Carey Foster
|first3 = Professor JC |last3 = Maxwell |author3-link = James Clerk Maxwell
|first4 = Mr GJ |last4 = Stoney |author4-link = George Johnstone Stoney
|first5 = Professor Fleeming |last5 = Jenkin |author5-link = Fleeming Jenkin
|first6 = Dr |last6 = Siemens |author6-link = Carl Wilhelm Siemens
|first7 = Mr FJ |last7 = Bramwell |author7-link = Frederick Bramwell
|publisher= John Murray
|location= Bradford
|page = 223
|accessdate= 2012-04-08}}</ref>、これらの基本単位から誘導される電磁気量の単位を、特別の名称が定まるまでの仮称として"C.G.S. unit of ..."（○○のCGS単位）を用いることを推奨した<ref name="BAAS-43rd"/>。センチメートルが基本単位として採用されたのはグラムとともに用いることで、水の密度がほぼ1に等しくなるためである。[[ジョージ・ジョンストン・ストーニー|ストーニー]]はセンチメートルを基本単位とすることに強く反対し、メートルを基本単位とすべきと主張したことが報告書で付記されている<ref name="BAAS-43rd"/>。

CGS単位系のほとんどの単位の大きさは、実用には不便であることが判明した。例えば、人間、部屋、建物など、多くの日常的な物体は、長さが100 - 1000センチメートル台である。そのため、CGS単位系は、科学の分野以外で広く一般的に使用されることはなかった。1880年代から20世紀半ばにかけて、科学における単位はCGS単位系からMKS単位系に次第に置き換えられ、それが現代のSIに発展した。

1940年代にMKS単位系が、1960年代に国際単位系(SI)が国際的に採用されて以来、CGS単位系の使用は世界中で徐々に減少している。現在、CGS単位系は、ほとんどの科学雑誌、教科書、および[[標準化団体]]による標準では受け入れられていないが、[[アストロフィジカルジャーナル]]などの[[天文学]]の雑誌では今でも一般的に使用されている。CGS単位系の単位は、特にアメリカ合衆国における[[材料科学]]、[[電磁気学]]、天文学の分野の技術資料で、時折使用される。また、磁気および関連する分野では、磁束密度'''''B'''''と磁場'''''H'''''が自由空間で同じ単位を持ち、公開された測定値をCGSからMKSに変換する際に多くの混乱が見込まれることから、CGS単位系が継続して使用されている<ref>{{cite journal|last1=Bennett|first1=L. H.|last2=Page|first2=C. H.|last3=Swartzendruber|first3=L. J.|title=Comments on units in magnetism|journal=Journal of Research of the National Bureau of Standards|date=January–February 1978|volume=83|issue=1|pages=9&ndash;12|doi=10.6028/jres.083.002}}</ref>。

==力学の単位==
CGS単位系における力学の単位は、SIの単位と同じ方法で組み立てられる。2つの単位系の違いは、3つの基本単位のうちの2つ（センチメートルとメートル、グラムとキログラム）の大きさだけである。時間の単位（秒）は、どちらの単位系でも同じである。

CGSとSIの基本単位の間には1対1の対応があり、力学の法則はどちらの単位系を使用したかに影響されない。従って、3つの基本単位の組み立てによる派生単位（[[組立単位]]）の定義は両方の単位系で同じであり、それぞれの単位系の派生単位にも明確な1対1の対応がある。

:<math>v = \frac{dx}{dt}</math>&nbsp; （[[速度]]の定義）
:<math>F=m\frac{d^2x}{dt^2}</math>&nbsp; （ニュートンの[[運動の第2法則]]）
:<math>E = \int \vec{F}\cdot \mathrm{d\,}\vec{x}</math>&nbsp; （[[仕事 (物理学)|仕事]]の観点による[[エネルギー]]の定義）
:<math>p = \frac{F}{L^2} </math>&nbsp; （力と単位面積による[[圧力]]の定義）
:<math>\eta = \tau/\frac{dv}{dx}</math>&nbsp; （[[せん断応力]]と速度勾配による[[粘度]]の定義）

例えば、圧力のSI単位[[パスカル (単位)|パスカル]](Pa)が長さ・質量・時間のSI基本単位と関連しているのと同様に、圧力のCGS単位[[バリ (単位)|バリ]](Ba)は長さ・質量・時間のCGS基本単位と関連している。
:圧力の単位 = 力の単位/(長さの単位)<sup>2</sup> = 質量の単位/(長さの単位⋅(時間の単位)<sup>2</sup>)
:1&nbsp;Pa = 1&nbsp;kg/(m⋅s<sup>2</sup>)
:1&nbsp;Ba = 1&nbsp;g/(cm⋅s<sup>2</sup>)

CGS単位とSI単位を変換するときは、2つの単位系に関連する変換係数を組み合わせる必要がある。
:1 Ba = 1 g/(cm⋅s<sup>2</sup>) = 10<sup>−3</sup> kg/(10<sup>−2 </sup>m⋅s<sup>2</sup>) = 10<sup>−1</sup> kg/(m⋅s<sup>2</sup>) = 10<sup>−1</sup> Pa.

{|class="wikitable" style="text-align: left;"
|-
! 量
! 量の記号 !! CGS単位 !! 単位の記号 !! 単位の定義 !! SI単位への換算
|-
! [[長さ]]
| style="text-align:center;"| ''L'', ''x''|| [[センチメートル]] || style="text-align:center;"| cm || [[メートル]]の1/100 || = 10<sup>−2</sup>&nbsp;[[メートル|m]]
|-
! [[質量]]
| style="text-align:center;"| ''m''|| [[グラム]] || style="text-align:center;"|g || [[キログラム]]の1/1000 || = 10<sup>−3</sup>&nbsp;[[キログラム|kg]]
|-
! [[時間]]
| style="text-align:center;"| ''t''|| [[秒]] || style="text-align:center;"|s|| （[[秒]]の記事を参照） || = 1&nbsp;[[秒|s]]
|-
! [[速度]]
| style="text-align:center;"| ''v''|| [[センチメートル毎秒]] || style="text-align:center;"| cm/s || cm/s || = 10<sup>−2</sup>&nbsp;[[メートル毎秒|m/s]]
|-
! [[加速度]]
| style="text-align:center;"| ''a''|| [[ガル]] || style="text-align:center;"|Gal || cm/s<sup>2</sup> || = 10<sup>−2</sup>&nbsp;[[メートル毎秒毎秒|m/s<sup>2</sup>]]
|-
! [[力 (物理学)|力]]
| style="text-align:center;"| ''F''|| [[ダイン]] || style="text-align:center;"|dyn || g⋅cm/s<sup>2</sup> || = 10<sup>−5</sup>&nbsp;[[ニュートン (単位)|N]]
|-
! [[エネルギー]]
| style="text-align:center;"| ''E''|| [[エルグ]] || style="text-align:center;"|erg || g⋅cm<sup>2</sup>/s<sup>2</sup> || = 10<sup>−7</sup>&nbsp;[[ジュール|J]]
|-
! [[仕事量]]
| style="text-align:center;"| ''P''|| エルグ毎秒 || style="text-align:center;"|erg/s || g⋅cm<sup>2</sup>/s<sup>3</sup> || = 10<sup>−7</sup>&nbsp;[[ワット|W]]
|-
! [[圧力]]
| style="text-align:center;"| ''p''|| [[バリ (単位)|バリ]] || style="text-align:center;"| Ba|| g/(cm⋅s<sup>2</sup>) || = 10<sup>−1</sup>&nbsp;[[パスカル (単位)|Pa]]
|-
! [[粘度]]
| style="text-align:center;"| ''μ''|| [[ポアズ]] || style="text-align:center;"|P|| g/(cm⋅s) || = 10<sup>−1</sup>&nbsp;[[パスカル秒|Pa⋅s]]
|-
! [[動粘度]]
| style="text-align:center;"| ''ν''|| [[ストークス]] || style="text-align:center;"|St|| cm<sup>2</sup>/s || = 10<sup>−4</sup>&nbsp;[[平方メートル毎秒|m<sup>2</sup>/s]]
|-
! [[波数]]
| style="text-align:center;"| ''k'' || [[カイザー (単位)|カイザー]] (K) || style="text-align:center;"|cm<sup>−1</sup><ref name=K>{{cite web|title=Atomic Spectroscopy|url=http://physics.nist.gov/Pubs/AtSpec/node01.html|website=Atomic Spectroscopy|publisher=NIST|accessdate=25 October 2015}}</ref>|| cm<sup>−1</sup> || = 100&nbsp;[[毎メートル|m<sup>−1</sup>]]
|}

==電磁気学の単位==
{{main|電磁気量の単位系}}
CGS単位系とSIの電磁単位に関する変換係数は、各単位系で想定される電磁気の物理法則を表す式の違い、特にこれらの式に現れる定数の性質により複雑になる。これは、2つの単位系の構築方法の根本的な違いを示している。

SIでは、[[電流]]の単位である[[アンペア]](A)は、元々、「真空中に1mの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体に{{val|2|e=-7|u=[[ニュートン (単位)|N]]/[[メートル|m]]}}の力を及ぼし合う直流の電流」と定義されていた。これにより、SIの電磁気学の単位は、後述するCGS電磁単位系と一貫性がある（10の整数乗の係数に従う）。アンペアは、メートル、キログラム、秒と同様SIにおける基本単位である。従って、上記の定義におけるメートルやニュートンとの関係は無視され、アンペアは他の基本単位の組み合わせと同等として扱われない。その結果、SIの電磁法則では、電磁気学の単位を力学の単位に関連付けるために、追加の比例定数（[[電気定数]]）が必要となる （この比例定数は、上記のアンペアの定義から直接導出できる）。他の全ての電磁気の単位は、4つの基本単位から導出される。例えば、[[電荷]] ''q'' は電流 ''I'' と時間 ''t'' より
:<math>q=I \, t</math>
と表されるため、電荷の単位[[クーロン]](C)は 1&nbsp;C = 1&nbsp;A⋅s と定義される。

CGS単位系では、電磁気のための新しい基本単位を追加せずに、電磁現象を力学に関連付ける物理法則の表現形式を指定することにより、センチメートル、グラム、秒から直接全ての電磁気の単位を導出している。CGS単位系の電磁気の単位には、使用する物理法則の違いにより、大きく分けて'''静電単位系'''(CGS-esu)と'''電磁単位系'''(CGS-emu)の2系統の単位系が存在した。前者は静電場の[[クーロンの法則]]から出発して次元解析したものであり、後者は磁場に対する[[アンペールの法則]]から出発したものである。（電荷の次元の導入が確立された今日では）CGS単位系にそれぞれ定義の異なる電荷の単位を導入したものと見なされる。また、磁気に関する量には電磁単位系、電気に関する量には静電単位系を用いた'''CGSガウス単位系'''もある。

これらの単位系を用いると古典電磁気学の基礎方程式である[[マクスウェル方程式]]に {{math|4''π''}} の因数が含まれることになる。クーロンの法則やアンペールの法則はマクスウェル方程式から導かれるという立場から、このような因数が基礎方程式に含まれないような定義の方が好まれることがある。このような定義の方法は有理化と呼ばれる。

{| class="wikitable"
|+ 電磁気学の単位のSI、CGS-esu、CGS-emu、CGSガウス単位系の変換<ref name=cardsgc>{{cite book
| author = Cardarelli, F.
| year = 2004
| title = Encyclopaedia of Scientific Units, Weights and Measures: Their SI Equivalences and Origins
| publisher = Springer
| edition = 2nd
| pages = 20–25
| isbn= 1-85233-682-X
| url= https://books.google.com/?id=6KCx8Ww75VkC
}}</ref><br>''c'' = {{val|29979245800}}（[[無次元]]）
! 量
! 記号 !! SIの単位 !! ESUの単位 !! EMUの単位 !! ガウス単位系の単位
|-
! [[電荷]]
| style="text-align:center;"| ''q'' ||1 [[クーロン|C]] || ↔ (10<sup>−1</sup> ''c'') [[スタットクーロン|statC]]|| ↔ (10<sup>−1</sup>) [[アブクーロン|abC]] || ↔ (10<sup>−1</sup> ''c'') [[スタットクーロン|Fr]]
|-
! [[電束]] 
| style="text-align:center;"| ''Φ''<sub>E</sub> ||1 [[クーロン|C]] || ↔ (4π×10<sup>−1</sup> ''c'') [[スタットクーロン|statC]]|| ↔ (10<sup>−1</sup>) [[アブクーロン|abC]] || ↔ (4π×10<sup>−1</sup> ''c'') [[スタットクーロン|Fr]]
|-
! [[電流]] 
| style="text-align:center;"| ''I'' ||1 [[アンペア|A]] || ↔ (10<sup>−1</sup> ''c'') [[スタットアンペア|statA]] || ↔ (10<sup>−1</sup>) [[アブアンペア|abA]]|| ↔ (10<sup>−1</sup> ''c'') [[スタットクーロン|Fr]]⋅s<sup>−1</sup>
|-
! [[電位]] / [[電圧]] 
| style="text-align:center;"|''φ'' / ''V''||1 [[ボルト (単位)|V]]|| ↔ (10<sup>8</sup> ''c''<sup>−1</sup>) [[スタットボルト|statV]] || ↔ (10<sup>8</sup>) [[アブボルト|abV]] || ↔ (10<sup>8</sup> ''c''<sup>−1</sup>) [[スタットボルト|statV]]
|-
! [[電場]] 
| style="text-align:center;"|'''E'''||1 [[ボルト毎メートル|V/m]] || ↔ (10<sup>6</sup> ''c''<sup>−1</sup>) [[スタットボルト|statV]]/[[センチメートル|cm]] || ↔ (10<sup>6</sup>) [[アブボルト|abV]]/[[センチメートル|cm]]|| ↔ (10<sup>6</sup> ''c''<sup>−1</sup>) [[スタットボルト|statV]]/[[センチメートル|cm]]
|-
! [[電束密度]] 
| style="text-align:center;"|'''D'''||1 [[クーロン|C]]/[[平方メートル|m<sup>2</sup>]] || ↔ (10<sup>−5</sup> ''c'') [[スタットクーロン|statC]]/[[平方センチメートル|cm<sup>2</sup>]] || ↔ (10<sup>−5</sup>) [[アブクーロン|abC]]/[[平方センチメートル|cm<sup>2</sup>]] || ↔ (10<sup>−5</sup> ''c'') [[スタットクーロン|Fr]]/[[平方センチメートル|cm<sup>2</sup>]] 
|-
! [[電気双極子モーメント]] 
| style="text-align:center;"|'''p'''||1 [[クーロン|C]]⋅[[メートル|m]] || ↔ (10 ''c'') [[スタットクーロン|statC]]⋅[[センチメートル|cm]] || ↔ (10) [[アブクーロン|abC]]⋅[[センチメートル|cm]] || ↔ (10<sup>19</sup> ''c'') [[デバイ|D]] 
|-
! [[磁気双極子モーメント]] 
| style="text-align:center;"|'''μ'''||1 [[アンペア|A]]⋅[[平方メートル|m<sup>2</sup>]] || ↔ (10<sup>3</sup> ''c'') [[スタットクーロン|statC]]⋅[[平方センチメートル|cm<sup>2</sup>]] || ↔ (10<sup>3</sup>) [[アブアンペア|abA]]⋅[[平方センチメートル|cm<sup>2</sup>]] || ↔ (10<sup>3</sup>) [[エルグ|erg]]/[[ガウス (単位)|G]] 
|-
! [[磁束密度]] 
| style="text-align:center;"|'''B'''||1 [[テスラ (単位)|T]] || ↔ (10<sup>4</sup> ''c''<sup>−1</sup>) statT || ↔ (10<sup>4</sup>) [[ガウス (単位)|G]] || ↔ (10<sup>4</sup>) [[ガウス (単位)|G]] 
|-
! [[磁場]] 
| style="text-align:center;"|'''H'''||1 [[アンペア毎メートル|A/m]] || ↔ (4π×10<sup>−3</sup> ''c'') [[スタットアンペア|statA]]/[[センチメートル|cm]] || ↔ (4π×10<sup>−3</sup>) [[エルステッド|Oe]]|| ↔ (4π×10<sup>−3</sup>) [[エルステッド|Oe]]
|-
! [[磁束]]
| style="text-align:center;"|''Φ''<sub>m</sub>||1 [[ウェーバ|Wb]] || ↔ (10<sup>8</sup> ''c''<sup>−1</sup>) statWb || ↔ (10<sup>8</sup>) [[マクスウェル (単位)|Mx]] || ↔ (10<sup>8</sup>) [[マクスウェル (単位)|Mx]]
|-
! [[電気抵抗]]
| style="text-align:center;"|''R''||1 [[オーム|Ω]] || ↔ (10<sup>9</sup> ''c''<sup>−2</sup>) [[秒|s]]/[[センチメートル|cm]]|| ↔ (10<sup>9</sup>) [[アブオーム|abΩ]] || ↔ (10<sup>9</sup> ''c''<sup>−2</sup>) [[秒|s]]/[[センチメートル|cm]]
|-
! [[電気抵抗率]]
| style="text-align:center;"|''ρ'' ||1 [[オーム|Ω]]⋅[[メートル|m]] || ↔ (10<sup>11</sup> ''c''<sup>−2</sup>) [[秒|s]] || ↔ (10<sup>11</sup>) [[アブオーム|abΩ]]⋅[[センチメートル|cm]] || ↔ (10<sup>11</sup> ''c''<sup>−2</sup>) [[秒|s]]
|-
! [[静電容量]]
| style="text-align:center;"|''C''||1 [[ファラド|F]] || ↔ (10<sup>−9</sup> ''c''<sup>2</sup>) [[センチメートル|cm]]|| ↔ (10<sup>−9</sup>) [[アブファラド|abF]] || ↔ (10<sup>−9</sup> ''c''<sup>2</sup>) [[センチメートル|cm]]
|-
! [[インダクタンス]]
| style="text-align:center;"|''L''||1 [[ヘンリー (単位)|H]] || ↔ (10<sup>9</sup> ''c''<sup>−2</sup>) [[センチメートル|cm]]<sup>−1</sup>⋅[[秒|s]]<sup>2</sup>|| ↔ (10<sup>9</sup>) [[アブヘンリー|abH]] || ↔ (10<sup>9</sup> ''c''<sup>−2</sup>) [[センチメートル|cm]]<sup>−1</sup>⋅[[秒|s]]<sup>2</sup> 
|}

この表における ''c'' = {{val|29979245800}} は、センチメートル毎秒で表した真空中の[[光速度]]の数値（[[無次元量]]）である。

SI単位とCGS単位は対応しているが、大きさに互換性がないため等しくないことを示すために、「=」の代わりに記号「↔」が使用されている。例えば、表の最後から2番目の行によると、コンデンサの静電容量がSIで1 Fの場合、ESUでの静電容量は (10<sup>−9</sup> ''c''<sup>2</sup>) cm である。ただし、方程式や数式内で"1 F"を"(10<sup>−9</sup>&nbsp;''c''<sup>2</sup>) cm"に置き換えることは、通常正しくない。

静電容量の単位としての「1センチメートル」は、真空中における半径1cmの球と無限遠点との間の静電容量である。半径 ''R'', ''r'' の2つの球の間の静電容量 ''C'' は次式で表される。
:<math>C = \frac{1}{\frac{1}{r}-\frac{1}{R}}</math>
ここで、''R'' が無限大に近づくにつれて、 ''C'' の値が ''r'' の値に近くなっていくことがわかる。

== 特長 ==
CGS単位系は、センチメートル・グラムを基本単位に持つので実験室サイズの測定に適しているが、電磁気を扱うものとしてはCGS静電単位系やCGS電磁単位系は日常的なものとオーダーが大きく異なり不便である。一方、静電単位や電磁単位を用いることで[[マクスウェル方程式]]からそれぞれの場合で誘電率や透磁率の変数が見かけ上なくなるので、その理論的な解析には便利なこともある。これは物理定数に合わせて単位を決めたことに対応する（参考:[[自然単位系]]）。

==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

==関連文献==
* {{cite book | author=Griffiths, David J. | authorlink=David Griffiths (physicist) | title=Introduction to Electrodynamics (3rd ed.) | publisher=[[Prentice Hall]] | year=1999 | isbn=0-13-805326-X | chapter=Appendix C: Units | chapter-url-access=registration | chapter-url=https://archive.org/details/introductiontoel00grif_0 | url-access=registration | url=https://archive.org/details/introductiontoel00grif_0 }}
* {{cite book | author=Jackson, John D. |authorlink=John David Jackson (physicist) | title=Classical Electrodynamics (3rd ed.) | publisher=[[John Wiley & Sons|Wiley]] | year=1999 | isbn=0-471-30932-X | chapter=Appendix on Units and Dimensions }}
* {{cite book | author=Kent, William |authorlink=William Kent (Consulting Engineer) | title=The Mechanical Engineer's Pocket-book (5th ed.) |publisher=[[John Wiley & Sons|Wiley]] | year=1900 | chapter=Electrical Engineering. Standards of Measurement page 1024 }}
* {{cite web | url=http://bohr.physics.berkeley.edu/classes/221/1112/notes/emunits.pdf | title=Gaussian, SI and Other Systems of Units in Electromagnetic Theory | work=Physics 221A, [[University of California]], Berkeley lecture notes|authorlink1=Robert Grayson Littlejohn | author=Littlejohn, Robert | date=Fall 2017 | accessdate=2017-12-15 }}

== 関連項目 ==
* [[人名に由来する物理単位]]
* [[MKS単位系]]
* [[MKSA単位系]]
*[[国際単位系]]
{{DEFAULTSORT:しいじいえすたんいけい}}
[[Category:CGS単位系|*]]